No.521168

超次元ゲイム ネプテューヌmk2 ~Blue Wind~(~panic~)

こたさん

さてさて、コミケの原稿も終わったことだしVの方もそろそろ書き始めるとしよう。

2012-12-21 21:26:55 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:1246   閲覧ユーザー数:1239

 

 

(最初にお詫び)

前回、最後の方のリーンボックスという名詞が入る場所がほぼ全部ラステイションになっていました。すいません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――時は遡る……

 

 

 

「……ここがギョウカイ墓場だ。」

 

犯罪組織の構成員リンダと名のるフードをかぶった少女に案内され、『私』は真っ赤な空に包まれた不気味な世界へと招待されていた。リンダの手にはロープが握られている。

そのロープに私の両手は後ろに縛られていた。

 

「こっちだ。」

 

リンダにロープをぐいと引っ張られ私は歩き出した。

歩いている間に、私はふと空を見上げていた。この世界の空はずっと真っ赤だった。時々ピカっと雷が光りゴロゴロと雷鳴が響く。周りには大きな携帯ゲーム機が捨てられて山の様になっている。ハッキリ言って不気味な世界だった。

そんな周りの風景に飽きた私は今度は自分の足元を見つめていた。

 

――――もう、これでいいんだ…………

 

決心はもう揺らぐことはない……とここに来るまでに散々自分自身に言い聞かせていたがいざこの世界に足を踏み入れると早速私の決心にブレーキがかかり始めていた。

 

――――ギリッ……

 

そんな自分が情けなく、歯を食いしばる。

何もかもがうっとおしく感じる。自分の肩にかかる金色の長髪さえ……

 

「マジック様。」

 

リンダが突如足を止め、声を発する。私は顔を上げた。

少し離れた場所に立っていたのは、大きく二つに分けられた長く紅い髪がなびく不気味な女性。左目に黒い眼帯を着けており、もう片方の右目がギロりと私を睨みつけていた。

 

「…………そいつか?私に話があるというのは……」

「はい。こいつです。」

「…………リンダ、お前は下がれ。こいつと二人きりで話がしたい。」

「は、はい。」

 

リンダはマジックと呼ばれた女性に小さく会釈するとどこかに歩き去っていった。

両手を縛られたままの私はマジックの目をずっと見ていた。

 

「…………何用だ?まさか女神を返して欲しいなど戯言をぬかすつもりではないだろうな?」

「…………………………」

 

躊躇…………その単語が私の脳内を駆け巡る。

 

「……何も言わぬ気か?何も言わぬと言うのなら……殺す。」

「…………」

 

重い口を開こうとするも、私の口は言うことを聞こうとしない。

 

「…………ならば………死ね。」

 

マジックは鎌を構えるとこちらに飛来してくる。あっという間に私に肉薄すると鎌を振り下ろしてくる。

 

「―――私を……」

 

私の頭に触れる寸前で鎌がピタッと止まる。

 

 

「―――私を、『あなた達の仲間にして欲しい』。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は『リーンボックス』。

グリーンハートが守護する国である。

 

ゲイムギョウ界の東方を治める貿易国家であり他の三国に囲まれているためゲイムギョウ界の貿易の中枢を担っている。この土地もマジェコンヌの驚異にさらされているが、早期から対策を練っていたらしくゲイムギョウ界の中では最も被害が少ない。どういう訳か、この土地ではゲーム専門店が無駄に多い。しかもそのゲームの約半分がBLゲーであり、腐女子にはもってこいの国である。ゲイムギョウ界で流行っているオンラインゲームで、リーンボックスのユーザーがベスト100人中70人を占めるなどなかなか強きゲーマーが集まる国でもあり通称『ゲームの国』である。

 

 

 

 

 

「…………はぁ…………」

 

ソニックが元気ないのを見るのは初めてな気がした。顔色の悪い今のソニックはずーん……って効果音がぴったりな状況だった。

 

「全く……世話が焼けるんだから……」

 

アイエフさんもやれやれといった様子でベンチに座ってるソニックを眺め溜息をついていた。

他のコンパさんや日本一さん、がすとさんも若干疲れ気味だった。

実を言うと……私もスタミナがあまり残ってるわけじゃないかな……

 

―――ソニックが、おかしくなっちゃったから…………

 

 

 

 

 

 

(一時間前)

 

私達はリーンボックスへと向かうべく一度ラステイションに戻って港から貨客船に乗り込んだ。いーすんさんが前もって乗組員さんに連絡してくれてたらしくて貸切の船を用意してくれてた。なんだか凄く豪華な船でプールとかが設置されてる船だった。水着まで用意してくれてて、着くまでの間私達は夢中になって遊んでたんだよね。天気も凄く良かったし楽しかったなぁ……けど、一人だけ険しい表情のソニックがイライラしたように壁に寄りかかって腕を組んで人差し指をずっとトントン動かしてたんだよね。それで、私が近づいた時の話なんだけど…………―――

 

 

 

「ソーニック♪」

「Huh?」

 

俺は顔を上げた。

眼前には眩しい笑顔を浮かべたネプギアがいた。俺と顔の高さを合わせるためか前屈み状態になっている。こめかみに向日葵をつけて、胸元と腰二箇所に黄色いリボンをつけた赤いビキニをつけていた。先程までプールで遊んでいたのだろう、全身が濡れて胸元に流れている一滴の水に太陽の光が反射してきらりと光っている。奥では、水着姿の仲間達が楽しそうにプールで遊んでいた。

一見平和そうに見えるかもしれないが、俺にとってはここに居ること自体戦いそのものだった。

一瞬でも気を抜いたらばたりとイってしまいそうなほど俺の気力は限界に近づいていた。

 

「ソニック、どうしたの?こんなところで……」

「……いや、なんでもない。」

「こんなところに居ないでこっち来て遊ぼうよ♪」

 

ネプギアがぐいぐい俺の腕を引っ張ってくる。

 

やめろ……揺らすな危険……

 

「そんなところいてもつまんないだけだよ。せっかくプールあるんだし着くまで遊んでいこーよ♪」

 

だらだらと俺の全身から脂汗が滲み出る。

 

分かった……分かったから頼む……ほっといてくれ……

 

「ソニックってばー♪」

 

 

 

 

 

あぁ…………やばい…………死ぬ………

 

 

 

 

………………限界―――

 

 

 

 

 

 

「AHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHッ!!!」

「ふぇっ!?」

「フェーーーイアアアアーーーーーーーーールゥゥゥゥゥゥゥユウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!??アアアアアアアーーーーーーーーーーイムゥゥゥゥゥスケエエェェェェェェーーーーーーーーーールゥィィィィィィィィ!!!!!」

 

 

 

『えまーじぇんじーえまーじぇんじー!暴走モード&トラウマモード発動』

 

 

 

「なぁネプギア!俺何か悪いことしたか!?」

「え……えぇ!?そ、ソニックどうしたの?」

「はっきり言ってくれ!俺直すから!なんでも言う事聞くからぁ!!」

「そ、ソニックってb――――」

「だからお願いだもう帰ろう帰してぇぇぇぇぇーーーーーー!!!」

 

 

 

 

―――それは、ソニックが最も苦手とする海の上での出来事だった……

 

 

 

―――結局その後ソニックは暴走しだして(船内を奇声発しながら走り回ったり海に落ちたり)どうにか私たちが沈めたんだけど……それがすっごく大変である意味強敵と戦う時より疲れたかも……

 

でも、なんとかリーンボックスには着いたから私達は港からちょっと離れた人気の少ない場所で休憩してるんだ……

 

 

「Why……」

 

さっきからソニックはwhyを連呼していた。

 

「そ、ソニックさん?大丈夫ですか?」

 

コンパさんがそっと近寄って右手をソニックの額にピタっと当てた。

 

「アゥッ!?」

 

ビクン、とソニックの体が一瞬痙攣を起こした。ホントさっきからどうしちゃったんだろう……?

 

「ソ……ソニック?聞こえてるんなら一応忠告しとくけど、そろそろ元に戻らないと読者から『キャラ崩壊しすぎ』ってクレーム来るわよ?」

「いや、もう既に結構キャラ崩壊してるし今更問題ないんじゃない?」

 

アイエフさんの言葉に日本一さんがツッコミを入れた。

 

「コンパ、ソニックの様子どうにかならない?」

「えっと……怪我とかそういうのじゃないので……私の専門部じゃなかったりしますですぅ……」

「よーするに、精神的な問題ってこと?」

「はいですぅ…………」

 

皆さんが話し合ってる内にソニックの様子がますますおかしくなっていく。あさっての方向を向いたソニックの目は虚ろとしていて『ウケケケケケケケ』と不気味に笑い出していた……ごめん、ソニック……正直、ちょっと怖い……

 

「みなさん、ここはがすとに任せるですの。」

 

そこに登場したのががすとさんだった。

 

「え?が、がすとさん?」

「がすと、こう見えて精神医療技術も身につけてるですの。がすとにかかれば朝飯前ですの。」

 

え……えっと……がすとさん、あまり医療技術を習得してるようには見えないけど……でも、錬金術も凄かったしもしかしたら治せるのかも……?

 

「さてと、ですの。」

 

ぐったりと座るソニックに近づくとがすとさんはすー……と大きく息を吸い込む。

な、何が始まるのかな……?

 

ベンチの周りに緊張が奔っていた。

 

 

 

「さっさと目ェ覚ませやゴルァーーーーーーー!!」

バシーン!!

「ぐへぇあっ!!?」

 

がすとさんが瞬時に腕を振り上げるとそのままソニックの頬を思いっきりひっぱたいていた。

一瞬の出来事に私達はぽかーん……としていた。

 

「いって~……!」

 

涙目になっているソニックが頬を押さえてがすとを見ていた。

 

「治ったですの♪」

 

振り返ったがすとさんはまるでこれまで溜まりに溜まったストレスが一気に発散されたような爽やかな表情だった。

 

「な、なんなのよ今の治し方!?」

 

我に返ったアイエフさんが咄嗟に聞き返していた。

 

「何って……我が精神病院伝統の治療法ですの。」

「病院持ってるの!?しかもいっつもあんな治し方してるの!?」

「もちですの。効果は抜群だと世間で評判ですの。」

「悪いけど諜報部員の私でも今までそんな話聞いたことないわよ!?なんであんな体育教師みたいな治し方してるのよ!?」

「ですから……一々長ったるい治療をするよりいっそのこと外から強い衝撃で脳に信号送った方が早いと判断した私が編み出した治療法ですの。」

「外から直接脳に衝撃送ってるの!?それ下手したら死ぬわよ!?」

「問題ないですの。ヘッドショットしてるようなもんですの」

「だがらそれ死ぬって!!」

 

な、なんか口論始まっちゃった……止めないと……!

 

「ま、まぁソニックも治ったみたいですし結果オーライってことで……!」

「ま、まぁそうね……」

「まぁ、いつまでもこんなとこにいないでさっさと教祖探そうぜ。」

『お前が言うな』

 

一斉にソニックに振り返った皆さんは凄い表情で言っていた。

うぅ……何だか先行き不安だなぁ……

 

 

 

 

 

 

「失礼しまーす……?」

 

これまで見てきた教会とほぼ変わらない作りになっているリーンボックスの教会の扉を開き、私達は足を踏み入れていた。

 

「誰もいないのかな?」

 

キョロキョロと周りを見回し、日本一さんが言う。

 

「買い物にでも行ってるんでしょうか……?」

「いや、仮にも教祖がそんなことのために一々外に出るとは思えないんだけど……」

 

コンパさんの言葉にアイエフさんがツッコミを入れる。

 

「まぁ、居ないんなら居ないでまた出直せばいいんじゃないの~?」

「で、でもソニック……」

「さて、そうとなればちょっとこの国を散歩してくるぜ!」

 

ソニックはそう言い残すと先程私達が入ってきた教会の出入り口の木製のドアに向かってスタスタ歩いていく。

 

「ちょ、ちょっとソニック!」

 

急いでその後を追いかけようとした私の足は途中で止まっていた。

 

スタッ!

 

「ッ!?」

 

突如ソニックの前に人影が現れたのだから……

ソニックはバックステップしその姿と距離を取る。

 

「やぁ!みんな、僕を呼んだかい?」

 

その影は顔を上げると私達の顔をざっと流し見して笑顔を作る。

一方の私達はその姿に驚いて声が出なかった。

その容姿を一言で述べれば……ていうよりも、一言でしか述べられないんだけど……

 

――……某超有名ファストフード店のマスコットキャラクター、『ドナ●ド』にそっくりだった……

 

「誰ですの?」

「僕?リーンボックスの教祖『オナルド』だよ!」

「おい待て、名前が色々アウトだ!」

「え?う~ん……じゃあ『ロナルド』でいいよ。」

「いや何その『仕方ねえから変えてやんよ』的な表情!つーか色々アウトだろ!」

「まぁ、てな訳で僕の名前は『オナルド』なんだけど」

「おい待て」

「……キリがないからとりあえず話だけでも聞こうよ。」

 

私が言うとえっと……オナルドさん(、でいいのかな?)がこほん、と咳払いをする。

 

「えっと、オナルドさん。私達、リーンボックスのゲイムキャラを探してるんです……けど……?」

 

私が話してる最中にオナルドさんは「ふん!ふん!」てかけ声と共にポーズを取り出したんだけど……何してるんだろう?

 

「オナルドさん……?」

「こっちの方がいいかな?これか?これかぁ~?」

 

オナルドさんがポーズを取りながらドヤ顔でこっちを見つめてるんだけど……どう返したらいいのかな……?

 

「決めた、殺す」

 

アイエフさんが真顔でシャッとカタールを取り出す。

 

「ま、待ってー!アイエフさーん!」

 

なんとかアイエフさんを取り押さえて宥めた私達は気を取り直してもう一回オナルドさんの話に耳を傾け始めた。

 

「や、やっぱり……ダメですか……?」

「…………」

 

私の問いにオナルドさんは答えようとしなかった。

 

―――っぱりそうだよね。女神の身に何かが起きたとき、代わりにこの地を守護するゲイムキャラの力を借りたいって言ったって簡単に了承してくれるわけないよね。

 

「………………」

 

いつの間にか私は黙ってしまっていた。

 

「どうしても無理か?」

 

ソニックが後押ししてくれたけど、やっぱりオナルドさんは頷こうとしない。

それどころか、表情を変えることすらなかった。もしかして……怒らせちゃったかな……?

 

「フンッ!」

 

ビシィッ!

 

オナルドさんが突如腕を上げたかと思うと教会内の壁に向かって指差す。

 

「この先に……ゲイムキャラはいる。」

「……え……?」

 

突然の出来事だったから私は思わず聞き返してしまった。

 

「それはつまり……ゲイムキャラを持ってっていいってことですの?」

「もちろんさ。」

「ありがとうございます!それで、その方向へどの位行けばいいんですか?」

「う~ん……ハンバーガーが……1341個分位かな?」

「やっぱ殺す」

『わー!?』

 

なんとなく予想してたから私達は再びアイエフさんを取り押さえる。

 

「あ、ありがとうございましたオナルドさん!行ってきます!」

 

そのまま私達は今にも暴れだしそうなアイエフさんを取り押さえながら半強引に教会を後にした。

 

 

(ネプギア達が去った直後)

 

ピッ!

 

オナルドはポケットから携帯を取り出し発信ボタンを押すとどこかに電話をかけた。

 

「もしもし、オナルドです。」

「上手くいったのか?」

「もちろんさ。」

 

受話器越しに聞こえる相手――リンダの声だった。

 

「彼らをテキトーな場所へ誘導したよ。これでよかったのかい?」

「あぁ。後はこっちで何とかする。お前はもう帰っていいぜ。」

「もちろんさ。」

「あ?」

 

プツン、と電話が切るとオナルドは徐に携帯をしまうと両手をぐるぐる回し始めた。

 

「オナルド・マジック!」

 

オナルドが決めポーズを取るとその姿を消した……

 

 


 
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