No.516391

マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START 二十一話 明星作戦

モアイ像さん

明星作戦の話です

2012-12-08 20:35:25 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:8936   閲覧ユーザー数:8505

マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START

 

 

二十一話 明星作戦

 

 

日本帝国 SIDE

 

 

1999年8月5日、東京湾には帝国海軍連合艦隊と国連太平洋艦隊が展開していた

艦隊はある場所を睨むように囲む

 

横浜ハイヴ

 

地球上のハイヴの中で22番目に建設されているBETAの巣

このハイヴが完成すれば日本は壊滅してしまう

帝国にとって明星作戦は排水の陣であり活路でもあった

 

「艦長、時間になりました」

 

「では、本艦はこれより作戦を開始する、各員戦闘準備!」

 

艦内にアラームが鳴り響く、艦内は慌ただしく人が行き交う

艦に装備された主砲がBETAに向けられた

 

「一番から三番、対レーザー弾頭弾、装填完了」

 

全て整えた、あとはこの艦を指揮する人の声だけだ

艦橋は静かになり、波の音が聞こえてくる

静かに口を開き、力強く人類の敵に向かって高らかに宣言する

 

「対レーザー弾頭弾、撃てぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

主砲が火を噴き、周囲もそれに合わせるようにBETAの上空に弾頭が発射された

レーザー級は艦隊から発射された、対レーザー弾頭弾をレーザーで照射しながら次々と落とされて上空にねずみ色の雲が形成される

 

「対レーザー弾頭弾の撃墜率は、どうなっている?」

 

「九割迎撃され、重金属雲を発生しました」

 

「では、これより実弾による砲撃を始める」

 

艦隊から実弾が発射され、ハイヴに展開されていたBETAに向かって雨のように降り注ぎ地表で爆発する

煙が晴れるとBETAは健在だった

 

「くっ、忌々しいBETAめ、砲撃は断続的に続けさせろ!」

 

「了解!」

 

東京湾に展開された艦隊から多摩川沿いには一列に並べられた戦車が一斉に砲身を動かし狙いを定めた

全ての戦車が動きを止めると次々に砲撃が始まり、砲撃の間隔が規則正しく砲撃される

その間を赤い武御雷を先頭に白や黒の瑞鶴が後に続いて駆け抜ける

 

「これが桜咲の技術か――」

 

真耶はジャーチョーの性能に驚きながらトライデントストライカーを構え射撃

トライデントストライカーから放たれた弾は突撃級を撃ち倒す

 

「神代、巴、戎、これより光線級の殲滅に入る、付いて来い!」

 

『『『了解!』』』

 

4機の武御雷は要撃級の群れを切り込み、後方にいたレーザー級に接近、レーザー級のさらに後方にいた要塞級が触手を使い攻撃の動作に入る

2機の白い武御雷は、肩と腰に装備されている4基の水素プラズマジェットをさらに吹かし、左右に分かれ腕に内蔵されている短刀を展開する

短刀から細く長いプラズマソードが形成され装甲脚が空気を斬るように切断され胴体がその場に倒れこむ

倒れこんだ要塞級に、もう一機の白い武御雷が長刀を叩き切り、体内いたレーザー級まで切り倒していた

その三機をレーザー級は狙いを定め照射粘膜に光が収束するが、一瞬で薙ぎ払われる

 

「これほどの切れ味をだすとは、良い物を作り出したな桜咲」

 

独り言をぼやいていると、後方で突撃級や要撃級を撃破した部隊が追い越す

真耶は部隊の進軍ルートを確認し、進軍が遅れている部隊に支援に向かった

 

 

日本帝国 SIDE END

 

 

国連軍 SIDE

 

 

相模湾には何十隻のタンカーが戦艦に護衛され航行していた

レーザー照射範囲ぎりぎりまで到達するとタンカーのリフトが上げられ不知火が姿を現した

4基の水素プラズマジェットを使い勢い良く発進、同時に戦艦から支援砲撃が始まる

陸地にたどり着くと支援砲を装備した不知火が肩に装備した小型のレーダーサイトを作動させ支援砲を構えて撃つ、砲弾は一直線に要撃級を撃ち倒した

 

「すげぇ・・・一発で倒しやがった」

 

『ああ、シミュレーターでしか威力は分からなかったがかなりの威力だ』

 

「慎二、行くぞ」

 

『分かった』

 

ヘタレが乗る不知火は右手に装備したエクシアのGNソードに似ている武装で引き金を引く

発射されたのはビームではなくリニアライフルと同じ実弾だった

砲弾は突撃級の最も硬い甲殻を撃ち抜き沈黙させる

ヘタレは折り畳まれたブレードを展開させ近くにいた要撃級に向かって叩き込んだ

 

「吹雪よりも威力が違い過ぎる」

 

『考之、短刀でもBETAを紙切れのように斬れるぞ』

 

慎二がブラズマソードを展開した短刀を見せびらかすように振り上げる

思わずため息を尽きながらもヘタレは機体のステータスを見直す

機体は十分に戦闘が出来て残弾もあまり消費していない

訓練学校の時よりも操縦性が良く、逆に機体に振り回されるほどだ

ヘタレは機体を確認していると、突然センサーにBETAの増援が表示される

機体が何処まで出来るか、ヘタレに興味が沸き増援に表示された場所へ移動した

 

 

国連軍 SIDE END

 

 

大東亜連合 SIDE

 

 

「なんだ、ありゃ・・・」

 

A―01の進軍速度に誰もが驚愕している中、F―5フリーダムファイターに乗るタリサ・マナンダル少尉は真っ先に声を上げた

前衛にいる不知火は両肩と腰に装備した跳躍ユニットを巧みに使いこなしBETAの群れに突撃する

それに合わせ背中にバックパックを装備した不知火の肩に小型化されたレーダーサイトが稼働を始め前衛にいた不知火と動きを合わせながら狙いを定める

支援砲の砲撃が始まると両脚部に装備されたミサイルコンテナから一斉にミサイルが飛び出し先陣を切っていた突撃級を破壊する

中衛のポジションにいる不知火はリニアライフルに改修したXAMWS-24で正確に援護射撃しながら前衛が対処出来ないBETAを切り刻み右腕に装備されたガトリングモーターキャノンで小型種を一掃する

 

「国連でも作り出したって聞いてねぇ・・・あの上官、言い忘れただけじゃないんだろうな」

 

タリサは作戦前に帝国が新たに兵器を配備されたと聞かされ、アラスカ・ユーコン基地の“プロミネンス計画”参加前に、上官が態々転属がずらされ参加させられた

愚痴をこぼしていると突然戦術機が現れ、二丁のXAMWS-24を交差させながら360度にいるBETAを容易く刈り取ってしまった

刈り終え周囲が安全になると戦術機は後ろ向きに装備していた支援砲を持ち換えると狙撃する

弾は要塞級の片脚を一発で撃ち砕き、体のバランスが保てなくなった要塞級はその場に横倒れしてしまい足元にいたレーザー級を踏み潰す

そこに追い討ちとして頭部に穴が開けられ要塞級は完全に沈黙、戦術機はそのまま立ち去ってしまった

 

『パハール1、いまのは一体・・・?』

 

「知るか!これ以上、ヤツらに人の獲物を横取りさせてたまるか!」

 

タリサは戦術機の後に続くように進んで行った

 

 

大東亜連合 SIDE END

 

 

日本帝国 SIDE

 

 

帝国軍作戦司令部では各部隊のCP、モニターを釘付けする高官たちが驚いていた

横浜ハイヴの戦線は南北から少しずつ押し上げて包囲していく

 

「不完全な改修だけで戦線を押し上げるとは・・・」

 

「国連軍、さらに進軍速度が上がります」

 

「なに!?我が軍はどうなっている?」

 

「斯衛及び陸軍は予想以上に弾薬の消費が激しく、進軍速度が低下しました」

 

「被害は?」

 

「被害は軽微、作戦に支障ありません」

 

「「「おおおっ――」」」

 

「いかがでしょう、新装備に改修した戦力は?」

 

「香月博士、これほどの戦果をあげるとは、凄まじい装備ですな!」

 

香月博士は悠々と語るが言葉の奥に皮肉が交じっていた

帝国軍に呼ばれていたが「どうせ、官僚たちの愚痴を聞くだけでしょう」と言って駄々をこねて行きたくなかったらしい

まりもたちの説得?でなんとか作戦司令部に行き、明星作戦をモニタリングしていた

 

「それは良かったです、軌道降下部隊は?」

 

「6~7時間で目標の降下ポイントに着きます」

 

「そう・・・」

 

香月博士は静かに時計を見ていた

 

 

日本帝国 SIDE END

 

 

国連軍 SIDE

 

 

横浜の地に埋め尽くすBETAに向かってA-01とケニーは突き進んでいた

圧倒的な物量に対してリニアライフルの火力で削り、高周波ブレードで切り崩す

その後方から送れてタリサの大東亜連合がA-01の道をさらに広げる

 

「CPへ、指定ポイント到着、これよりポイントの防衛する」

 

『了解しました』

 

「それと作戦が終わったらデートしないか?」

 

ケニーのお誘いに通信が切られ、コクピットに搭載されたハロが冷やかした

 

『クラフト大尉、戦場でナンパはだめですよ』

 

「大尉は止めてくれ、ケニーと呼んでくれ慎二、それと熟女へのナンパはオレのアイデンティティーだ」

 

『そんなこと言われても・・・おい孝之もなにか言ってくれ』

 

ヘタレはBETAに蹂躙された横浜を見ていた

建築物はまだ残っているが窓が割れ、コンクリートは抉られ鉄骨が向き出し、駅名を記した看板はどうにか読める程度だった

 

「それ以上、故郷に入れ込むのは止めておけよ」

 

『どうしてそれを!?』

 

「先ほどから町を眺めているからだ、ヨコハマにもおいてきた彼女がいたのか?」

 

『孝之、おまえ・・・速瀬や涼宮以外にもほかの女から告白を・・・』

 

「隅にも置けないな~」

 

『いや違う!二人しか告白されていない』

 

「分かった分かった、ヘタレを弄るのはそのくらいするか」

 

『ケニーさんどうしたんですか?』

 

「ちょっと別行動するわ、あとよろしく」

 

『えっ?』

 

サンダーボルトⅡは跳躍ユニット起動させ、東京湾に向かって低空飛行を始めた

東京湾沿岸には戦艦からの砲撃で至る所に爆発の跡が残りBETAの体液の暗赤色が大地を染めている

 

「大分派手にやったな・・・」

 

「進行ルート、BETA!進行ルート、BETA!」

 

「時間に間に合わないな、突っ込むぜハロ!」

 

「了解!了解!」

 

サンダーボルトⅡは低空飛行を維持したまま、二丁のXAMWS-24を前方に向かって射撃

BETA群に穴が開けられ、BETAは襲撃者に狙いを定める

ケニーはそのまま突撃して囲まれるように立つ

無数の戦車級がサンダーボルトⅡに飛びつこうとするがXAMWS-24から展開されたプラズマソードに阻まれる

ケニーは機体を回転させながらXAMWS-24で正確に撃ち

取り囲むBETAは脚部を打ち抜かれその場に倒れこみ、突撃級が無闇に突撃させない状況になってしまった

その間を駆け抜け、後ろ向きに後退しながら支援砲に持ち換え射撃

次々と突撃級、要撃級、要塞級を打ち倒し、ある程度倒すと東京湾に向かって跳躍ユニットをさらに吹かした

 

 

国連軍 SIDE END

 

 

??? SIDE

 

 

夕焼けの太平洋に、一隻だけ所属を示す旗も番号も無いタンカーが浮かんでいた

船員は双眼鏡を片手に周囲を見張り、甲板には1本のロケットブースターを中心に6本のブースターが一つにまとめられ搭載されている

 

「船長、指定されたポイントに着きました」

 

「宜しい、艦首はヨコハマに向けて停止、あとは”プレゼント”が届くだけだ」

 

「分かりました」

 

「レーダー及びソナーはどうかね?」

 

「どちらも反応はありま・・・ソナーに障害発生!」

 

「来たか・・・」

 

海から水柱が出来上がり、GN粒子と水しぶきの中からセファーラジエルが姿を現す

肩、背部、脚に6基のGNプロトビットが装備され、重量感を物語っていた

セファーラジエルは艦橋に見せ付けるように機体を左右に揺らしロケットブースターの目の前に立つ

 

『作業員に告ぐプレゼントは受け取った、各員はお返しの準備せよ、そして我々が見たものは幻だ、頭の中から消しておけ』

 

「これがプレゼント・・・見たことも無い戦術機だ」

 

「跳躍ユニット無しでも飛行であり、水中でも移動可能、こんなものが作り出されていたのか?」

 

「おい、そこのお喋りしてないで作業を終わらせておけ」

 

「「はい」」

 

セファーのコアブロックがブースターに接続され、ブースターが静かに点火されていく

全てブースターが一つの轟音になり、甲板とブースターの間に電力が流れブースターが宙に浮き始めた

 

「リニアカタパルト出力上昇、進行ルートの風速は想定範囲内」

 

「ではコントロールを譲歩、発進させたのち我々は支部に帰還させる」

 

「分かりました」

 

ブースターのコントロールがセファーラジエルに移るとお礼するように右手を挙げた

リニアカタパルトが激しく光、勢い良くブースターを装備されたセファーラジエルがリニアカタパルトを走り横浜に向かって飛び去って行った

 

 

??? SIDE END

 

 

アメリカ SIDE

 

 

明星作戦の米軍を指揮する総合司令部は荒れていた

帝国と国連(一部の部隊)の進行スピードが速く、各部隊が対応出来ない状態だった

 

「バカな、たかが改修しただけで短時間のうちに包囲しつつあるだと!?」

 

「帝国軍、進軍を開始しました」

 

「国連、大東亜連合、各国軍は防衛線を張り停止」

 

「我が軍はどうなっている?」

 

「海軍は沿岸部を制圧中、軌道降下部隊は再突入ルート進行」

 

総司令はリニアライフルの威力に焦りと脅威を感じた

このまま作戦通りなれば五番目の立場が危うくなる

五番目の兵器を使えば立場を維持できるが、優位に進む状況の中で使用すると各国から避難され悪化する可能性があった

 

「地上部隊は速やかにゲートを確保、艦隊は支援砲撃を続けさせろ、軌道降下部隊は作戦を繰り上げるとペンタゴンに報告」

 

「了解ッ!」

 

 

アメリカ SIDE

 

 

国連軍 SIDE

 

 

A-01から離れたケニーは日本海軍の戦艦に着艦してMK57支援砲を構える

ドラムマガジンに太いコードが接続され、コードの先には擬似太陽炉が繋がっていた

擬似太陽炉が起動すると波で上下している中、精密狙撃用スコープで20キロ以上も離れたゲート周辺にいる要塞級に狙いを定める

ケニーの呼吸と揺れがメトロノームのように合わさり、トリガーを引く

サンダーボルトⅡを中心に衝撃が走り、GN粒子にコーティングされた砲弾は空気を切り裂き要塞級を抉り吹き飛ばした

 

「命中!命中!」

 

「まだ狙い撃つぜ!」

 

続けて狙撃すると突撃級は半分消失、戦車級は形すら残らず残骸が宙を舞う

レーザー級は照射範囲に移動するが、サンダーボルトⅡのレーダーサイトに捉えられて狙撃され、近くにいたBETAは攻撃を仕掛けようとするが戦艦の弾幕に防がれてしまう

ゲート周囲のBETAが掃討するとレーダーに高速で移動するロケットブースター付きのセファーラジエルが表示された

レーザー級は撃ち落とそうとするが高速で移動するセファーラジエルには当たらない

セファーラジエルはそのままゲートに向かって落ちロケットブースターを切り離し爆発を起こした

 

「やっと来たか・・・」

 

横坑(ドリフト)内部では異物を排除すべくゲート付近に集まるが、一瞬でピンクの光に飲み込まれてしまう

6基のプロトビットが駆け抜け、セファーラジエルは後に進んで行く

 

 

 

 

 

機体設定

 

 

不知火 A-01専用

 

不知火・アスカ機をベースに強化改修された機体

いまのA-01に合わせるように網膜投射システムを基準装備、ほかはアスカ機と同じ仕様

ただしアスカのような単独の戦闘ではなく、部隊での戦闘を目的としているため近・中・遠の3タイプに設計された

 

前衛タイプ

左腕はエクシアのGNソードを高周波・電磁投射砲に改造しスムーズに格闘、射撃が切り替え可能

右腕にはアスカ機と同じ折りたたみ式ディフェンスロッドを搭載、バッテリーの問題上レーザーは短時間しか防ぐことが出来ない

 

中衛タイプ

前衛が対処出来ない、中~小型種に対処するため右腕にサンダーボルトⅡのガトリングモーターキャノンを装備

弾倉はバランス・重量の問題上搭載されてない

 

後衛タイプ

サンダーボルトⅡ・ケニー機のデータを元にMK57支援砲を主武装し脚部にミサイルコンテナを装備、正確に砲撃を行うため小型化されたレーダーサイトを設置

ケニー機同様、電力の問題がありバックコンテナを装備され20パーセントも重量が増加した

 

 

あとがき

 

どうも~今回、明星作戦の話です

とりあいず前編みたいな扱いで、アスカ出番は次の話に

タリサは本来、誰が故郷を想わざるで1998年6月以降、アラスカの計画に参加して明星に参加していません

A-01の不知火はまだ強化されます(砲撃型や高機動型など)

そしてサンダーボルトⅡはコンデンサーを擬似太陽炉に変えて問題を解消しましたが搭載できないので戦艦に搭載して使用しました

 

 


 
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