~ 第47話 †旅行記 ヘイ州編2† ~
次の日
日がある程度高くなって宿を出た
とりあえず飯でも食べてからお城にいってみるつもりだ
適当な大衆食堂みたいな所に入ろうとすると
俺の足に突撃する物体があった
「いっつ~・・・一体だ・・・」
「わふんっ!」
昨日ご飯を奢ったスカーフを巻いた犬:セキトだった
バランスを崩して尻餅ついた俺の顔を舐めてくる
「分かった!分かった落ち着け!」
「わんっわんっ!!」
セキトを脇に抱きかかえて起き上がって
セキトを地面に下ろして頭を撫でてやる
撫でてやるとセキトは尻尾が千切れんばかりに振って
気持ち良さそうに目を細めてる
俺も気の済むまで撫でてると大きな声が聞こえてきた
「セキトーどこなのですかー!セキトー・・・ぐすっ」
「お?セキトお前の事探してるみたいだぞ」
「くぅ~ん?」
うん、分かってないなこいつ
しょうがない・・・再度セキトを抱きかかえて
セキトを探してる声の方へ向かっていく
「セキト~・・・ううっ・・・恋(れん)殿ぉ~
セキトが見つからないのです~・・・」
ちょっと広い広場みたいな所で泣きながら立ち尽くす小さい子がいた
頭にパンダのマークが入った帽子をかぶり
髪の毛の色は水色の肩より長い髪を後ろで二つに分けてあって
服装が導師服っていうのかな?それが身体に合ってない大きな黒色に
その服の下に白色のチャイナ服の上半身だけのやつに
下はジーパンっぽいホットパンツを履いてる
そんな子がえぐっえぐっと涙を手で拭きながらセキトを探してた
俺はセキトを抱えてその子に近寄る
「お嬢さん、君が探してるセキトってこの子かな?」
その声で俺に気づき、俺が抱えてるセキトを見ると
泣いてて暗かった顔に明るさが戻っていく
「ねねが探してるセキトなのです!
「そうか、良かった
セキト・・・今度は脱走するなよ~
その子と「ホウセン」が心配するみたいだしな」
そういってセキトの頭を撫でて、水色髪の子の頭を撫でて
俺は去ろうとしたらその子に呼び止められた
「ま、待ってください!恋殿を知ってるのですか?!」
多分昨日の赤毛の子の真名だよな・・・
確か「恋は・・・「ホウセン」」って言ってたし
「真名までは知らないけど、昨日もセキトを探してた
赤髪の子なら知っているよ」
「なんと!?昨日もセキトは脱走してたのですか!
それを2回も探してくれてた恩人ですか!!」
「ん~まぁそうなるかな?
まったまたまだから気にしなくていいよ
俺の名前は厳白虎(げんはくこ)だ、よろしくねお嬢さん」
そういって手を差し出すと
その子が急に照れたようにモジモジし始めて
ボソボソと喋り始めた
「ね、ねねは陳宮(ちんきゅう)です・・・」
はて・・・どっかで聞いたな確か呂布の軍師?!
こんなちみっこがか!?この世界が女性優位なのは分かってるが
こんなに小さくても英傑というのか?!
多分唖然としてるのが分かったのか、さらに声が小さくなり
「や、やはりねねみたいなのは変なのですね・・・」
と下向いてまたプルプルと震え始めたので、やばいと思い
頭を再度撫でながら
「そんなことはないよ陳宮
君みたいな子が将来立派な軍師とかになるんだろうなと感心してたんだ」
「ほ、本当なのです・・・か?」
必殺のウルウル上目遣い・・・
くっ!ちっちゃくても美少女は強いな
つうか英傑=美少女or美女って毎回思うけど卑怯だろ
「ああ、本当だよ」
ちょっと強めに頭をグリグリしてやると
「こ、こら!痛いですやめるのですよ!」
と口では文句言ってるようだが嬉しそうな笑顔になってたので良しとしよう
それからお礼をと言われたが
お城に用事があるから今度なと言うと「絶対ですぞー!」と両手を振り上げて言われた
まっ暫く滞在予定だしそのうちまた会う事になるだろうと
気持ちを切り替えて城へ歩いていった
城に着いたので、衛兵の人に馬騰からの者ですが
この書簡を呂布殿に渡して頂きたいと言うと暫しお待ち下さいと言われた
残った衛兵の人と適当にこの土地の名産とかの話をしていると
中にお入り下さいと言われて、城へ入る
入ってすぐの所で、将の者が案内するのでお待ち下さいと言われ
再度待ってると
「馬騰殿のつかい~ちゅ~のは兄さんかいな?」
振り向くと紫色の髪を後ろで纏め
袴に胸をサラシで隠しそれに肩から羽織だけをかけ
下駄を履いた・・・痴女がい・・・
「だぁれが痴女じゃどあほぅ!!」
と神速の速さで突っ込みを入れられた
こいつ・・・できる?!
「いやいや兄さんが悪いんやって・・・」
まぁ出会い頭にこんな漫才したおかげなのか
お互い緊張してたのが無くなり笑いあった
「ははは、俺は厳白虎ってのだよろしく」
「おおきに、ウチは張遼(ちょうりょう)字(あざな)は文遠(ぶんえん)や
厳ちゃんよろしゅーな」
厳ちゃんだと・・・新しいな
うん、新しくて面白いなとニヤニヤしてると
「厳ちゃん・・・ウチの身体見つめすぎやでやらしぃな~」
「なっ!?ちがっ!!」
「うししし、冗談や冗談!」
と猫のように目を細めてこっちを見たかと思うと
今度は笑いながらこっちの背中を叩いてくる
うん、大阪弁の人ってなんか強いよな
うんうんと勝手に俺が感心してると
「っとうちの大将に用事やったな、こっちや」
と俺を謁見の間に連れていった
謁見の間
張遼に案内されて通されたのはこじんまりとしていた場所だった
その場所の少し高くなった所に玉座があり
その玉座に鎮座していたのは
座っているから分かりにくいが2メートルはありそうな巨体に
白髪を短く刈り上げてあり
顔全体に皺があるが全体的に傷がある顔に
鎧は着ていないラフな服装であるがその身体から溢れ出る気
ぱっと身は本当に某無双しそうなゲームに出てくる「呂布」だよな
あれが歳をとって老いた感じだ
玉座へとあがる階段の一番下まで行き頭を下げる俺
それを見る「呂布」
「ふん・・・きさんが馬騰の紹介にあった奴か
ここで仕官したい・・・か
おいはまどろっこしい事は好かんから率直に聞く
きさん・・・何が目的じゃぁ?」
と覇気を撒き散らしながら威圧してくる「呂布」
まっこの程度の覇気何か心地よい程度だけどな
それでも一応あっちは一国一城の主なので俺は頭を下げたまま応える
「はっ・・・では本音を申します
私は今大陸を巡り修行中の身であります
その為に今大陸において最も武を持つ人物をと探しました所
「呂布」殿だと分かり、その強さに近づきたく士官しにまいりました
馬騰殿とはその過程において知り合いました」
そう応えた俺に対して「呂布」が言った言葉は
「恋」
「ん・・・父、白虎嘘ついてない」
「くく・・・恋とはすでに知り合いじゃったか」
「??」
俺は顔を下げたままだから確認はできてないが
この場に「ホウセン」と言った子がいるってことらしいな
まてよ・・・「ホウセン」って呂布の字だったはずだ!
ということはやはり?と思考の海に入り始めると声がかかる
「きさんの言っとることは分かった
おいもそれに応えるとする
厳白虎をこれより客将として迎え入れる
それでよかか?」
「ははっありがたき幸せ!」
「それと何かあるなら、今いってくれんね
最近歳のせいで身体が思うように動かんけんね
おいとしては一度に済ませて酒を飲んで寝たいんよ」
とさっきの威厳があった人物とは代わり、とても柔和なおじじがいた
「非常に聞きにくい事ですがよろしいでしょうか?」
「よかよか、いってみぃ」
「「呂布」殿の本当の名前は丁原(ていげん)殿で
後ろにいらっしゃる赤毛の「ホウセン」殿が本物の「呂布」ではないのですか?」
俺の発言に一気に場が凍る・・・やばいやっぱり地雷だったか!?
「呂布」の後ろに控える張遼と「ホウセン」が持っていた武器を構えてるし!
玉座に座ってる人は何か震えてるし・・・
やべぇ逃げた方がいいか?重心を後ろにもっていき逃げ出そうと構えると
「ぶわ~はっはっは!きさんはほんによか人物!
そこまで頭も回る男とは馬騰もさぞかしおいに紹介するの嫌だったろうに
いや韓遂(かんすい)の方か!あん二人が苦労してる姿が目に浮かぶわい!」
「え、えーっと・・・?」
俺が状況を把握できずにいると
それに気づいた「呂布」が言う
「こんな気持ちの良かことは久方ぶりけんね
きさんの言うとおりじゃ、おいの本当の名は丁原で間違いなか
名前を変えてたのはそこの赤毛の子恋の為やけんね
おいはもう先が短かけんね、おいが死んだら名乗らせるつもりじゃった
まっそんなことせんでも恋はもう大丈夫みたいやけん
近々名は返す予定じゃったが早めても良かみたいね」
とニカっと笑顔を浮かべる丁原
「まっ、暫くおい達の所でいくらでん修行すればよか
鍛錬相手なら霞(しあ)も恋もおるけんね
おいもおるけど疲れるからしたくなかけん・・・ってそういや
きさんは五斗米道(ごとべいどう)も使えるんやったね
おいもまだまだ戦えるってことか・・・楽しみにしとかんね」
とどっからだしたか分からない酒を出しながら謁見の間を出て行った
うん、色々あったけど明日から頑張ろう・・・と心に誓い
いつの間にか傍によってきた張遼と本物の呂布と一緒にご飯を食べにいった
教訓:財布の中身が無い時は一人で食べましょう
明日からどうやって生活するかなぁ・・・
あとがきっぽいもの
ヘイ州編も2回目です。仕官話だけじゃボリュームが薄いなぁと思ったので
ねねとの出会い編と霞との出会いを入れてみました
丁原は一応方言キャラなのですが上手く書けてるか不安でいっぱいです
一応真名も考えてますが出せる機会があればいいなぁ・・・
次回からはまた修行編というかヘイ州での日常がメイン予定です
そして、少しずつ原作へと近づいていきます・・・
こんな駄文ですが次回もよろしくお願いしますm(_ _)m
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この物語はオリ主メインの外史です
基本オリ主視点になっております
チート・ご都合主義・独自展開の為
苦手な人はご遠慮下さい
大丈夫な人は駄文にお付き合い下さい
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