「そんな時期ね、って人事みたいに言うけど
亜美ちゃんこの間のHRで実行委員にされちゃったんだからねっ!
今度のHRで名指しで意見聞くから覚悟しときなさいよ二人とも」
「えっ、俺もなのか…」
亜美のいつもの無茶ぶりに竜児が慣れた様子で苦笑いを浮かべるすぐ横で
奈々子は一人、妄想の世界へと走っていた。
(文化祭かぁ、竜児君と回りたいなあ。
でも執事喫茶とかでコスプレしてる竜児君を眺めるのもいいかも…)
なんといっても人生初の彼氏もちで迎える文化祭だ。
奈々子の頭の中はもうお花畑である。
「っと、もうこんな時間か。そろそろ晩飯の準備しねえとな。
ちょっと大河に今日はどうするのか聞いてくる」
そんな竜児の一言で現実に引き戻される。
「へー、竜児ってばまだちびとらの面倒見てたんだ。
奈々子もそれでオッケーなわけ?」
「うーん、だって逢坂さんに焼き餅やいたってしょうがないじゃない?
そういうのは片思い中だけでもう十分よ」
「勝者の余裕って奴ー?私だったらもう焼き餅全開よ、多分ね」
「うふふ、竜ちゃんってばもてもてなんだー」
竜児が大河のことを、もはや家族の一員のようのおもってることは分かっている。
今更、そこに触れても誰もいい想いはしないだろうし、
絶対に大河を見捨てることが出来ない竜児は苦しむことになるだろう。
そんなのは奈々子の望みではないし、竜児のそんな優しさに奈々子はほれ込んだのだ。
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