これは、現代人である「篠崎柾棟」が以下にして『外史』と呼ばれる異世界に行く事になったかの物語りである。
人には長い人生の中で誰にでも訪れる人生の「分岐点≪ターニングポイント≫」と呼ばれる物がある。
例えば・・・・・・・・・
あの時、選んだ選択肢ではなく、別の選択肢を選んで入ればとか。
今の仕事では無く、他の仕事を選べば良かったとか。
今、一緒にいる妻では無く、別の女性と結婚をすれば良かったとか。
あんなヤバイ物には手を出さず、友人が言っていた様にやめておけば良かったとか。
楽をしようとなんてしないで、ちゃんと努力をしていれば良かったとか。
等々、上げればキリがないだろう。
俺こと『篠崎柾棟』の場合で言えば、人生の「分岐点≪ターニングポイント≫」は「あの日」に訪れたと言えるだろう。
現代side
某県、某所にて
学校帰りの学生や部活を終えてこれから帰宅しようとしている学生達が歩く通学路を、俺……「篠崎柾棟」は昔からの家族ぐるみで友人同士でもある。「柴崎 努」と「神蔵 仁」と一緒にそれぞれが所属する部活動を終えて自宅に向かって歩きながら、お互いの門下生達の最近の出来事や世間話をしながら歩いていた。
柾棟「努・仁、 最近どうだ? 柴崎家や神蔵家の門下生達は?」
柾棟が自分の右側を歩いている青年「柴崎 努」と左側を歩いている青年「神蔵 仁」に柴崎家や神蔵家の門下生達の事を聞いた。
努「ああ、俺ン家の連中は相変わらずだよ柾さん。 『アイツら』俺や師範代補佐の継美おばちゃんや康雄のおっちゃんが目を離すとす~ぐサボったりすっからさ~、真面目に薙刀を頑張ってる門下生や一生懸命頑張って強くなろうとしている新しく入った門下生達を見習って欲しいもんだよ。 まったく!」
柾棟の事を『柾さん』という愛称で呼ぶ努が言った『アイツら』という言葉を聞き、柾棟は顔をしかめて言葉を紡いだ。
柾棟「まったく、あの『薙刀三馬鹿』連中は相変わらずなんだな。 いっその事、継美さんや康雄さん達と一緒に努が灸を据えてやればいいんじゃないか?」
努にそう告げる柾棟
努「ああ、柾さんが言ったとおり昨日の鍛錬終わりに継美おばちゃんと康雄のおっちゃん達と『薙刀三馬鹿』連中に特別メニューとして俺・継美おばちゃん・康雄のおっちゃん達とで直々に鍛錬してやる事になってるよ」
柾棟「それなら、あの三馬鹿連中も少しは懲りるだろう。 で? 仁の方はどうなんだ?」
柾棟が左側を歩く青年「仁」に質問する。
仁「いや、俺の方は特に無いなそういう事。 寧ろ前向きに頑張る子達ばかりだよ。 最近じゃ、新しく入った子達も弓道に携わる者の心得を理解してきた様で「一矢、一矢」射る事に進歩しているのが良く解るしさ。 顔つきも最初の頃と比べれば良くなってきてるよ。 そういう柾棟の方はどうなんだ?」
仁が柾棟に質問をする。
柾棟「ウチの連中はサボったりとかはしないよ。 俺や爺ちゃんや師範代補佐の茂盛さんがいるからさ(笑)」
柾棟は笑いながらそう告げた。
努「確かに、柾さんや龍弥師匠に茂盛のおっちゃんを含めた三人を相手にそんな事をしたら後が怖いわな~(苦笑)」
仁「柾棟は龍弥先生に似て怒らせると怖いからな(苦笑)」
それを聞いた努と仁は柾棟と柾棟の祖父である『篠崎龍弥』に師範代補佐である茂盛がサボった門下生を説教している場面を思い浮かべて二人揃って苦笑していた。
柾棟「おいおい、二人揃って苦笑しないでくれよ」
二人の苦笑した顔を見て柾棟は二人に抗議した。
努「悪い、悪い、柾さん」
仁「スマン。 でも、正直な話あの『お説教』は俺も勘弁だな」
努「それは俺も仁に同意だな」
柾棟「おいおい、頼むからそこは否定してくれよ」
そんな遣り取りを交わし合いながら・・・・・・
「「「ぷっ……あっはっはっ!?」」」
三人はお互いの顔を見合わせて吹き出しながら大笑いするのだった。
その後も、会話は弾み話題は三人の共通で大好きな『恋姫†無双』の話になっていき、柾棟がよく読んでいる「恋姫二次小説」や『劉邦柾棟』というユーザー名で自身が登録している「TINAMI恋姫小説」の話になっていった。
しかし、「楽しい時間はあっという間に過ぎる物」とは良く言った物だと言わんばかりに、三人それぞれが自宅に向かう分かれ道にいつの間にか来ていた。
努「ありゃ~、今日は此処でお開き見たいだな」
仁「そうみたいだな」
柾棟「そうだな。 それじゃあ、努・仁。 また、明日な」
努「おう、柾さん! 仁も、また明日な」
仁「じゃ、また明日な お二人さん」
努の言葉を切っ掛けに仁と柾棟も同意し、三人はお互いに別れの挨拶を交わしてそれぞれの自宅に向けて歩き出した。
しかし・・・・・・
これが親友である努と仁との最後の別れの挨拶になる等とは、この時の柾棟は知るよしもなかったのである。
その後、二人と別れた俺は自宅に帰り着き、日課である鍛錬をする為に自分の部屋に行き胴着に着替えて道場に向かい、爺ちゃんに課せられた鍛錬メニューをこなしていった。
まず、初めに木刀を両手で持ち正眼に構えながら・・・・・・
唐竹からの逆風。
袈裟に逆袈裟。
右薙ぎ、左薙ぎ、斬上、逆斬上、刺突。
振り下ろし、切り返し、薙ぎ払い、突き穿つ。
以上の「コレ」らを千回ずつを10セット素振りしながら、時に遅く・時に早く・時には目を瞑って型を意識しながら素振りを繰り返した。
昔、子供の頃に初めてやらされた時は、今の鍛錬内容とは違い木刀の素振り千回をやれと言われた。
当時の俺は「素振り千回何て出来る訳が無い!?」っと、爺ちゃんに向かって叫んでいたのが今では懐かしくも情けない話だ。
何せ、「やる前から諦めて」いたんだからな。
出来る訳が無いって、そんなんじゃ何も達成出来る訳が無い。
大事なのは「出来るか、出来ないか」ではなく、「やるのか、やらないのか」という事なんだから。
ちなみに、今日は門下生達の稽古は休みの日なので道場には俺一人だけである為、静まり返る道場に俺の声と木刀を振るう音だけが響いていた。
鍛錬を終え、汗だくになった俺は風呂に入り汗を流してさっぱりした後、母さんから「晩御飯の準備が出来たから運ぶの手伝って」と言われたので料理を運びながら居間に向かうと既に父さんと爺ちゃんがおり、俺にテーブルに出来たばかりの晩御飯を置いていき母さんが最後の分を持って来たので家族全員で夕食を食べた。
夕食後、俺は母さんと一緒に後片付けを手伝っていると、母さんが急に何かを思い出したのか様に俺にこう告げて来た。
母「そうだった。 柾棟、今日の昼頃に貴方宛の荷物が届いたわよ?」
そう母さんから聞いた俺は心当たりが無かったので
柾棟「俺宛の? いや、俺は別に何か注文したとかは無いけど」
そう、母さんに返した。
母「あら、そうなの? でも、柾棟が忘れているだけかもしれないし、確認して見たら? 荷物は貴方の部屋に置いてあるから」
柾棟「……わかったよ。 母さん」
俺は何か引っ掛かっる物を感じたが、取り敢えず頷く事にした。
片付けを終えて俺は自分の部屋に向かい、部屋に入ると例の『荷物』とやらが置いてあった。
柾棟「『コレ』が、さっき母さんが言っていた俺宛の『荷物』か」
見かけは普通のダンボールで梱包されていてガムテープで口閉じをされている物だった。
一見してみれば只の『荷物』にしか見えないが、身に覚えの無い物が届けば誰でも「何か怪しい」、「爆弾等の危険物の可能性もある」と思うのは当然である。
しかも、俺の名前や住所を知っている。
これらが意味するのは「俺の命を狙っている者がいる」という事だが、いかんせん開けない事には「俺の思い過ごしか」、「そうで無いのか」が、判らない状況である。
柾棟「・・・・・・・・・・・・」
俺は『荷物』を睨みながら悩み続け、部屋の時計に目を向けて見れば、俺が部屋に来てから既に数十分が経過していた。
柾棟「……はぁ~、いつまでもこうしている訳にはいかないな。 仕方がない、開けて見よう」
俺は意を決して『荷物』を開ける事にした。
口を閉じているガムテープを外して蓋を開けてみる。
すると、ダンボールの中にあったのは・・・・・・
柾棟「……『鏡』?」
何故か、『鏡』だけがダンボールの中に入っていた。
それを見た柾棟は・・・・・
柾棟「……よく壊れ無かったな~。 この手の物には壊れないように新聞紙とかで包んだり、中身にかかる衝撃や圧力を和らげるためのものは緩衝材とかを入れたりするのにそういった物が一切無いなんて何を考えているんだ? コレを送って来た相手は?」
ありえない梱包の仕方に柾棟は、この『鏡』の送り主に対して呆れてしまうのだった。
柾棟「取り敢えず、変な物とかで無くて良かったよ」
中身を確認し、危険な物等で無かった事に安心する柾棟だったが、少し気になる事があった。
柾棟「(でも……この『鏡』って、よく見ると『銅鏡』……だよな?)
柾棟が気になった事・・・・・それは、この『鏡』が「恋姫†無双」に登場する『銅鏡』と「同じ物かもしれない」という事だった。
柾棟「(まさか・・・・・・ね?)」
俺は内心冷や汗をかきながらも『鏡』をダンボールに戻して邪魔にならない場所に片付けると机の上にあるパソコンの電源を入れ、いつもの日課である「TINAMI恋姫二次小説」を読んだり、「恋姫ラウンジ」に顔を出したり、他の「二次小説投稿サイト」の更新状況をチェック等をしたりして、俺は有意義な時間を過ごした。
それから4時間が経過し、そろそろ寝ることにした俺はパソコンの電源を切り、部屋の電気を消してベッドに入り就寝した。
そして、柾棟が寝てからしばし経った頃にダンボールにしまった『鏡』が光り始める。
『鏡』が光っている事に眠っている柾棟は気づく事も無く、光りが柾棟と部屋を包み込み光りが治まった時には柾棟の姿は何処にも無かったのである。
This story is to be continued
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どうも、劉邦柾棟です。
他の作品が滞っているのに、思いついたので書いて投稿しました。
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