転校して数週間が立ちこの生活に慣れ始めたころ

高町がフェレットを拾ったらしい。なんでも珍しい種類らしい。まあどうでもいいのだが――――

「ゴラァ！てめぇ俺のなのはと何勝手に話してんだ、殺すぞ！！モブのくせに！！」

まただよ(呆、高町の奴は何かと俺に話し掛けて来やがるが、その度にこの皇魔か聖火がやってきて俺のストレスを上げてきやがる。

「……ほら見ろ、こんなに話したがっている奴がいるんだ。俺とじゃなくてコイツと話してろ」

「皇魔君！！私は麻井君と話してるの！だからどっか行っててほしいの！」

ちょい待て！何をさっき聞いてたんだお前は！！

「なのは！？……てめぇ！！俺のなのはに何吹き込みやがった！」

……何なんだよコイツや聖火の勘違いは何をどう見てどう解釈すれば俺や刃が何かした事になるんだ、どういう思考回路しているんだ？バカか？馬鹿なのか？お前等一回精神科か脳外科医のところに行って精密検査して来いよ。多分何も出てこないだろうが。まあそんなこと言ったら不毛な争いになるから何も言わないが……俺は平和主義者だからな。

キーンコーンカーンコーン

「ちっ！！おいモブ共余り調子に乗るなよ！」

(え！？俺も？)

チュートリアルとかでやられる、やられ役の三下の言う様な台詞を吐き捨てて、皇魔は自分の席に戻った。

「ねぇ…」

「なぁ……頼むから、アレ面倒臭いからアイツ等がいるときは余り俺等に話し掛けてくんな。マジで」

「えっ？！…………うっ……うん…わかったの」

良し！これで少しだけ静かになるな。

（も～～～～う！！何でいつも邪魔ばっかり入るの！…はぁ……お話できるのあの二人が居ないときしかないの……もっと色んな事聞きたいのに）

何だ？急に疲れきった顔しやがって…まぁあんなのに付け回されたら疲れるに決まってるわな――――俺だったらPTAに直訴している。

ちなみにアイツ等の一日の言動(隣にいる高町及びその友人限定)を簡潔に言うと

「あっち行ってちょうだい！！」

「全く、相変わらずのツンデレだな？そこがまた可愛いんだが。」ニコ

「ツンデレじゃないわよ！！もう話かけないで、気持ち悪い！！」

「なぁすずか。今度一緒にコンサートを見に行かないか？チケットが手に入ってな。」ニコ

「ご、御免なさい、その日は少し用事があって、・・・」

「そうか？なら空いてる日はいつか教えてくれないか？」ニコ

「い、いや、その、ね？えーと・・・・・・」

「なのは！！今日も可愛いな。これお前欲しかった物だろ？偶然手に入れちゃってさぁ～」ニコ

「い、いいよ別に。」

「遠慮すんなって俺とお前の仲だろう？」ニコ

「おい、てめぇ！！何俺のなのは達に手をだしてんだ！！殺すぞ！！？」ムカ

「るせぇ！！てめえだってなにみんなに付きまとってんだ！！消し炭にするぞ！ええ！？」ムカ

コレが毎日隣もしくは近くで行われるのだ。おかげで気の休まる時間がない。高町たちの席が窓側の端でなぜ転校してきた俺たちの席があんな中途半端な場所にあったのか理解できたな。しかも、周りの女子はキャーキャー言うだけで何もしない。若干数名は同情の眼差しでなのは達を見つめ、残りの男子や他のクラスの人間は主に転校したての俺達に同情と気遣いの視線を送っていた。とくに、俺達の方から話した場合はともかく、向こう(特に高町)から話してきた場合のアイツ等の理不尽に対しての同情の視線が痛く心に沁みこんだ。

放課後

えーと、買うものはこれで全部だな。しかしこの世界の野菜は安くて助かる。家計に優しい。おっと胃薬買わねば

「さて……次は…」

それにしても昨日まではなかったのにこの町一帯になぜか集中しないと分かりづらいが魔力反応がちまちまと感じるな……14……15か所か……少し探してみるか。それに新種のフェレット……偶然にしてはできすぎているな。

「此処か……」

魔力のある場所を感知して向かうとそこには碧眼の瞳を思わせる色と形状をした宝石のようなものがあった。

「………少し調べてみるか」

夜……

「なるほどな～」

どうやらこれは、『ジュエルシード』という一つ一つが強大な「魔力」の結晶体で、周囲の生物が抱いた願望を叶える特性を持っているようだ。が、『使用者の本当の願い』だけは叶えられないみたいようだ。

「だが、これだけの結晶体だ。少し捻れば………」

と、ここで巨大な魔力反応を感じた。

「この魔力反応………そしてこの結界は」

『何かが起きたようだな』

「ゼイオン」

『どうやらあのなのはという子の魔力だな………どうする？』

「これだけの魔力量ならわざわざ助けに行く必要はない。」

てか元々アイツ魔力垂れ流していたし………

『………冷たいのだな』

「別に……それにわざわざ俺たちが出ずとも、あのバカ二人がしゃしゃり出るだろう。もし、鉢合わせで見つかってそこから口論になるのは得策ではない。デメリットが大きすぎる（転生者とか普通に口走るだろうからな）。」

『それもそうだな』

「それより今はコイツだ。一応遠距離からサーチャーは入れておけ、万が一ということもある。変な兆候が見え隠れしてきたら伝えろ。その時は俺も出陣する。」

『了解した』

その後調べてみて分かったことはこの物体は正しい手段で起動させると上記の願い以外は叶えてくれるが。間違った手段を用いると暴発するものだと判明した。

「………そのままの用途で用いれば欠陥品もいいところだな。」

『どうやら向こうも戦闘が終わったみたいだ。サーチャーは切るぞ。』

「ご苦労だったな」

『気にするな。しかし、結局アイツ等は出てこなかったな。』

「大方気付かずに鼾(いびき)掻いて寝てたんだろ。」

そして次の日からフェレットのユーノが学校に来た。学校にフェレットを連れてきていいのか？と思ったが意外に人気が高く受け入れられた。そしてやはりユーノはただのフェレットじゃなかったみたいだ。詳しくは知らないが。ちなみにあの日は結界のおかげもあってか事故として扱われたが、あの近くにいたことを高町がうっかりしゃべってしまってバニングスに怒られてた

簡単にその後のことを教えておくとしよう

数日、高町はジュエルシードを封印するために動いていた。俺は実験のために二人に気が付かれないよう単独で動いてすでに二つ確保しておいた。

そしてあのバカ二人がついに高町が魔導師だということを知ってしまい。自分も魔導師だと言って同行を申し出たのだ。もちろんその時も主に二人による不毛な争いに発展したが。……てか、あの二人初日の時点で気付けよ。刃も気付いていたぞ……因みに刃は翌日に俺が少しだけだが関わっていることを知ったら「じゃ、問題ねーか」とか言って手を引きやがった。薄情者～(棒読み

当然高町は不快感を惜しげもなく表していたが二人は気が付かない。そしてユーノは魔力が高いということで二人の同行を許可した。

しかし、当然ながらあの二人は魔力が高いだけでチームワークが全然ダメ。お互いを邪魔者扱いするし、いつも勝手なことをして足を引っ張る。

ユーノも受け入れたことを後悔しているようだ…………

そして

「暇だったから散歩してるけど暇だな～」

『そうだな』

「修練の門がいま修理中だからな～」

『まさか実験の時にああなるとはな』

「そうそう………ん？」

『どうした？』

「あれジュエルシードじゃね？」

『そうだな、封印は解けていないみたいだが』

取りあえず暴発してもらっても困るからそのジュエルシードを拾い上げる。そして・・・・・

「それを渡してください」

振り向いてみると、そこには金髪ツインテールの少女と犬耳(くせ毛と言えばまだ通るかもしれない)の女の人。がいた。

「……………………」

「もう一度言います。それを渡してください」

すると少女はいきなりデバイスを構える。まぁ……なんだ…とりあえず一言

「まず一つ言っておくが、初対面の人間にそうゆう対応の仕方はどうかと思うぞ、それからまず、お前たちは誰だ？」

すると二人は「あっ・・・」て言う顔をした。おい、目的にとらわれすぎだろ……何も知らない一般人だったら警察に突き出されかねんぞ。

「…………フェイト・テスタロッサです」

「………アタシはアルフ」

「俺の名前は麻井伸。一応聞かせてもらうがなんでこの石を渡してっていうんだ？」

「なんであんたにそんなこと言わなきゃいけないんだい」

「えっと・・・・私達はその石を集めていまして・・・」

フェイト！？と言いながらアルフは驚いたようにテスタロッサを見る

「そうか、個人的な事情は余程のことじゃない限り深くは詮索しない主義だからこれ以上は問わないし俺が持っていても仕方のないものだからあげるがこれからは脅しはやめておけよ。」

「あうう………」

そう言ってジュエルシードを渡した

「じゃあな」

「えっと……………ありがとうございます」

そして俺はその場を立ち去る。俺の姿が見えなくなった後、二人もどこかに飛んで行った。

『何でああもあっさり渡した？それに奴らがここ数日アレのために動き回っていることも近くに来ていることもわかっていただろう』

「まず、アイツ等がどういう人間かを知る必要があった。まあそれに関してはそこまで問題はない。そしてその目的を知るためだ。下手に使われて暴発しこの世界が滅んでは困るからな、そのためにアレに発信機(特製)つけておいたんだし」

『いつの間に……いやいいか。しかし、見たところ彼女たちは独断で集めているわけじゃなさそうだったが。おそらくだが、誰かに命令されていると思うのだが…………そのための発信機か』

「そういうことだ、だから俺も他に持っているジュエルシードを渡さなかった。下手に渡してこの星がアボーンしても困るからな。まあ、しばらくは高町たちにもあのテスタロッサって奴等にも俺が魔導師ということは内緒だ。監視はこれからもするがな。何が起こるかわからん。」

今はどう転ぶかわからない。まあ、最悪の場合は正体をばらしてでも止める気だがな……

「それより、彼女の目を見たか？」

『……………？』

「あの目は誰かに認めてもらいたいと思う者がする目だ。まあ、隣にいたアルフという女はどうでもいいって感じだけど、見たところあの子の使い魔みたいだから付き合ってるて感じだったな」

まあ、推測してもきりがないがな。そう思った俺はそのまま家に帰った。ん？勝手に魔改造して大丈夫なのかって？取り付けたに等しいからな中身には触れていない。