No.503027

IS x 龍騎〜鏡の戦士達 Vent 22: 作戦と紅椿

i-pod男さん

福音戦です。どうぞ

2012-11-01 11:44:50 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1840   閲覧ユーザー数:1727

司令室に集合した専用機持ち達は、大量の空中投影されたスクリーンを目の当たりにする。

 

「数時間前、ハワイ沖でテスト稼働中の軍用第三世代機、シルバリオ・ゴスペルだ。以下福音と呼称する。アメリカとイスラエルの共同作業により作られたこのISが原因不明の暴走を始めた。現在超高速でここら一帯をを飛行している。海域一帯は既に教師達に封鎖させてある。パイロットと福音の回収が今回の任務だ。意見が有る物は手を挙げろ。」

 

「はい、では、目標の詳細スペックを要求します。」

 

「それは構わないが、これは両国の機密だ、もし漏らせば制約の為約二年間の監視が付けられる。充分注意する様に。」

 

「やっぱりこの三十六門ある射撃武器、シルバーベルが厄介だね。こんな弾幕まともに食らったら僕の防御パッケージでも防ぎ切れないよ。」

 

スペックデータを見ながらシャルロットが渋い顔をする。

 

「確かにな。それに、俺と同じ高機動を重視している。」

 

一夏も舌打ちをした。

 

「不確定要素が多過ぎる・・・・偵察は行えないのですか?」

 

「無理だ。アプローチは一回が限度だ。一撃必殺で落とさなければ行けない。」

 

千冬はあっさりとラウラの質問を斬り捨てた。

 

「つまり、一番高い攻撃力(零落白夜)を持つ俺が行かなきゃならないって事か。良いぜ。そのパイロットには何度か会ってる、アメリカとの取引も幾つかあったし、俺もそれに参加していた。」

 

「でも、エネルギーはどうするのよ?アンタ一人じゃ、零落白夜を使う前にガス欠起こすわよ、燃費悪いんだから。」

 

「それなら問題は無い。セイレーン・ゼフィルスはウィングナイトと互換性がある。当然ながら高機動も出来るから、問題は無い。この中ではスピードはかなり上だ。それにテストパッケージと超高感度ハイパーセンサーもインストールされている。直ぐにでも出動出来る。」

 

「俺も行こう。アメリカとイスラエルにこの事を一任されたからな。IS犯罪対策室に。で、学園の専用機持ち達とも協力する様に、とさ。委員会からも許可が降りた。それに、俺達はまだ使ってない隠し球がある。」

 

鈴音の言葉にマドカが静かに志願し、司狼が自信たっぷりに言い切った。

 

「待った待ーった!その作戦ちょっと待ったなんだよー!」

 

屋根裏から束の頭が降りて来たが、千冬が電光石火の早業で引き摺り下ろす。

 

「私の頭の中で名案がナウ・プリンティング!」

 

「出て行け。」

 

「聞いて、聞いて!ここは断・然!紅椿の出番なんだよ!みてみて、この展開装甲をちょこっと調整すれば最高速度が倍プッシュになるのだ!」

 

「これ・・・・零落白夜を使う時にダークバイザーが変形するのと同じだ。」

 

「つまり、ウィングナイトも第四世代って事だ。」

 

「試しに私が突っ込みましたー!」

 

「・・・・・良いだろう。織斑、御鏡、白鳥の三人で向かえ。」

 

「え?!」

 

一番驚いたのは束だった。

 

「何で何で?!」

 

「篠ノ之は実戦経験が皆無だ。経験も無い小娘をワザワザ危険に晒す訳にも行かん。それに比べてIS犯罪対策室に所属しているコイツらの方が実力は圧倒的に上だ、成功率はこちらの方が遥かに高い。」

 

「ま、待って下さい織斑先生!私はやれます!やってみせます!」

 

「お前には無理だ。」

 

マドカがぴしゃりと言い放つ。

 

「何だと貴様!私が力不足だと言うのか!?」

 

箒がマドカに詰め寄って睨み付ける。

 

「その通りだ。良く分かっている様で助かる。ならば聞こう、その自信はどこから来る?お前は人を殺した事があるのか?その手で銃を持ち、弾丸をマガジンに入れ、スライドを引き、セーフティーを外し、撃鉄を起こし、引き金を引いた事があるのか?殺される事を前提に挑めもしない奴は、この作戦には必要無い。慢心は死への特急片道切符と同義だと言う事を覚えておけ。」

 

「そう言う事だ。箒、焦る事は無い。ここでラウラやセシリア達と皆を守ってくれ。万一の時は、俺達は戦えないからな。」

 

彼女の肩をポンと叩いてそれだけ言うと、司狼、マドカと共に一夏は去った。

 

 

 

 

「暴れるぞ、ブルート・ヴォルフ!」

 

「飛ぶぞ、ウィングナイト。」

 

「羽搏け、セイレーン・ゼフィルス。」

 

三人のISが起動され、一夏は二人の肩に乗る。

 

「さてと、一夏、準備は良いな?」

 

「いつでもどうぞ。」

 

ブースターを点火し、三人は空の彼方に消えて行った。

 

「二人共、超高感度ハイパーセンサーはどうだ?」

 

「異常なしです。」

 

「こちらもだ。目標到達まで二十秒。」

 

空の彼方に一瞬光る物が見えた。一夏は右手にウィングランサー、左腕はリボルウィングを展開する。息を大きくゆっくりと吐き出した。

 

「到達まで後・・・四、三、二、一、兄さん!」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

一夏は獣の様な叫び声を上げてウィングランサーを福音に振り下ろしたが、間一髪の所で避けられた。

 

「流石に動きが速い。マドカ、奴の動きをスターブレイカーとブルーピアスでで制限しろ。必要ならばスターダストシューターを使っても構わない。ぶちかませ。俺も行く。」

 

「了解!」

 

『『Sword Vent』』

 

フェザードファングを連結させた三日月剣を右手に持ち、左手にデュアルバイザーを連結、変形させた大型マシンガンを装備して攻撃を始めた。だがやはり軍用は伊達ではなかった。

 

「糞・・・・」

 

「一夏!Permission to Shift!」

 

(よし・・・)

 

デッキから引き抜いたのはサバイブのカードだった。それをダークバイザーに装填する。

 

『Survive Mode』

 

「あれは・・・・セカンドシフト!」

 

「その通り。行け、一夏。今のお前なら、奴を倒せる。行け!」

 

一夏の姿は、変わっていた。黒と銀の色がダークブルーと金に変わり、左腕は形が変わっていた。背中のウィングスラスターもマントの様な形状に変わり、右手のウィングランサーが無くなって、代わりに青い握りに金色の刃を持つ巨大な剣、ダークブレードが現れる。

 

「闇の刃に飲まれて消えろ。」

 

だが、その直後、司狼にビームが放たれる。

 

「ちっ・・・・来るとは分かっていたが・・・・一夏、マドカ!そいつの相手してろ!俺はちょっと厄介な奴を敵に回してしまったらしい。」

 

司狼の目の前に現れたのは・・・・紅椿を纏った箒だった。

 

「やはりな。お前はIS乗りとしても、ライダーとしても中途半端だ。」

 

プライベートチャネルを通してそう言う。

 

「黙れ!!何故・・・・・何故お前なんかが一夏の隣にいる!?何故お前なんだ?!」

 

「お前の他人の気持ちを分かろうともしないその心の所為さ。」

 

振り回される二本の刀を避け、フェザードファングでいなしながらそう答える。

 

「だが何故一夏をライダーにした!?」

 

「一つはあいつはこの世界を変える鍵である事と、もう一つはそれは本人が望んで俺の元に来たと言う事がある。そして二者択一のその時、伝えるべき事は全て伝えた。そしてあいつは躊躇いも無くライダーの道を選んだ。俺を責めるのは筋違いだぞ。それより、エネルギー残量気をつけろよ?」

 

「な・・・エネルギー切れだと?!」

 

「終わりだ。」

 

『Shoot Vent』

 

フルムーンバスターから放たれ四方八方に湾曲する『ファントム・ルナ・バースト』をまともに食らった箒はISを解除されてしまう。

 

『Attack Vent』

 

デュアルーパス達の背中に気を失った箒を乗せると、再び福音との戦闘に集中した。一夏は飛んで来るシルバーベルのエネルギー弾を左腕のダークシールドとそれから放たれる緑色のエネルギーで出来た楯によって防いだ。

 

(零落白夜のシールドか・・・!!)

 

『Blast Vent』

 

ダークレイダーが現れて翼のタービンから竜巻を放ち、ダークトルネードの中に福音を閉じ込める。

 

「終わりだ。」

 

『Shoot Vent』

 

左腕のリボルウィングの弓のパーツが開き、大出力の零落白夜のエネルギー弾が放たれた。直撃を食らった福音は強制解除され、マドカがパイロットを受け止めた。

 

「織斑です。福音の鎮圧に成功、これより帰還します。後、帰ったら幾つか質問があるので。」

 

 

 

 

 

 

 

ジャキン!

 

「どう言うつもりだ、篠ノ之?」

 

ブルート・ヴォルフの待機状態である剣を引き抜き、箒にその刃先を向けた。

 

「何故勝手に無断発進した?答えろ。お前の所為で俺は危うく殺される所だったんだぞ?それもお前に。」

 

「無断では無い。私が指示した。お前達のサポートをする様にと。」

 

「サポート?妨害の間違いだろう?俺はコイツに攻撃されたんだ。お陰で一夏の援護も満足に出来なかったしな。まあ、結果的にウィングナイトもウィングナイトS(サバイブ)にセカンドシフトして倒したから問題は無かったけど、少しひやっとしたぞ。本来ならふんじばって委員会に報告する所だけど、誰も死なずに済んだからこっちからは不問とする。ただし、次に同じ事をされた場合は敵として全勢力を持って叩き潰す。それだけ警告しておこう。ナターシャ・ファイルス女史の事はこちらが介護に当たる。さてと、風呂入って飯食ったら寝るか、一夏。明日も早い。」

 

「はい。マドカ、行くよ。」

 

マドカは軽く頷き、二人について行ってその場を後にした。

 

 

 

「あーあ、残念だな〜。まさかちーちゃんも反対するなんてさ。ちーちゃんといっくんと箒ちゃんとシロちゃん以外はどーでも良いのに・・・・稼働率は今で四割弱か・・・・ま、あんだけ戦闘が短ければ当然と言えば当然なんだけどねー。美味しい所いっくんが持って行っちゃったし。」

 

それをオーディンが見ているのを、束は知らない。

 


 
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