「ほら、アイシアこっちに座って。今日の主役なんだから」
「そうですよ、アイシアさん。今日はアイシアさんの誕生日なんですから」
今日はアイシアの誕生日だ。
初めはアイシアとデートして過ごそうと考えていたのだが、彼女はとある理由でもう何年も友達や親しい人がいなかったのだ。
だから俺はこの日にいつものみんなを集めてパーティをすることにしたのだ。
さくらさんや渉たちはすぐに俺の考えに賛成してくれた。
まぁ、デートは別の日にする予定なのだが。
「みんなありがとう。あたしのためにこんなパーティをしてくれて」
まずはみんなからアイシアにプレゼントを渡した。
杉並はあいつの趣味のオカルトグッツ、杏はサンタクロースのコスプレ衣装。
杏は渡しときに
「そろそろクリスマスだしね……」
そうしてフッと笑ったが一体何を考えているのだろうか。
そしてさくらさんは
「今日は義之くんを独占してもいいよ、特別にね」
「何言ってるのよさくら。特別にねも何も義之くんはあたしの彼氏なんだからね」
こうして他のみんなもプレゼントを渡し終えたのだった。
「わぁ、このケーキ義之くんが作ったの? ありがとう、凄く美味しそうだよ」
「喜んでもらえて良かったよ。ほらアイシア、ろうそくを吹き消して」
「にゃはは、ろうそくかぁ。アイシア、ろうそく何本いるんだろうね?」
「ちょっとそれどういう意味? さくら」
「えっ? どういう意味ってそのまんまの意味だけど」
「さくらにだけは言われたくないわよ」
「義之くん、最初の一口は義之くんに食べさせてほしいなぁ」
そうして可愛く口を開くアイシア。
俺はみんなが見ている前で恥ずかしかったのだが期待したようなアイシアの顔を見たらもうそうするしかなかった。
「……あーん」
「あーん。…………うん、美味しいよ。ありがとう、義之くん」
「良いなぁ、アイシアさん。私も弟くんにあーんってしてもらいたいのに……」
「さすが義之ね。見せつけてくれるわ」
「義之、アイシアさんとイチャイチャしやがって。俺も彼女と……」
「やるな、さすが桜内。板橋、お前にそんな相手はおらんだろうが。……なぁ~に心配するな、後で俺がゆっくりと付き合ってやる」
「……お前らなぁ……」
周りのみんながあれこれ言っている。
それでもアイシアが笑っていてくれるならこういうのも良いかなと思った。
……いや、からかわれるのは勘弁してほしいが。
「……やっぱり、あんなこと言うんじゃなかったかなぁ。アイシア、さっきもいった通り今日だけだからね? クリスマスはボクが義之くんとイチャイチャするんだから」
「あはは、残念でした。クリスマスの日も他の日ももう義之くんは予約済みです」
アイシアは本当に楽しそうに笑っていた。
パーティが終わり、音姉と由夢は朝倉家に戻り、渉たちも家に帰ったので芳乃家の居間には俺とアイシアの二人だけだった。
さくらさんは先程風呂に入ってくると言ってこの部屋にはいない。
「楽しかったよ、あんな風にお祝いされるのほんとに久しぶりだったから。もうずっと期待しないようにしてたから」
「そうか、でも楽しかったなら良かったよ。……ちょっと目を瞑ってもらえるか?」
何、何?という感じで目を瞑った彼女の首に俺はそっとあるものをはめた。
この日のために貯めていたバイト代を使って買ったプレゼント。
値段は結構したがそれはアイシアに似合うと思った。
「ほら、誕生日プレゼント俺だけまだ渡してなかったから」
「うわぁ、綺麗。ありがとう。これ何ていうの?」
そういった彼女の首には青紫色をした石のついたペンダントがぶら下がっていた。
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アイシア、誕生日おめでとう。
タイトルはこんなんですが、クリスマスとか全く関係ない話です。
タイトルは気にしないでください。
正直、デートの話とかの方が良かったかもと思いましたが、それはまた別の機会があればということで……