No.508710

IS x 龍騎〜鏡の戦士達 Vent 35: イレイズド、上陸

i-pod男さん

タイガの正体が明らかになります。そして戦争と言う名の大喧嘩開始です。

2012-11-16 00:37:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1826   閲覧ユーザー数:1730

それから数日後、一夏並びにライダー達、そしてAD・VeX7の皆は学園から姿を消した。千冬も全力を挙げて探し出そうとしたが、当然足取りは掴めない。まるで最初から存在しなかったかの様に。並びに、ヨーロッパの代表候補生二人と一組の副担任がいなくなったのでそれもまた大変だった。大型の航空母艦からシュヴァルツェア・ハーゼ、そしてAD・VeX7の面々が降りて来た。

 

「ここが拠点その二か。良い所だ。」

 

森次はそう言って潮の匂いを胸一杯に吸い込んだ。

 

「そもそも、ここはどこらへんなんですか?」

 

一夏は島を見回して司狼に訪ねる。

 

「地理は余り詳しくないから俺にも欲は分からんが、ここには元々米軍基地があったそうだ。建物自体はまだ残ってるがもう使わない為は息してあった。それを俺達がアメリカから正式に買い取った。ここは、存在しない島、別名『Erased(イレイズド)』だ。」

 

「イレイズド、か・・・・(あれ?でも米軍基地ならそう簡単にアメリカ政府が頭を縦に振る筈がないのに・・・・)」

 

「本社から毎月物資を運ばせる事になってる。」

 

「ボス、それじゃ目を引くんじゃないか?飛行計画書(フライト・プラン)はたとえ個人でも航空局に報告しないと、軍に撃ち落とされてしまう。それにフライトプランに行き先が記載されていては物資を運んでいる航空機の目的地、ひいてはここの目星が遅かれ早かれつく。」

 

「それは私も思っていた。毎度毎度物資を運ぶ為に大型の航空機を使っていては馬鹿でも私達の居場所がバレてしまう。そしてここは孤島。逃げる場所も無い。」

 

「それは問題無い。俺が航空局のデータベースをハッキングして情報を少し弄くり回せば良いだけの話だ。それにこっちは心強い味方がいるしね。」

 

憲司の後ろから、メカのウサ耳カチューシャを付けた女性が現れた。

 

「束さん・・・・!!」

 

「やあやあいっくん、また会ったね!束さんは嬉しいよー!世界のお馬鹿さんに自分達の馬鹿さ加減を見せてあげましょー!」

 

「え・・・・・」

 

「そう言う事。こっちには、最強の手札(ファイブカード)がある。だから、今の所心配する事は無い。と言っても、誰かがここの情報を漏らしたらの話だけど。ここの事を知っているのは、俺達だけだ。もしお前らの内誰かの所為でこの革命が失敗したら、俺が直々に処刑すると言う事をお忘れなく。本格的に始まるのはこれからだ。死人も当然出るだろう。抜けるなら今がチャンスだ。強制参加はさせない。」

 

だが、誰一人として異を唱える者はいなかった。

 

「さてと。まずは、憲司。君の出番だ。今の所俺達に敵対する国のダーティーな秘密を全世界に発信して欲しい。向こうは既に俺達に喧嘩を売った。売られた喧嘩は買って、闇金の暴利並みの利子を付けて返してやる。」

 

「表現が一々えげつないです、社長。マフィア並みの因縁の付け方ですね。好きですよ、そう言うの。」

 

斉藤がくすくすと笑う。

 

「まあ、そこが司狼さんの良い所なんだよな。」

 

「よしと、とりあえず、向こうが仕掛けるまで少し待つ。何か起これば直ぐに連絡する。今はとりあえず荷解きと整理をやる。」

 

キイイィイィィイイィイ・・・・・

 

「モンスター・・・!」

 

「待て。そんな所にいてどうするつもりだ?タイガ。いや、ナターシャ・ファイルス。」

 

ミラーワールドから青色のタイガーパターンを持った銀色のライダー、タイガと金髪ロングの美女が現れ、タイガは変身を解除する。そこに立っていたのは、ショートの茶髪の美女だった。

 

「ナターシャさん・・・・!!」

 

「あら、久し振りね、黒騎士(ダークナイト)さん?」

 

「何で、貴方が・・・・ライダーと?」

 

「正直、世界中の日和見主義に嫌気が差して来たの。後、アメリカの大統領から伝言があるわ。アメリカ合衆国はAD・VeX7と全面的な協力を惜しまないと。現在他国とも味方につく様、交渉中よ。ロシアの代表も手伝ってくれてるわ。イスラエルは福音(あの子)の件があるからすぐ納得してくれたけど。ワクチンもワザワザ送ってくれて、助かったわ。」

 

「そうか。ご苦労だな。そちらのグラマラスな美人さんは?」

 

「軍の同僚で、アメリカの国家代表よ。」

 

「イーリス・コーリングだ。よろしくな。しかし、こんな物で変身出来るとは驚きだな。あっという間に着いちまったぜ?」

 

「渡した時も言ったが、呉々もライダーの事は内密に。もしバレたら色々と面倒だからな。今回は色々と世話になった。」

 

「こちらこそ。」

 

「じゃ、あたしらは帰るよ。」

 

再びタイガに変身したイーリスはナターシャを連れてミラーワールドに消えて行った。

 

「まさか彼女がタイガだったとは・・・・アメリカ代表に渡して良かったんですか?国の命令には逆らえないだろうし、当然監視も着く筈だ・・・・」

 

マドカは心底驚いていた。まさかアメリカの国家代表が仮面ライダーだとは思わなかったのだろう。自由国籍持ちとは違い、代表や候補生はある程度国に縛られ、行動を制限され、時折監視される。そんな動きを制限される相手にカードデッキを渡すのは、鈴音や楯無の時も加えると三度目なのだ。

 

「いつもなら自由国籍(フリーランス)じゃないと渡さないのに・・・・」

 

「まあ、大統領直々に俺達に協力してくれるって言ってるんだ、疑う余地は無い。憲司にも確認を取ったしな。それに、もし裏切ればあの国を爆破する。」

 

『ビーーーー、ビーーーー、ビーーーーー!!!』

 

「何だ・・・?あらら。誰かが俺達のデータベースをハックしようとしてる。これは・・・・おやおや、イタリアと・・・スペインか・・・!」

 

「早速お出ましか。コイツを両政府に送りつけてやれ。一夏、マドカはイタリア、オータムと森次はスペイン。残りはここから彼らの指示。ラウラ、クラリッサはスタンバイ。憲司は両政府のISデータベースにハッキング、黒い情報会ったら全部探して世界中に流せ。後ISのデータも全部ふんだくって削除しろ。」

 

的確な指示を出すと、それぞれが行動し始める。

 

「「「「変身!」」」」

 

ナイト、ファム、王蛇、そしてベルデがミラーワールドに姿を消して、僅かな時間でそれぞれの目的地に着いた。

 

「ん・・・・?司狼殿、一つ質問があるのだが?」

 

「何だ?」

 

のんびりとしていた司狼にクラリッサが声をかける。

 

「三緑殿は、ライダーであっても、ISは使えないんじゃ・・・?」

 

だがそれを聞いて、ニヤリと笑った。

 

「ああ、確かにね。でも、偶然(・・)ISを使える男がもう一人(・・・・)いたのにそれが報道されなかったら、どうかな?」

 

「まさか・・・・!!」

 

「そう、そのまさかだ。森次はライダーであり、二人目(・・・)のIS操縦者だ。」

 

 

 

 

 

「ここか、戦い(祭り)の場所は・・・・」

 

「さっさと片付けさせてもらう。行くぞ。」

 

変身を解除した二人はそれぞれの武器を構えて進んで行く。警備兵やISを装備した部隊等は武器、機体を破壊、無力化し、気絶させて進んだ。いざ殺すとなれば幾らでも出来る。そして一際大きなドアを一つ蹴り破る。

 

「AD・VeX7だ。少し前にあなた方が我々のデータベースをハッキングしたと言う情報を掴んだので事実確認の為に来ました。あなた方は本当に我々と徹底的に敵対する方針を持っているのですか?」

 

「な・・・・(馬鹿な・・・・これほどまでに早く・・・・!!!)

 

「あろうが無かろうがこっちには関係無い。あたしらは気が短いんでね。さあ、どうする?」

 

ジャコン!

 

AK47 アサルトライフルの銃口を男の額に向けた。その残酷で冷たい目に、続裏と冷や汗が流れ落ちる。

 

「し、知らない!私は何も知らない!仮にやったとしても、証拠はそれだけだ!暴行と恐喝の罪で」

 

「確かに。」

 

森次は彼を遮った。虚勢を張っているのは見え見えだ。

 

「では、お聞きしましょう。貴方は物わかりが良さそうです。貴方の他に我々と敵対の意志を持つ方達に、心当たりはありますか?スペインでは現在私達の仲間が活動しています。貴方から聞いた方が早いと思いますが。」

 

「し、知らない!私は名目上この国を動かしているだけだ!(馬鹿め・・・・無音警報(サイレントアラーム)を作動させた事も知らないで。)」

 

「道化、か。じゃあ、黒幕は誰だ?」

 

だが、四方の壁が崩れ、IS部隊が現れた。

 

「や、やれ!コイツらを殺せ!この国を滅ぼそうとしているテロリストだ!」

 

「交渉決裂か。」

 

「ようやくだ・・・・・!」

 

アラクネと森次のIS、バイオザードが光りとともに現れ、IS部隊を一蹴した。正に塵を払うかの様な圧倒的な力に、部隊は壊滅する。

 

「さてと、もう一度聞こう。黒幕は誰だ?」

 

「あ・・・・ああ・・・・・」

 

だらしなくも男は失禁しており、二人が向ける冷たい視線に蛇に睨まれた蛙の様にタジタジになっていた。最早言葉をまともに発する事も出来ない程脳内がパニックになっている。

 

 

 

 

 

 

「こっちは夜か。」

 

「そうらしいな。にしても、ここは暑い。早く帰って冷たい飲み物を飲みたい物だ。」

 

二人はISを展開せず、銃弾とナイフによるタクティカルな動きで政府の建物に侵入していた。まだ警報は鳴っていないのが幸いだ。思った通り警備は厳重で厳戒態勢なのかと思う程に監視カメラやIS部隊の物がウヨウヨしている。二人は現在カメラの死角に当たる所に身を潜めていた。

 

「どうする、兄さん?」

 

「場を混乱させる事が一番の近道なんだが、ここら辺には鏡が無い。ダークウィングを呼び出そうにも・・・・あ・・・・」

 

丁度雨が降った後なのか、水溜りが出来ている。

 

「マドカ、ブランウィングとダークウィングで監視塔とライトを潰す。行けるな?」

 

「勿論。」

 

二人はデッキを引き抜いた。水溜りから白と黒のモンスターが現れ、監視塔と照明を破壊し始めた。暗かった夜が、更に漆黒に包まれて行く。気絶させた警備兵が持っていたセキュリティーカードを使って建物の仲に侵入した。

 

「データはどうする?」

 

「束さんと憲司さんがやってくれるから、俺達は心配しなくて良いそうだ。」

 

「分かった。」

 

「さて、どうやって奥に行こうか・・・?ISを使ったら普通にバレるからな。まあいくら活動記録(アウト・ログ)を改竄出来るとは言え出来れば使いたくない。アドベントシステムの事が世界に知れたら大変だ。」

 

「確かに。」

 

警備の網を潜り抜けると、誰にも見つかる事無く大統領の書斎に辿り着いた。

 

Hola, El Presidente. Silencio, por favor(こんにちわ、大統領。どうかお静かに。)

 

マドカが流暢なスペイン語で声をかける。一夏は彼に銃を向けていた。

 

『き、君達は・・・一体どうやってここに?警備は』

 

『我々が何者か、どうしてここにいるか、どうやって侵入したか、そんなのはどうでも良い事。問題は貴方の国が我々のデータベースにハッキングを試みたと言う事実だ。警告した筈だ、敵対の意思を見せれば、それ相応の覚悟はして貰うと。』

 

スペイン語で口早に話し続ける二人を見て、一夏は銃を構えたまま素早く部屋を見回す。カメラは仕掛けられているが、憲司と束がプレイバックを再生している為、自分達が侵入したと言う事は誰も分からない。

 

『そうか・・・・やはりな・・・・』

 

『つまり知っていたのだな?何故こんな事を?』

 

『ISと言う物が出来てから、世界の覇権は女性に握られた。そして我々は爪弾きにされている。もう止められないのだよ。私一人では・・・・』

 

『止められるか止められないかではない。止めるか止めないかが問題だ。お前は止めない選択を選び、私達は止める選択をした。勝ちたいとは思わないか?』

 

『勿論勝ちたいさ!』

 

『ならば我々に協力をして貰いたい。既にアメリカ、ドイツ、フランス、イスラエル、ロシア、日本そして今は中国などの国を押さえている。もし協力を断れば、我々はこの女尊男卑によって廃退した国を一度破壊(リセット)せざるを得なくなる。』

 

『(リセット・・・・?)時間をくれないか・・・・?』

 

『残念ながら無理だ。世界の半分を敵に回している以上、余計な時間は使いたくない。アメリカと掛け合って、助けを求める事を進める。アメリカは我々に全面的に協力をすると大統領自らが約束をしてくれた。その為の署名も持っている。我々はテロリストではない。何も無作為な破壊をする為に戦っている訳では無いのでな。ただ、この世界のバランスを元に戻したいだけなのだ。』

 

逡巡の末、彼は重い口を開く。

 

『・・・・・・分かった・・・・・協力しよう。』

 

『理解してくれて何よりだ。それでは、我々はこれで。今から目を閉じ、耳を塞いで十まで数えてくれ。』

 

彼が数え始めると、二人は変身してミラーワールドに飛び込み、跡形も無く姿を消した。

 


 
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