No.517201

ねぷるる@れぼりゅーしょん

冬コミの宣伝かねた番外編!

冬コミ83の2日目(日曜の30日)西ホールて-08a、「ねぷすた」にて、多数のネプテューヌ好きが寄り集まってできた合同同人誌が配布予定です。

イラスト版とマンガ・SS版の2冊を発行しまして、私達はマンガ・SS版で雪鈴さん、こたさん等と共に小説参加しております。

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2012-12-10 22:02:01 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:1012   閲覧ユーザー数:921

 

 

 

 

 

 

ねぷるる(あっと)れぼりゅ~しょん

 

 

 

 

 

 

 

 宇宙。

 星の瞬きも見捨てられるほど広大な宇宙。

 

「くそっ! 奴ら本気か!? なんて数だ!」

「敵機コンマ秒単位で増殖中! 捕足しきれません!」

「第4、第5シールドも突破! 最終シェルターも攻撃されています!!」

「あぁ……もうだめだぁ!」

 

 見れば見るほどに吸い込まれていくような闇夜。

 

「何故だ……何故人間がぁッ……!」

 

 その引力は、星の輝き、その美しさをも無視できるほど強く、離さない。

 

「しけたツラ見せんなよ。まだ終わりじゃないだろ?」

 

 だが星はそれでも輝く。

 

「……だが、この数に太刀打ちする方法がない……我々は、彼等の逆鱗に触れてしまった……我々が、自らの文明を、自分勝手に押し付けて、彼等を理解しようとしなかった……これは……当然の報いなのだっ……!」

「俺が行って話つけりゃ、万事解決だろ」

「……おい、どういうことだよ……?」

「俺が行くって言ってんだ。早く用意しろよ」

 

 誰が何と言おうとも。

 光り輝くことしか、できないのだから。

 

「アンタなぁっ! この状況なんだか分かっていってるのか!? 自爆しに行くようなもんだぞ!?」

「じゃ誰が行くんだよ……あいつらぶっ潰しに」

「……本気かね君!?」

 

 生きるって、そういうことだろ?

 

「……アンタは言ってた……この星の未来を一緒に作るって、それがアンタの夢だって、言ってくれたじゃないか!! なぁ……それ夢のままで終わらせんのか? でかい夢から目を反らして一生を終えるのか!?」

 

 星だって、人だって。

 

「……言うじゃねぇか後輩。だがな……こんなとこでくすぶってちゃ、夢もなにも叶えられやしないさ」

「……けど!」

「ここを頼む」

「え……」

 

 みんな生きてる。

 なぁ、そうだろ?

 

「こればっかりはお前が頼りだ。MyDOGS」

「……」

「もう無駄よ……彼は誰にも止められない……」

「ですが……っ」

 

 だから……。

 

「無事を……祈ります」

「サンクス。生きてまた会おう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうやって、私達の知らない場所で、知らない世界でこんな男達が必死になって生きているんだ。

 こんな風に、自分達の星の存亡をかけて命をかけているんだ!

 いるんだったらいるんだ!

 いるんだってば!!

 

 

 

 ……と、いくら自己暗示をかけようともブラウン管に映っているその光景は変わりなんてしない! だって!!

 

「うぅ~、なんかガーとかビーとかうるさぁ~い」

「ホントだよもー、もーちょっと耳に優しくしよーよって感じ」

「大昔のゲームって、みんなこんななのかなぁ~?」

 

 ほら。

 

 上の方(縦書きなら右ね)で繰り広げられているイメージを否応なく打ち崩す決定的な要因があるんだもの。

 

 はい、お外で最初の爆発どーん!

 

 一番初めに言うべきことかもしれないけど、これは今ネプテューヌとプルルートが変わりばんこでやってるゲームの中身だ。いわゆる『レトロゲーム』って奴さ。ここまで読んでくれた方は大体想像つくと思うけど、四角いドットで出来た画面がぴこぴこぷいぷい言ってるあれだよ。

 

 おっと、この先を見る前に、ここまで見てキミの頭に浮かんだレトロゲームのイメージを言葉にしてごらん。

 

 断言しよう。このゲームは今キミがイメージしたゲームほど”リッチ”で”高クオリティ”じゃない。

 二人がやってるゲームは恐らく、キミたちの期待を遥かに下回る第1印象だろう。

 

 具体的にどんな奴かって?

 

 グラフィックもさぁ! BGMもさぁ! なんつーの? みんなして”ガビガビ”なの。ガビガビとか、ガギガギとか幼稚な擬声語で大変心苦しい所だけど、これ以上ふさわしい言いようがないの! それくらい今と比べると荒削りに見えちゃうの!

 

 それがさぁ! さっき一生懸命妄想したあれ! あれにさぁ! 突きつけてくるんだよ! それ”ただの妄想”だから。って! 当時のデジタル技術はキミのその妄想なくして誠実な再現ができないという、何とも悲しく情けない現実をさぁ!

 

 しかも、しかもだぜ?

 

「……どうでもいいけどさー、敵キャラおかしくない? これあれだよね!? あの”P”で始まる有名なコーラの名前だよね!? ご丁寧に一番上の端っこに『COKE』って書いてあるし! 色もそれっぽいし!」

「あたしこのコーラ好きなのになぁ~」

「よく見たら、自キャラ見たことあるボトルコーラだよ? なに!? ライバル会社の陰謀!?」

「こわ~い」

 

 ……ね? がっくりくるでしょ?

 

 はい、爆発音2発目どーん!

 

「けどさ、ハマるんだよねぇこれ」

「どうして~?」

「なんていうかなぁ、わたしをひきつけて離さないんだよ。ゲームオーバーになるたびにもっと上のスコア目指したくなっちゃって」

「あぁ~なんとなくわかるぅ~」

「わたし思うんだよね。最近のゲームって、こーさぁ、家の中一人で『勉強しなさーい!』とか怒られるくらい無駄な情熱傾けてるって感覚が欠けてると思うんだ!」

「ほぉほぉ~」

 

 ネプ子さんが急にゲーム論を語りだしたようだ。

 お外の様子を気にも留めずにね。

 

「そりゃまぁブランが言うように家族でワイワイ~とか、みんなで協力~とかいうのも否定しないけどさぁ、ゲームって元々、ある種部屋に引きこもってコンピュータ相手に格闘するもんなんじゃないかな~ってわたしは思うわけよ!」

 

 それでは3発目どかーんっ!!

 

「……いや、さすがにこんな事されたら、引きこもってらんないけど」

「そぉだね……」

 

 おいおいやっと気付いたの? アンタたち。

 今お外がどういう状況か分かってる?

 

「わかってるよー! 反対派のデモ隊のみんながまた暴れてるんでしょー?」

 

 おおむねよろしい。

 ここ神次元ゲイムギョウ界にあるルウィーっていう国の教会。時は大体エディンっていう国ができてから5年。なんとかしなきゃなーと国を守る女神さん達は会議で「国際フリークリエイト協定」っていう何かよくわかんないけどとりあえず法律を決めたわけよ。

 ところが、ブランっていう女神がど~~してもこの協定に賛成できないみたいで、そのまんま会議が進んじゃって「もういい加減賛成しろよ」的な事を言われて泣く泣く賛成。その後飛び出して行っちゃったわけだ。

 さっき出てたネプテューヌっていう女神の妹、ネプギアってのが追いかけてったんだけど、それから二人はどうしているのか分からず、ノワールとベールっていう女神がさっきからどっかんどっかんやってる協定に反対する過激なデモ隊止めに行ってるの。

 ネプテューヌとプルルート? 見ての通りだよ。呑気にゲームしてた。

 外でじゃんじゃん爆発騒ぎだったのにね。

 火薬ドカンと爆発音! ガラスがたがた衝撃波! ぷるるんぷるぷるもーうんざり!

 

 そして今、その教会前、デモ隊さん達がいる近くの物影というわけ。

 

「うわぁ、今日も張り切っちゃってますねーデモ隊のみなさん」

「もう少し中で遊んでたかったのに~っ!」

「わわわわわわわわわっ、抑えて~、ぷるるん~? もぉーちょっとだけ抑えて~? 多分展開的にもうすぐ変身することになるだろうけど」

「じゃあ今ぁ~っ!」

「今はダメー!」

 

 何してんだい全くもう。

 

「でもぎあちゃんが~っ!」

「ネプギアならだいじょ……えっ!?」

 

 大変なことに、どういうわけかそのネプギアが、デモ隊に遠慮なくダイナマイト投げつけられて火の海の中!

 もがくその手はただ空を切って力なく地面にへたっているぞ。

 

「うわわわわわわわわっ!? ネプギア超ピンチ!? ぷるるん、レッツ変身!」

「でゅわぁ~っ!」

 

 でゅわ~っ ってアンタ……まぁいいや。

 とりあえず二人共変身してもうもうと立ち上っている煙の中突っ込んだ。

 それでもダイナマイトは投げられる投げられる!

 二人は持っていた剣でバチンとはじいてネプギアを爆発から守る!

 デモ隊のみなさん唖然!

 

「悪いわね。妹が世話をかけたわ」

「臭い……あ~火薬臭い。せっかくのお外の空気が汚れて台無しよぉ」

 

 この二人、女神の姿に変身すると異様に人が変わるの。

 ボディラインもそうだけど、何よりも人柄。

 知らないと、え? 誰この人ってレベルね。

 

「ネプギア、しっかりして」

「サディズムの美学っていうのが分かってないようねぇこの子ブタちゃん達は」

 

 子ブタちゃん達はとかいっちゃってるけど、コイツ、プルルートね。あれだよ。「あたしこのコーラ好きなのになぁ~」とか言ってたやつだよ。

 ネプテューヌとプルルートは変身すると名前も変わる。『パープルハート』に『アイリスハート』。ぶっちゃけ、コードネームね。

 

「皆の者、もう十分です。まずは、けが人の手当てを」

 

 と、言ってくるのは全身真っ黒くろな女神っぽい子。

 っぽいっていうのは、正直言ってここにいる人たち誰もわかんないから。

 とりあえず、パープルとアイリスにとっては敵っぽい。

 

「あらぁ。人のお友達キズものにしといて、落とし前もつけないで帰る気……?」

 

 うわうわうわ、めっちゃ睨んでるよアイリスハート!

 

「キミは何を言っているんだい?」

「やったのはうちらとちゃいまっせ?」

 

 黒くろで女神チックな子の両隣りにいるのはディアとフェアネルっていう奴ら。

 キミとかいってたのがディアで、舞妓言葉なのがフェアネルってとりあえずは覚えといて。

 って、あれ? こいつ等はどっかで見たことあるぞ?

 まぁそれについては本編で触れてるから言わないでおこう。

 

「ぷるるん! 今はネプギアが先よ」

「わたしは……まだ……戦えるよっ!」

「ネプギア!」

 

 ネプギアが必死で立ち上がってる。

 もうね、近くで見てみると悲惨って言う言葉に尽きるね。

 今言ったって説得力まるでないと思うけど、全身が真っ赤に焼けただれているんだよ。

 

「……ッ……」

「ネプギア? ネプギア!!」

 

 あぁ~倒れちゃった!

 当然か……爆発の嵐の中に晒されまくってたからね。

 え? 地の文お前不謹慎だぞ?

 え、あ、いや……すみません……。

 

「……行きましょう。あなた方の拠点へと案内してください」

「ちょっと!!」

「これ以上は血で血を洗うだけです。あなた達もその者を手当てなさい……」

 

 黒くろがそう言うとさっきまで充満していたデモ隊のピリピリした空気がウソみたいに引いていく!

 途中教会前でつば吐き捨てたりしていた人もいたけど、とりあえずまぁこの場は収まった!

 さ、ルウィー教会に戻ってネプギアを手当てしてあげなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2日後。

 ネプギアの傷は大体治った。いや、女神だし治癒とか早いんじゃね?

 まぁそれはさておき、一体なんでこんな事になっているのかという話なんだけれど、そこは本編で触れるから今回は割愛。

 いや、本編見ろ本編見ろと言い続けて大変申し訳ないのだけれど、これは一応PRだし……いやすいません。

 それで、時は真夜中のルウィー教会。

 ネプテューヌとプルルートは、ルウィーの方に残ってるっていうネプギアの様子を見にこっちまで来たんだけれど、いかんせん天気が悪い。洪水とかが当り前で起きてそうな勢い。みなさんどうか洪水には本当に注意を。飲み込まれたらもう終わりです。

 

 

 

 

「ねぷちゃん~!!」

「ほ? ほひはほほううん?」

 

 ネプ子、口に入れたモン飲み込んでから喋りなさい。

 

「んく……ごめんごめん。それで? どしたの?」

「ぎあちゃんがどこにもいないの~!!」

「えぇぇっ!!? こんな土砂降りの中!?」

 

 プラス、台風つきだっていうんだから大変だ。

 

「どこいっちゃったのかなぁ~……」

「うーん……あ!」

 

 お、どうした?

 

「ねぇ見てぷるるん! あれ!」

「ん?」

 

 ……おぉ。ネプ子ナイス!

 二人が窓から見下ろした先に、土砂降りに当てられてふらふらとさまよっているネプギアの姿が。

 

 

 

 

 

 

「こんな嵐に飛び込んだって、大ジャンプは出来ないよ?」

 

 二人が一つの傘の下、向かった先はルウィーの土管公園。

 縦に並んだ緑の土管をネプギアは何故かずぶぬれのままじ~~~っと、見つめていたわけだ。

 そして今振り向いた。

 髪や肌を伝った雫は光らせてても、ぜーんぜん二人と目を合わせようとしない。

 

「ここにいたら危ないよぉ~」

 

 プルルートがそう言ったって静かに手で拳を作るだけ。

 

「ぎあちゃん……泣いてるの?」

 

 すぅーっと頭が垂れ下がった気がした。

 

「ブランのこと? 大丈夫だよ。ネプギアにちょっとくらい嫌なとこあったって、誰もネプギアを嫌いになんかならないよ」

 

 唇が、ぴくぴくと動いている気がする。

 

「ぎあちゃん……いま、自分のこと……きらい?」

 

 プルルートが、急にそんな事を聞いた。

 すると、ネプギアがそっと口を開いたとさ。

 

「昔……ロムちゃんが自分のペンを失くして、それを探す手伝いをしたことがあったんです……」

 

 ロムというのは、こことはまた別の次元、ネプテューヌとネプギアの出身次元の方の女神で、ネプギアの友達のこと。

 いっつもおどおどしてるの。

 

「見つかった時の笑顔が、すごくうれしくて……ありがとうって声が、すごくきらきらしてて……誰かをそんなふうにできたのが、本当に嬉しかったんです……わたしにも人を……喜ばせることができるんだって……でも……ブランさんは……泣くのを我慢して苦しんでた……デモ隊の人たちは、怖い顔でわたしを怒鳴って、投げてきた……ノワールさんも、ベールさんも……みんな苦しんでる……っ!」

 

 ネプギアの声はどんどん震えていく。

 

「わたしが……わたしが悪いんだ……っ! 誰の気持ちも考えてなかったから……でも……でもわたしどうしたらいんだろうって……っ!! 怖いよぉ……っ!!」

 

 雨はひたすらネプギアを濡らしていたの。

 水を含んで薄紫の髪はしおれるし、服もすっかり雨水で重くなった。

 下向いているのに頬にも雨が当たって顎まで伝って落ちていくし。

 もう、雨だらけ。

 そんなネプギアにネプテューヌがそっと開いている傘を持たせたの。

 プルルートもネプギアの隣で背中を優しくさすってる。

 ネプテューヌもぽん、ぽんと背中をそっと叩き始めた。

 雨の中、今度は二人の方がびしょぬれ。

 でもなんでだろう。二人はあんまりぬれてないようにも見える。

 

「ネプギアの……せいじゃないよ」

 

 ネプテューヌがそう言うと、一歩一歩と三人は歩きだして、ゆっくり公園を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてさてそれから4日が経過し……ってもうあれっから6日も経っちゃったのか。どーなってんだろーなールウィー。あーまぁいいや。

 ネプテューヌとプルルート、今日はというと……プラネテューヌ教会の庭園でキャッチボールしてるね。

 ぷるるんがふんわりと投げた白球(軟球かな?)がネプ子のキャッチャーミットに収まった。

 

「ねぇぷるるんー」

「なぁに~?」

「どうしてこの前さぁ、ネプギアに自分のこときらいー? なんて聞いたの?」

 

 ネプ子がふんわりと投げられた白球をぷるるんに返した。

 あら、意外。ちゃんとキャッチャーミットにボール入れたね。

 

「ん~……わかんない……悲しそうな顔してたってことくらいしか……」

「……そっかぁ」

 

 再びぷるるんの手から投げられる白球。

 

「ただね、ぎあちゃん、ほんとにいい子だから」

「……いい子だから?」

 

 言葉と共に、ネプ子の手から離れる白球。

 

「いい子だから、だから……いっぱいいっぱい悩むの~」

「……」

 

 言い終えて、さっと白球を投げるぷるるん。

 

「ほんとは文句とかいっぱい言いたいのに、全部がまんしちゃったりとか~、つらいのに、ちゃんとお仕事してたりとか~、いっぱい色んな事がまんしてると、だんだん周りのみんながどんよりした気持ちになって、それでいっぱいいっぱい悩んで~、なんか自信なくなってきちゃって……」

「……ぷるるん……」

 

 もう一度ぷるるんに向けて白球を投げるネプ子。

 ……あらら、ぷるるんが取らないからそのまま地面に転がってる。

 

「いまはよくわかんないけど、ぎあちゃん……自分がみんなをどんよりさせてるのって、すごくいやなんだと思うの~」

 

 ボールを拾いにプルルートを通り過ぎていく。

 

「……どうする? ネプギアのとこ行く?」

「……うん。のんびりしてるのもいいけど~、してあげられることはしてあげたい。どうしてそんな悲しそうなのかもしりたいし~……」

「……じゃあ、一回教会戻って仕度しよっか」

 

 

 

 仕度もすんで、さっそくルウィー教会へ。

 その手にはケーキの入った紙箱。

 

「にしても偉いもんだよ我が妹は。ブランいないから確かにしなきゃまずいけど、他の国の面倒を進んで見てあげてるなんて」「えへへぇ~、ぎあちゃん喜んでくれるかなぁ~?」

 

 そう思うならアンタらもキャッチボールなんかしてないで公務しなさいよっていうのは野暮な事かな?

 さてつきましたブランの部屋。ここ、最初ねぷさんぷるさんがゲームやってたとこね。

 

「ネプギアー! ケーキ持ってきたから一緒に食べよー! ってあれっ!?」

「いない……」

 

 およ? またいなくなってる。

 今度はどこへ行った?

 

「ネプギアー? ネープギアー? ネぇープぅーギぃーアぁー?」

 

 ネプテューヌは探す。奥のお手洗い、押し入れの中、ブラウン管TVバラして基盤を隅から隅まで……って、入んねぇからそんなとこ。あーあ、弁償だこりゃ。いーけないんだーいけないんだー。せーんせーにいっちゃーおー!

 

「えっ!? だ、だめ!! お願い先生には言わないで!!」

 

 いっちゃおー。ブラン先生に後でいっちゃおー。

 せんせー! ネプ子が教会のテレビぶっ壊しましたー!

 

「わーーっ! せんせーごめんなさーい!! できごころなんですー!!」

「ねぷちゃん~、ぎあちゃんちゃんとさがしてよぉ~!」

 

 いや、アンタもケーキ食ってないで探しなよ。

 

「そ~ゆ~こというんだぁ~……」

 

 ……すいません。

 

「あー! なにこの扱いの差ー! ずるいずるいー! わたしもケーキ食べたいー!」

 

 おいこら飛ばすぞ? 場面飛ばして強制的に外に追い出すぞ?

 

「おーぼーだよー! おーぼー!!」

「すとーりーてらー(地の文のことね)のお~ぼ~!」

 

 呑気にケーキ食ってんのが悪いんでしょーが!

 もういい! 飛ばす! 場面飛ばす!

 はいルウィー教会の外!

 

「ネプギアーっ! いるーっ!?」

「ぎあちゃ~~んっ! どこぉ~~!?」

 

 やっとこさ真面目に探し出した二人。

 ……撤回、真面目じゃない。口にケーキつけたまんまだよこいつら。

 

「ぎあちゃ──わぁぁぁぁ~!?」

「どしたのぷるるん!?」

「あそこにおっきな穴~!!」

 

 プルルートが指さした場所は、教会の高くの壁に空いた大きな穴。

 普通6日もすれば気付くような所なんだけれど……。

 

「……ほんとだ!? なんで!? なにがあったの!? うわぁっ!?」

「わぁ~~!?」

 

 突如二人の上を黒い残像が通り過ぎた。

 すんげぇ勢いだから突風も突風。

 そしてゆっくりと二人の目の前に姿を現す。

 

 竜。黒い竜。黒い不格好な竜。

 

 その姿を見た二人はすぐさま変身して身構えた!

 

「こんな時に……! ぷるるん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……なぁんだ」

「ぷるるん?」

 

 はい? ぷるるんさん?

 なんで構え解いたの?

 

「大丈夫よねぷちゃん。この子はそんなにサカってる子じゃないの」

「……?」

「ずっと昔、プラネテューヌに住んでいたっていう確か……こーせーせーぶつだったかしらぁ? その中でも最初から人間に味方してくれるドラゴン」

 

 ドラゴンは顎で二人に何か伝えて、すぐに飛び去った。

 速い。3秒で見えなくなってしまったぞ。

 

「あのドラゴン、ついてこいと言っているのかしら」

「でもこのままじゃ追いつかないわねぇ。そうだねぷちゃん、変形して乗せてってくれなぁい?」

 

 変形ってのはファイナルハードフォームのことね。

 人型の女神がぐっちゃぐちゃになった末に剣とか槍とか乗り物になる奴。

 

「今あなたに上に乗られると、身体がどうなるか分かったものではないわ。変形ならあなたがしなさい」

 

 確かに……色々不安。

 

「あらぁ? 何を想像しちゃってるのぉ? もしかしてアタシ期待されてる? 期待されちゃってるのぉ!?」

「勝手にフィーバーしないで。私は嫌よ。今のあなたを見てもっと嫌になったわ」

 

 ドラゴンが高速で戻ってきて二人をロックオンしだした!

 

「なッ!? なにこのぐるぐるしたカーソル!?」

「ロックオンされてるみたいねぇ……っ!」

「ロックオンですって!?」

 

 喋っている二人に高速でホーミングレーザーのような炎を食らわせた!

 

「「うぅぐっ!?」」

 

 食らってその場で倒れ込んだ!

 アイリスは喧嘩腰でドラゴンに詰め寄るぞ!

 

「ちょぉっとぉ、なにしてくれて──」

 

 ところが、パープルが片手でアイリスを制してゆっくりと立ち上がった。 

 

「じゃんけん……負けた方が乗せる。早くしないとまた彼が怒るわよ」

 

 パープルがそう言うとしぶしぶアイリスが背を向けて祈るように腕を組み始めたぞ。

 パープルも同じよーに……そんなに祈る必要があるのかい? 二人とも。

 

「じゃんけんポン!」

 

 パープルはグー、アイリスはチョキ。

 勝負あったね。

 

「決まりね」

「はぁ……今日はサービスしてあげる」

「ほら背中向けてぷるるん。ちょっとくすぐったいわよ」

 

 パープルハート、アイリスの背中に両手を躊躇なく突っ込んだ!

 そしてがばっ! と大きく開く!

 わっ!? 背中に開いた穴から金属質の翼が出てきたぞ!?

 

「あん♪」

 

 ちょっとアレな声をあげて、人にありえない超絶変形!

 いつ、どう見てもちょっとくすぐったい程度で済むようには見えないもの。

 こうして戦闘機に変形したアイリスハートに乗り込んで、ドラゴンの導くまま前へと進むのであった……。

 あ、まだ終わりじゃないよ? 終わりじゃないかんね!?

 

 

 

 ファイナルハードフォームしたアイリスの上から見える景色は中々悪くないもの。

 なんだけど、そこから見える限りじゃ人間が人っ子一人見当たらない。

 城下町に当たる部分は賑わっていないし、憩いの場である公園には風が吹き抜けるだけ。

 商店通りも広げた風呂敷や屋台が置きっぱなしで風に飛ばされたりしているの。

 つーか売りもん置きっぱはまずくね? 置き引き上等?

 うわ……少し異臭も漂ってきてるぞ?

 これさぁ、本格的にルウィーヤバくね?

 

「ルウィーもここまで荒れ果ててしまったのね……」

 

 あぁ本当だね。

 すると、ドラゴンが上へと反りかえって二人の視界から消えた!

 え? 上行けっての?

 

「どこへ行くの?」

「ねぷちゃん、ぎあちゃんの声よぉ?」

「ここから聞こえるの?」

「ソナーと遠隔マイクで拾ったわ。聞いてみる?」

「……聞かせて」

 

 ソナーに遠隔マイクですと? 変形した影響でそんなメカメカしいご都合主義機能がついたっていうのかい。

 

「じゃあこれ」

 

 言うが否やその機体から何かが飛び出て来た!

 

「ひゃぁっ!? っと……これは……なんともこの時代らしいものが……」

 

 ちゃっちゃらちゃっちゃっちゃ~! カセットテーププレーヤー~♪

 いやいやいや、どう考えてもこういう生放送を聞くためのもんじゃないでしょ……ってパープルの奴ヘッドホンして再生ボタン押したぞ?

 

──「……どうしてこんな事を?」

──「言ったはずです。民の声に応えるのが、女神の使命だと」

 

 聞こえてきた!? うそぉん!?

 

「静かにして! 聞こえないでしょ」

 

 ……すいません。

 スピーカーからネプギアと……これは、さっきの黒くろな子だね。ちと感度悪いけど。

 

──「だったら! どうして──ザッ──人がい──ザッ──るんですか!? あなたは見たんですか……? ──ザーッ──らえないまま! ──ザーッ── その姿を! 女神なんでしょう!? だったらこの──ザッ──の声を聞いて、力になってあげるのは──」

──「黙り──ザッ──いッ!!」

 

「言い争ってるわね……」

 

 うん。ネプギアがめちゃくちゃ怒ってる。

 

──「見たですって……見ましたよ……──ザッ──ほど!! ──ザーッ──倒れていった人々を!! あなたは力になれたの? ──ザッ───でしょう!?」

 

 うぉう、黒くろも音割れする程怒ってる。

 なにを言い合ってるんだろう?

 

「わからないけど、急ぎましょう。ぷるるん、どこから聞こえる?」

「振り落とされないようにねぇ?」

 

 アイリスがやや左に旋回。

 近づいてきているのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなとこに居はったんかい。なんやまた“あの子”の心配でもしとったん?」

「急いで集会に向かうんだ。みんなキミをお待ちかねだよ」

 

 ディアとフェアネル! ネプギアを邪魔しているぞ!?

 集会ってなんだ!? ひょっとして、ルウィーに人がいないのと関係あるの?

 

「腐っても昔の仲ですね」

「待ちなさい! くっ……」

「悪いが少しお付き合い願おうか」

「なじみの手前、通すわけにはあきまへんなぁ」

 

 黒くろを追おうとしているネプギアだけど、どんどん離されてく!

 奴が文字通りの黒幕なの?

 だとしたら取り逃がせないはず! でもどうする!?

 

「それはこちらも同じことよ」

 

 ディアとフェアネルの足元に向けて機銃がばらまかれた!

 来た! 間に合ったか!?

 機銃を撃ち込んだことで間合いが開き、その合間にパープルとアイリスが降り立った!

 

「んもぅねぷちゃんたら、ちょっと感じちゃったじゃなぁい」

「わかったから。もういいわよ」

「んふふ……この間は途中退場ごめんなさいねぇ♪ 今日はきちんと、二人をアイで満たしてあげるわぁ!」

 

 アイリスが鞭のようにふるった剣を合図に、ネプギアを置いた4人で抗戦を始める。

 よし、ネプギア、今のうちだぞ!

 

「ネプギア!」

「え?」

「事情はよくわからない。でも、あなたが今、あの女神を追わなきゃと思っているのなら、今すぐ走って行きなさい!」

「早くしないとぉ、お楽しみが逃げちゃうわよぉ?」

「でも……!」

「迷って、悩んで、傷ついて、それでもあなたはこうして立ち上がった! そんなあなたの邪魔は、私達がさせない!!」

 

 姉貴がそう言ってるんだから、ここは甘えときなさい!

 

「二人とも……お願いします!」

 

 そう言って特撮でよくある飛び越え方で、ネプギアは4人を飛び越えていったんだ……。

 うん、よかった。もう迷いはないみたいだね。

 

「何なんだキミ達は?」

「通りすがりのあの子の姉よ」

「アタシは……親戚のお姉さん?」

「覚えなくていいわ!」

 

 いいんかい。

 互いにはじかれて地面を足で引っ掻きながら後退してさっきと同じ間合いに。

 

「どっちみち、私達がここで片をつけるからね」

「どっちみち、ロクでもない輩でっしゃろ?」

「いい度胸ねぇ。誰かの力を借りないとロクに口も開けない臆病な幽霊さんが」

「当たり前どす。もうこの世におらんのやから。誰かの身体借りるしか喋れませんえ?」

 

 再び剣と槍同士でガシンと音を立ててぶつかり合った!

 たがいに引くことを知らずに武器を押し付け合っているぞ!

 

 するとディアとフェアネルが急にいなし、距離を取った所で武器を投げ捨てた!

 代わりに取り出したのは……ゲームのコントローラー? なんとも……前衛的な形!

 ディアはテレビのリモコンに細いジョイスティックが生えたようで、フェアネルのは……水道にある、栓?

 形はともかく、奴らはそれを構えて叫んだ!

 

「来い! テンダム!」

「お越しやす! 愛の迷宮へ!」

 

 テンダム!

 なんとパチもんチックな名前!

 あと、愛の迷宮って、水商売的な匂いがする!

 

「っ!」

 

 ディアの横には何もない地面からぬっ~と生えてくるように白い白い巨人が!

 巨人……きょじん……巨大だけど、人?

 いや、ドットで出来ているのだろうけど、予想以上に、ドットが荒い……。

 

 一方のフェアネルの方は真緑の壁が生えてアイリスハートを包み込んだぞ!

 

「ぷるるんっ!」

「さぁ、真剣勝負と行こうか」

 

 ディアがコントローラー一番上の真ん中、2ボタンをそれこそリモコンでチャンネルを変えるように押すと、テンダムが光線銃を撃ってきた。

 横転してよけたパープルのすぐ横は溶けた地面。

 しかし……音がぴゅ~っと、どうにもリアリティと緊張感に欠けるもので……ぴゅ~、か……。

 

「威力の割には随分と貧相ね。見た目も、音も」

「褒め言葉として受け取ろう」

「うああぁぁぁあぁぁっ!!」

「ッ!? ぷるるん!」

 

 緑の壁に閉じ込められたアイリスの悲鳴!

 なにが起こってるか分からないけど、フェアネルの悪女顔でなんとなく恐ろしさが分かるかも。

 気を取られているパープルのすきをついてテンダムが拳を振りおろして直接攻撃!

 

「うあっ!!」

 

 そしてすかさず腕のバルカン、そして両肩の大砲で追撃した!

 くそう、以外にできるなこいつ。

 

「うぅぅっ!!」

 

 フェアネルの言う愛の迷宮が解かれたぞ。

 アイリスはボロボロだ! 地面に伏せてしまっている。

 

「随分とあっけないもんどすなぁ……あれだけ大口叩きはった割には」

 

フェアネルが倒れたアイリスに近づいていく。

 

「ま、これが現実どす。堪忍な」

 

 コントローラーから手を離して腰にあるケースに入れた。

 そして再び虚空から光と共に槍が現れて……これでアイリスにとどめを刺す気なの!?

 どうするアイリス?

 あっ! アイリスが頬をひきつらせてほくそえんだ!

 

「えぇぇいやああぁぁぁっ!」

 

 振り下ろす瞬間、アイリスが前転して腰にあるケースをもぎ取った!

 

「っ! 返さんかい!」

「ふふ。盗られる方が悪いのよぉ。さっきのお返し、これでたぁっぷりしてあげる♪」

 

 上手いぞアイリス!

 

「それほどでも♪」

 

 ケースからコントローラーを取り出して、今度はアイリスがフェアネルのコントローラーを握ったぞ!

 

「そぉれっ♪」

 

 水道栓のような部分を押しこむ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ……や、やんっ!?」

「!?」

 

 ……ん!?

 なんだ? 何だ今のもだえる声?

 ていうか、フェアネルの腹の部分、なんか映し出された。

 「避けろ!」と荒いドットで書いてある。

 

「ん……?」

「あ……あ、あんっ」

「なんかゲーム始まっちゃった?」

「あ、ふ……そ、そんな……」

 

 赤い物体が赤い壁に囲まれたゾーンで跳ね返っている中、アイリスがコントローラーを適当に動かすと中央の黒い点(多分自機キャラ)がその通りに動いた……。

 

「さっきアタシが受けた攻撃のゲームかしらぁ……?」

 

 そうなの?

 

「ここをこうしたらぁ……」

 

 何ともいやらしい手つきで水道栓をジョイスティックみたく倒したりひねったり、ねちっこくつんつんしたり。

 フェアネルからはアレな声と共に、なにやら素早く黒板をこすったような決して心地いいとは言えないSEが。

 

「や、やめて……くんなましぃ!」

「ふふ、あははははははっ! ねぷちゃん見てこれ! 背中についてるあれホントにゲーム機みたいよ!?」

 

 そのねぷちゃん、ディアが繰り出す青く光る線の高速ミサイルに苦戦中。

 

「ちょっと! 真面目にやって!! っくあっ!」

 

 テンダムとの共同攻撃に苦戦するパープルを余所に、どうもアイリスはゲームに夢中のよう。

 水道栓を押しこみ引っ張り傾けひねり、ノイズのような音を出しながらフェアネルがその身体をくねくね動かしている。

 いや、ほんとなにこの光景。

 相手がもだえてるってことは、一応攻撃にはなってるのかね?

 

「随分独特なコントローラーねぇ。あ、玉増えたわ」

「うっ……あぁっ! あぁぁぁっ!」

「む、むむむ……」

 

 アイリスは思いのほかエキサイトしている様子。

 普段の(変身後の普段ね)ドSキャラを忘れるほどに真剣な顔で、フェアネルがもだえ苦しむのと連動して動く画面を追っているよ。

 あ、画面追うのにイライラしてきたね。

 

「やめ、やめ……あんんっ!!」

「ちょっと、動かないでくれない!? 画面がよく見えないのよぉ!」

「そんなこと、いわれてもぉっ!」

 

 ゲームしている時に、テレビの前を何度も横切る人にムカつくのはキミも同じだと思うけど、地の文的には「戦えよ」って言いたいとこなんだよね。

 あ、自機キャラミスってピチュった。

 

「あ、あ! あ! あぁんもうほら当たっちゃったじゃない!」

「ちょっ、ぷるるん!」

「余所見とは余裕じゃないか」

「がっ!? っぐ……」

「ああぁぁぁれええぇぇぇぇ!!」

 

 もうなにこの空気の差。

 自機キャラがピチュった瞬間、不快なノイズをバババババババと高速で出しながらフェアネルがくるくる回って悲鳴をあげている。

 

「ほらほらぁ! アタシにゲーム画面を向けなさいっ! その気持ちの悪いSEもっとアタシに聞かせてちょうだい! ただくねくね動かれるのは迷惑だからじっとしてなさい!」

「堪忍しぃ! 注文多過ぎやぁぁっ!」

「あーっ! また当たった!!」

 

 まるで悪代官と若娘の帯独楽(ごま)のよう。

 

「……気になる……楽しそう……っ!」

 

 パープルネプ子? 何考えてる?

 

「集中したらどうだ!?」

 

 ごもっともだけど、多分無理です。

 迫りくるディア。アッパーから始まってパープルに殴りかかる!

 受けるか(さば)くかでパープルがやり過ごした後、二人は取っ組み合いになり、両者にらみ合う!

 互いに蹴り飛ばしてとりあえずは間合いを離した!

 ディアは再び腰にあるコントローラーを……あれ? あれ? ない……?

 

「貴様……!」

「盗られる方が悪いのよ」

 

 あれま。離れる瞬間に取ったのかしら。

 パープルハート、余裕そうな顔しちゃってディアのコントローラーをひらひらしてるし。

 

「だがこちらにはもう一つ!」

 

 逆の腰からディアがコントローラーを取り出してパープルに向けた!

 その様は西部のガンマンのよう!

 カッコいいぞ!

 カッコいいけどその瞬間パープルがコントローラーの2ボタンを押したから……。

 

「ひゃっ!?」

 

 あぁほら。

 ディアの方も感じてコントローラー地面に落としちゃったよ。

 それをしっかり見逃さずにすぐさまコントローラーを前転して拾うパープル!

 

「このッ! うっ……!」

 

 ディアを反対方向に蹴飛ばしてコントローラーから離した!

 いいだろ~いいだろ~と見せびらかすように二つのコントローラーをひらひら。

 

「これで私もゲームができる」

「なんだと……!? ふざけるのも大概に、うあんっ!?」

 

 突っ込もうにもコントローラー握られたらも~逆らえない。

 なんでこんな致命的な弱点をそのまんまにしてんのかね?

 

 一方、悪代官と若娘。

 

「うううぅぅぅぅ……」

「なかなか癖になるわぁ。ちょっとコントローラーの方ばっかり見ていたくなるのはアタシだけかしら?」

「う……ウ……もう……」

 

 ひたすらくるくる回るフェアネル、もう余裕で涙目だね。

 そのへんにしたげなさいって。

 

「えぇ~? なぁにぃ~?」

 

 意地悪にふるまうんだからもう。

 

「もう……もうイヤやあああぁぁぁぁぁっ!!」

 

 ボンッ! という音が叫んだ後に背中にあるゲーム機から聞こえてきた!

 おぉおぉおぉ、煙! 煙! オーバーヒートしとる!!

 背中のゲーム機がずりっと落ちて地面にたたきつけられた!

 壊れたねこりゃ。

 ついでに腰にあるもう片方のコントローラーケースも落ちた落ちた。

 あ、足首にもパーツあったね。

 言い忘れたけどこれプロセッサユニットなんだって。

 本編で言ってた。

 

「……あら、もう壊れちゃった?」

 

 そう言ってなんかつまんなさそうにパープルの方へ行くアイリス。

 

「あっ……き、キミ達……ちょっ……」

 

 ディア、超いじられてます。腹の画面には先ほどのテンダムを操るシューティングゲームが。

 

「ねぷちゃん~、暇になっちゃったぁ~」

「ならこれ。はい」

 

 パープルハートが手渡したのはさっきのリモコンみたいなコントローラーじゃなくて、比較的一般的な4ボタンコントローラー。

 ん? どこにあったのそれ?

 と、しばらくディアを見ていると背中の方にもう一つゲーム画面が。

 青い線だけで描かれたF1カーとそのコースに景色。

 専門的な事を言えば、ベクタースキャンタイプのゲームなのだ。

 ……なんでコイツ2つ画面あんの?

 

「アタシのはこっちの?」

「ゲームの中身は結構有名なシリーズだけど、意外と綺麗でしょ?」

「言われてみればそうかも♪」

 

 女神二人、友達の家に遊びに来た感覚。

 

「い……い……いやああああぁあぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 ディアの叫びは無情にも響きわたったのだった……。

 はぁ……gdgd。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達に勝とうだなんて、2万年早いわ!」

 

 壊れたプロセッサユニットに向かって偉そうに言ってるけど、アンタ達結局ゲームしてただけでしょ。

 

「……確かに……さすがに遊びすぎてしまったわね」

 

 ほんとだよ! このお話の背景思い出してみてよ! 協定だよ!? 反対派のデモ隊だよ!? 政治要素入ってんだよ!? アンタらなにしてた!? コーラのシューティングにキャッチボールにさっきもゲームと遊んでばっかりじゃない!!

 アンタ達は何だ!? 女神でしょうが! 世界ほっといて遊び呆けてどこのダメ社長だ!

 

「言わせておけば随分汚い口きいてくれるじゃなぁい……」

「元を正せばこれは書いた人間であるあなたの責任よね……キャラクターに責任を転嫁するとはどういう了見かしら……?」

 

 え……あ……な、なによぉ? うわ!? ちょっ なにをする!? くぁwせdrftgyふじこlp

 

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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!!???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……とはいえ、どうしたものか……あのドラゴンも見失ってしまったし、ネプギアはどこへ……」

 

「心配ないわよぉ」

 

「……え?」

「さっきのぎあちゃんの声、聞いたでしょぉ? くよくよ悩んでた? ギアちゃんの顔を見て、暗い顔してたぁ?」

「ぷるるん……」

「アタシには綺麗で真っ直ぐな目しか見えなかったわよぉ……汚して泣かせたくなっちゃうくらいに」

「……じゃあ、心配せずに行きましょう」

 

 

 

……ちのぶんは、ろぐあうとしますた...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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