(「・・・面倒くせぇなぁ・・・」)
スパーダは教室で机に突っ伏していた。
「来週に学内交流があります」
ホームルームの時間、スパーダのクラスの先生が、こう言った。
学内交流――この小学校では、毎年学習の一環として授業時間を使って、上級生と下級生が一緒に遊んだり、勉強したりする(しかし、その時間内に何をするかは児童が自由に決められるので、ほとんどの児童が遊ぶことを選ぶ。)。6年生は1年生、5年生は3年生、4年生は2年生と交流する。
(「げっ・・・・・・」)
スパーダはこの学内交流が好きではなかった――むしろ、嫌い――と言うより、苦手だった。
スパーダを見るとほとんどの下級生が怯えるからだ(怖がらないわずかの下級生は、スパーダに憧れている児童だ)。
小学5年生にして、スパーダはケンカが強く、そのことは同学年だけでなく、上級生、下級生にも知れ渡られており、恐れられていた。
実際に、去年の学内交流では、下級生はスパーダに怯えて近寄ろうとしなかった。
(「はぁ・・・」)
そのため、スパーダは先生のこの話を聞くと、どうしても憂鬱になってしまった。
(「面倒くせぇな・・・」)
その日のホームルームの後、スパーダはいつも以上に憂鬱になっていた。
そして、来週――
「では、1班から3班の人は3年の教室に移動して下さい。4班から6班の人は、教室に残ってくださいね」
(「げっ、移動かよ・・・」)
スパーダは2班なので、3年生の教室に移動しなければならなかった。
学内交流だけでも嫌だというのに、その学内交流をするためにわざわざ移動しなければならないことで、スパーダはイラついていた。
「スパーダ、何イラついてんだよ?」
スパーダと同じ班で班長である少年がスパーダに声をかける。この少年はスパーダの低学年からのいたずら仲間―悪友であり、スパーダと仲が良かった。そして、気さくでまとめるのが上手な少年のため、リーダー役を務めることがよくあった。
「別に、イラついてねーよ・・・」
「ふーん・・・まっ、3年の教室に行こーぜ」
スパーダは嫌々ながらも、友人のあとについて行った。
スパーダたちが、3年生の教室に到着する。
「2班はどこだー?」
班長であるスパーダの友人が教室に入るやいなや、そうクラス全体に声をかける。
「はい、こっちでーす」
教室の一角からリーダー役をやっていそうな雰囲気の女の子が、こっちに向かって大きく手を振る。
友人は、その女の子がいるところ向かって歩く。
スパーダは面倒くさそうに、うつむき加減で友人のあとを付いて行く。
だから、気づかなかった――
「・・・あ・・・・・・」
この前出会った少年がその班にいたことに。
「・・・あ・・・・・・」
この前出会った少年が、スパーダを見て驚いたように声を上げた。
スパーダも、この前出会った少年が自分と組む班にいたことに驚いていた。
(「・・・この前の泣いてたやつ・・・!?」)
(「・・・あのときの人!?」)
2人とも互いを見たまま、何と切り出せばよいか迷って、何も言えずにいた。
スパーダの友人が、2人が黙りこんでいるのに気づいて
「・・・スパーダ、どうした?もしかして、この子と顔見知り?」
そう、スパーダに尋ねる。
「あー、・・・まあな・・・」
スパーダが気まずそうに答える。
友人が少年の方を見る。
少年はスパーダに何か言いたそうにしている。
「・・・・・・」
友人は少し何かを考えた後、少年に向かって言う。
「なあ、きみ3年の2班?」
「えっ、あ、はい」
「俺たち5年の2班なんだ。よろしくな!」
「あ、はい。よろしくお願いします」
少年は慌てたように応える。
それに友人が笑顔で応える。そして、スパーダの方を向く。
「スパーダ!お前もあいさつしろよ!」
「?ああ・・・スパーダ・ベルフォルマだ。よろしくな」
「あっ、ルカ・ミルダです!よろしくお願いします!」
少年――ルカ・ミルダは少し上ずった声で―――――そして、明るい声で―――スパーダ・ベルフォルマに応えた。
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TOI-Rの現代パロの2話目です。