No.515984 武装神姫「tw×in」 第二十話風麦梟さん 2012-12-07 21:24:06 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:388 閲覧ユーザー数:387 |
『行っくよー、なのです』
『いくっしょ!』
アルトレイネスとエルトバルズは近いお互いではなく、前のオレ達の方へ走った。バトルロワイヤルだけど、多分二人は戦わないようにインプットされているんだろう。
『行くよエンル、相手はエルトバルズだ』
「はい!」
向こうではキシレアがレイネスへ向かっている。
オレ達もエルトバルズ……ミルートはエルトと呼んでいたな、それに向かってダッシュを開始。
しかし、それほど進むことなく間合いが詰まった。
「は、早いっ!」
エルトのスピードはエステリル譲りか。まだキシレアとレイネスは接触していないのに、エルトはすでにエンルへどんな武器でも届く範囲にいた。
けど、それはこっちも同じ、
『攻められる前に行くんだ!』
「はい!」
エンルはダブルブレードを構え、片方の刃をエルトへと突き刺す。
『甘いっしょ!』
エルトは小剣:JLフォークブレードを取り出し、刃を受け流した。
やっぱり武器も二人の物か、だとして、固有レールアクションを使うとするなら……
『エンル、パイルバンカーに気をつけて』
「はい!」
ダブルブレードと小剣による攻防が続くが、さすがに小回りの効く小剣に部があり、徐々にエンルへ攻撃が当たり始める。
『間合いを取るんだ!』
ライフルを一発放ってエルトに回避させた間に後ろへとダッシュして間合いを取った。
「行け!」
エンルが指示すると、ビットが起動、ロックオンしたエルトへと2つの誘導兵器が向かう。
『そんなもので、アタシが捕らえられる訳ないっしょ!』
ビットが迫る中をエルトは正面から突っ込む。ビットが発見して弾丸を放つが、その間をエルトは潜り抜けた。
そこまで早いのか……でも、言ってしまえばそれだけだ。
ミルルが片方なので、エルトバルズも早さは凄いけど、実力は凄くない。今までの動きでそれは理解出来た。
ただ早いだけなら、何とかなる。
『エンル、作戦いくよ』
普段はその時その時に行動を伝えるが、まとまった場合、作戦という名前で全て伝えて動いてもらうことがある。今も、その時だ。
「分かりました」
『じゃあよろしく、エンル、勝ちに行くよ!』
「はい!」
エンルはライフルを放った、エルトは横にダッシュして回避し、こちらとの距離を詰める。
ビットを放ち、後を追いながらエンルも近づく。
先に到着したビットがエルトに弾丸を放つが、ジグザグに移動して避けられてしまう。
そこで再びライフルを放つが、エルトは回避、それと同時に、
『くらえっしょ!』
間合いに入ったのか、パイルバンカー:EVFベイオネットを構えてチャージを開始した。
こちらは回避も攻撃も出来る状態なのにチャージで威力上げか……やはり、初心者型のミスだ。
エンルはチャージをするエルトに対してダブルブレードを突き刺す。
と、チャージを終えたエルトもパイルバンカーを前へ突撃させた。
キィン!
互いの刃が掠り、ダブルブレードの刃はエルトの左肩、パイルバンカーの刃はエンルの右肩に刺さった。
ここから、パイルバンカーを起動させて爆発が起こるまでは、わずか数秒。最大までチャージしたその爆発はレールアクションに匹敵する威力を持っているだろう。
でも、
「いきます!」
爆発よりもエンルの行動が早かった。
手に持っていたダブルブレードをしっかりと握り、エンルはその場で大回転、エルトはダブルブレードの両の刃で切り刻まれた。
レールアクション、『ATK:ダブルブレード』だ。
『うわぁぁぁ!?』
巻き込まれたエルトは吹っ飛んでダウンした。
『ナイスアタックだよエンル』
「ありがとうございます!」
エンルに伝えた作戦は、遠距離武器でエルトを近づけさせ、パイルバンカーを使ってきたところにダブルブレードで相討ち、瞬時にアタックチェインに持っていくように。だった。
いくら早くても、あの一瞬は止まらなくちゃいけないからね。
『くぅ……油断したっしょ、だが、早さも勝負もアタシが負ける筈ないっしょ!』
起き上がるや否や、
『ぶっちぎる! っしょ!』
エルトはレールアクションを発動、身体を追おう武装が外れて変形を始めた。
あのかけ声……それに、対があの二人ならば、間違いない。
変形を終えた武装にエルトが乗り込み、ハンドルを握って加速した。
クルーザー型、ジルリバーズ型の固有レールアクション。
黒い重量感のあるバイクによる突進からのジャックナイフ攻撃。
『ヘリッシュ、クレイドル!』
黒煙を上げながらゴツいバイクが直進して来る。スピードはエストリル譲りで早い。
しかし、
「甘いです!」
エンルはタイミングを計り、バイクの前輪が触れる瞬間、上空へと回避した。
『なにっ!?』
急上昇。現在エンルの正式装備以外に着けているある武装の能力で、ブーストゲージを使っての真上の移動及び、回避行動。
対となった二人の共通点は、バイクによる移動。地上を高速で移動するもので、空中への攻撃には向いていないんだ。
バイクの変形が戻り、再びエルトの武装となり身を包む。それを上空から見ていたエンル。
『行くよエンル、新たな技を試す時だ』
「はい! マスターと一緒なら、必ず出来ます!」
『「レールアクション!!」』
オレとエンルの声が重なり、今度はエンルの武装が外れて変形を始めた。
「これこそ、天翔る天使の牙!」
リアパーツを中心とした支援機:ラファールへと搭乗。それによるガード無効の突進攻撃。
「グランニューレ!」
遥か上空から舞い降り、エルトへと向かい、
『うっ……!』
ガッシャーーン!!
『うわぁぁぁぁ!?』
無防備に立っていたエルトに突撃した。
おそらく、固有レールアクションの気迫で動けなくなったんだろう。
『ま……負けたく……ない……っしょ……』
そう言い残して、エルトは動かなくなった。
「勝ちました、ね……マスター……」
エンルが息切れ切れに言う。先ほどのヘリッシュクレイドルを避けるのも、エルトのように気迫で動けなくなってもおかしくなかった。それだけ気を張った返しが今来たんだ。
『大丈夫? エンル』
「はい……少し、休めば、すぐに治ります。まだ、終わりではありませんからね」
そう、コレはバトルロワイヤル。まだキシレアとレイネスがいるんだ。
『キシレアとレイネスは決着がつくまで戦うと思うから、今の内に休んで』
「はい、今の内に、スキルポイントも…」
その時、
ボンッ!
『うひゃあぁ!?』
爆発音と、レイネスの悲鳴が聞こえた。
「!?」
慌ててエンルが向いた方向には、
『うぅ……くや、しい……な……』
倒れて動かなくなるレイネスと、パイルバンカー:ロークを構えたキシレアが立っていた。
「フンッ……手こずらせたが、ワタシの勝ちだ」
パイルバンカーを終い、エンルを正面に見る。
「どうやらそちらも終わったようだな。さぁ、初めよう。ワタシ達のバトルを!」
指を突きつけるキシレア。だがその途端に、膝がガクっと曲がった。
「キシレアさん!?」
「っ……! あぁ、問題無いぞマスター。少し、気が抜けただけだ」
さすがにレイネスとのバトルのダメージがあるんだ。
「キシレアさん、私たちはお互いボロボロです。もうミルートさんの目的も果たしましたし、また日を改めませんか?」
そう提案するエンル。自分もボロボロだし、キシレアを思っての言葉。こんな状態で戦いたくないんだろう。
「情けは無用だ! エンル!」
しかし、キシレアは提案に乗らなかった。
「マスターはまだ戦えると言った。ならばワタシは、我が名に刻まれた騎士の如き忠誠心で、この身朽ちるまでマスターに付き従うだけだ!」
「キシレアさん……」
そうか、キシレアの名前の由来って、騎士なんだ。
「……分かりました。私も戦います! マスター、一緒に戦って下さい!」
『もちろんだよエンル。必ず勝とう!』
「はい!」
とは言っても、ダメージは相当なもの。それはあちらも同じ。
だから、一撃で決める!
『「レールアクション!!」』
エンルと再び声が重なる。支援機:ラファールへと乗り込む。
「レールアクション!」
一方のキシレアも、レールアクション。それも、ストラーフmk.2型の固有レールアクション。
武装が外れ、支援機へと変形。
「殺戮の始まりだ……」
支援機:ウラガーンに仁王立ちで搭乗するキシレア。グランニューレと対をなす、ガード不能の突撃攻撃。
「ジャーヴァル・クルイク!」
エンルもまた、再度のレールアクション。
「グランニューレ!」
天使と悪魔の固有レールアクションが、
「いっ、けぇぇぇぇ!!」
「ハァァァァァァァ!!」
ガッシャーーーーン!!
「引き分け、か。まぁこちらとしては良いデータが取れたから良いけどね」
ミルートの研究室、パソコンを操作しながらミルートは呟いた。
「……この決着は、また今度だ」
「うん、また今度ね」
大体は勝敗が付く主月とのバトルだけど、今回は引き分けに終わった。引き分けって珍しい筈だけど、この数日でもう二回目。これって結構な確率なんじゃないかな。
「ありがとね2人共、おかげで良いデータが取れたよ。何かお礼しないとね」
「礼などいらん。上木と戦えただけで充分だ」
「そう? じゃあ宗哉は?」
「オレも別にいいよ」
前はエンルの武装を貰ったけど、今回はそういうのが無いからね。
「そっか、あ、じゃあ1つ情報を提供するね。ルーフェ、ミルル」
「はいは〜い」
「はーい」
ルーフェとミルルがオレと主月に一枚の紙を、エンル達には人間サイズの紙が一枚渡された。
「コレは……」
「大会のチラシみたいですね」
「大会なのです?」
スレイニ、エンル、コナユキが言ったように、それは神姫センターで開かれる大会の日付等が書かれたチラシだった。
「日時は明日の……え、ちょっと待って、この大会って…」
「知ってるのかい?」
それは、昨日話していた神姫ポイントの高い大会だった。
「昨日、真南や天野、木部と出ようって話になってたんだよ」
「へー、そんなに知ってる顔が出るんだ」
するとミルートは、凄い事を伝えてきた。
「それね、ボクが主催した大会なんだよ」
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