No.520428 ソードアート・オンライン ロスト・オブ・ライトニング 第十八話 お疲れ様やぎすけさん 2012-12-19 20:03:34 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:2457 閲覧ユーザー数:2356 |
和人「そうだ、デュオも来てるから、今呼ぶよ。」
明日奈が小さく頷くと、和人は振り返る。
すると扉は閉じていた。
和人「あれ・・・?」
内側から扉を開くが、廊下には誰もいない。
和人「大地・・・?」
外に出てようやく、それに気付いた。
大地は廊下にうつ伏せに倒れていたのだ。
和人「大地!!」
和人は大地を起き上がらせようとして、大地に触れると傷口から溢れ続けていた赤い血が手に付く。
急いでドクターを呼び事情を説明すると、大地は手術室で運び込まれた。
大地視点
大地「ん・・・ううん・・・」
ゆっくりと目を開くと、そこにあったのは真っ黒な闇ではなく真っ白な天井だった。
背中の感触から、自分がベッドの上に横たわっているのだとわかる。
俺が周りを見回して、この病室が個室であるとわかった。
今度は窓の方を見ると、外の青い空に雲が流れているのが見えた。
そういえば、俺は何でこんなところで寝ているんだ?
記憶を辿ると、アスナの病室の前で記憶が途切れている。
どうやら、俺はあの時倒れてしまったらしい。
そこまで考えてから、俺は身体を起こそうとしてあることに気が付いた。
シリカが俺のベッドに突っ伏して眠っていたのだ。
俺が驚くと同時に、病室の扉が開いた。
明日奈「デュオ君、まだ起きないのかな・・・?」
和人「医者は命に別状は無いって言ってたけど・・・」
そんな事を言いながら入って来たのは和人と明日奈だ。
やはり明日奈はまだ歩けないようで、車椅子に乗っている。
二人とも起きている俺の顔を見るなり、ぽかんと口を開け固まった。
大地「どうした信じられないものを見るような顔して。まあ、そう言ってる俺が1番信じられない状況なんだけど。」
そんな見当違いな事を呟くと、2人はすぐに急に意識を取り戻す。
和人「大地、起きてたのか!!」
大地「残念ながら今起きたところだ。」
明日奈「デュオ君、体は大丈夫なの!?」
俺の本名を知らない明日奈は、俺のことをデュオと呼んだ
大地「デュオじゃなくて大地、俺の名前は双葉大地だ。はじめまして結城明日奈さん。」
明日奈「あ、ごめん・・・って、そうじゃなくて。」
大地「体なら大丈夫だ。俺は頑丈だから。」
俺が笑いながらそう言うと、突然眠っていたシリカが目を覚ました。
体を起こし、寝ぼけ眼でこちらを見てくる。
大地「おはよう。」
俺がシリカに言うと、シリカは眠たそうにしていた目を大きく見開く。
?「デュオさん・・・?」
大地「残念ながら、俺は大地です。もう何度目だろうなこのやり取り。」
?「デュオさん!!」
シリカは涙を浮かべると、俺に抱きついてきた。
?「心配したんですよ!!・・・デュオさん・・・が死んじゃったらどうしよう・・・ってずっと・・・あたし・・・怖かったです・・・」
俺の胸の中で泣き続けるシリカをそっと包み込むと、俺は耳元で囁いた。
大地「ごめんな。心配させて。」
俺の言葉を聞いた途端、シリカは声を上げて泣いた。
シリカが泣き止んだ後、すぐにドクターと看護師がやってきた。
大地「つまり俺はあれから1週間も眠ってたのか?」
和人「ああ、病室の前で倒れてたのを見た時は本当に焦ったよ。すぐに手術室に運ばれて、その後はずっとこの病室で眠ってた。」
大地「そうか・・・なんか大変だったみたいだな。」
和人「そんな他人事みたいに言うなよ。」
明日奈「ほんとだよ!リズやクラインさんも来たりして、みんな心配してたんだよ。シリカちゃんなんて、毎日ここに来て泣いてたんだからね!」
和人が呆れたように言い、それに続いて明日奈が憤慨する。
俺はそんなアスナに少し言い返した。
大地「今までその立場だった人が言う台詞とは思えないな。」
明日奈「わ、わたしは自分でやったわけじゃないもん!」
大地「そんなこと言ったら俺だって自分でやったわけじゃないぞ。ていうか自分の腹切るバカがどこにいるんだ。俺は侍じゃないぞ。」
俺がそう言うと、アスナはつんっとそっぽ向いてしまった。
そんな明日奈を苦笑して見てから、和人が言ってきた。
和人「大地、お前かなり無理してたな。」
大地「何の話や~・・・」
和人「誤魔化しても駄目だ。先生が言ってたぞ、あと少し遅かったら命に関わってたって!」
大地「いやっ、それは~・・・」
俺は視線を和人から逸らすが、その先には明日奈がおり、さらに逆側にはシリカがいて完全に逃げ道を封じられてしまった。
その後、俺が今までのことを話した。
エギルの店で別れてから不眠不休で行動していたこと、食事は1日1食しか摂っていなかったこと、須郷に斬られても死ぬこと覚悟で動いていたことを全て話した。
説明をし終えると、3人とも驚愕してから同じ事を言った。
「お疲れ様」と。
その言葉は、今回の俺の報酬としては充分すぎるものだった。
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病院にて