No.511786

魏エンドアフター~天下一品武道会・始~

かにぱんさん

(゚∀゚ )

2012-11-24 18:57:42 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:9842   閲覧ユーザー数:7224

やってきました大会当日!……はぁ。

ぉぉ……呉、蜀の方々がぞろぞろとやってくる。

いくら三国武将だといっても相手は女の子なわけで

しかも皆さんかなりの美人さんなわけで

 

憂鬱だ……マジで……はぁ。

 

華琳「さっきからため息ばかりね」

 

一刀「俺にもいろいろと事情があるんだ」

 

そんなことを話していると

 

「か~~り~~~ん!」

 

「華琳さ~~~ん!!」

 

華琳「雪蓮、桃香、久しぶりね」

 

雪蓮「そうねぇ、平定記念の宴以来だし♪」

 

桃香「はい!お久しぶりです♪」

 

華琳「ずいぶんと機嫌が良いみたいだけれど?」

 

雪蓮「当たり前じゃない、久しぶりに暴れられるんだから♪」

 

桃香「皆もすごく嬉しそうでしたから!」

 

本当に嬉しそうだな……この人たち

 

雪蓮「あら、君は御使い君じゃない?」

 

桃香「あ!十文字の人!」

 

一刀「……北郷一刀です」

 

雪蓮「?、どうしたの?この子」

 

華琳「気にしなくていいわ、大方戦う相手が女の子だから落ち込んでいるんでしょう」

 

さすが華琳さん、ビンゴだぜ

 

雪蓮「ずいぶんとあまく見られたものね。これでも乱世を生きぬいたんだけど」

 

いや、なんていうかそうゆう問題じゃないんです

なにやら華琳が孫策さんに耳打ちしている

 

桃香「お優しいんですね~」

 

そう言ってくれると嬉しいよ、涙が出ちゃうね。

 

華琳「こいつは相手が女の子だとバカみたいに優しくしてしまうの

   だから気にしなくていいわ」

 

バカみたいって……いや、もう好きに言ってくれ

 

雪蓮「へぇ……まぁいいわ。そういえば貴方が消えたのは役目を終えたからだと聞いたんだけど」

 

一刀「うん?あーまぁそうなるね」

 

雪蓮「戻ってきたって事はまた何か役目ができたってこと?」

 

 

 

 

 

 

 

…………。

 

 

 

 

 

 

 

華琳「…………」

 

そういえば……俺はここに戻ってくるときになんて言われた?

 

「お前の役目は終わっていない」

 

役目……俺の役目?それが何なのかはわからないけど

それを終えたらおれはまた……

いやまて、さすがにそれは……それはあんまりだろう……!

グっと拳を握る

 

華琳「一刀?」

 

一刀「あ、あぁなんでもない。俺が帰ってこれたのは皆が望んでくれたからだよ」

 

いいようもない焦燥感を打ち消すために

 

一刀「俺の役目は魏の皆を、皆の笑顔を守る事だ」

 

まっすぐ雪蓮の目を見て、言った。

 

雪蓮「へぇ……ふふっ♪」

 

桃香「ふぇ~」

 

くそ、なんだってんだよ……。

 

ムニっ

 

ん?

 

雪蓮「君、なかなかかっこいいじゃない?」

 

孫策さんが腕に抱きついてきた

 

一刀「え、ちょ、あの孫策さん!?」

 

桃香「はい!その思いはとてもすばらしいと思います!」

 

劉備さんは俺の手をとり跳ねている

 

うおお、む、胸が!とても魅惑的な感触が!!

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

 

……ん?

 

華琳「ふふ……ふふふ、一刀、ずいぶんと仲がいいじゃない?」

 

あれ……何かものすごいご立腹していらっしゃいますね。

 

華琳「さすがは種馬と言ったところかしら?」

 

何かが華琳の逆鱗に触れたみたいだ。

それを見て孫策さんがニヤニヤしている。

何とか腕をはずそうとするもののさすがは三国武将、ぴくりとも動きません。

 

華琳「あとでゆっくり話を聞かせてもらおうかしらね……ふふ」

 

あ、俺大会出る前に負傷退場するかも

 

愛紗「桃香さま!」

 

冥琳「雪連」

 

っと思っていたところに助け舟が!!神はまだ俺を見捨てちゃいなかった!!

 

桃香「あ、愛紗ちゃん、どうしたの?」

 

雪蓮「あら、冥琳」

 

冥琳「あまりからかってやるな、あとが怖いぞ」

 

雪蓮「だってぇー、この子の反応かわいいんだもん」

 

貴女の娯楽のために死にたくないです

 

愛紗「ど、どうしたのではありません!!宴の夜の事をお忘れですか!」

 

顔を真っ赤にしながらそう言った

 

桃香「宴の……あ」

 

何かを思い出したのか、劉備さんも顔を赤くして俯いてしまう

 

宴の夜?……俺何かしたっけ?

 

ぅ~~~ん……あ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(「隊長は私を(ピー)したあげくに(ピー)して(ピー)な事も

 

  したというのに!なぜ黙って帰ってしまわれたのですか!!」

 

 「沙和の時はそんなに激しくしてくれなかったの~!!」

 

 「ウチのときだってそりゃ激しかったかもしれんけど、あれは

 

  ウチが自分で開発した「全自動貼り方お菊ちゃん」で……」)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だぁぁぁぁぁ!!あいつらか!!ていうかよく一ヶ月も前のこと覚えてたね!

しかも全部事実なので否定できないところが非常に痛い。

 

桃香「あ、あの北郷さん!またあとで!」

 

あ、逃げた。泣いてもいいですか?

 

愛紗「あ、あの北郷殿、後ほど朱里と雛里がそのことでお話を伺いたいそうです」

 

顔を赤くして言わんでください。

それと傷口を抉る真似をしないでください

ていうか朱里と雛里って誰……

 

冥琳「まったく、手を出されて子を孕んだりしたらどうするんだ」

 

神も仏もいやしねぇ。

俺が打ちひしがれている間に開場、参加する武官の方々がそれぞれの控え室へ向かう。

 

凪「隊長、どうかしたのですか?」

 

真桜「はよせんとおいてくで」

 

沙和「そんなとこで遊んでる場合じゃないの~」

 

 

 

 

 

 

 

……お前らのせいだよ!

俺は泣きながら魏の控え室へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「そういえばこの大会のルールってどうなってるんだ?」

 

風「るーる、とはなんでしょうー」

 

一刀「あー、決まりごとっていうのかな、これをしたらダメ!とか」

 

風「それはですねー……はい、ここに書いてありますー」

 

この大会のルールが記載されている竹簡を渡してくれた。

 

1、得物は全て刃をつぶしたものを使用する事

 

2、試合中、外部からの助言又は加勢を禁ずる

 

3、勝敗はどちらかの得物が破損、または体が場外へ出た者の負け

 

4、試合への得物以外の道具の持込を禁ずる

 

5、以上のこと以外なら何をしても良い

 

 

 

 

 

…………。

何か最後のやつってルールじゃないと思う……つか怖いよ!

いやだって考えてみようか、ここの人たちの腕力考えたら得物の刃が潰れてようが

潰れていまいが殺傷能力は変わらないと思うんだ。

ぶっちゃけ斬られるとかより骨を砕かれたほうが重症だと思う。

 

 

 

風(ホウケイ)「おうおうにーちゃん。何をそんなにふるえてんだ?」

 

一刀「俺、無事に帰ってきたら皆といっぱいご飯食べるんだ……」

 

霞「めっちゃ楽しみやなー!一刀!」

 

霞の性格がうらやましいっす。

 

季衣「よーし!!今日は頑張るぞー!!兄ちゃん!見ててね!」

 

一刀「おう、ちゃんと応援してるからなー」

 

なでなで。

 

流琉「あ、あの兄さま!わ、私も頑張ります!」

 

一刀「うん、応援してるよ。頑張ってね」

 

なでなで。

 

霞「かずとー、ウチはー?」

 

凪「隊長……」

 

真桜「たいちょー、ウチもー」

 

沙和「沙和も頑張るのー」

 

一刀「応援してるって!というか俺とあたるかもしれないんだよ?」

 

……皆の目が光った気がした。

……何?

 

春蘭「はっはっは!北郷ごとき一撃で切り伏せてやるわ!」

 

切り伏せたら反則負けだからね、ていうか俺死ぬからね

 

秋蘭「ふむ、姉者の剣を受け止めたのだ。よほど腕を上げたのだろう。楽しみだ」

 

霞「一刀と戦える日が来るなんてなぁ~!」

 

季衣「え!兄ちゃんと戦えるの?やった!!一回兄ちゃんと戦ってみたかったんだ!!」

 

そんな特大鉄球食らったら俺髪の毛一本残る自信ないよ

 

流琉「兄さまがどれほど腕をあげたのかぜひ見てみたいです!!」

 

凪「自分も隊長と本気で戦ってみたいと思っていました」

 

……だんだんプレッシャー強くなってないか?

 

一刀「い、いやあの全員が当たるわけじゃないからね?

   そもそも誰ともあたらないかも知れないんだから」

 

空気が一気に最低温度まで下がった気がした。

何か俺が悪い事してるみたいなんだけど……

 

真桜「ウチは遠慮したいな、隊長の剣術はいろいろと厄介そうやし……」

 

沙和「そうなの!沙和と同じで剣を2本使ってるのに全く戦い方が違うの!」

 

霞「「ん、なんや?沙和と真桜は一刀の剣術見た事あるん?」

 

真桜「凪もあるで、とにかく剣速が異常に早いんよ。それに手数も半端やないし」

 

沙和「それに凪ちゃんに氣の使い方を教えてもらってたからさらに厄介なの!」

 

ちょ!お前ら!!あたるかもしれない方々に俺の手の内を教えないでいただけます!?

 

凪「はい、自分は手合わせしましたが、隊長はかなり強いと思います」

 

まだハードルをあげるつもりか

 

霞「なんやなんや!!なんでウチを呼んでくれなかったん?ウチも見たかった~!!」

 

ジタバタと手足をバタつかせている

 

霞「一刀と手合わせできたかもしれんのに!!」

 

はい、だから言わなかったんです。

まだ死にたくありません。

ちなみに今の皆の武器は真桜特製の刃を潰したそれぞれの得物。

やっぱり自分が使い慣れている武器が一番いいもんな。

季衣の鉄球はあのトゲトゲがなくなっているだけ。

……あれって普通に人死ぬんじゃないか?

どうか当たりませんように!!

 

華琳「一刀」

 

一刀「ん?どうした?」

 

華琳「凪達と鍛錬をしていたというのは本当なの?」

 

一刀「本当だけど、それがどうかした?」

 

華琳「私にはそんな事一言も言わなかったくせに……」

 

一刀「ん?ごめん、よく聞こえないんだけど」

 

華琳「なんでもないわよ!」

 

ガス!!   

あいたぁ!?なんで!?

 

華琳「まったく……では開会の挨拶をしてくるわ」

 

一刀「華琳はでないのか?」

 

華琳「あたりまえでしょう、私は主催者なのだから」

 

なるほどね、確かにこういうのはやるよりも見てるほうが好きそうだもんな

 

華琳「一刀」

 

一刀「はい、なんでござぁしょう」

 

すると華琳は俺の耳に顔を近づけて

 

華琳「私が期待してあげてるんだから、優勝くらいしなさいよ」

 

そのまま頬にチュっとくちづけ。

 

一刀「……まぁ魏武に恥じないよう努力するよ」

 

いや、その期待には応えたいけどさ、そんなの自転車でダンプに突っ込んでいくようなものだよ?

その様子を桂花以外の面々はニヤニヤしながら見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして開会式。

魏、呉、蜀がそれぞれ国ごとに並んでいる。

それを囲むようにして街の皆が歓声を上げている。

 

一刀「うっはぁ……すごい量の人だな」

 

霞「せやなぁ、毎度のことやけどやっぱ壮観やなぁ」

 

そうして華琳の挨拶が終わり、司会者と思われる人物がくじをひく。

 

一刀「なぁ、あれ何やってるんだ?」

 

凪「あれはそれぞれの試合相手を決めているのです、毎回ああいった形できまるので」

 

なるほど、ランダムか。

まぁ確かにあれが一番効率はいいよな

うぅ、緊張するなぁ……

全てのくじを引き終わったところでそれぞれの国ごとの控えに戻る。

どうやら試合が始まる直前まで相手はわからないらしい。

 

 

 

 

 

呉side

 

 

 

雪蓮「ん~!初戦の相手は誰かしら♪」

 

冥琳「あまりはしゃぎすぎて足元をすくわれんようにな」

 

雪蓮「はいはい♪わかってますって♪」

 

冥琳「はぁ」

 

穏「そういえば今回は天の御使い様が参加するんですよねー?」

 

明命「あの十文字の旗の人ですか?ずっと後方指揮をしていたから文官の方かと思っていました」

 

祭「たしかにのぅ、ワシと冥琳の苦肉の策を見破った張本人じゃからな」

 

亞莎「戦う文官ってところでしょうか」

 

蓮華「しかし彼が戦っているところを見たものはいないのだろう?」

 

思春「私が聞いた話では一般兵と大差ないということでしたが……」

 

小蓮「でもでも!顔はシャオの好みだなぁ~♪」

 

蓮華「誰もそんな話はしていないわよ、何にしても情報が少ない。

   今回私は参加しないけど、心して掛かったほうが良いわね」

 

 

 

 

 

 

 

蜀side

 

 

 

桃香「へぇ~、御使いのお兄さんもでるんだ~」

 

愛紗「意外ですね」

 

白蓮「あの十文字の奴、文官じゃなかったのか」

 

美以「なんで美以は参加できないのにゃ!!」

 

恋「……あぶない」

 

ねね「こんな大会やらなくても結果はわかっているのです!恋殿の優勝に決まっているのです!」

 

星「ふむ、しかし見たところあの武器、この大陸には無い形状をしているな」

 

翠「確かになぁ、あたしもあんなの見た事ないや」

 

鈴々「なんかすぐ折れちゃいそうなのだ」

 

朱里「でもあれ……剣にしてはかなり長くないですか?」

 

紫苑「そうねぇ、かなり間合いは広いと思うわ」

 

桔梗「それに二本の剣を持っているところを見ると、素早さに重点を置いているのかもしれんな」

 

雛里「でもあの武器、なんだかとても綺麗です」

 

星「確かにな、美しさで言うなら私の竜牙を超えているかもしれんな」

 

麗羽「お~っほっほっほ!!わたくしの──」

 

猪々子「あ~姫は黙ってようね」

 

麗羽「な、ちょ!猪々子さん!?」

 

斗詩「でも本当、すぐ折れちゃわないのかな?」

 

焔耶「ふん!あんなほそっちい武器、私の鈍砕骨で叩きおってやる」

 

蒲公英「そんな事言っちゃって~、返り討ちにあっても知らないんだから」

 

焔耶「なんだと!?」

 

ゴスっ!

 

蒲公英「いったぁ~~い、お姉さま~ぶたれた~」

 

翠「あーはいはいよしよし」

 

 

 

 

 

 

 

司会者がマイクをもって壇上に上がった。

……なんでマイクが……あぁ真桜か。

 

「それでは第3回!!天下一品武道会を始めたいと思います!!!」

 

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」

 

うわ、すっげ……え?

 

何か違和感を感じる。

浮くような落ちるような……

なんとも言い難い浮遊感。

この感覚、確か以前にも──

 

そう、そこにあのフードがいたのだ

どこだ……どこにいる?

会場をゆっくりと眺める

──いた

大歓声を上げている観客の真ん中、そこにそいつはいた

そこだけ空間が違うような、流れている時間が違うような

明らかな不審者にも気づかない観客

何かを言っているようだが全く聞き取れない

 

……?おかしくないか?この距離からだったら何か言っているのもわからないはず

しかし、そのフードは何か言っている、そんな気がするのだ

 

ほ──ご──!ほん──う!

 

なんなんだ、あいつは……。

 

「北郷!!」

 

一刀「うわ!な、なに!?」

 

春蘭「何をボーっとしているんだ?もう始まるぞ!」

 

一刀「あ、あぁそうだな」

 

秋蘭「どうかしたのか?」

 

俺はあのフードがいたところに視線を戻す。しかし。

 

そこにそいつはいなかった。

 

一刀「いや……なんでもないよ」

 

秋蘭「……」

 

今は考えてもしょうかない!!よし!!気を取り直して

 

「第一回戦!!!天の御使いこと北郷一刀将軍対──」

 

え!?しょっぱな俺!?ていうか俺将軍だったんだ……

 

「…………」

 

一刀「…………」

 

「…………」

 

早く!無駄になげぇよ!!

 

「──周泰将軍です!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「あら明命、やったじゃない」

 

冥琳「ふむ、最初は明命か、頑張れよ」

 

祭「存分に暴れてくるのじゃぞ」

 

穏「頑張ってくださいね~」

 

あーしぇ「明命、頑張ってね」

 

小蓮「明命なら余裕よね!」

 

思春「気を抜くんじゃないぞ」

 

蓮華「応援してるぞ、明命」

 

明命「はい!いってきます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初の相手は周泰さんか。

 

華琳「一刀、どう?」

 

一刀「どうって?」

 

華琳「勝てそうかしら?」

 

一刀「さあね、俺が今どこまでできるか、自分でもわかってないんだ」

 

凪「隊長なら大丈夫です、頑張ってください!」

 

真桜「と言っても相手はかなり強敵やで」

 

沙和「う~、隊長がボロボロになる姿しか浮かんでこないの~」

 

真桜「せやな、昔の隊長めっちゃ弱かったからな」

 

……お前ら実は俺の事嫌いだろう。

 

季衣「頑張ってね!兄ちゃん!」

 

流琉「絶対勝ってきてください!兄さま!」

 

霞「初戦で負けたら承知せぇへんで~!」

 

春蘭「そうだぞ!こんなところで負けたら叩ききってやるからな!」

 

負けたのにさらに斬られるの!?

 

秋蘭「ふふっ。姉者も素直じゃないな、頑張れよ、北郷」

 

風「お兄さん、負けたら雌馬の小屋で過ごしてもらいますよー」

 

……それ洒落になってないっす。

 

稟「頑張ってください、一刀殿」

 

桂花「そのまま死んじゃえばいいのに」

 

最後のは俺の幻聴に違いない、そうに決まってる。

 

一刀「じゃあ、行って来るよ」

 

 

 

 

 

 

 

試合の壇上へあがり、両者が対峙する。

 

明命「よろしくおねがいします!」

 

一刀「よろしくね、周泰さん」

 

「では初めて頂きましょう、れでぃ……ふぁいっ!!!」

 

 

開始の合図が明らかに英語だったのはこの際無視しよう

 

明命「いきます!」

 

背中の大太刀、魂切に手を添え、突進してくる

 

明命「はぁ!!!」

 

ブオンッ!!!

 

思い切り振り下ろしてきたのを後ろに下がらず前へ出て避ける

 

明命「せい!!!」

 

そのまま横への斬り返し、屈んで避ける。

 

なんとか速さにはついていけるみたいだ

 

明命「やぁ!!!」

 

横へ斬り返した反動での回転切り、それを後ろに転がって避ける

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「結構早いわね、あの子」

 

冥琳「あぁ、明命の攻撃が追いついていない」

 

亞莎「でも明命の攻撃はかなり速いはずです!」

 

祭「その上を行くんじゃろうな、あの小僧は」

 

穏「どうして後方指揮なんてしてたんでしょうね~?」

 

蓮華「思春から見て、どう?」

 

思春「えぇ、確かに明命の攻撃はかなり速いはずですが……どうやら奴のほうが上のようです」

 

小蓮「えぇ~!じゃあ負けちゃうじゃない!!」

 

冥琳「いや、確かに速いが武器の大きさからして力押しではこないはずだ」

 

雪蓮「そうね、力は明命のほうが上っぽいわね」

 

亞莎「でも……まだ明命は本気ではないですよ」

 

 

 

 

 

 

 

明命「はぁ、はぁ」

 

空振り続きのせいか、少し息があがっているようだ

 

明命「ふっ!──でやぁ!!!!!」

 

一気に間合いを詰めてのなぎ払い

 

避けるのは無理と判断し、楼蘭を手に取り

 

一刀「はッ!!」

 

居合い。

勢いに負け周泰が下がる

 

明命「は、速い……!」

 

今のは見えたわけではない、偶然振るったところにあたっただけ。

 

明命「まさかここまでやるなんて思っていませんでした」

 

一刀「そりゃどうも!!」

 

今度はこちらからしかけた。楼蘭を逆手に持ち替え突進

 

一刀「ぉッらぁ!!」

 

右からのなぎ払い、それを屈んで避けられるがそのまま回転し腹部への中段蹴り。

 

が、手甲で弾かれた。

やっぱ力ないなぁ……俺。

でも一回戦から氣を使っていたら間違いなくスタミナ切れになる

まだ使えないよな……

 

明命「でやぁ!!」

 

うおあぶね!?今は余計なことは考えないほうがいいな

 

一刀「シっ!!!」

 

フェイントを入れての振り下ろし、そして下段への蹴り、中断へのなぎ払い

 

明命「ふっ!くっ!」

 

全部止められてるし!

……ショックだ。

 

明命(この人、すごく闘いづらい……!受けるたびに手が痺れる……!)

 

本人は気づいていないが、一刀の攻撃は防御の内側に響く。

祖父の剣術によるものだ

 

一刀「まだ、まだぁ!!!」

 

上段から振り下ろし、回転切り、足払い

 

明命(それに──はやすぎる!!)

 

明命は反撃しないのではない、一刀の攻撃が早すぎて、防御に徹するしかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

愛紗「剣を一本しか使っていないところを見ると、まだ本気ではないということか」

 

朱里「ええ!?まだ速度が上がるんですか!?」

 

星「だろうな。かなりの腕の持ち主のようだ」

 

恋「……速い」

 

桔梗「……確かにあれは厄介じゃな」

 

紫苑「そうねぇ、私たちとはかなり相性が悪いわ」

 

雛里「あわわわ、剣が見えないですよぅ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ふッ!」

 

死角から刀を振り上げた

 

明命「あぁ!!!」

 

見えないところからの斬撃を受け、一瞬怯む

 

一刀「ッらぁ!!」

 

中段への蹴りが腹部にヒット

女の子を蹴るなんて最低野郎のすることだが今はそうも言っていられない

いや、かなり気にしてるんだよ?できれば今すぐにでも謝りたい

 

明命「ぐぅ……!」

 

蹴られた衝撃を利用して何とか一刀の間合いを逃れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華琳「まさか一刀がここまでできるなんてね……」

 

凪「はい、自分が手合わせした時よりも速いです」

 

季衣「兄ちゃん速いねー……」

 

流琉「兄さまってあんなに強かったんですね」

 

霞「ウチより速いかもしれんな」

 

真桜「なぁ沙和……あんま隊長からかうのやめよか」

 

沙和「真桜ちゃん気が合うの……沙和もそう思ってたの~……」

 

風「大丈夫ですよー。お兄さんは自分が何されたって怒りませんからー」

 

秋蘭「それにしても、北郷はなぜ得物を一本しか使わないんだ?」

 

春蘭「まさか武人相手に手を抜いている訳ではあるまいな?」

 

真桜「あーそれはやなぁ、一応本気は出してんねんけど……」

 

沙和「ん~、すっごく残念な理由があるの~」

 

華琳「?」

 

凪「隊長は自分たちと比べるとかなり体力が少ないのです」

 

春、秋、華「「「……は?」」」

 

真桜「つまりやな、最初から全開で行くとすぐへばってまうんよ」

 

春、秋、華「「「……はぁ」」」

 

 

 

 

 

 

 

遠くで莫迦にされてる気がする……気のせいか?

そんなことを思いつつ正面を向く、すると明命の構え方が変わっている

魂切を横にし、後ろでに構えている

 

明命「本気で行きます!!」

 

今までのは本気じゃないの!?

 

明命「ハァァァァァァァァ!!!!!」

 

今までとは比べ物にならない速度での斬撃の猛襲

 

一刀「くッ、なんつう……!」

 

その猛襲を全て防ぐことができず、一閃を腹部に食らってしまった

 

一刀「ぐぁッ!……くぅ!」

 

思い切り後ろへとび、間合いを抜ける

 

一刀「はぁ、はぁ……」

 

いってぇ……今のかなり効いたぞ……

 

明命「まだです!!」

 

一気に間合いを詰めてくる。

 

一刀「くッ!……んの……!」

 

楼蘭を納め桜炎を手に取る

 

一刀「やらぁッ!!!」

 

桜炎のリーチにより楼蘭の数倍の威力の居合い

明命は耐え切れずに後ろに飛ぶが

 

明命「……え?」

 

目の前に、二本の刀を横平行に構えている一刀がいた

 

一刀「ハァッ!!!」

 

体勢を低くし、回転の遠心力を加えた逆胴

 

明命「あ……」

 

一瞬の出来事。

完全に目では追えなかった。

咄嗟に構えた魂切は鈍い音を立てて折られてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、勝者、北郷一刀将軍!!!!」

 

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

一刀「ぃやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

勝った!!勝ったよじいちゃん!!じいちゃんすげぇよ!!!

 

明命「ぅぅ……負けちゃったのです……」

 

喜んでいる傍らで少し落ち込んでいる明命。

 

一刀「ありがとう周泰さん、すごくいい勝負だったよ」

 

手を差し出すと

 

明命「あ……いえ、こちらこそありがとうございました!とってもいい勝負でした!」

 

ニコっと笑って、手を握り返してくれた

ぉぉ、かわいい……

 

一刀「えーっと、あのさ」

 

明命「?なんでしょうか?」

 

一刀「お腹、大丈夫?思い切り蹴っちゃったからさ」

 

そう言うとポカーンとこちらを見て

 

明命「……ふふっ、北郷様はおもしろい方ですね!」

 

一刀「おもしろいって……これでも気にしてるんだよ?君みたいなかわいい女の子を蹴っちゃったんだから」

 

明命「はぅあ!?か、かわいい、ですか……」

 

やっぱりこれちょっと俺にはキツいなぁ……

ん?

 

一刀「顔、赤いけど大丈夫?……ハッ!もしかして気持ち悪くなっちゃった!?」

 

あわわわわわ、俺はなんということを!!!

ぅぉぉ……と頭を抱えていると

 

明命「あ!ち、違うんです!!あの、その……」

 

もじもじ。

 

明命「かわいいなんて……北郷様こそ強くてお優しいですし……(ボソ)」

 

一刀「え?ごめん、よく聞こえないんだけど?」

 

明命「と、とにかくありがとうございました!!」

 

そう言って急いで控え席に戻ろうと──

 

明命「あ、北郷様!」

 

したところで再度こちらを振り返り

 

明命「私のことはどうか明命とお呼びください!」

 

一刀「え?でもそれ君の真名だろ?いいの?」

 

明命「北郷様にならそう呼んでいただきたいです!」

 

ニパーっと笑顔で言ってくれたので

 

一刀「じゃあ俺の事も一刀でいいよ。真名があれば授けたいんだけど、

   残念ながら俺には真名がないんだ」

 

明命「真名がない……わかりました!では一刀さま!ありがとうございました!!」

 

うん、なんていい子なんだろうか。

いや別に手を出そうって訳じゃないよ?

俺は魏の子以外には手を出さないと決めているんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華琳「春蘭、最後の一刀の攻撃、見えた?」

 

春蘭「……いえ」

 

華琳「そう……私もよ」

 

 

 

 

 

というかあの種馬なにやってるのよ!デレデレしてないでさっさと帰ってきなさい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「お疲れ様、明命」

 

冥琳「お疲れ様だ、惜しかったな」

 

祭「じゃがいい勝負じゃったぞ、おぬしのあの構えを見たのは初めてじゃったしのぅ」

 

小蓮「そうだよ!あんなのを隠してたなんてずるい!!」

 

思春「ぜひ一度手合わせを願いたいものだ」

 

亞莎「まさか明命の本気の速度についていけるなんて……」

 

蓮華「見事だったぞ、明命」

 

明命「ありがとうございます!負けてしまいましたけど……とても楽しかったです!」

 

雪蓮「それに、真名も授けちゃったみたいだしねぇ。もしかして惚れちゃった?」

 

冥琳「ほぅ」

 

亞莎「え!?そうなんですか!?」

 

明命「そ、そんな!!確かに一刀さまはとても強くてお優しい方ですが……」

 

雪蓮「一刀様、ねぇ。ふふっ、まぁいいんじゃない?」

 

明命「はぅあぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ただいま、何とか勝ったよ」

 

季衣「兄ちゃんお疲れ様!」

 

流琉「お疲れ様です!兄さま!」

 

霞「やるやんか一刀!見直したで!」

 

秋蘭「ああ、まさかあそこまでできるとは思わなかったよ」

 

風「かっこよかったですよ、お兄さん」

 

稟「まぁ種馬としての技量も発揮していたようですが」

 

凪「お疲れ様です、隊長!お見事でした!」

 

真桜「なんや隊長、ウチらのときは本気じゃなかったんかいな」

 

沙和「びっくりなの~!」

 

桂花「ちっ、死ななかったか」

 

何物騒なこと言ってんだこいつは

 

一刀「華琳?」

 

華琳「あら一刀、帰ってたの」

 

……なんで不機嫌なんだ?

 

風「自分の胸に手を当ててよく考えてみるのですー」

 

自分の胸に手を当てて

 

一刀「うん、無罪だ」

 

春蘭「死ねぇぇぇ!!!」

 

ビュオン!!!   

 

うおぉあぶねぇ!?

 

稟「はぁ……相変わらずですね」

 

なにがよ!?

 


 
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