とある家族の出会い ~美紗+α編~
正史三国志の登場人物の中に、雷薄、そして陳蘭、と言う人物がいる。二人とも、生没年も字も不明ながら、正史にはしっかり記述の残る人物で、袁術公路と言う名の人物に仕える者達だった。
だった、と過去形で表記するのは、実はこの二人、途中でその袁術という主君を見限り、野に下ってしまっているからだ。その理由は、袁術が皇帝を僭称し、放蕩三昧な生活を送るようになったため、二人ともそんな主君に嫌気がさしたが故のことである。
その後、野に下った二人は
さて、雷薄と陳蘭のその後であるが、一度は
「……とまあ、以上が正史における雷薄、および陳蘭の半生なわけだが」
「そりゃいいけどさ。……それが、俺を呼び出すのに何の関係があると?」
今、俺がいるのはユグドラシルの中央、ヴァルハラの一階にあるリビングルームである。そしてこの俺、外史の管理者第132席、挟乃狼の前には、一人の青年が相対して座っている。長い黒髪をポニーテールにし、フランチェスカの制服を羽織の様に纏った、裃の袴を履いたその青年の名は『戦国』。俺と同じく甲級管理者であり、席番は142。なんでもリアルでは帰国子女なんだそうで、値は真面目だし時折鋭い指摘をすることもある将来がとても有望な奴だけど、それでいてどこかフランクな印象も強い、まあ、俺や他の古参管理者にとっては弟分みたいな感じだな。
「いや実はな?とある恋姫外史にだ、その雷薄と陳蘭が存在する外史があったんだ」
「へーえ。……って、ちょっと待って狼さん。“あった”っていうことは、もしかして」
「……ああ、残念ながら、その外史はもうとっくに、終焉を迎えてる。ほぼ、原作の呉√に沿った形でな」
「……その、雷薄と陳蘭はどうなったんです?」
「そう、だな。本題に入る前に、その時の事、教えておくか。……あれは俺が袁術、美羽を起点に始まる、そんな外史を探していたときだ。一刀が美羽に初め拾われ、彼女と共に物語を紡いで行く、そんな世界を見つけた。そして……」
「そして?」
「……正直、いまだに思い出したくない、嫌な世界だった、よ……」
そうして、俺はその時の事をポツリポツリと、戦国に語って聞かせ始めた。メインヒロインである筈の美羽、そして七乃こと張勲に、彼女に拾われた一刀や雷薄と陳蘭に訪れた、その、余りにも悲しい物語の顛末を……。
始まりはまあ、言っちゃあ悪いがテンプレ乙、だった。突然、見知らぬ大地に放り出された、恋姫世界の主人公である北郷一刀に、三人のチンピラたちが金を出せと剣を持って迫る。で、そんな一刀を助けるのが、趙雲こと星と、郭嘉こと稟、そして程昱こと風、の三人だったりするのも、まあお決まりといえばお決まりだ。
けど。
その外史ではそこからが違っていた。確かに、星たちによって一刀は助けられるわけだが、いわゆるこれもまたテンプレの一つである真名呼びによって、一刀は、先ほど自分を助けてくれたばかりの星の手によって、瀕死の重傷を負わされてしまったのだ。
確かに、恋姫世界における真名と言うのは、本人の許可無く呼んだら殺されても文句の言えないものであることに違いは無い。しかし、それでも、一度きりに限り、『訂正』によってそれを回避する手段も用意されているものだ。けれど、その外史ではそれが適用される事無く、勝手に風の真名を呼んだ一刀は息も絶え絶えな状態にされたまま、哀れにも星たちにその場に放置されてしまう。
初っ端からこれほど酷い扱いの外史、俺はこれまで見たことが無かった。そりゃまあ確かに、世の中には彼を酷い扱いしている連中が結構居るが、まさか、物語の序盤も序盤で、彼を死の淵に落とすような外史にお目にかかろうとは思わなかった。
そして、そんな彼を救ったのが、誰あろう袁術こと美羽と、そのお付である七乃、だった。ちょうど、その付近に現れたと言う賊を討伐し、その帰りに、地面に血まみれになって倒れる一刀を発見し、人助け半分、興味半分で、彼女らは一刀を保護。彼の応急手当をしつつ、美羽たちの本拠である南陽へと運んだ。
その後、辛くも一命を取り留めた一刀は、命の恩人である美羽に忠誠を誓い、彼女に仕える事になった。しかも、珍しい事に彼は北郷一刀としての名を名乗るのではなく、史実において七乃、張勲と肩を並べる将軍だった
これもまた、この外史を珍しい外史の一つとして、俺の記憶に焼きつけている要因の一つだな。
そしてそこで、やっと件の二人が出てきた。
雷薄と陳蘭。
雷薄の方は、ソバージュにした亜麻色の髪の少女で、何故だか白衣みたいな服を着た、のほほんとした雰囲気を纏う、おっとり系キャラ。
陳蘭の方は、真桜こと李典の着けるそれに酷似したゴーグルを身につける、如何にも学者然とした感じの少々ツンケンした態度でいる青年。
ただし、この時の二人はまだ、真名というのを持っていなかった。まあ原作でも真名を持ってないのはいるし、別に珍しいことじゃあないけど。
まあそれはさておき、橋蕤になった一刀は七乃や雷薄、陳蘭とともに、美羽の指揮の下日々を過ごし始め、黄巾の乱、反董卓連合と順調にシナリオを消化して行く。そして群雄割拠の時代に突入し、美羽たちもまた、その勢力を拡大して行くわけだが、やはり、美羽に待っていた末路は、他のほとんどの外史と同様の未来だった。
『孫家による反乱』
史実とも演義とも違う、恋姫外史のみにおけるこのイベントにより、美羽は全てを失って没落。以後、七乃共々行方不明になってしまう。そして一刀はというと、雷薄と陳蘭の手助けによってかろうじて孫家の追っ手から逃げ切り、二人とともにとある地へと逃げ込んだ。
そう。
史実において、雷薄と陳蘭が立てこもった、あの『灊山』に、だ。勿論、史実の雷薄たちがしたような、山賊紛いの行為は彼らはしなかった。それどころか、近隣の邑を襲う小さな賊を討伐し、人々からは多大な感謝を得ていたほどだ。
しかし、この外史はよほど、彼らの存在が疎ましかったのだろうか。ささやかな幸せ、それを慎ましやかに過ごす一刀達に、世界は全く容赦が無かった。それは、一刀達がいつもの様に、周辺に現れた小勢の賊を討伐するためにと出向いた、寂れた寒村にて起こった。
「なんだあ?誰もいないじゃねーか」
「ですね~。……なにかの~、間違い~、だったんでしょうか~」
「それならそれに越したことはないけど……」
彼らが賊の出現を告げる報を受け着いたその目的地には、賊兵どころか人っ子一人見当たらなかった。そこにあったのは、人が住まなくなって随分経つであろう、かつて邑の跡だけだった。
「誰も居ないんなら、俺たちもここに居たって仕方ねえ。とっととねぐらに戻ろうぜ」
「そう、だな」
「……待って~下さい~、二人とも~」
「ん?どした雷薄?急に……って、これは……馬蹄の音?」
「北のほうからか?少しづつこちらに来ている集団がいるようだ」
情報がガセネタだったと判断した彼らは、もはやそこに用も無いとして、自分たちの本拠へと帰還しようとした。しかし、それに雷薄が始めに気づき、そして陳蘭と一刀も揃って気がつく。自分たちの居る場所のはるか北の方角から、相当数の集団と思しき馬蹄の音が聞こえて来ていることに。
「どっかの官軍かよ?おい、とっととこの場を離れたほうが良いんじゃないか?」
「ですね~。官軍と関わったりしたら~、どうせ~、ややこしいことに~、なりますし~」
「俺も賛成だ。何しろ、元偽帝軍所属だしな、俺たちは」
もしこのまま官軍と鉢合わせ、彼らが元は帝位を僭称した袁術に仕えていたということが明らかになれば、どう考えてもただで済むとは思えない。良くて虜囚の末に流刑、悪ければ即座に斬首という可能性もある。
それに少なくとも、一刀はまだ袁術と再会する事を諦めてはいないし、雷薄も袁術の態度如何によってはもう一度だけ、彼女を信じてみようと思っている。唯一、陳蘭だけは二度と、袁術と関わりたくないと思っているが、一刀や雷薄が着いていくというなら、自分も従う気では一応いたりするあたり、割と律儀だったりするが。
話がそれたが。
一刀たちがその場を離れようと軍を返し、出立しようとしたその時。どこに潜んでいたのか、それは突然に鳴り響いた。
≪ジャーンジャーンジャーン!≫
「なっ!?銅鑼の音?!い、一体どこから」
「一刀!陳蘭!あそこ!」
「あれは……孫家の旗印!しまっ……っ」
罠。
それに彼らが気づいた時にはすでに、手遅れであった。見れば、誰も居なかったはずの廃墟化した邑のあちこちに孫家の赤い旗が翻り、そして鬨の声とともに物陰に息を潜めていたのであろう孫家の兵たちが次々に、彼らへと襲いかかってきたのだった。
「ちくしょうっ!孫策のアマ!ここまで周到に罠をかけるほど、俺たちが憎いのかよっ!」
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎いってか!?孫策……っ!自分だって、美羽に、袁術に保護されていなければ今の自分はなかっただろうに!被害者ぶって手のひらを返すのが孫呉とやらのやり方かよっ!」
「二人とも!うじうじ言ってないで手を動かして!何とか血路を……っ!」
三人とも、突如として襲い掛かって孫家の兵たちを相手に、必死で奮闘する。まだ死ねない。こんなところで死ぬわけにはいかないと、雷薄は鉈を模した愛刀を、陳蘭は自前の改造弩を、そして一刀は袁術から賜った袁家
しかし、結局は多勢に無勢でしかなかった。一刀らが率いていた兵はその数およそ五百ほど。対して、孫家の兵力は確実に五千を超えており、さらに、先ほど北方から寄せて来つつあった軍勢が加わると、勝敗はもはや覆しようのない状況となったのだった。
そして。
「うあっ!?」
『雷薄っ!?』
雷薄の肩口に、それはついに突き刺さった。孫家軍の後方から放たれた矢が、奮闘していた雷薄をついに捉え、そしてさらに雨のような無数の鏃が彼女へと無慈悲に降り注ぎ、雷薄はその全身をハリネズミのような姿にして、ついに、力尽きた。
「……かず、と……くん……蘭、ちゃん……ご、めん、ね……さき、逝ってる、ね……」
「雷薄さんっ!」
「らい、はく……?……く……っそおおおおおおっ!」
「陳蘭?」
雷薄の息絶える様を見た陳蘭が、その彼女の瞳が閉じられると同時に、大きく咆哮した。そして、手の中の弩を別の、広域乱射のできる形へと変え、彼は一際目立つ孫家の赤旗を目指して単身、突撃を開始し始めた。
「陳蘭!止めろ!戻って来いっ!一人でどうこうなんて出来るわけが……っ!」
「おおおおおおおああああああっ!手前らあああああっ!よくも、よくも、雷薄をおおおおおおおっ!殺す殺す殺す殺す殺す殺すっ!手前ら全員、ぶっ殺してやるああああああっ!うおあああああっ!」
一刀の静止の声も、もはや陳蘭の耳には届いていなかった。雷薄の仇をこの場でとる、その事だけに、彼の意識は囚われてしまっていたのだ。ありったけの矢を次々と乱射し、彼は怒涛の勢いで孫家軍の本隊と思しき所へと駆けていく。手持ちの矢のすべてが尽きても、今度は弩に剣を装着して銃剣の様な形にし、慣れないはずの近接戦闘を繰り返して。
だが、彼の最後の意地も、結局は通じなかった。
「孫策ぅあああああっ!出て来いいいいいいいっ!俺がこの手でテメエをころ、がっ!?」
「陳蘭ー!」
「あ、な、なんだ、これ……おれの、胸、矢が生えてんぞ……?」
そう。どこからともなく放たれた一本の矢が、陳蘭のその胸板を正面から貫いていた。そしてその彼の少し先の場所に、おそらくはその矢を放った当人であろう、弓を構えた一人の妙齢の女性が険しい顔つきで彼のことを凝視していた。
「こう、がい、かよ……っ。へ、へへ……お、同じ弓使いとして、ひ、密かに尊敬してた、あ、あんたに殺られるとは、な……ぐあっ!」
痛みにより意識の朦朧とし始めた陳蘭の体に、今度は近くにいた兵士の剣が振り下ろされ、彼が弩を持っていたその腕がぽとりと地面に落ちる。
「陳蘭ーっ!」
「……へ、一刀……んな、なさけねえ顔、すんじゃねえよ……?ああ、おまえ、か。……迎えに、来てくれたのかよ……はは、わあってるよ……そんな、急かすんじゃあねえよ……悪ぃな、最後の最後まで、手間ァかかる相方で、よ……あばよ、かず、と……袁術に、あ、会え……」
そこで、彼は地に臥した。自らが愛しながらも、結局、それを告げることなく先に逝った、愛するその少女の顔を最期に幻視し、なぜか満足げな笑みを、その顔に浮かべて。
「……と、いった感じ、だな」
「……んっだよ、それ。救われなさ過ぎだろ、その外史……」
「……まあ、な。……ただ、一つだけ救いがあったとすれば」
「あったとすれば?」
「……一刀は結局、その後気を失った状態で死体に紛れる形になってな。ただ一人だけ、その命を拾ったんだ。そしてその後、遥か南の交州において、美羽と七乃の主従と劇的に再会。三人揃って遥か南方の地へと逃れて、誰も知らぬ土地でひっそり、幸せにその生涯を送りました……で、話は終わってるんだよ」
「そっか……」
シン、と。わずかに流れる沈黙の時。話をした俺も、それを聞いていた戦国も、かの外史の悲しさに暫し言葉を発する事無く、胸中にてのみその想いを馳せる。
「……さて、それじゃあ本題に入るんだが。戦国、ちょっとこっちに来てくれ」
「え、あ、ああ」
何時までも黙りこくっていた所で何も始まらないわけで、俺は意を決して彼を促しリビングから別の場所へと移動する。ヴァルハラ内の三階部分にある俺の作業ラボへと。
「……ここが狼さんの作業ラボ、ですか。なんか、色々なのがおいてありますね」
「まあな。練金学を修めて以降、色々研究三昧してるから」
「……練金学って、いわゆる練金術と何か違うんですか?」
「まあ一言で言えば、錬金術の方は今で言うところの化学の基礎になった学問だな。物質の組成そのものを自在にコントロールしようとして、結果的に化学反応による組成変化技術に行き着いた……そんな感じなわけだ」
「はあ」
「で、練金学の方だが、こっちはどっちかって言うと、いわゆる魔術と物理科学の融合ってやつだな」
「魔術?魔法のことですか?」
「いんや。よく誤解されがちだが、魔法と魔術はその根本から違う。魔法って言うのは、その字の通り世界の法則、理そのものに干渉するための理論だ。才能の無いやつには決して出来ない、完全に無から有すら生み出せる、本当に神の領域に入るような業さ。で、魔術ってのは、こちらもその字の示すとおり、術、つまり、ちゃんとした手順を踏み、その理論を理解し、そして機械的なサポートを受ければ、才能に関係なく誰でも使えるようになる。普段使ってる家電品を、対して知識が無くてもボタン一つで使える現代社会のようにな」
ゲームなんかに登場する魔法も、言葉的には魔法と呼ばれては居るが、どっちかって言うとアレはそういう意味では魔術の方に分類すべきだろうと、俺は思う。某魔法少女世界の魔法がまさにこれに近いな。
「ま、魔法や魔術云々については、興味があるならまた今度、じっくりレクチャーしてやるよ。それはさておき、だ。戦国、その
「Ⅶ、ですか?えーっと……ちょ!これって……!」
話を本題に戻した俺に促され、戦国がラボの中に並ぶ幾つかのポッドの内、Ⅶのナンバーの書かれた、半透明のポッドを見る。そこに入っているのは。
「……まさか、これって、さっきの」
「……ああ、あの外史の“雷薄”だ」
「……もしかして、回収してたんですか?」
「まあな。あの外史の記録を見てるうちな、どうしてもそのままにしておけなくなってしまってよ。まだ五体満足に残っていた彼女の身体を、魂ごと回収してきたのさ」
「……蘇生、出来るんですか、彼女?」
「ああ。身体の修復も終ったし、魂の方も一部形成し直したけど、ほとんど人格を変えずに治せたよ。新しい名前も着けたし」
「新しい名前?」
「そ。“
これが七人目。ちょっと紹介順がずれたけど、新しいウチの家族はもうじき、その目を覚ますだろう。……あの外史での記憶は綺麗さっぱり流したし、生まれ変わった新しい人生、これから謳歌してくれることを祈りたいもんだ。
「……狼さん。じゃあその、陳蘭の方は」
「……陳蘭の方も、な。回収はしようとしたんだよ。けど」
「けど?」
「……身体の方は、正直、損傷が酷くて無理だった。そして魂も何とか回収はしたんだが、こっちも欠損が酷くてな。正直、このままじゃあ治しようが無い」
「そんな」
「で、そこでお前さんの出番が来るわけだ」
「へ?」
そう。陳蘭の魂、それを修復するその為に、俺はわざわざ戦国にここまで来てもらったってわけだ。
「実はな、陳蘭の魂を調べて分かったんだが、彼とお前さんの魂魄の波長が良く似てるんだよ」
「そうなんですか?」
「ああ。それで、だ。戦国、お前の魂魄から分け御霊を創って、彼に同化させてやってくれないかと思ってるんだ。正直、それしか他に手段も無いんでな。他の他人の魂と混ぜたら、全くの別人になってしまう可能性が高いしよ」
「……いいですよ」
「ほんとに?」
「ええ。……雷薄、いや、美紗、ですっけ。彼女も目が覚めたときに、かつての仲間が居る方が嬉しいでしょうしね。それに」
「それに?」
「……陳蘭のほうも、やっぱり、もう一度、前のままの自分で、彼女に会いたいと思うんじゃないかなって」
「……分かった。なら、早速作業に入るか。分け御霊の創り方、お前さんもう知ってるよな?」
「はい」
それから暫く後、戦国が産み出した分け御霊を受け取った俺は、陳蘭の魂とそれを人工子宮である「クライン・イデオム」へと封入。二つのそれらがゆっくりと混ざり合って行く間に、例の世界の陳蘭の身体から採取してきた遺伝子を使い、彼の新しい身体を生成し始めた。その際、戦国の提案もあって、陳蘭が使っていた例の改造弩もさらに改造し、『零黒』と言う名も着けておいた。
そして、およそ半年後。
「千ちゃ~ん。居る~?」
「ああ、居るけど。……んだよ、また買い物に付き合えとか言わないだろうな?言っとくけど、俺はもう二度とゴメンだぞ?」
「だ~いじょうぶ、だ~いじょうぶ。別に下着売り場とか行かないから~。さ、そういうことで~、行きましょう~」
「って!行き先がどうこうじゃなくてだな……っ!おいこら美紗!ちっとは俺の話を聞け!」
蘇生の上手く行ったあの二人は、今、とても元気でやっている。なんだかんだでいいコンビぶりを周りに見せ付けつつ、過去の事はすべて忘れ、現在の毎日を謳歌しているようだ。ちなみに、美紗は俺の娘ってことで、ユグドラシルにその生活拠点を置いているが、陳蘭こと、戦国命名の新しい名前、『
「……まあなんだ。千州の奴、尻に敷かれちゃあ居るけど、あれはあれで幸せなんだろうかね?」
「かもね。微笑ましくていいじゃない」
「だな。さーて、今度はそろそろ朔耶の奴が目を覚ます頃だし、最後の調整に行ってきますかね」
「朔耶、ねえ……あー、目覚ますの、嬉しいやら困るやら、なんか複雑……」
「そう言ってやるなよ。……ま、一応、ちっとは自重するよう、言い聞かせておくからさ」
「お願い……」
次に目を覚ます予定になっている、新しい娘の一人であるNo
そんな俺達がラボに入った頃、揃って出かけた美紗と千州はというと。
「……おい」
「ん~?な~に~?千ちゃん~」
「確かに、ここは、下着売り場じゃねえよ。けどな」
「けど?」
「……み、水着売り場も却下だ却下!俺はもう帰る!」
「まあまあ~、いいじゃないですか~。千ちゃんも~、目の保養が~、出来て~嬉しいでしょう~?」
「目のやり場に困るだけだっての!」
「ほらほら~、これなんてどうかな~?今年~、流行~、間違い無しの~、最新作~」
「ああ?……ぶっ!?そ、それおま、ほ、ほとんど紐じゃねえか?!」
「にゅふふ~。千ちゃんってば真っ赤っか~♪かーわい」
「るっせい!いいから早く服を着ろおおおおおお!」
「にゅふふふ~」
とまあ、そんな微笑ましいやり取りをしている、バカップルが一組、そこに居たのでした。
おわり。
と言うことで、今回の家族物語は、現在仲帝記に登場中の、雷薄こと美紗と、その相方である、陳蘭こと千州の回でした。
そして、千州のキャラ提供者である戦国氏にも、作中にご出演いただきました。
さて、もうじき今年も12月。
残る一月の内に、カオスマンセーなもしもの姉妹と、一丸氏の修行ssを最低限、終らせたいとおもってます。
北と仲も、せめて、あと一話づつ位は投稿が目標です。
ではまた次回、別のお話にてお会いしましょう。
再見~!w
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ウチの家族の出会い物語り、その続きは美紗でございます。
そして、彼女と一緒にもう一人、戦国さんから戴いた陳蘭こと、
千州も今回は登場します。
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