ドォォォォン
そこに大皿が運ばれてきた。皿の上には、大きな豚野郎が乗せられていた。そして、その表皮の上には、野菜や魚などの供物が置かれていた。
「これから、我らの晩餐を執り行う。」
アマゾネスの中でも一際屈強な女戦士は、高らかに宣言した。
その声に応えて、テーブルを囲む他の屈強な女達も、咆哮を上げた。
女達の前には、杯が並べられ、真っ赤な液体が注がれていく。
そして………一瞬の静寂の後、「いただきます。」と各々が呟く。
歓談の中、豚野郎の表皮から次々と供物が取り去られていく。
そして、その瞬間は来た。例の屈強なアマゾネスがが、
豚野郎にぶら下がったウインナーを箸でつまむ。
ま、ままずい。これはまずい。私は、必死に抵抗する。
しかし、千切れんばかりの力で、ぐいぐいと引っ張ってくる。
例の一際屈強な女戦士…名はリンダと言った。
彼女の部族は、食料が大変乏しい土地で生きながらえ、
その過程で、『食』に対して並々ならぬ信仰と掟があった。
そして、生まれながらにして、部族を率いる者として、
育てられた彼女にとって、それは、生命と同じだけの価値があった。
掟には、「一度つかんだ物は死んでも離すな」というものがある。
リンダが戦っているものとは、まさに、それである。
そして、リンダは左手にナイフを構えた。
…しかし、その瞬間。は、箸が折れてしまったのだ。
「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ。」
リンダは、激怒した。
リンダの母マンダは目を伏せた。そして、近くに居る戦士に、
一言二言伝えた後、茫然自失となったリンダを連れ去っていった。
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某所で割り箸の割るのを失敗した様子を小説でアップロードするとかのお題で作った作品。男の子向けの作品。2012年5月頃に執筆。