No.507386

俺と青春と召喚獣 第1問

本郷 刃さん

第一話です。
不定期更新ですし、自身もあまりないので期待はしないでください。

では、どうぞ・・・。

2012-11-12 16:29:56 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:11121   閲覧ユーザー数:10337

 

 

 

 

 

第1問 俺と姫路と振り分け試験

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久Side

 

教室中に鳴り響く、ペンや鉛筆の音。

現在、来年度のクラス振り分け試験が行われている。

ちなみに俺は答案用紙には何も書いていない。

早い話しが面倒くさいし、良い点数を取ると目立つし、なにより俺は『観察処分者』だ。

最低クラスのFクラスがお似合いだろう。加えて、親友兼悪友から協力してほしいと頼まれている。

つまり、ワザと試験に手を出していないというわけだ。そういうわけで、やることもないので寝るとするか。

 

―――ガタンッ、ドサッ!

 

寝ようと思った矢先に、そんな音が聞こえてきた。教室内の生徒達が少しざわめいている。

何の気も無しに音がした方を向いてみると、一人の女子生徒が倒れていた。

見知った顔なので、俺は彼女に近づいた。

 

「大丈夫か、姫路?」

 

「よ、しい…くん…?」

 

倒れたのは小学校の時から何度かクラスメイトになったことがある、姫路瑞希だ。

どうやら熱があるようだ。意識が朦朧としており、顔もかなり赤くなっている。

熱自体も高いようだ。そこに監督官である一人の男性教師が近づいてきた。

 

「姫路。途中退席は無得点扱いになるが、構わないな?」

 

こいつ、まずは生徒の安否を確認するのが普通だろ。ホントに教育者か?

 

「わかり…まし、た……」

 

姫路は体をフラつかせながらも、机を支えにして立ち上がった。

そのまま壁に手をつけて歩き、教室から出ていこうとする。

 

「吉井。お前は席に戻りなさい」

 

フラフラと歩く姫路を見ていた俺を、席に戻るように教師が促した。だが俺は……、

 

「無理するな、姫路…」

 

そう言ってから姫路の体を横向きに抱えて、歩き出す。

 

「おい、吉井! お前も無得点扱いにするぞ!」

 

教室から出ていこうとする俺を、教師は止めようとする。

 

「勝手にしやがれ」

 

俺はその言葉を吐き捨てて、姫路を抱えたまま教室をあとにした。

 

明久Side Out

 

 

 

威弦Side

 

さすがは明久だ。あいつにとっての教師は、本当に信頼できる人だけの事を言うからな。

でもこれで明久はFクラス行きが決まりか……俺はどうすっかなぁ~。

答案するのをやめて、俺もFクラスに行こうかな?

けど明久の奴、絶対に気付くだろうし…どうしたものか…。

 

「吉井め…。まったく、これだからバカなクズは困る」

 

そう言い放った教師にムカッときた。いいところにFクラス行きの切符があるじゃねぇか。

 

「せんせ~。ちょっといいっすか?」

 

「どうした、四津?」

 

俺に呼ばれて近づいてきた教師。

 

「いえ、せんせ~の顔にゴミがついているもんで」

 

「む、どこについている?」

 

「俺が取りますよ」

 

「そうか、すま、がはぁっ!?」

 

教師に近づいた俺はそのままストレートパンチをその顔面に叩き込んだ。

 

「あ、間違えました。せんせ~の顔がゴミなんでした。ゴミに触ったんで、俺退出して手洗ってきますね」

 

俺はそう言って教室から出ていく。

 

威弦Side Out

 

 

 

桐弥Side

 

明久君はやっぱり良い人だ。威弦君は相変わらず過激だし。さて、僕も手をうたせてもらおうかな。

 

「先生、大丈夫ですか?」

 

僕は白々しい声音で男性教師に話しかけた。もちろん彼が僕の声音に気付くはずもない。

 

「あ、ああ……クソ。これだから力に頼るクズ共は…!」

 

「まったくですね……なんで貴方みたいなクズが教師をやっていられるのか、不思議に思いますよ」

 

「な!? 貴様、教師に向かってなんて言い草を…」

 

怒りを露わにして、僕に文句を言おうとしてきた。それに対して僕は切り札を使った。

 

―――『「ガタンッ、ドサッ!」姫路。途中退席は無得点扱いになるが、構わないな?』

―――『吉井め…。まったく、これだからバカなクズは困る』

―――『クソ。これだから力に頼るクズ共は…!』

 

「なっ、あ…!?」

 

先程自分で発した言葉が録音機から大きく響き渡った事に教師は驚いている。

 

「先生が仰った先程の暴言……全て録音させてもらいました。

 体調不良で倒れた生徒に対して、安否を確認することもなく、心配をする様子もない。

 加えて、特定の生徒に対する暴言。明らかに教師としてはあるまじき行為ですね」

 

僕の発言に試験を受けていた生徒達がざわめきだした。

それを聞きつけたのか他の教師達がやってきた。僕は録音機を持ったまま男性教師に近づいた。

 

「これは僕の方から教育委員会に提出させてもらいますね。それでは…」

 

そう言ってから、僕も教室をあとにした。

 

桐弥Side Out

 

 

 

 

 

 

祈Side

 

……なにもできませんでした。

親友の瑞希ちゃんが倒れたというのに、驚きのあまり動くこともできませんでした。

だけど彼らはすぐさま動きました。

吉井君は瑞希ちゃんを助けて、四津君は吉井君を追うように動いて、織本君はあの酷い男性教師の行動を抑えた。

それに比べてわたくしは、なにもできませんでした。

ならばせめて……瑞希ちゃんと同じクラスになって、彼女を支えなくては。

決意を決めたわたくしは、消しゴムを取り出して答案用紙に書いている自分の名前を……消しました。

 

祈Side Out

 

 

 

クロードSide

 

―――ざわざわざわざわ………。

 

随分と騒がしい。受けているテストも一段落したから、寝ようと思ったのに。

一体、なんでこんなに騒がしいんだろうか。監督官の女性教師も出ていってしまったし。

 

なんか他の教室で問題が起きたらしいぜ」

 

「問題ってなんだよ?」

 

廊下側に座っている二人の男子生徒が何かを話している。問題?

 

「あの吉井と四津、あと織本がなんかしでかしたらしいんだ」

 

あの三人が問題を起こした。十分にボクの興味を引く内容だ。

 

「詳しい事は知らないんだけどさ、教室から出ていったみたいだぜ」

 

「マジかよ? てことは、途中退席で0点なんじゃないのか?」

 

なるほどね。面白そうだし、ボクも乗ってみようかな。

ボクは椅子から立ち上り、自分の答案用紙を破いた。周りの生徒は目を見開いて、驚いている。

ボクはそのまま教室をあとにした。2年生からは面白くなりそうだな~。

 

クロードSide Out

 

 

 

明久Side

 

姫路を抱えながら保健室に向かっている途中なんだが、豪く教室の方が騒がしいと思った。

 

「よし、い…く…」

 

「どうした、姫路?」

 

姫路が辛そうな様子で俺に話しかけてきた。

 

「ごめ…なさ、い…。また(・・・)…わたしの……せい、で…」

 

「別に…、お前のせいじゃねぇよ。知り合いがぶっ倒れて、放っておくのも寝覚めが悪いと思っただけだ」

 

俺がそう言うと、姫路は儚げな笑みを浮かべた。

 

「そ…です、か…。なら…ありが、とう……ござ、います…」

 

途切れ途切れだが礼を述べた姫路。まったく、昔から妙に律儀なところがあるよな。

 

「や…ぱり、よしい…くん、は……やさしい、ままです…」

 

俺が『優しい』、ねぇ…。

 

「そんなことねぇよ。俺は……って、寝てんのか」

 

言葉を返そうとしたら、姫路は眠っていた。やはり起きているのは辛かったんだろうな。

 

「俺は……ただの『偽善者』で、【暴君】だよ…」

 

俺は一人呟いてから、辿り着いた保健室の扉を叩いた。

保健室にいた先生に事情を説明して、姫路を預けてから俺は帰宅の路についた。

 

 

 

ちなみに俺が、威弦、桐弥、クロードの三人がテストを途中退席した事を知ったのは、

振り分け試験期間が終わってからのことだった。

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回『俺とクラス分けとFクラス』

 

 

 

予習問題・古典

『冒頭が「春はあけぼの…」で始まる随筆と、その作者を答えなさい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

早速オリキャラの登場です。

 

キャラ紹介も投稿しますので、そちらを参照に・・・。

 

本作では、バカなのはFFF団くらいですのあしからず。

 

また冒頭にアニメや小説であった問題とその回答を載せたり(ある場合とない場合がある)、

次回予告のあとにあるようにオリジナルの予習問題も載せます。

ちなみに解答権は最初に答えを述べた方のみです。

間違っていても、出来るだけそれ以降の方は答えないようにお願いします。

 

それでは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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