No.505140 IS x 龍騎〜鏡の戦士達 Vent 25: 自分は自分i-pod男さん 2012-11-06 20:58:17 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1713 閲覧ユーザー数:1620 |
それからと言うもの、一夏は簪と積極的に話す様になった。最初こそ多少の抵抗があった物の、交流を重ねる内に段々明るくなって行き、他の生徒ともコミュニケーションを取る様になった。彼女の専用機も数週間の内に急ピッチで仕上がり、テスト稼働も問題無く進んだ。そろそろかと思い、一夏は口火を切った。
「なあ、簪。」
「何?」
「ちょっと話があるんだ。楯無の事で。あいつは、お前と仲直りがしたいと言っている。俺もそうして欲しい。」
「嫌・・・・」
「何故そこまで姉を嫌う?俺はまだそこが分からない。」
「それは・・・・あの人は・・・・強いし、何でも出来るから・・・」
「何でも?それは違うな。俺はあいつに会ったが、あいつは一つ苦手な物がある。編み物だ。そうだろう、楯無?シスコンでいる事に俺は不満は無いが、生徒会長であろうお人が盗み聞きは感心しないな。」
「・・・・あらら、バレちゃったか・・・・・簪ちゃん、彼が言った事は本当よ。私だって、只の人間なんだから。それに、何の努力も無しにここまで色々出来ると本当に思ってる?」
「・・・・それは・・・・」
「お前がコンプレックスを抱いている事は分かった。代表候補と国家代表の壁も理解した。だったらいっそ一発だけでも派手にぶちかましてみろ。気が済むまで戦え。」
「負けるって分かってるのに何で」
「それがどうした。勝てる可能性が無い?戦った事も無い相手は不確定要素だらけだ、そう思うのは当然だろう。だが、俺なら息がある限り戦い続けるし、死ぬまで足掻く。たとえ生存率も勝率も一パーセントにも満たない那由他の彼方であろうと。無様だろうとなんだろうとな。お前は只逃げてるだけだ。自分を下に見過ぎている。お前は楯無の妹である以前に一人の人間だ。更識簪と言う一人の人間だ。お前にしか無い才覚だってある。まずそれを誇れ。っ・・・・」
キイイィイィイイィィィイイイ・・・・・
「毎度毎度ご苦労な事だな・・・・バラすつもりか、あいつは。」
窓に映っていたイモリ型のミラーモンスター、ゲルニュートを見て一夏は毒突く。
「仕方無い・・・・ここら辺に監視カメラは無いしな。簪、よく見ておけ。これが、本当の、命を賭けた戦いと言う物だ。(ここはサバイブ無しでやるか・・・・)」
デッキを引っ張り出してポーズを取り、現れたVバックルに装填する。
「あ・・・・!仮面、ライダー・・・」
「そうだ。俺が、あの時お前が会った奴だ。楯無、俺の戦い見れる様にしてくれるか?」
「良いわよ。」
そっと背中にデッキを触れさせ、ナイトがミラーワールドに飛び込んでゲルニュートに攻撃を始める。だが流石爬虫類もどきの化け物と言うべきか、やはり動きが素早く、簡単には捉えられない様だ。
「全く、手間をかけさせやがって。」
『ナスティーベント』
「少し寝てな。」
ソニックブレイカーの効果で飛びかかろうとしたゲルニュートが頭を抑えて地面を転げ回り始める。
「とっとと死ね。」
『ソードベント』
ウィングランサーを召喚すると、胸を二度貫いてから頭部を首から切断した。
「ダークウィング!」
『ギイイィイイイィイイイ!!!』
鳴き声を上げながらエネルギーを吸収すると、用は無いとばかりに飛び去った。ミラーワールドから出ると、首を回した。
「良いか、楯無同様俺は人を殺した事がある。基本はしたくないし、馴れる物でもないが、ある。俺はもう引き返せない所まで足を泥沼に踏み入れた。今更引き返せるなんて思っていない。逃げられないし、逃げる気も無い。だから、お前も逃げるな。」
それだけ言うと、二人を残して、一夏は去った。
その頃、ラウラとシャルロットは司狼を相手に模擬戦をしていた。
「シャルロット、もっと楯を有効に使え。そいつは頑丈だ。シールドピアースだろうがグレネードランチャーを至近距離からの連射を食らおうが、多少の傷は付いてもそれは壊れねえ。寧ろ打撃にも使える。特にギガテクターはな。後、ラファール使ってる武器を使うなとは言わないが、他の武器にも馴れておけ。特にラピッドスイッチの時はな。」
「は、はい・・・!!」
「ラウラはもっとスラッシュダガーとサイコ・ショックに馴れろ。プラズマ手刀を使うのは結構だが、使える武器は全部使え。使わないまま持ってても意味ねえぞ。速度も上がってるから、スピードに振り回されるな。」
「了解です!」
「ほらほらほら、どうしたぁ!?もっと来いや!!!」
『Wing Vent』
デュアルバイザーを両手に構えて乱射し、ルナウィンガーで二人の周りを飛び回り始めた。更に翼からビットが幾つか外れて稼働し始める。
「くっ・・・・速い!!それにあんなにビットを速く動かして尚且つ高機動中に攻撃が出来るなんて滅茶苦茶過ぎる!!」
「ヴォーダン・オージェを使っても捉え切れん!何と言うスピードだ・・・!」
そのスピードに舌を巻いていた二人だが、そんな暇を与える程司狼は甘くない。
「速度は重さだ。しっかり受け止めろよ!?」
『Strike Vent』
ハウリング・ガオをシャルロットの背中、ラウラの脇腹に叩き込んでアリーナの端まで吹き飛ばした。絶対防御が発動し、シールドエネルギーがゼロとなった二人はISを解除する。
「いたたた・・・・」
「くぬ・・・不覚・・・・!!」
「まあ、そんだけ馴れりゃ十分だ。一応言って置くが、
「いえ・・・・僕達が頼んだ事ですし・・・・」
「流石は
二人がアリーナを後にするのとほぼ入れ違いに、また何人かがピットから現れた。
「ちょっと良いかしら?」
「あ?」
後ろから声を掛けられ、振り向いた。そこには何名かの女子がISスーツを着て立っていた。
「これはこれは先輩方。何の用ですか?」
微笑を崩さず、ISを解除して挨拶する。
「はっきり言って貴方はいらないのよ!男の癖に専用機を持ってこの学園に入るなんて・・・あの織斑一夏もそう!千冬様の弟だからってつけあがって!」
それから五分程続いた悪口雑言に耳を傾けていたが一頻りそれが終わると、只一言こう言った。
「それで?」
「な」
「つけあがっていたらどうだと言うんだ?実力に見合った発言をして何が悪い?お前らにそれを変える力があるのか?あるなら遠慮無く使え、こちらも全勢力を持ってそれを叩き潰そう。俺は男に生まれて来たし、それは誰にも変えられない。別に女に生まれたいと思った事なんか無いしな。ついでと言っちゃ何だが男ってのは戦うのが性だ。女尊男卑なんて反吐が出る様なこのご時世に反発するのは自明の理だろうが。お前の様に視界の狭い
「さっきから聞いていれば・・・・好き放題言ってくれるわね!」
「お互い様だろ?後、謝れなんて言っても無駄だぞ?俺は喧嘩腰で話して来る奴に下げる様な頭は生憎持ち合わせていないんでね。それに、ISは言うなれば『力』。衝突は必ずある。俺には正義や悪は分からないが、俺はこう考えている。『勝者こそが正義だ』ってな。そう言う事を言いたいなら、まず俺に勝ってからにしろ。まあ、ISが無ければ『無力』と言う二文字の形容詞に縛られてしまうお前らに勝率は少ないと思うけど。でも、足掻く奴は好きだよ? じゃあ、失礼。名前も覚えないだろうけどね、先輩。フフフフ・・・・」
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お待たせしました。二十五話です。