───────ヒュッ
急ぐ俺の横を何かが通り過ぎて俺と反対の方向へ走っていく・・・。
そいつの服装を見ると純白の着物、鮮やかな水色のはかま、そして足には
たびを履いている。その格好はまぎれもない俺の親父。神田義明だった。
「あ・・・?親父?」
親父が神社を離れることは滅多に無い。そんな親父がそうしたんだ?
しかも、神社は右だぞ?なんで左に曲がるんだ?
誰かの家にでも行くのか?まあ、どうでもいいや。
俺はそんな事を考えていた。
「尚、あれ尚のお父さんだよね?神社離れちゃって
大丈夫?あ!もう8時3分!もうすぐHR始まるよ。急ご?って
話聞いてる?」
瀬奈の言葉で我に返った。ま、帰って聞くとするか・・・。
それより今は学校、学校・・・・・・・・・・・・・・・。
うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ─────────
誰かの叫び声が聞こえた。
「!!」俺は地面を蹴って行き先と反対の方向の叫び声の方へ向かっていった。
この際担任の山本がどうとか遅刻がなんとか言っている場合じゃない。
困っている人を助けないと。親父のようにはなれない。
「ちょ!尚何処行くの?学校は反対・・・・」
もう、瀬奈の声も聴こえない。
俺は走った一生懸命に。困っている人を助けるために・・・・。
そして、俺の家と反対の左に曲がった。
「あれ?こっちは親父が来てたような・・・。さっきの悲鳴となんか関係が
あんのか?」
ついた所は竹林だった。
──あぁぁぁぁぁ─────
叫び声はまだ続いている。よく聴くと南の方向からだ。
俺はすぐ南へ向かった。
「はあ・・・・はあ・・・・・。やっと見つけた。」
俺は息を切らしながらいった。
そのとき俺は、下を向いていて次の瞬間上を向いて目の中に飛び込んだ
光景に驚いた。
そこにはさっきまで純白だった着物が真紅に染まり水色のはかまは紫になっていた。
そいつの手には包丁。もうひとつの手には、叫び声をあげたと思う
男の人の生首を持っていた。
そして、足元には腕や足が落ちていた・・・・・。
その生首の正体は・・・。
「せ、瀬奈の父さ・・・ん・・。なんで
なんでだよ・・・。どうしたんだよ親父!!」
瀬奈の家はお母さんが2歳のときに病気で死んで、唯一の兄弟だった
兄貴もひき逃げにあって死んだ。瀬奈には父さんしかいない。
涙がこぼれてきた。大粒の涙が・・・・。
「なあ!なんでだよ親父!こっち向いて話せよ!!
なんで瀬奈の・・・瀬・・・奈・・・・・の父さんを・・・・・・・・」
俺は泣きじゃくりながら言った。そしてら親父は、平然とした顔で
答えた。
「はあ?こんなカス居なくなっても困らんだろ?
お前もそう思ってなかったのか?尚。」
─────!
親父のその言葉に幻滅した。
瀬奈の家と俺の家は小さい頃から仲がよくて、
俺の親父も瀬奈の父さんとよく酒を飲んだりしてた。
なのに。なのになんで・・・・・・。
俺はしばらくの間泣いていた。
そしたら俺を呼ぶ声がした。
瀬奈の声だ。「尚ーーーーー。なぁーーーおぉーーー。」
やばい!瀬奈に死体がみつかったら・・・・。
気が付いたら親父は消えていた。
「あれ?親父?」
親父が消えてるって事は今までのも全部幻覚か?そしたら死体はないってことに・・・。
と思った俺はちょっと竹の中を覗き込んでみた。
「うっ。」
まだ、そこに死体はあった。
こんな物瀬奈に見せられない。
俺はありったけの力を出してそこらへんにある土を
死体の上にかけた。これで、見えはしないだろう・・・。
「ふー。」
っと息をついた瞬間。瀬奈がやってきた。
「もう!尚どこいってんの?こんな竹林の奥まで・・・。探したんだから!」
「お?おうごめんごめん。叫び声が聞こえたからつい・・・。」
よし。まだ気が付いてない。
「早く。学校いかねぇとな。山本に怒られる」
俺はなるべく瀬奈をこの場から離そうと思った。
「な?行こうぜ瀬奈!」
俺は作り笑顔を浮かべた。
「うん!そうだね。」
そしたら瀬奈も笑ってくれた。
よしこのままいけば・・・・・・・。
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第壱話の続きです。
今回も駄文ですが、
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