No.508805 武装神姫「tw×in」 第十八話風麦梟さん 2012-11-16 12:36:25 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:372 閲覧ユーザー数:371 |
「行くよ!」
スレイニはランチャーを構え、放った。
ミルルが弾丸を避けるのを見つつ前へとダッシュ、ミルルとの距離を詰める。
『気をつけてスレイニ、条件が揃っていたら、あの武器を持ってる筈だよ』
そう伝えた瞬間、
「てぇやぁ!」
ミルルが今まさにそれを使ってきた。
パイルバンカー:EVFベイオネットを構えて突撃をしてくる。
「マスターアドバイスありがと!」
スレイニは突撃するパイルバンカーの刃をジャンプで上空にかわし、ミルルの背中目掛けランチャーを放った。距離的に、回避は難しいが、
「当たりません!」
ミルルはその場から前へとダッシュ、ランチャーの弾丸は地面にぶつかった。
あの近さでかわすとは。
「さすがスピードを好むだけあるね」
「恐縮ですスレイニさん!」
そのスピードでスレイニとの距離を取ってから止まったミルルは、再びミサイルを放った。
「またミサイル?」
ステップをミサイルを避けつつ、スレイニは首を傾げる。
「マスター、ミルルは武器まだ2つしか使ってませんよね?」
『うん、ミサイルとパイルバンカーだけだね』
「じゃあ後一つ……」
その時、
「スレイニさん覚悟!」
ミサイル発射直後に動き出していたのか、ミルルが距離を詰めてパイルバンカーを突き刺してきた。
「それ、言わなければ奇襲になったのに」
スレイニは余裕にターンして回避、技後硬直のミルルにハンドガンで三発撃ち込んだ。
「わぁ!?」
「ふぅ……仕方ないけど、初心者の動きだね。コナユキの方が良い動きするよ」
『そりゃあコナユキより起動が遅かったし、バトル経験も少なかったんだから』
「確かにそうですけど、マスター、こっちも新しい技試してみません?」
『昨日手に入ったアレ?』
真南達3人と色んな人とバトルをした昨日、あるバトルに勝利した時、その人が使っていたレールアクションを手に入れた。
手に入れたのはコナユキだけど、扱う武器を見るとスレイニに適していたのでセットしてみた。
『でもいいのかな、使っても』
「良いと思いますよ、多分」
『多分て』
どんなレールアクションかも実はよく分かっていないのに。
使っていたレールアクション、とは言ったけれど……コナユキのなんちゃってゲイルズゲイグル(大剣を投げてしまうアレ、命名ルミア)が直撃してしまい、使う前に終わってしまったので、持っていたのを知ったのもバトルの後だ。
「まぁ良いじゃないですか、ミルートもそう言うと思いますよ」
うーん……そう言われると、
「え? どうかしたのハカセ」
ミルルの動きが止まり、ミルートと何か話している。
「ふんふん……どんな技でも、構わず使っちゃっていいよー、って伝えればいいんで……って! ちょっとハカセ! それあたしが不利になるだけじゃん!」
「だそうですよ、マスター」
『うん、よく聞こえたよ』
「普通ハカセはあたしの味方っしょ!?」
抗議しているミルルを正面に見て、
「じゃあ行きますよ、マスター!」
スレイニはレールアクションの構えを取った。
動きだけはカタログを見て知っているが、実際に使うのはこれが初めてになる。
『「レールアクション!」』
まずはハンドガンを構え、前へと二発放つ。
そこから斜め前に動いて二発。更に斜め前へ動いて二発。
「わっ! そのレールアクション見たことある!?」
驚くミルルに再びの移動と二発の弾丸。
「えっと、えっと、あのレールアクションのこの後の動きは……」
大きく上昇と移動をし、弾丸を五発放つ。
「いたっ!?」
全てミルルに命中、そして、
「これで終わりだよ!」
ランチャーを構え、放射状に五発の弾丸を飛ばした。
「うわぁ!?」
放射状の為当たったのは一発だけだが、レールアクションによる高威力の一発が当たり、ミルルは倒れた。
「上手くいきましたね、マスター」
『うん、初めてとは思えない的確な動きだったね』
「まぁインプットされた動きですからね」
床に降り立ち、今使ったレールアクションの感想を言い合う。
今のはダブルレールアクション『ATK:ハンドガン、ランチャー』ダブルレールアクションの中で唯一、射撃武器どうしの組み合わせのものだ。
「アタシだけじゃなくて、エンルちゃんにも合いそうですね」
『ルミアとコナユキには、ちょっとダメかな』
二人はどちらかと言えば近接向きだから。
「まぁ他にもダブルレールアクションってありますし、ムリに使わなくても……っ!? マスター!」
スレイニが振り向いた先には、ミサイルが迫っていた。普通ならば、回避が可能だったけれど、まさかのレールアクションのミサイルだった。
「ちっ! 初心者でも油断はしちゃダメだな!」
『それが普通だけどね』
スレイニはガードでダメージを最小限に押さえてミサイルを受けきった。
「まだ終わってませんよスレイニさん! あたしのスピード、見てもらいますからね!」
ミサイルが全て終わった時、ミルルはレールアクションの構えを取った……瞬間、ミルルをまとっていた武装が外れた。
「最高速!」
ガシャガシャと音を立てながら、武装がある姿を形作っていく。
「アレは……まさか固有レールアクション!?」
『うん、あの動作はまさにそれだ』
「なら……マスター、こっちも正面からぶつかるよ!」
『了解、行くよスレイニ!』
「了解、マスター!」
『「レールアクション!」』
あちらの変形が終わった時、こちらもレールアクションを発動させた。
ミルルは変形に数秒の時間を使い、更に準備をしてから起動する。
だがスレイニは変形に使う時間はほんの一瞬。
つまり、動き出したのは同時だった。
「ロード、ファイター!」
スレイニがハンドルを握って一気に加速する。
一方、ミルル、身に付けていた武装が変化し、バイクとなった武装に乗った。
片手でハンドルを持ち、もう片方の手ではパイルバンカーを持つ。
ハンドルを握り、一気に加速。正面から来るスレイニへ同じく正面から突撃を開始、その際にパイルバンカーの刃は地面と接してあり、急速に移動した際の摩擦熱を帯びて刃は赤く輝き始め火花を上げた。
急速な移動を利用して白熱した刃ですれ違い様に切りつける。エストリル型の固有レールアクション。
「フラッシング、ブレード!」
速さにおいて一、二の性能を争う型の二人の最大にして、最速の技がぶつかった。
――――――速さで言えば、ミルルの方が速かった。
だが、
ガキィィィィン!!
「うわぁぁぁ!?」
ミルルの刃が触れる前に、バイクの先がスレイニのトライクの先端とぶつかった。
刃に威力を集中しているバイクと、全体に威力を帯びたトライクがぶつかり。
結果、ミルルが宙を待った。
「さすがスレイニさん! 参りました!」
「スピードだけならアタシより上だったけどね」
「ま、マジですか? ありがとうございます!」
「いや、そこまで言われる程褒めたつもりは無いんだけど……」
机の上でスレイニとミルルがバトルしたお互いを称賛している。
「いやいや、さすがは宗哉とスレイニくんだね。完敗だよ」
「まさか起動して数日で固有レールアクションを使ったのには驚いたけどね」
「ボクの研究室はたくさんの武器武装で溢れてるからね、揃えるなんて簡単さ」
確かにミルートの研究室内はありとあらゆる武器武装がある。だからといってその全部が使えるものだということも、どこに何があるのかも分かっていないと思うけど。
「それにしても、もう1人はまだ来てないのかな。おーいルーフェ、聞こえるかー?」
ピンマイクに声をかけたその時、
「ハカセー、お連れしたよー」
扉が開き、ルーフェと1人の人が入ってきた。
その入ってきた男子と、オレは知り合いだった。
「やぁ、主月」
「オマエも呼ばれてたのか、上木」
「やぁやぁ久しぶりだね那智、何日ぶりくらいかな」
「さぁな、しばらくそちらと関わらずにいたから、一月くらいじゃないか?」
「また一匹狼の血が騒いだのかな?」
「フンッ……本当ならこの誘いも断るつもりだったが、もう1人という言葉に引っ掛かって来てみたら、案の定だ」
主月はビッ! とオレを指差した。
「上木宗哉、まずはオレと勝負しろ」
いきなりの宣戦布告、それを聞いてオレとスレイニ、ミルートとルーフェは、こう思った。
あぁ、また始まったか。
すると主月の背中、背負っている鞄の中から飛び出した神姫が、スレイニ達のいる机に降り立った。
「久しぶりだな、エンル」
赤い髪を左右2つに分け、青い瞳の神姫。
ストラーフmk.2型で、名前はキシレア。主月の神姫だ。
「キシレアさん……」
エンルを名指ししたキシレアを見て、こちらも名前を呼ぶエンル。
アーンヴァルmk.2型は天使型、ストラーフmk.2型悪魔型と、対極な設計をされている二人は、同じにして武装神姫を初めて造ったと言われる会社、フロントライン製の神姫だ。
「ここで出会ったのも何かの縁、エンル、ワタシとバトルしてもら…」
「はじめましてなのです! わたしはコナユキといいます、なのです!」
言い切る前にコナユキが言葉を遮った。
「おいキサマ! 今ワタシが話してたところだろ! なぜ邪魔をする!」
「はわわ!? ご、ごめんなさいなのです!」
怒るキシレアに頭を下げて謝るコナユキ。
「……オマエ、神姫を増やしたのか」
「うん、色々あってね」
「まぁいい、キシレアの狙いはエンルだ。尋常に勝負してもら…」
「おーい、そういうのはボクの用事を終わらせてからにしてくれないかな?」
言い切る前にミルートが言葉を遮った。
「おいミルート! 今はオレが話してただろ!」
「ぶっちゃけキミの到着が遅いからこうなってんだよ? 何してたのさ」
「くっ!? そ、それは……」
「それは?」
「……い、いいから用事を言え! また実験の練習体か!?」
主月ははぐらかした。いったい何かあったんだ?
「じゃあ言うけど」
ミルートは筐体の不思議な装置、ツインワンを造った機械に近づいてから、こう言った。
「今回2人にはタッグバトルをしてもらいたいんだ。もちろん、タッグを組むのは2人だよ」
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