No.519696

真・恋姫†無双~不信の御遣い~ 第十九話

BLADEさん

第十九話です。

2012-12-17 19:36:17 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2302   閲覧ユーザー数:2107

最初に斬りかかってきたのは華雄さんだった。

 

その手から繰り出される斧の動きに合わせて、『無銘』をかち合わせる。

 

華雄さんが笑う。力では勝てると思っているのだろう。甘い。

 

さっきの交錯で大体の力加減は分かった。合わせた瞬間、一気に『無銘』をカクッと、

 

拍子抜けな音がする程自分の力を抜いていなす。

 

「なっ!?」

 

隙ができた。

 

お返しだ。その綺麗な顔の左頬を、渾身の力で殴りつける。

 

「がはっ!!!」

 

僕はあまり力がある方ではない。

 

ゆえに、さっきの華雄さんのようにあんなに吹っ飛ばすことは出来ない。

 

せいぜい、地面に叩きつけ、動けなくするだけだ。頭が揺れ、しばらく立てない。

 

さっきの僕のようになる。

 

が、プライドが高い華雄さんにはそれで充分だ。僕が見てきた人間の中で、

 

プライドが高く、自分の実力に自身を持っている人は頭に血が上りやすい。この女尊男卑の世界なら

 

なおさらだ。

 

そして、

 

「華雄!!!」

 

おっと、来たな。正直この人が一番怖いよ。この状況では。

 

どれほどの『強さ』なのか全く分からないからね。

 

と、思っていたら。

 

風をヒュンと切るような音がして。

 

霞さんが振り切った『偃月刀』が。

 

僕の首元に、大蛇のように伸びてきて、かすめた。

 

 

「あれ、おっかしいなぁ。アンタの首掻っ切ったはずやのに、なんで生きてんねん?」

 

不思議そうに僕を見る霞さん。

 

あ、危ねぇ。速すぎだろ、おい。華雄さんより全然速いぞ。よく生きてたな、僕。

 

首からツーっと、血が滴り落ちる。

 

「アンタ、なかなかやりよるやんけ。やっぱり、ウチの見立ては

 

間違いやなかったちゅうことやな。」

 

相変わらずの高評価に、僕はハァと溜め息を漏らしながら

 

「えらくお気に召していただいたようなんですが、今のは完全にまぐれでしたよ。

 

ほとんど直感で避けましたから」

 

「なら、その直感を信じたアンタはやっぱり強いで。まぐれだろうがなんやろうが

 

避けたのはアンタの実力や。誇っていいと思うで」

 

霞さんがニヤッと笑う。

 

「誇るようなものなんか、何も持ってないです。必要もないですし。

 

あるとしたら……。それは」

 

口を噤む。

 

危ない。初対面の人に何を言おうとしてるんだ、僕は。

 

「あるとしたら、なんやねん?」

 

「いえ、なんでもないです」

 

「ふ~ん。な、アンタの名前なんて言うん?ウチ、アンタに興味が湧いてきたわ」

 

「そうですか。実は僕も、アナタには興味ありますよ」

 

「嬉しいこと言ってくれるんやな。じゃあ、アンタの名前を教えてくれへん?」

 

「嫌です」

 

どうですか、この斬新な切り返し。

 

霞さんもアングリしてるね。そりゃそうか。

 

いろいろな顔の表情の変化があって。

 

気を取り直したのか、霞さんは僕に言う。

 

「じゃ、そうやな。今からウチがアンタを叩きのめす。アンタが叩きのめされたら、

 

アンタは名前を教える。どうや?」

 

飲むわけねぇだろ、そんな条件。

 

「もしアンタがウチに勝てたら、ウチが華雄が壊した店の修理費払おうたるわ」

 

「いいでしょう」

 

は、しまった。つい飲んでしまった。なにせお金がないから、つい。

 

霞さんはニヤッと笑って。

 

「ええ覚悟やな。今時珍しいで?アンタみたいな男」

 

「え、ええ。まぁ」

 

やばいよ~。逃げ出したい。

 

そう言うと霞さんは『偃月刀』を構える。

 

僕も仕方なく『無銘』を構える。

 

そして。

 

「それじゃ、いくで!!!」

 

 

暴風雨。

 

彼女の攻撃はまさに、それを体現していた。

 

一度見れたとは言え、全くついていけてない。当ててるだけだ。

 

何度も『偃月刀』が頬や腕をかすめ、血が滴り落ちている。

 

僕は当てるどころか、かすりもしない。

 

「どうした!?そんなもんかい!」

 

捌ききれなかった彼女の『偃月刀』の柄による一撃が僕の腹に炸裂。

 

僕は吹き飛ばされる。

 

「かはっ、がはっ」

 

霞さんは興が削がれたように言う。

 

「なんや、もう少し楽しませてくれるんやと思ったのに。

 

つまらんなぁ」

 

僕は言い返す。

 

「だ、だから、僕は。はぁはぁ。強くないって言ったじゃないですか。ゲホッ」

 

「まぁ、ええわ。ウチらのことを否定した理由も知りたいし、アンタの名前も知りたいし

 

とりあえず終わらせよか」

 

やべぇ。負ける気しかしねぇ。

 

どうするかな。

 

するとそこに、聞いたような声が響いた。

 

「華雄!!!霞!!!何やってるんだよ!?」

 

まだ若い少年の声。

 

そして。

 

「……高順……?」

 

静かな、それでいてよく通る少女の声。

 

絶望的な状況に諦めかけたその時、

 

その二人は、北郷一刀君と恋ちゃんは現れたのだった。

 

 

皆さん今晩は。BLADEです。

 

実はですね、ある読者様から『タグにオリ主を入れて欲しい』と言われたので、

 

登録タグに『オリジナル主人公』と入れました。

 

これからも、「真・恋姫†無双~不信の御遣い~」をよろしくお願いします。


 
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