No.518948

バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第二話

ザルバさん

鋼牙はFクラスの前に立っていた。入ると友の雄二の姿がそこにはあった。

2012-12-15 21:05:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2570   閲覧ユーザー数:2484

 文月学園校舎二年生ゾーン。鋼牙はFクラスの教室前の扉で立ち止まっていた。

(ここまでとはな・・・・・・流石に酷いと思いますよ、カヲルさん。)

 鋼牙もFクラスの状態に物も言えなかった。

(まあ仕方ない。父も昔こんな経験をしていたと言うし。)

 鋼牙は教室の扉を開ける。

「すみません。遅れ「早く座れ、バカ!」・・・・・なんでお前がそこにいる、雄二。」

 教卓には鋼牙の友、坂本雄二が立っていた。

「俺がこのクラスの代表だからな。」

「そうか。」

 鋼牙は空いた席に座った。

「すみません。遅れました。」

 扉を開けて一人の男性教員が入ってきた。

「えー、おはようございます。二年F組み担任の福原慎です。よろしくお願いします。」

 福原先生が黒板に字を書こうとしたが突如手を止め振り返った。

「先生、チョーク持ってますのでどうぞ。」

「ありがとうございます、冴島君。」

 鋼牙は福原先生にチョークの入ったケースを渡した。

「皆さん、卓袱台と座布団はは支給されていますか?不備があれば申し出て下さい。」

「せんせー、僕の座布団に綿が入ってませーん。」

「はい、我慢してください。」

「俺の卓袱台の脚が折れています。」

「木工用ボンドが支給されていますので、あとで自分で治して下さいね。」

「窓が割れていて風が吹いて寒いんですけど。」

「ビニール袋とセロハンテープで何とかしてください。」

(全クヒドイモンダナ)

 突然黄河の左手の中指にはめてある指輪のザルバが念話で話しかけてきた。

(ザルバ、思うことは最もだがあまり喋るなよ。)

(ワカッテイル。オマエハ「騎士」ノ称号ヲ持ッノニ観察処分トハナ。)

(仕方ないだろ。あの頃は「あの称号」のためだけしか考えていなくて、ほとんどほかの事は後回しだったんだからな。)

(マアソノ分頑張ッテタガナ。)

「では自己紹介を始めましょうか。席の廊下側からお願いします。」

 鋼牙たちが話しているうちに話はもうそこまで進んでいった。

「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。」

(オイオイ、アイツ女ジャナイノカ?)

(ザルバ、あえて言うがあいつは男だ。よく姉と間違われるらしい。)

「・・・・・・・土屋康太。」

(ナンカ暗イヤツダナ。)

(あいつは保健体育が得意なんだ。)

(ナルホド。ムッツリッテ言ワレソウダナ。)

「・・・・・です。海外育ちで日本語は出来るけど読み書きが苦手です。英語も苦手です。趣味は・・・・・・・・冴島を殴ることです。」

(ナンカヤバイヤツガイルゾ、鋼牙!)

(大丈夫だ。彼女は島田美波。格闘が上手だ。)

 しばらく紹介が終わり、鋼牙の番になった。

「冴島鋼牙だ。座右の命は『守りし者』だ。あまり外のことを知らないがよろしく頼む。」

 その時教室の扉をガラリと音を立てて女子生徒が入ってくる。

「あの、遅れて、すいま、せん・・・・・・」

『えっ?』

 クラスの誰もが(鋼牙以外)驚いた。

「丁度いいタイミングです。姫路さん、自己紹介をお願いします。」

「は、はい!姫路瑞希といいます。よろしくお願いします・・・・・・・・・・」

「はい、質問です!」

「あっ!は、はい。なんですか!」

「何でここにいるのですか?」

「ふ、振り分け試験当日に高熱を出してしまいまして・・・・」

『そういえば俺も熱の(問題)のせいでFクラスに。』

『ああ、化学だろ?あれは難しかったな。』

『前の晩彼女が寝かせてくれなくて『異端者には死を~~~~~~~~~!!!!!!』ひいいい、う、嘘ですごめんなさい!』

(ココニハ馬鹿シカイナインダナ)

「で、では一年間よろしくお願いします。」

 そう言って先生は教室から出て行った。

「姫路!」

「は、はい!なんですか?え、えっと・・・・」

「坂本だ。坂本雄二だ。よろしく頼む。」

「あっ!は、はい。よろしくお願いします。」

「ああ。ところで体調は大丈夫か?」

「それは俺も思った。」

「さ、冴島君。」

 姫路は鋼牙の姿を見て驚いた。

「すまんな姫路。こいつの顔が恐くて。」

「顔は生まれつきだ。」

「そ、そんなことないです。冴島君は顔がすらっとしてて目も鋭くてかっこいいですし・・」

「ヨカッタナ、鋼牙。ホメテモラッタゾ。」

「「!!今なんか変な声が聞こえなかったか(ませんでしたか)!」」

「気のせいじゃないか?それより雄二。」

「ん!何だ?」

「ちょっと話がある。」

 鋼牙は雄二を廊下に連れ出した。

「で、なんだ?」

「『試験召還獣戦争』をFクラス全員にさせてもらいたい。」

「理由は?」

「姫路のためってのが理由だ。」

「ほう。」

「彼女は生まれつき身体が弱い。彼女のためにもと思ってな。」

「まあ俺もそうしようと思ったところだ。流石にこれはひどすぎる。」

「恩に着る。」

「それじゃあ教室に戻るぞ。」

「ああ。」

(オ前ニモ『守リシ者』ヲ見ツケラレタンダナ。)

(ザルバ、何故あの時喋った。)

(スマン、ツイナ。)

(今度は気をつけろ。)

 鋼牙は教室に入っていった。

 

 雄二は教卓の前に立った。

「お前ら、クラス代表の坂本雄二だ。お前らはこの教室に・・・・・・・・・不満は無いか?」

『大有りじゃあっ!!!』

 一斉にクラスの男子が声を上げた。多分となりのクラスまで届いてんだろうな。

「だろう?そこで考えがあんだが・・・・・・お前ら、『試召戦争』しようと思う。FクラスがAクラスにな。」

 その言葉にクラス全体がどよめき始めた。

『勝てるわけがない。』

『これ以上設備を落とされるのは嫌だ。』

 まあそう思うだろうな。Fクラス=馬鹿って方程式が学年全体に定着しているしな。

「大丈夫だ。勝てる勝算はある!」

『何を言ってんだ。』

『無理だって。』

「今から説明してやる。まず土屋康太がいる。」

『おおおお!』

『アイツが噂のムッツリーニか!』

 康太は顔を横にブンブン振る。

「姫路のことは説明する必要はないな。」

『そうだ!俺らには姫路さんがいる!』

「え!私ですか?」

「木下秀吉だっている。」

『おお・・・・・』

『ああ、アイツ確か木下優子の・・・・』

「おれも全力を尽くす。」

『なんかやってくれそうな奴だ!』

『そういやアイツって小学校の頃は神童って呼ばれてなかったか?』

「それに冴島鋼牙だっている。」

 シ~ン・・・・」

「雄二、何故俺の名を出した?」

「だってお前は観察性分だろ?」

『ええええええええ!!!!!!!!』

 クラス全体だ驚きの声を上げた。

『アイツが噂の!』

『これは機体が出来そうだな!』

「あ、あの・・・・」

「ん!なんだ姫路?」

「観察処分って何ですか?」

「ああ。観察処分ってのはいわば馬鹿の代名詞だ!」

(ヒドイイワレヨウダナ、鋼牙。)

(仕方ない。まあ観察処分でなくてもフィードバックはあるんだがな。)

「具体的にどんなことをするんですか?」

「主に先生の雑用とか力仕事だな。こいつは召還獣の扱いに長けているから回避や攻撃が得意だ。」

(もう疲れる。)

(鋼牙、コノ教室カラ抜ケ出スタメダ。ガンバレ。)

「鋼牙にはDクラスへ宣戦布告に行ってもらう。」

「わかった。」

「いいか。俺らがいきなりAクラスにたたかっても勝てない。だからそのためには経験が必要だ。ここ数日は他のクラスに宣戦布告して経験をつむ。いいか、俺らの目的はAクラスだ!」

「それじゃあ行ってくる。」

「ああ、頼んだぞ。」

 

「戻ってきたぞ。」

「おお!怪我一つしてないなんてすごいな。」

「返り討ちにしてやった。怪我も軽い打撲だ。」

「ちなみにどのくらいの人数だった。」

「ざっと十三人だったな。」

「それを裁いたお前は何者だよ!」

「あ、あの!」

「「ん?」」

「だ、大丈夫ですか?冴島君。」

「この通りな。」

「鋼牙は何でか知らんが格闘とかが得意だしな。」

「そ、そうなんですか。そ、それと・・・」

「?」

「一緒にお弁当はどうですか?」

「別に構わないが。」

「あっ!うちも一緒に食べさせて。」

「!島田さんもか!」

「何!うちがいるとなんか悪いの?」

「いや、むしろ助かる。」

「助かる?」

「試召戦争もそうだが、女子との食事は正直なれないからな。」

「そ、そう。でもあんたあまりクラスに馴染もうとしなかったじゃん。」

「苦手でな。それより弁当は屋上で食べないか?」

「いいですね。」

「それじゃあ雄二たちも食べるとしようか。ゴンザも大勢で食べたらおいしいといってたし。」

「?ゴンザ?」

「ああ、こっちの話だ。」

 鋼牙たちは屋上で昼を食べた。姫路のお弁当を食べて平気だったのは鋼牙だけであった。鋼牙は姫路に一般売られている調味料と母親に料理のこつを教えてもらった方がいいと姫路に助言をした。

 

 


 
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