「これは素晴らしい」
目の前に映る炎を見て女はつぶやいた。そよ風や自らの熱気で揺らめく、赤白い炎。
「ここまで完璧な炎を作り出せるのは、私以外にいないだろうな」
暗闇の中で炎が発する光に照らされながら自画自賛する女の顔は恍惚としており、どことなく性的な快楽を感じているようにすら見える。
「思えば幾年もの苦労があった……CGで炎を再現するのは」
ディスプレイに映し出されている『CGの炎』を見つめながら、女はこれまでの日々を思い返していた。
「しかし、これであらゆる映画やアニメーションに革命をもたらす事が出来る。ふふふ、楽しみだ」
口の端をわずかに釣り上げ、作り出した炎が様々な映像作品に使われている様子を想像する。その表情はやはり悦が入っていた。
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即興小説で作成しました。お題「美しい火事」制限時間「15分」