No.522373

SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 クリスマス・ラブ

本郷 刃さん

番外編ですよ~。
メリークリスマスです!
というわけでクリスマスネタです、一言いわせてもらおう・・・糖死するなよw

ではでは・・・。

2012-12-24 10:01:27 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:23286   閲覧ユーザー数:22199

前書き兼注意です。

この話しはネタバレを含んでおります。

ですので、ネタバレが嫌な方々はブラウザの戻るを押すか別のページにとんでください。

読んでみたいという方々は、是非お楽しみください。

クリスマスネタですが、最後はまたとんでもないことになります。色んな意味で、はい。

それと自分と交流のある作者様から、一次創作のキャラを出演させていただきました。

そのキャラはかつての番外編でも登場したことのあるキャラクターです。

明日奈誕生日→夏の海→クリスマスという感じの流れですので、和人は18歳、明日奈は19歳という設定になっています。

それではそろそろ待ち遠しい頃でしょうし、どうぞ・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 クリスマス・ラブ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和人Side

 

12月24日といえばクリスマス・イヴ。厳密にいえば、24日の夕刻から25日の朝までがクリスマスらしい。

イエス・キリストの降誕した日であり、それを祝う日ということだが、

現代社会においては愛する人と過ごす日と言っても過言ではない。

恋人と過ごす者、家族と過ごす者、親しい友人達と過ごす者など様々。

ちなみに俺、桐ヶ谷和人はというと、恋人であり、最愛の女性である結城明日奈と過ごすことになっており、

現在はその待ち合わせの為に移動中だ。

駅前で待ち合わせをしていて、電車に乗っていた俺は駅に着くと、駅前の広場に歩いた。

そこにはクリスマスツリーが設置されており、幻想的で綺麗な光を発している。

その下に明日奈が居た……が、思い切り違和感のある光景だ。

 

「クックックッ……こんな日だからこそ、ああいう(・・・)は居るんだろうなぁ…」

 

俺は呟いてから明日奈の元へと近づいた。

 

和人Side Out

 

 

 

明日奈Side

 

皆さんこんにちは。和人くんの恋人で、未来の奥さ、ゲフンゲフン、妻の結城明日奈です。

わたしは今、クリスマス・イヴを和人君と一緒に過ごす為に、

駅前に設置されているツリーの前で待ち合わせていたんですが……、

 

「ねぇねぇ、俺達と一緒に遊びに行こうよ」

 

「そうそう、奢るからさぁ」

 

見ての通り、男性二人にナンパされています。はぁ~、夏にもこんなことあったよねぇ。

 

「わたし、彼氏と待ち合わせしているんです。ですからお断りします」

 

「そんなこと言わないでさ~。彼氏なんかよりも、俺達と一緒の方が楽しいって」

 

「奮発して、色々買ってあげるから」

 

なんでこう、諦めが悪いのかなぁ? 自分達から嫌ってくださいって言ってるようなものなのに。

 

「その顔の横についている耳は飾りですか? 邪魔ですから消え失せてください」

 

それを聞いて、二人の男から軽薄な笑みを浮かべた表情が消えた。瞬時に顔を怒りに染め上げた。

ん~、二人ねぇ……一応、和人くんから教わっている合気道を使えるし、なんとかなるとは思うけど…。

 

「この女! 人が下手に出てりゃあいい気になりやがって!」

 

「良いからきやがれ!」

 

二人がわたしに手で触れようとして、わたしが身構えた瞬間…、

 

「い、いでででで!?」

 

「ぐあっ!?」

 

「なに人の女に手を出そうとしてんだよ、クソッタレがぁ…」

 

「か、和人くん!?」

 

いつの間にか現れた和人くんが男二人の腕を掴んで捻り上げました。

いつもより荒々しい口調の和人くんもす・て・き、きゃ//////♪

さらにさらに…、

 

「コノママウデヲヘシオッテモイインダガ、セッカクノクリスマスニ、

 イタイオモイハシタクナイダロ? ウセテクレルトアリガタインダガ…」

『このまま腕をへし折ってもいいんだが、折角のクリスマスに、

 痛い思いはしたくないだろ? 失せてくれるとありがたいんだが…』

 

「「(コクコクコクッ!)」」

 

和人くんが殺気を全開にし、あまりの恐怖に男二人は高速で首を縦に振り、周囲の人達も距離を取りました。

でも……この殺気溢れる和人くんもイイかも//////

 

「それでは、よいクリスマスを…」

 

和人くんが二人の腕を離すと物凄い勢いで走り去っていきました。あっという間に点になっちゃったや…。

 

「ふぅ……明日奈、無事か?」

 

「うん♪ 和人くんのお陰でなんともないよ。ありがとう、和人くん///」

 

「彼氏としての務めだよ」

 

ふふ、やっぱり和人くんはわたしの王子様です///♪

 

明日奈Side Out

 

 

 

 

和人Side

 

さてと、それでは早速…。

 

「お嬢様、御手をどうぞ…」

 

「あ、はい///」

 

明日奈は俺の腕に自分の腕を回し、俺達は手をしっかりと握った。

 

「丁度お昼だから、エギルのとこに行こう」

 

「了解です♪ レッツ、ゴー♪」

 

俺達は馴染みの喫茶店兼バーである、『ダイシー・カフェ』へと向かった。

 

 

 

―――カラン、カランッ

 

「いらっしゃいっと、お前さん達か。よく来たな」

 

俺達が店に入ると、エギルことアンドリュー・ギルバート・ミルズが笑みを浮かべて迎えてくれた。

店の中は珍しく客が多かった。

 

「こんにちは、アンドリューさん」

 

「席空いてるか?」

 

「いま空いたところがあるから、そこに座んな。注文はどうする?」

 

「お前の奥さん直伝のランチセットで」

 

「わたしも同じものでお願いします」

 

「おう、注文承ったぜ」

 

俺とアスナは空いていた席に座り、エギルは一度厨房へと入っていった。

そして水の入ったコップを二つ持ってきて俺達のテーブルに置いた。

 

「この時間にしては珍しく客が多いな」

 

「珍しくは余計だ。ま、それはお前らのお陰なんだがな」

 

「わたし達の、ですか?」

 

明日奈が首を傾げてエギルに訊ねた。

 

「おぅ。あの学校きってのカップルであるお前らや他のカップル組がここに来るだろ?

 そうしていくうちに噂になったみたいでな。

 同じ学校から近辺の他校の生徒にまで広がっていったってわけだ」

 

なるほどねぇ、俺達のことが…。明日奈は少々照れくさそうにしている。うん、可愛い。

そうしていると他の客が席を立った。

 

「おっと、それじゃあちょっと待ってな。料理が出来たら、かみさんが運んでくるからよ」

 

エギルはレジのあるカウンターへと戻った。

 

 

 

少しの間、明日奈と話していると料理が出来たようで、エギルの奥さんが料理を運んで来た。

 

「「いただきます」」

 

俺達は運ばれてきた料理を食べていく。相も変わらずここの料理は美味しい。

エギル曰く、祖国の味らしいけど。

 

「奥さんのお料理、何度食べても美味しいよ♪」

 

「まったくだ。明日奈のとは違った意味で美味しい」

 

「も、もぅ…和人くんたら///」

 

遠まわしに褒めたのだが、気付いたらしい。明日奈も俺が分かるようになってきたかな。

俺達は料理を食べ進めた。

 

 

 

「「ごちそうさまでした」」

 

料理を食べ終えた俺と明日奈、そこにエギルが来た。

 

「悪い、お二人さん。合席を頼んでもいいか?」

 

「俺は構わない。明日奈は?」

 

「わたしもいいですよ」

 

「ありがとな」

 

そう言うと、エギルは離れて一組の男女が来た。その二人とは…、

 

「満?」

 

「桜ちゃん!?」

 

「和人さん!?」

 

「明日奈さん!?」

 

海に行った時に出会った、黒夜満と春風桜の二人だった。

 

 

 

 

「でも驚きましたよ、まさか和人さんと明日奈さんだったなんて」

 

「こっちも驚いた」

 

満は俺の隣に座り、桜は明日奈の隣に座っている。

 

「二人はどうしてここに?」

 

「実は友達からここのケーキが凄く美味しいって聞いたんです。それで、満君と一緒に来てみたんです」

 

そうか、この二人も噂を…ん? そういえばここはカップルが多くなったってことだよな? ということは…。

 

「満、桜」

 

「「はい」」

 

「お前ら、付き合ってるのか?」

 

「「……/////////」」

 

「あ、やっぱりそうなんだね♪」

 

俺が訊ねてみると二人は顔を紅くさせた、どうやら明日奈も気が付いていたようだな。

 

「その、実はあのあとすぐに…//////」

 

ふむ、海のあとすぐだったのか…。

 

「なるほどな、おめでとう二人とも」

 

「おめでとう、満君、桜ちゃん♪」

 

「「ありがとうございます//////」」

 

俺と明日奈が祝いの言葉を掛けると二人とも照れながら笑みを浮かべた。

それから少し話をしていると、エギルがケーキを持ってきた。

 

「おまちどうさま。ゆっくりしていってくれ、特にそっちの二人はな」

 

「「は、はい//////」」

 

「ちゃっかりと聞いてるんじゃねぇか」

 

俺が睨みを利かせると、エギルは笑みを浮かべてから再びカウンターへと戻った。

俺はチーズケーキとコーヒーのブラック、満はチョコレートケーキに甘さ控えめの紅茶、

明日奈と桜は苺のショートケーキと紅茶だ。俺以外の三人は早速ケーキを口に運ぶ。

 

「ん、美味しい…」

 

「美味しい♪ 癖になりそうです♪」

 

「何回食べても美味しいなぁ♪」

 

俺はケーキを食べる満と桜と明日奈の様子を見ながら微笑を浮かべてコーヒーを口に含む。

コーヒーの腕もさすがだな、エギルと奥さんは…。

 

「「「………」」」

 

三人が俺をジッと見てきた。

 

「どうかしたのか?」

 

「いえ、その、和人さんってやっぱり大人びてるなぁ~って…」

 

「そうですね。なんか、余裕があるといいますか…」

 

「ふふ、和人くんカッコイイよ///♪」

 

聞いてみると満、桜、明日奈の順で答えた。

そうなのか、あまり考えたことないけど。

ま、この感じの影響でゲーム内でも年齢不詳とか言われるのかもな。

 

「満と桜も、もう少し時間を重ねたら余裕が生まれると思うぞ」

 

「そうだね。わたし達みたいに一緒に居る時間を重ねたら、特にね」

 

そうして満と桜は顔を見合わせ、笑みを浮かべてから頷き合った。

俺と明日奈も、SAOの時はこんな感じだった……あれ?

こんな優しい感じじゃなく、もっと甘かった気がしてきた…まぁ、いっか。よし、ではそろそろ…。

 

「明日奈、あ~ん」

 

俺はチーズケーキを食べやすい大きさにフォークで切ってから、明日奈の口元へ持っていった。

 

「あ~ん(ぱくっ、もくもく、こくん)///」

 

明日奈は迷いなく、すぐに口に含んだ。そして、

 

「はい、和人くん。あ~ん///」

 

「あむ(もぐもぐ、ごくん)ん、美味いな」

 

俺も戸惑うことなく口にした。ちらりと横を見てみると、満と桜は顔を少し紅くしている。

しかしそれに触発されたかのように、

 

「…はい、桜。あ~ん///」

 

「ぁ…あ~ん(もくもく、こくん)//////」

 

照れながらも実行した満。俺からやったから、満もやろうと思ったのだろうな。そして当然…。

 

「満君、あ~ん///」

 

「ぁん(もぐもぐ、こくん)///」

 

桜がお返しにやってのけた。うん、こいつらも俺達並かもしれないな。

この後も、俺達はそれぞれに食べさせあいっこをしながらケーキを食べていった。

ちなみにそれが他のカップル客にも伝染していたのに気が付いたのは、食べ終わった後だった。

 

 

 

「ごちそうさま、美味かったよ」

 

「「「ごちそうさまでした」」」

 

「満足してもらえたようで良かったよ」

 

俺と明日奈の分の会計用のレシートをだして会計を済ませ、満も自分と桜の分の会計を済ませた。

明日奈と桜は自分の分を払おうとしたが、俺と満は有無をいわさずに拒否した。

店を出る時に俺は、エギルに向かって言った。

 

「言い忘れてた。メリークリスマス、エギル」

 

「おう。メリークリスマス、キリト」

 

俺達はキャラネームで呼び合い、店を出た。

 

 

 

 

「満達はこれからどうするんだ?」

 

「近くにあるショッピングモールに行くつもりです」

 

「それなら一緒に行こうよ。わたしと和人くんもあそこの中を周るんだ♪」

 

「そうですね、行きましょう♪」

 

女の子二人は手を繋いで先を歩く。俺と満はその少し後ろを並んで歩いた。

 

「そこで何かを買うのか?」

 

「そのつもりなんですけど……どんなのがいいか悩んでいて…」

 

クリスマスプレゼントで悩んでいる、か…。前の二人に聞こえないように話す。

 

「予算は?」

 

「それなりには…」

 

「なら、アクセサリーとかそういうものがいいかもな…。桜に合った色のものとか」

 

「分かりました。参考にしてみます」

 

そう言った満は少しすっきりした様子。これで悩んでいたんだな。

まぁ俺も明日奈の誕生日の時は相当悩んだからなぁ。

 

「そういえば、和人さんは明日奈さんに何を送るんですか?」

 

「明日奈には内緒な?」

 

「はい」

 

「俺が彼女に送るのは………だ」

 

「……凄い、ですね…。ということは、もう既に?」

 

「ああ、購入済だ」

 

ここ最近はクリスハイトこと菊岡からのバイトや自分の仕事でそれなりに稼いでいたからな。

なんとかプレゼントのアレ(・・・)を購入できた。

 

「とにかく、満も頑張れよ」

 

「ええ、和人さんも」

 

そうしていると、いつの間にか二人はすぐ側のぬいぐるみが売っている店に近づいて眺めており、

そこにまたもや不埒な輩が現れたので俺と満の怒りが炸裂したのは言うまでもない。

気付けば二人はうっとりとした表情で俺達を見ていた。

最近、明日奈の趣向がMに走っているような気がしてままならない俺である。

 

 

 

そしてショッピングモールについた。一応これでお別れだ…。

 

「そうだ、携帯の番号とメアド交換しておこうよ」

 

「いいですね、ほら満君も」

 

「うん」

 

「じゃあ俺も」

 

明日奈の提案に桜と満、俺も応える。

俺達はそれぞれに携帯の電話番号とメールアドレスを赤外線で交換しておいた。

 

「よしっと、それじゃあな」

 

「またね♪」

 

「「はい、さようなら」」

 

それから俺は明日奈と、満は桜と共にショッピングモール内に入った。

 

 

 

 

俺と明日奈はペットショップへと行った。明日奈は動物を飼っていたことがなく、興味があるらしい。

ALOでもシリカがピナと一緒に居る様子を見て、羨ましそうにしていたのを覚えている。

ALOにおけるテイミングは確率が低く、可愛い系のモンスターがテイム出来るとも限らないからなぁ。

明日奈はガラス越しに子犬や子猫を覗いて、目を輝かせている。

 

「和人くん! 見て見て、すっごく可愛いよ~♪」

 

「(クスッ)そうだな」

 

俺は苦笑を浮かべてその様子を見守る。その様はまるでオモチャを貰った子犬のようだ。

尻尾がついていたら物凄い勢いで振っているだろうな。

そんなイメージをするが……どちらかというと俺にとって明日奈は子猫では?と、考え付いた。うむ、イイ…。

そこで俺はふと、二匹の子猫に目がいった。

一匹は真っ黒で大人しく丸まりながら、こちらを睨み…いや、見つめている。

もう一匹は真っ白で、中にある小さなボールで遊んでいる。

 

「なぁ、明日奈?」

 

「うん? なぁに?」

 

「この白い子猫、明日奈に似てないか?」

 

「え? そうかな~?」

 

「似てると思うよ。子犬と子猫を見てはしゃいでいるところと、オモチャのボールではしゃいでいるところとか」

 

「む~、そんなことないよ///」

 

あれま、機嫌を損ねてしまったようだ、それならば…。

俺は意地の悪いだろう笑みを浮かべて、明日奈の耳元でこう囁いた。

 

「もちろん、可愛いところと真っ白で綺麗なところも、ね…」

 

「っ//////!? ぁ、ぁぅ…//////」

 

くっくっくっ、ホントに可愛いなぁ~、明日奈は。

 

「そ、そっちの黒い子は、和人くんに似てると思うよ///」

 

「ん~、確かに…。この陰気っぽいところや、睨みの聞きそうな眼は俺にそっくりだ」

 

「そ、そんなことないよ。和人くん優しいし、みんなに好かれるし、眼は鋭くてカッコイイし///」

 

「ありがと、明日奈」

 

そこで俺はもう一度、俺達に似た子猫に目を向けた。その様子をみて、俺は笑みが浮かぶのが分かった。

 

「? どうしたの?」

 

「ほら、見てみな」

 

俺の様子を見て訊ねてきた明日奈に俺はもう一度子猫達を見るように促した。

 

「ぁ…くすっ、わたし達にそっくりだね。やっぱり」

 

「だな……そろそろ行こうか?」

 

「うん///♪」

 

俺と明日奈はペットショップを出た。

最後に俺達が見た子猫の姿は二匹で寄り添いながら、仲良く眠っているものだった。

 

 

 

そのあとも俺達はショッピングモールの中を見て回った。

服を見たり、本屋に寄ったりなどいつも通りのデートといえる。

現在は少し休憩する為に喫茶店を兼ねたコーヒーショップでコーヒーを飲んでいる。

 

「明日奈はこのあと行きたい店とかあるか?」

 

「特にはないよ。和人くんは?」

 

「俺はある店に明日奈へのクリスマスプレゼントを取りにいこうと思ってる」

 

「そ、そうなの///? それじゃあ、先にわたしからのプレゼント、渡しておくね//////」

 

そう言って明日奈は持ってきていた鞄の中からラッピングされた袋を取り出し、俺に渡してくれた。

 

「ありがとう、明日奈。開けていいか?」

 

「どうぞ//////♪」

 

俺はラッピングされている袋の紐を解き、中身を取り出した。

 

「マフラー?」

 

「そうだよ、手編みなんだ///♪」

 

明日奈のお手製、だと…!?

聞け、世のさえない男共。俺はこの美人で、最愛の恋人から、最高のプレゼントを貰ったぞ!

どうだ、羨ましいか? リア充爆発だって? ハッ、断る!

 

「本当にありがとう、大切にするからな」

 

「良かった~、喜んでもらえて~///」

 

これを喜ばない奴がどこにいる! ただそう思った。

 

「それじゃ、明日奈にプレゼントも貰ったし……今度は俺の方を済ませようか」

 

「はい///♪」

 

元気に答える明日奈。かなり楽しみにしているようだ。俺としても、喜んでもらえると思う。

 

和人Side Out

 

 

 

 

明日奈Side

 

わたしと和人くんはコーヒーショップを出て、彼の目的のお店に行く為にエレベーターに乗り込みました。

中にはわたし達のような若いカップルに、ご夫婦だと思う男女。

子供連れの家族に老夫婦などのお客さんが居た。

エレベーターは大きく、わたし達が入ってもまだ少し余裕があるくらいだ。

和人くんは手近なボタンを押している。その押した階こそが彼の目的の場所なんだろう。

そして和人くんが押した階に止まり、わたし達が降りようとした時、

小さなお子さんを除くお客さん達が驚いた顔をしていたのに気付いた。

何故だろう?と疑問を浮かべるも、和人くんが降りたのでわたしもそれに続いた。

だけど、わたしはお客さん達が驚いていたのに、すぐに気付くこととなった。

エレベーターから降りたわたしが見た光景とは……、

 

「か、和人くん…ここ、間違ってない?」

 

「全然間違えてないよ」

 

「だ、だってここ……宝石店とかがある階だよ!?」

 

そう、和人くんがわたしを連れてきたのは俗にいうセレブが使用する階層でした。

 

明日奈Side Out

 

 

 

和人Side

 

驚愕する明日奈を見て、予め説明すれば良かったかなと思いつつも、

それではサプライズのクリスマスプレゼントにならないので、まぁ良しとしよう。

 

「ほら、行くぞ」

 

「う、うん…///」

 

俺は戸惑う明日奈の手を引いて、目的の店に向けて歩く。

途中でこの階を利用していた客が俺達を見て少しの驚きや訝しげな視線を向けてくるが無視する。

対して明日奈はそれに何かを思ったのか、俺の腕に自身の腕を絡みつけてきた。

俺は彼女のペースに合わせて歩くことにした。そして、目的の店には二、三分ほどで着いた。

そこは指輪などを扱うジュエリーショップだ。

 

「このお店、なの?」

 

「そうだよ」

 

俺は明日奈と共に店の奥へと進んだ。若い俺達が入ってきたことで、中に居た数人のセレブ客達はかなり驚いていたが、

そのまま会計を行うところに歩み寄った。

 

「すいません、桐ヶ谷という者なんですが…」

 

「は、はぁ…どのようなご用件でしょうか?」

 

俺のことを知らないということはどうやらこの女性店員は新人さんのようだ。

 

「オーナーはどちらに?」

 

「えっと「桐ヶ谷様、お待ちしておりましたわ」オ、オーナー!?」

 

店の奥から、壮年の一人の婦人が出てきた。この宝石店のオーナーである女性だ。

彼女の登場に隣の明日奈はもちろんのこと、店内の客達もさらに驚いている。

みんな驚いてばかりで疲れないのか?などと思ったが、話しをすすめよう。

 

「いつぞやはありがとうございました。桐ヶ谷様のお陰で、こうして無事に店舗を広めることができました」

 

「いえ、そんな…。こちらこそ、彼女への大切なプレゼントを贈ることができました」

 

「まぁ…では、そちらの方が?」

 

「はい、俺の大切な人です。明日奈…」

 

「は、はい! 結城明日奈と言います。よろしくお願いします」

 

「ご丁寧にありがとうございます。こちらこそよろしくお願いしますね」

 

呆然としていた明日奈は俺に促されたことで、意識をはっきりさせてオーナーさんと挨拶をした。

 

「あの、オーナー? こちらの方は…」

 

「ふふ、彼はね…一年前に千葉の本店で起こった強盗未遂事件の犯人を捕まえてくださったのよ」

 

「あ、あの事件のですか!?」

 

さらに驚愕の表情を浮かべる女性店員。ああ、あの時は大変だったな…。

 

「ど、どういうことなの? 和人くん」

 

「あ~…明日奈の誕生日の時に送った、そのセレスタイトのネックレス。

 実はこの店の本店である千葉の店で購入したんだ。ただ、その時に運悪く強盗に遭遇してな」

 

「えぇ!?」

 

俺があっさりとそう言うものだから驚愕する明日奈。

 

「あのことは鮮明に覚えているよ。まさかあんな古典的な覆面強盗が現代に生息しているとは露にも思わなくて、

 思わず呆然としてしまったからな。

 まぁ、たかだか五人だったから、無手で制圧することができたけど」

 

「「「「「……………」」」」」

 

店内に沈黙が流れた。

確かにたかだか学生が銃や刃物を持った強盗を制圧したら、そういう反応するよな。と、そんな場合じゃなかったや。

 

「全部出来ていますか?」

 

「もちろんですよ。いまお持ちいたしますね」

 

そう言って一度奥に戻ったオーナーさんだが、少ししたら戻ってきた。その手に布地のトレイを持って。

 

「三つとも、この通りですよ」

 

「ありがとうございます」

 

「……これって…」

 

「ああ、明日奈の考えている通りのものだよ…」

 

トレイの上には三つのリングが置かれており、一つには宝石が装飾されている。

俺はその宝石のついているリングを取り、明日奈の左手の薬指にはめた。

 

「定番通りかもしれないけど俺のアルバイトとかの給料三ヶ月分の物と、SAOの時にはめていたのを再現した物だよ」

 

「ぁ…ほんとう、に……」

 

明日奈は目の端に涙を溜めて、手で口元を覆っている。

オーナーさんは微笑を浮かべ、店員さんやお客さん達はこの後に訪れるだろう展開に期待している感じだ。

 

和人Side Out

 

 

 

 

明日奈Side

 

和人くんがわたしの指にはめてくれたのは、彼が給料三ヶ月分といい、

ダイヤモンドがついている紛れもなく婚約指輪と呼ばれる物。

残り二つはかつてSAOにて、わたしと彼が夫婦となっていた間に片時も外さなかったペアの結婚指輪。

それが、今ここにある…。わたしは嬉しさ驚きの入り混じった想いに、心が奮える感覚を覚えた。

 

「明日奈…俺と、結婚してくれ……」

 

彼がその言葉を言ってくれたのと同時にわたしの涙は止まらなくなった。それでも…。

 

明日奈Side

 

 

 

和人Side

 

「明日奈…俺と、結婚してくれ……」

 

伝えた…。あとは、明日奈の答えを聞くだけだ。もちろん、俺は彼女の想いくらい分かる。

それでも俺は彼女の口から、その言葉が出るのを待った。そして…、

 

「っ…はい//////!」

 

明日奈の想いを聞いた。俺は彼女を強く、優しく抱き締めた。

明日奈も俺の首に手を回し、抱き締め返してくれた。さらに…、

 

―――パチパチパチパチッ!

 

店内居る人達全員から温かい拍手をもらった。

男性は優しく見守りながら手を叩き、女性は涙を流している人もいる。みんなが俺達を祝福してくれた。

しばらくの間、温かい空気が流れ続けた。

 

 

 

あのあと、結婚指輪とその箱を受け取り、俺達は店内に居た人達全員にお礼を告げてから店をあとにした。

そのあとの簡単な流れといえば、レストランで食事をしたあと、俺達はホテルへと向かった。

そこでひとしきりのことを終えて、現在はベッドで二人して抱き合っている。

そこで俺は改めて大事なことを言っていないではないかと思った。

 

「もう一つ、大事なことを言ってなかった…」

 

「大事な、こと///?」

 

「あぁ…メリークリスマス、明日奈」

 

「うん…メリークリスマス、和人くん///」

 

俺にとって、明日奈にとっても、今年のクリスマスはいままでで最高のものになった。

 

 

 

後日。朝から行われたクリスマスオフ会に、二人して遅れてしまった挙句、

明日奈の左手薬指に光る婚約指輪がみんなの眼にはいり、盛大な祝福を受けたことをここに記そう。

 

和人Side Out

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

ただのクリスマスネタではなかったですねw

和人が明日奈にプロポーズしました!それが和人のクリスマスプレゼントなんです!

加えて、かつての番外編である夏の海での話しで登場した、『黒夜 満』と『春風 桜』の二人も登場しました。

あの二人もカップルになっています。

それとマザロザ編のあとだから和人は明日奈にプロポーズに似たものをした後では?

と考えた人もいるでしょうが、本作ではそこは少し違う描写になるんです。

つまりマザロザ編をお楽しみにということですw

そういうわけで、楽しんでいただけていれば幸いです。

ではでは、本編と次の番外編にて・・・・・・メリ~クリスマ~ス!

リア充爆発しろ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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