No.50925

列の上にて。

さん

五分小説です。

読みやすいように書いていますので、ぜひ読んでください。

2009-01-08 01:18:11 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:455   閲覧ユーザー数:437

いつだったか。

 

列に並んだ。

 

先なんて見えない。

 

どこに並んでいるのかもわからない。

 

 

「いつまで並んでいるの?」

 

見知らぬ女の子が声をかけてきた。

まっ白いワンピースを着ている。

とてもかわいい。

 

「わからないよ、でも並んでいるんだ。」

 

僕は答えた。

 

「何で並んでいるの?」

 

女の子は首をかわいらしくかしげた。

 

「わからないよ、でもみんな並んでいるんだ。」

 

僕は答えた。

 

「みんな並んでいるから並ぶんだ。」

 

女の子は言った。

 

「わからないって言ってるだろう。そんなこと考えたら負けなんだ。」

 

僕は答えた。

 

「じゃあ、列をはずれてみたら?」

 

女の子は僕の手を引っ張る。

 

「ちょっと、やめろって、」

 

僕は焦った。ここで列をは離れたら負けだ。

負ける。

なにに?

世間に?

 

「別にいいでしょ。なら、わたしはまけてるの?なにに?」

 

彼女は言った。とてもきれいな笑顔で。

僕から見て彼女は負けているとは思えない。

 

「そうか、それは僕が決めることだ。」

 

僕は列を離れてみた。

そして一番前にあるものを見た。

それは僕から見て、とてもくだらないものだった。

横にいる彼女の笑顔のほうが、何倍いいかわからない。

横で彼女は笑っていた。

それだけで、僕は満足だった。

 

Fin


 
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