No.516653 超次元ゲイムネプテューヌmk2BURSTレオさん 2012-12-09 12:26:33 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:567 閲覧ユーザー数:555 |
先に動いたのはコンゴウだった。
走っている途中で身を捻り、拳を振り下ろしシンヤに殴り掛かった。
それをステップで回避し、逆にコンゴウの懐に潜り込こむ事に成功した。
そしてインパルスエッジを腹の丸く膨らんでいる部分に当てる。
其処は人間で言う肺の部分であり、攻撃を当てられたコンゴウは肺の中の空気を
一気に排出させられ、その動きを止める。
それを見たシンヤはコンゴウの背後に回りこみ、パイプの様な物を連続で切り付ける。
コンゴウはそれを良しとせず、パイプの様な物に空気を充填させ、一気に周りに放出する。
だが、シンヤは既にその射程外に出ており攻撃は当たらなかった。
そして放出が終わった瞬間にコンゴウへ接近し、一気に攻撃を叩き込む。
それをコンゴウは体を回転させて振り払う。それも回避する。
コンゴウは後ろへ大きく跳躍し、距離をとる。それを逃がすまいとシンヤはコンゴウに向かって走り出す。コンゴウもシンヤを近づかせまいと、何かを発射する様な動作をした。
下っ端を吹き飛ばした見えない何かと同じ動作だ。だが、シンヤはサイドステップでそれを回避する。
因みに、その見えない何かとは、ザイゴートも発射していた空気の塊である。
コンゴウはザイゴートと違い、空気をパイプで圧縮させた物を発射するのである。
ただ、基本的な攻撃方法等は同じなので、タイミング等を掴めば、新人のゴッドイーターでも簡単に回避が出来る。
攻撃を回避されたコンゴウはまたも何かを発射する様な動作をした。
だが今回は空気を飛ばす訳ではない様だ。
そして、発射する動作をした後、シンヤの足元に風が集まってくるのを感じ、其処からステップして避ける。
そして、一瞬ほど前まで居た場所から空気の爆発が起きた。
またしても攻撃を回避されたコンゴウは頭に来たのだろうか、体を丸めて転がり始めた。
が、ただ速度が速いだけであり、その動きは直線的過ぎるので、いとも簡単に回避され、シンヤに背中を向ける事になる。
それが、戦いにおいてどれだけ危険な事かも知らずに…。
シンヤは背を向けたコンゴウのパイプに連続で攻撃を入れる。
すると、パイプの一部が大きく欠け、その衝撃でコンゴウは前のめりに倒れた。
結合崩壊。中型以降のアラガミに見られる特徴の一つである。アラガミを構成しているオラクル細胞の結合が断ち切られ、其処から崩壊すると言う物である。当然であるが、崩壊した部分は防御か薄くなり、ダメージを入れやすくなる。
それを見たシンヤはニヤリと笑い、神機を捕食形態にすると、
「喰らっとけ!」
コンゴウの左腕に噛み付かせた。そして、神機がコンゴウから離れると、シンヤの体と神機が輝き出した。
神機開放モード。通称、バーストモード。
アラガミのオラクル細胞を取り込む事により、神機と使用者の能力を一時的だが飛躍的に上昇する。また、この状態でのみ神機を制御しているユニットが開放され、通常よりも強力なスキルを持つバーストスキルを使用する事が出来る。
バーストモードになったシンヤは一気に畳み掛けようとしたが、コンゴウが起き上がってしまったので、一旦距離をとった。
そして、シンヤの方を向き、ゴリラの様にドラミングを始めた。
怒りによる活性化である。この状態になると攻撃、防御、俊敏さ等全ての能力が上昇してしまう
が、コンゴウは中型の中でも弱い部類に入るので、大したリスクは無かったりする。そして、再びシンヤがコンゴウに向かって走り出した時、コンゴウの顔が不気味に歪んだのを見た。嫌な予感がしたシンヤは止めを刺すべく一気に接近して神機を振り下ろすが、
コンゴウはそれを大きく上にジャンプして避け、木の根の様な物に掴まり、シンヤの背後に回り込む―――――と思ったが
木の根を伝って進んでいった。
コンゴウの行動に疑問を抱いたが、その答えは、シンヤの背後に居る人物達が答えを示していた。
そう、ネプギア達である。
シンヤは先ほど、ネプギア達に隠れていろと言っていたが、此処には隠れる場所など存在しておらず、とりあえず邪魔にならない所でジッとしていよう、と言う結論に達し、遠くでジッとしていたのである。
全身から血の気が引いていくのがわかる。だが、ジッとしていたらネプギア達が喰い殺されてしまう。一瞬で判断したシンヤはネプギア達の下へ全力で走りながら叫んだ。
「逃げろ!!!」
「え?」
叫び声は聞こえのだろうが、その意味までは理解できず、シンヤの方を向いたまま立ち止まっていた。そして、コンゴウがネプギア達の前に着地する。
「グラァアアアアアアアア……」
「あ、ぁああ……」
その存在にネプギアはか細い悲鳴を上げていた。
当然だろう。自分達には倒せない存在がいきなり目前に現れたのだから。
さらに相手はモンスターの様に可愛らしい存在ではなく、全てを喰らい尽くす神々なのだから。
そんなネプギアに構う事無く、コンゴウは腕を振り上げ、今にも振り下ろさんとしていた。
其処へ
「ネプギア!!」
と、カタールを構えながら猛然とコンゴウへ突進するアイエフ。
少しでも注意を自分に向けさせようとしているのだ。
「ハァアアアアアアアア!!」
威勢のいい掛け声とともにカタールが振り下ろされコンゴウに当たり―――――
まるで鋼鉄にでも当たったかのように弾かれてしまった。
ここで、何故シンヤがアラガミと戦うなと言ったのか?その理由を説明しようと思う。
その理由は、『アラガミにダメージを与えられないから』である。
アラガミはオラクル細胞という単細胞生物が何万、何十万と集まったものである。
そして、オラクル細胞同士の結合は同じオラクル細胞でなければ断ち切る事は出来ないのである。つまり、アラガミに対して通常兵器は役に立たず、良くてこけ脅し程度にしかならないのである。だから、アラガミと戦うなと忠告したのである。
「……!?」
アイエフの表情が驚愕に染まる。だが、次の瞬間、それは激痛へと変わる。
コンゴウが標的をネプギアからアイエフへと変え、アイエフを殴り飛ばしたのであった。
ただ、背後からの攻撃だった為、殴ると言うより裏拳に近い形で、いきなりの事もあり、少し力が抜けており、致命傷にはならなかった様だ。だが、それでも十分なダメージであった。
「キャアアアアアアアアアアア!」
悲鳴を上げながらアイエフは地面を数回バウンドし、ようやく停止した。
「アイエフさん!?」ネプギアがアイエフの元へ駆け寄ろうとするが、コンゴウはもう一度拳を振り上げた。其処へシンヤが駆けつけ、コンゴウの肩に神機を突き刺し、そのまま力任せに斬り下ろし攻撃を中断させる。
「ネプギア! コンパ! お前たちはアイエフの所へ!」
「シ、シンヤさんは!?」少し戸惑いを見せるネプギアだったが
「コイツを引き付けておく! その間に治療を! アイエフを助けたいんだろう!? だったら早くしろ!」
と、一括するとネプギアとコンパはアイエフの所へ駆けて行った。
それを確認すると神機を捕食形態に変化させ、突き刺した部分へ噛み付かせる。そして、噛み付かせた部分から下の部分はボトリ、と音を立てて地面へ落下した。
「グラァアアアアアア!?」
あまりの激痛と自らの腕が落ちた事による恐怖にコンゴウが叫び声を上げて隙を作る。
だが、シンヤはそれを待つほど優しくは無い。このまま一気に畳み掛けようとした瞬間、背後から眩いほどの閃光が溢れ出した。何事だ、とシンヤとコンゴウは後方を向くが、未だ閃光は収まっておらず、思わず目を細めた。同時に「グギャァアアッ!」と言う声もしたので、コンゴウも光で目をやられたのだろう。
「これは…一体…?」
そして、少しずつ光が収まっていき、光の光源の正体が見え始める。其処に居たのは、
白いレオタードの様な戦闘服に身を纏い、巨大な片刃が付いた銃のような物を手にし、背中からは薄いピンク色の羽の様な物が付いたネプギアが居た。シンヤはその姿を此処ではない場所で一度だけ見た事がある。そう、シンヤが朝見た夢の中で一度見ているのである。ただ、一つ違うとすれば、目にハッキリとした闘志が宿っている事である。
「……ネプギア、なのか?」
確認するように尋ねると
「はい。だけど、今の私は、女神候補生のパープルシスターです」
肯定と否定の混じった返事をした。すると背後から
「グラァアアアアアア!」
と言うコンゴウの雄叫びが聞こえたので背後を見ると、またも体を丸めて突進してきた。シンヤは咄嗟に回避するが、回避した瞬間に、回避した先にネプギアが居た事に気付く。恐らくコンゴウの狙いはシンヤではなくネプギアだったのだろう。慌ててネプギアに向かって叫ぶ。
「避けろ!!」
だが、ネプギアは避けるどころか、コンゴウを手に持った武器で受け止めたのである。
さらに
「ハァアアアアアアアアアア!」
あろう事か、コンゴウをそのまま吹き飛ばしたのである。
「噓!?」
流石にこれはシンヤも驚愕せざるをえない。そんなシンヤにネプギアはこう言った。
「アイエフさんはもう大丈夫です。だからシンヤさんはあのモンスターを!」
その言葉にようやく我に返ったのか
「あぁ!」
そう返すとコンゴウに止めを刺すべく走り出した。コンゴウはそれを阻止しようと攻撃態勢をとるが、全身から血の様に赤い霧が放出され、中断された。
それを見たシンヤは更に走るスピードを上げた。コンゴウは立ち上がり攻撃しようとするが、全身に蓄積されたダメージと、片腕しかない腕が重なり、攻撃どころか立つことすらままならない状態である。そしてシンヤがコンゴウに連撃を食らわせ、最後の斬り捨てが止めに一撃になったのだろう。
「グラァアアアア…ア…ア」
断末魔を響かせながら巨体を地に沈ませた。それを見届けると神機を捕食形態にすると、コンゴウに噛み付かせる。そしてコアを回収したのだろう、神機がコンゴウから離れた。そして、コンゴウの体は消滅した。それを確認するとネプギアの所に走っていった。
「ネプギア! アイエフ! コンパ!」
「シンヤさん!」
接近を察知してネプギア達はシンヤの方を向いた。
「アイエフは大丈夫か?」確認するように問うと
「えぇ、其処まで大した事は無かったし」と本人がそう言った。
その言葉にほっと胸をなでおろす。
「そうか。良かった。…それと、悪かったな」と頭を下げた。その行動にアイエフは驚いた。
「え!? ちょ、ちょっと!?どうしたのよ!?」
「いや、俺がアイツを早く倒せなかったばっかりに、お前たちを危険な目に合わせてしまったからな」どうやら先ほどの事を気にしているようだった。だがアイエフは
「もう良いわよ。過ぎた事だし。それに私もそんなに大きな怪我じゃなかったから」と気にしていないようだった。
更にコンパも
「そうですよ、シンヤさんは悪くありません。だから元気出してください」などと励ます声を掛けていた。
「…そうか。ありがとう」そう言って笑顔を向けるとアイエフはネプギア達と同じ様に顔を赤く染めてしまった。
「そ、それより、ゲイムキャラは?」
話を逸らすようにアイエフがそう言った。それに合わせる様にゲイムキャラのある場所を向く。
「何とか、無事みたいね」
「あぁ。一時はどうなるかと思ったけどな。じゃ、協力してくれるように頼んでみるか」
そう言ってゲイムキャラの台座の前に移動する。
「あの…ゲイムキャラさん、お話宜しいですか?」ネプギアが尋ねると
『…初めましてですね、女神候補生』突如、頭に響くような声が聞こえてきた。
(!? これは…ゲイムキャラの…声?)シンヤが考えているとゲイムキャラが話を進めてきた。
『…其処の御方、まずはお礼を言っておきます。破壊されそうになった私を守ってくれて』いきなり感謝の言葉を述べてきた。
「いや、ただ壊されるのを見たくなかったから守っただけですよ」と謙遜した答えを返した。
その答えに『ふふっ』と少し笑って答えた。だが直に真面目な話に戻った。
『…女神候補生、今この時代に何が起きているか、眠りについていた私には知る由もありません…ですがあなたなら、この力を正しく使ってくれると信じています…』
すると、ゲイムキャラに光が集まり、それはネプギアの所へ向かった。ネプギアは水を汲むように手を組む。そしてその上部で光は消え、手の上に紫色をしたディスクが落ちてきた。
「わ…これが、古のゲイムキャラの力…?」
『そうです、この力を…あなたに託したいと思います。…それと、其処の御方。もう少し良いでしょうか?』
と、ゲイムキャラはネプギアの少し後ろに立っている人物に声を掛ける。その人物とは
「…? 何でしょうか?」そう、シンヤである。
『えぇ。…あなたは、この世界の住人ではありませんね?』
と、軽い様子で問うゲイムキャラに
「!?」軽く戦慄した。
「…何故、その事を?」恐る恐る聞くと
『あなたからは、不思議な感じがしたのです。
この世界の住人からは見れない、不思議な何かが…』と返された。
「え? それって…?」今度はネプギアが聞くと
『…詳しくは、私にも分かりません。ですが、あなたは普通の人間ではない。
それだけは確かです』と言うゲイムキャラに
「…まぁ、普通ではない事は確かですね」軽い様子で肯定した。
「話は、それで終わりですか?」と聞くと
『はい、それでは…』
少しずつ頭に響くような声が消えていき、そして、完全に消えてしまった。
「消えた…」
「…ま、協力してくれたから、それで良しとしましょう」
「そうですね。これもアイエフさんのおかげです」とネプギアが言うと
「はは、ちょっとばかし恥ずかしかったけどね」照れた様子でそう言った。
(……恥ずかしい事って、何だ?)思わず口に出しそうになりながらも、それをガマンした。口に出したら何かとんでもない事が起きそうだったからだ。
「ずるいです。あいちゃんばっかりギアちゃんと仲良くして…」とコンパはどこか悔しそうな表情をしていた。
「べ、別に仲良くとか、そういうんじゃ…そ、とにかく!イストワール様に報告しに行きましょ、ほら、早く!」と、急かされながらプラネテューヌへ戻るシンヤ達であった。
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中篇が二つに分かれてしまい申し訳ありません。
今回も無茶苦茶ですが宜しかったら見てください。
第六話(中篇)その2 ゲイムキャラを求めて…