No.512118

武装神姫「tw×in」 第十九話

風麦梟さん

ライバル×一対バイクライダー=

2012-11-25 16:45:12 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:417   閲覧ユーザー数:417

「ふざけるなよ」

ミルートの言葉に、主月は異議をたてた。

「オレが上木と組むだと?」

「うん、それで戦ってもらいたい相手がいるんだ」

「わざわざタッグということは、相手は二人だな?」

「もちろん」

「ならオレが1人でやってやる。そして勝った後、上木とバトルするんだ……オレの、ライバルと」

「……っ」

ライバル、と言った瞬間、ミルートは笑いをこらえるように息を飲んだ。

「マスターとこの人はライバルなのです!?」

「そうだ、そしてワタシとエンルもまた、ライバルだ」

「そうなのですかエンルさん!?」

「え、えっと……」

エンルは困るようにオレを見て。

コナユキはエンルに問いかけ。

スレイニはやれやれとため息を付き。

ルミアはわくわくとしていた。

どう説明すればいいか……

主月は、熱血系主人公のクールな、しかし心の中では別ベクトルな熱血ライバルキャラ、みたいな性格をしている。

主月に初めて会ったのは、数ヶ月前神姫センターで開かれたある大会、その決勝戦の場。その時のパートナーはエンルで、決勝の相手が、一緒に出た真南を破った主月とキシレアだった。

結果、勝利したのはオレ達で、大会の表彰式終了後、主月が声をかけてきた。

『次は負けないからな』

その日はそれだけだったが、数日後、ミルートに呼ばれて研究室に行くと、そこには主月の姿があった。

『手伝ってもらうことにしたよ』

大会の時、気晴らしという理由で見に来ていたミルートがスカウトしたらしい。

それ以降、ことあるごとにバトルを挑んでくるんだ。結果としては、勝ったり負けたり、実力は同じくらいかな。

別にバトル事態は受けるんだけど、ライバルって、言われると少し恥ずかしい。

キシレアもまたマスターに忠誠を誓っているので、大会で負けたエンルをライバル視している。

まぁ、別に悪い人ではないんだ。うん。

「戦ってもいいけどさ、ここに来た意味が無いじゃん」

「上木と組むのだけは断る」

「はぁ……仕方ないね」

ミルートは装置に何か手を加えた。

「はい、とりあえず妥協案として4人のバトルロイヤル方式にしといたから」

本来のタッグバトルでは、パートナーの攻撃は当たってもダメージにならない。しかしバトルロイヤルはいわば一対一対一対一、四人による総当たり戦のため相手全てにダメージが当たる。

「……仕方ねぇな」

主月も納得し、ミルートは説明を始めた。

「今回の相手は、宗哉には一度見せたツインワン神姫二人だ」

「ツインワン?」

初耳の主月は首を傾げた。

「ツインワン、とはなんなのです?」

コナユキも首を傾げていた。

「二人の神姫を一人にした良いとこ取り神姫、とだけ言っておくよ。一人目は宗哉が戦ったけど、それからまた新しいツインワン神姫が出来上がったんだ」

ミルートはツインワン神姫の元となった神姫が入っている2つのスライドに手を触れる。

「ただしここにはもう元は入ってないから、どのツインかは、これを見てくれ」

パソコンに視線を移させ、ミルートがキーボードを操作すると、一人の神姫が現れた。

「まずは一人目、ツインワン神姫試作第1号。『一対戦乙女型』アルトレイネス」

この前戦ったアルトレイネスがディスプレイに表示される。この対の片方が、コナユキだ。

「ふわぁ……初めて見る神姫さんなのです」

コナユキにその時の記憶は無いみたいだ。

「戦乙女型神姫二人か」

理解した主月が言うと、ミルートは頷いた。

「こっちはもう大分安定してるから、少し強めに設定しておくよ。で、二人目が、コレだ」

ディスプレイに新たな神姫が写し出された。

「名付けて、ツインワン神姫試作第2号。『一対バイクライダー型』エルトバルズ。何を対にしたか分かるかな?」

「あぁ、あたしのやつだね」

ミルルがさらりと答えを言ってしまった。まぁ名前の文字で分かってはいたけど。エストリル型とジルリバーズ型のツインか。

二人は共に同じ会社、アフォンソファクトリーで造られた神姫で、エストリル型はモトレーサー型。ジルリバーズ型はクルーザー型と、どちらもバイクをモチーフにして造られている。そう考えれば、似たところがあるのかもしれない。

ディスプレイには、エストリル型のように丸みを帯びた髪で、ジルリバーズ型のように後ろでポニーテールを結んでいる。ただし髪の長さがエストリル型のそれなので、とても短い。

「こらこらミルル、せっかく悩む2人を見ることが出来ると思ったのに」

「いや分かってたぞ。バイクライダーは二人しかいないからな」

「ふむぅ……まぁいいや、とりあえず、二人とバトルロイヤルで戦ってもらうよ。戦うならそれをさっさと終わらせてからやればいいからさ」

「言われなくてもそうさせてもらう。やるぞキシレア」

「了解だマスター」

「宗哉もよろしく」

「うん、分かった」

さて、誰で行こうかな……と、いつもならば考えるところなんだけど。

「エンル、よろしく」

「はい! マスター!」

 

 

Ride on!

 

 

今回のフィールドは工場。フィールド全体が坂だったり、台や柱などの障害物があったり、更に、とても広いのが特徴だ。

フィールドの中心にある半透明の柱の回りに、オレ達と主月達は降ろされた。

『あー、あー、2人共聞こえるー?』

上からミルートの声が聞こえた。

『うん、聞こえてるよ』

「はい、聞こえています」

「こちらもだ」

少し離れた場所にキシレアが立っていた。その身はストラーフmk.2型の正式装備に包まれている。

『じゃあ今から二人を出すから、ちょっと待ってて』

ミルートの声が聞こえなくなった。

『エンル、その武装の具合はどう?』

「はい、特に異常はありません。レールアクションも使えると思います」

エンルが身に付けている武装は、前にミルートからもらったレッグとリアパーツを含めた、アーンヴァルmk.2型のもう一つの正式装備、ペガサスモードと呼ばれている機動力重視の武装だ。

コレで使える固有レールアクションに合わせて、なんとなく武器もいつもとは少し変えてみた。

ダブルブレード:M8ダブルライトセイバー

ライフル:LC5レーザーライフル

ビット:リリアーヌ

普段あまり使わない武器で揃えてみたけど、フィールドが工場で良かったな。ランチャーやハンドガンよりも使えるだろう。

その時、エンルとキシレアの前に二人のネイキッド素体が降り立った。

「アレがツインワン?」

それを見たキシレアが首を傾げた時、素体が光に包まれる。光が消え、先ほど見た二人のツインワン神姫へと姿を変えた。

キシレアの前にアルトレイネス。エンルの前にエルトバルズが立った。

『キミ達が、今日の相手なのです?』

レイネスが訊ねた。前に戦ったエンルの事は覚えてないみたいだ。

『フンッ、どんな相手だろうと、倒してやるっしょ』

エルトバルズが喋った。やはり口調は対となった二人を足したような感じだ。

『少し待っててね、今準備するからなのです』

『今の内に覚悟しておくがいいっしょ』

二人が言うと、その身体を光が包み、武装が取り付けられていった。

レイネスは前にも見た白と黒の戦乙女の武装。

一方エルトバルズは、やはり対となった二人の武装を混ぜたものだった。

特徴的なのが、スカート、レッグ、リアパーツにとそれぞれについた計四個のタイヤ。二人の元の武装と同じように、エルトバルズも変形させてバイクを使うのだろう。

「おい、エンル、そしてそのマスター」

不意に、キシレアが声をかけてきた。

「はい? 何ですかキシレアさん」

「マスターからの伝言だ。協力は一切しない、互いに正面のを各個撃破し、残ったワタシ達がバトルをするぞ」

つまり、オレ達の相手はエルトバルズか。

『うん、分かったよ』

「はい、分かりました」

「せいぜいやられないようにな、キサマを倒すのは、このワタシだ」

その時、ツインワン二人の武装が終わり、同時にミルートの声が聞こえた。

『準備出来たから開始するよ。バトル方式は総当たり戦バトルロイヤル。天使型アーンヴァルmk.2型のエンル対、悪魔型ストラーフmk.2型のキシレア対、ツインワン一対戦乙女型アルトレイネスのレイネス対、ツインワン一対バイクライダー型エルトバルズのエルト』

全員の型と名前を言った後、開始の合図が……

 

 

Ready…………Go!

 

 

今、された。

 


 
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