No.525185 IS x アギト 目覚める魂 21: 臨界i-pod男さん 2012-12-30 17:24:39 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2597 閲覧ユーザー数:2488 |
臨海学校当日。モノレールで学園を出て、外に止まっているバスに点呼を取りながら組ごとに乗り込んで行く。一夏と秋斗はバイクで行く事にした。
「行く分には構わんが、条件がある。一夏は私を後ろに乗せろ。(話す事がある。)」
「別に良いですよ。」
予備のヘルメットを渡してやると、後ろに乗った。秋斗はナビを使ってさっさと先に行ってしまう。一夏はエンジンをスタートさせ、並んで走るバスの最後尾に付いた。走りながら千冬と話し始める。幸いにも涼から送られた特製のマフラーでエンジン音がかなり押さえられている為に会話も成立するのだ。
「で、話って何?」
「あれから考えたが・・・・・やはりお前に私が持つ力を渡す事には抵抗がある。お前一人が戦って私は何もしないと言うのは、どうも気に食わない。」
「俺一人じゃない。門牙さん以外にも仲間はいる。それにこれは気に食う、食わないの問題じゃ無い。これはISバトルとは全然違うんだ。ルール無用、絶対防御無し、シールドエネルギー無しの殺し合いだ。幾ら一度は世界最強だったとは言え、千冬姉はアンノウンを嘗め過ぎてる。アンノウンが持つのは超常的な能力だから、『あり得ない』なんて思っていたらそれこそ勝てない。アギトの力を持っていても、それを完全に使いこなせないと戦えない。向こうだって、隙を見せれば遠慮無く命を奪おうとする。寝首をかかれたら、もう・・・・」
「お前の気持ちは」
「分かるなんて言わないでくれ。千冬姉は俺じゃない。知った様な口振りで薄っぺらい同情をされても、何にもならない。・・・・・・ごめん・・・・言い過ぎた。」
「いや、お前は正しい。確かに私はお前ではないし、お前も私ではない。同じ人間でもないのに気持ちが分かる等と、確かに薄っぺらいな。すまなかった、忘れてくれ。」
「俺は、昔から知っていたんだ。自分は何か、特別な力を持っているって。夜寝ている時に、見た夢がそのまま現実で起こったり、触れもしないのに物が勝手に動いたり。けど俺は怖かった。それを知られて、千冬姉も俺を捨てるんじゃ無いかって、ずっと怖かった。」
すると、腹回りに回された千冬の腕が少しきつく締まった。
「馬鹿者。たった一人の弟を捨ててどうなると言うのだ?両親亡き今、私にはもうお前しかいない。誰が見捨てる物か。たとえ鬼だろうと野獣だろうと、お前は私の大事な弟だ。」
その言葉は、一夏の胸に強く、深く響いた。
「・・・・・・ありがとう。飛ばすよ、しっかり掴まってろ。」
「ISに比べればこの程度どうと言う事は無い。そもそも、こんな物どこで手に入れた?」
「企業秘密。」
アクセルを思い切り捻ってウィーリーを行い、バス四台を瞬く間に抜き去り、時速二百キロ近くのスピードで秋斗のカワサキニンジャも追い抜いた。
秋斗はその様子を見てフルフェイスヘルメットの奥で笑った。
「問題は解決、か・・・・・・」
到着した旅館は花月荘と言う所で、部屋割り等が決まるとそれぞれその部屋に荷物を持って移動を始めた。一夏と秋斗は教員用の部屋へ移動し、荷物を降ろした。
「夕方辺りまでは自由行動らしいが、お前はどうする?」
「まあ、適当に・・・・・」
一夏はフレイムセイバーに目をやる。
「そうか。まあ、別に止めはしないが、見られるなよ?今の所、変身能力の事は伏せてあるからな。」
「分かってます。いざとなれば、(G4-Mild|コッチ))で対応しますから。」
白式をトントンと叩く。フレイムセイバーを担いで砂浜に出た。上は開襟シャツ、下はトランクス型の水着で、剣を肩に担ぐ。当然布に包まれている為に見えないが、少なからず目を引く光景だ。気にせずにそのまま砂浜に向かい、素振りを始めた。
「フッ、フッ、フッ、フッ、」
浅く息を吐きながら、絶妙な力加減でそれを振り下ろして行く。だが、流石に生身のままでオルタフォースの力を受けた武器を振り回すにも限界があるのか、素振りの回数が四桁あたりまで届いてフレイムセイバーを砂の中に突き立てた。
「糞・・・・やっぱり俺一人の力じゃどうにもならないか。葦原さんみたいな二段変身はまだ出来ない。千冬姉・・・・・うわあああああ!!!」
苛立ち紛れに近にあった岩を真っ二つに叩き斬った。熱で蒸気が岩から上がり、綺麗な切り口が現れる。
「もっとだ・・・・もっと、強く同調しないと・・・・」
座禅を組むとフレイムセイバーを足の上に置いて目を閉じた。
(分子が熱を帯びる為には高速で振動させる必要がある。森羅万象全ての物は常に小刻みに振動している・・・・・俺は念力が使えるから、それで振動を加速させれば・・・・振動を、加速・・・・加速・・・・・加速・・・・・加速・・・・加速・・・・加速!!)
再三再四精神を集中させ、刃を振動させる事に全身全霊を注ぎ込む。そして遂にフレイムセイバーの鍔に付いたクロスホーンが展開し、発火した。一夏はそれを引っ掴み、振り下ろした。
「はあっ!!」
炎は一瞬燃え上がり、振り下ろした先にあった岩にぶつかってその岩の一部をごっそりと削り取った。
「・・・・・出来た・・・・でも、まだだ。まだ俺には・・・・・」
かなり体力を消耗した所為か、体が鉛の様に重く、鈍痛が頭を割る様に襲いかかる。
「やば・・・・力・・・・使い過ぎ、た・・・・」
目の前が暗転し、一夏は水の中に倒れた。波に揺られながら、誰かの声を聞いた。
(お前は、何故戦う?)
低い男の声だ。
『アンノウンから人を守る為に。人が進化して、何が悪い?』
(その進化が間違った方向に進む可能性が、あるとしても、か?)
『人は、過ちを犯す生き物だ。誰も完全無欠のヒーローじゃ無い。その過ちから、正しい進化の道を、見出だせば良い。どれだけ時間が掛かっても、人とは何かしら変わる生き物だと俺は思う。』
(何故そう言いきれる。)
『俺が、人間だからだ。』
(ならば、見せて貰うぞ。その正しい進化とやらをな。)
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