―――暇だな。
めだかちゃんと別れて先に生徒会室に来たのはいいがやることが無い。
……暇すぎる。
適当に置いてあった椅子に座りながら彼女が来るのを待っていると扉が開く。
「待たせたな、駿河」
「待ちくたびれたよ」
めだかちゃんに続くように彼も入ってくる。
「っ!!あんたは!!」
彼―――人吉善吉は俺を指差して言う。
「羽川駿河!!」
「1年ぶりだね、善吉君」
睨んでくる善吉君に笑顔で返事をする。
「何であんたが生徒会室に居るんだ!?」
「何を言ってるのだ善吉、駿河は生徒会役員だから当然ではないか」
「違うから!俺は生徒会補佐であって生徒会役員じゃないから!!」
「生徒会補佐?」
善吉君が首を傾げながら言う。
「生徒会を手助けする人のことだよ、前の生徒会長の仕事を手伝いたかったから去年俺が作ったんだ」
「……てことは、あんたがここにいる理由は―――」
「めだかちゃんの仕事を手伝うためだよ」
めだかちゃんは会長・副会長・書記・会計・庶務の5つの役職全部1人でやっている。
俺としてはずっとそれでいいと思うけど、『あいつ』が関わってくる以上そんなこと言えない。
『あいつ』がこの学校に来るまでには―――
「どうしたのだ駿河難しい顔をして」
「……何でもないよ」
黙っていた俺を心配するようにめだかちゃんは言った。
既に善吉君は席に座っていた……俺のことをまだ睨んでるよ。
「……ったく、そろそろ俺を連れてきた理由をそろそろ教えてくれよ、生徒会長さん」
善吉君は首を押さえながら言う。
……首を捕まれてたのかな?
「駿河がメンバーを集めろと言うからな、先ずは貴様をと思ってな」
「そんなの羽川先輩にでも入ってもらえばいいだろ、何で俺なんだよ、生徒会長さん」
「善吉よ、そのようなよそよそしい呼び方をするものではないぞ、昔のようにめだかちゃんと呼ぶがよい!」
凛とした態度でめだかちゃんは言う。
「頼むよ善吉君、それに―――」
俺が言うと善吉君は睨むように見てくる。
「俺とめだかちゃんを一緒に居させていいの?」
「っ!!」
めだかちゃん大好きな善吉君からすればそれだけは避けたいことだろうことを言う。
「それに、めだかちゃんには善吉君が必要なんだ、仕事とかそんなんじゃなくてただ善吉君がそばにいてほしいだけなんだからさ」
「!!」
善吉君はそれを聞くと顔を赤くしながらめだかちゃんを見る。
「いや、私はする―――」
「ほら!めだかちゃんもそい言ってる!!」
めだかちゃんが言い終わる前に被せて言うと、善吉君は更に顔を赤くする。
「そういえば、めだかちゃん目安箱には何か無かったの!?」
これ以上この話を続かないように話をそらすとめだかちゃんから意外な返事が返ってくる。
「うむ、先ほど開いてみたところ早速第一号の投書があった」
「目安箱?……あーあったなそんなかったるいもんが」
善吉君はめだかちゃんから目を逸らしながら言う。
めだかちゃんが紙を取り出すと読み始める。
「三年の不良生徒達が剣道場を溜まり場にしていて困っています生徒会でどうか彼らを追い出してください―――だそうだ」
「はじめにしてはいきなり重いね」
率直な感想を俺は言うと、立ち上がる。
俺に続くように善吉君も立ち上がると言う。
「……たっく、結局巻き込まれるのかよ」
「なんだ、不満か?」
めだかちゃんが言うと善吉君はめんどくさそうに言う。
「今回でもう最後だからな!」
……素直じゃないねぇ。
そんなことを思いながら、俺達は剣道場に向かった。
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“報われない愛なんて悲しいだけだろ。 そんな愛情捨てちまえよ”
中学時代、何でも知ってると謳われていた少年“羽川駿河”
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