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魔法少女と竜と漆黒の狂戦士と StrikerS編 第十五話

ね、眠いです・・・

2012-11-01 09:07:19 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4696   閲覧ユーザー数:3914

 

 

翌日、零冶はボース所にとある許可をもらいに訪れていた。

 

 

零冶  「で、大丈夫か?」

 

ボース 「う~む・・・・なんとも言えないな。取りあえず、教会へレアスキルの登録をしてもらってからだろうな。その後、私が

     何とかしておこう。」

 

 

     教会という単語に零冶が顔を険しくした。

 

 

零冶  「そうか・・・・あまり宗教関係者とは関わりたくは無いのだが・・・。」

 

ボース 「そう言うな。確かに行き過ぎた奴は居るが、まともな奴も居るのは確かだ。」

 

零冶  「どうだか・・・・。俺は今まで色んな信仰者や指導者を見てきたが、まともな奴は全く居なかった。結局、自分たちの理解出来ない

     モノは排除するからな。まぁ、これは宗教に限った話ではないが・・・。」

 

ボース 「だが、そうは言っても登録しないと後々面倒になるぞ?」

 

 

     ボースが零冶に言うと、零冶はしばらく考え込んだ。

 

 

零冶  「・・・・・・・・・・仕方ない。登録だけはしておくか・・・。スキル名は勝手に決めて良いのか?」

 

ボース 「ああ、スキルと大きく異なっていない限りは大丈夫なはずだ。」

 

零冶  「分かった。それじゃあ、早速教会へ行って来る。」

 

 

     零冶は教会へ登録しに行くためにベルカ自治領へと向かった。

 

 

 

零冶  「・・・ここか。」     

 

 

     零冶は教会に着いた。教会の前は住民らしき人達でいっぱいだった。

 

     因みに、制服だと目立つので私服で来ている。

 

    

零冶  「さて・・・中に入るか。本当は嫌だけど・・・。」

 

 

      だが、これも今後の為と思って零冶は教会へと足を踏み入れた。

 

 

零冶  「すまない、レアスキルの登録をしたいのだが?」

 

神父? 「何だ貴様は?」

 

 

     神父が近くを通りがかったぶくぶくに太った神父に聞いてみたが、いきなり失礼な態度で言われた。だが、零冶はそんな輩に

     慣れているので、あえて無視した。

 

 

零冶  「レアスキルの登録をしたい。」

 

神父? 「貴様が?まぁいいだろう。ちょっとそこで待て。」

 

 

     そういって神父は何かの用紙とペンを持ってきた。

 

 

神父? 「此処にレアスキル名と名前、住所、裏に所属を。所属が無ければ履歴や空白で構わん。さっさと書け。」

 

 

     零冶がスラスラと記入して神父に渡した。

 

 

神父? 「なになに・・・『竜住まう秘境の地(ドラゴン・ワールド)』?ふんっ、どうせ大したスキルでも無いのに大袈裟な名前を付けおって。」

 

 

     普通、竜を一斉召喚させるなどのスキル、歴史を振り返っても誰一人いないだろう。だから、この神父の言う気持ちは

     分からんでもないが、今回ばかりは間が悪かった。

 

 

零冶  「・・・あ?」

 

 

     さすがに零冶も神父の言い草には我慢の限界だった。今にも潰してしまいそうだ。

 

 

神父? 「わからんか?貴様のような若造があまり調子に乗るなと言っているのだ。」

 

 

     ――――プチッ

 

 

零冶  「・・・せぇよ」

 

神父? 「なに?」

 

零冶  「うるせぇって言ったんだよブタ神父。」

 

ブタ神父「なっ!貴様!」

 

 

     零冶の言葉に神父が一瞬驚いたが、すぐに怒りに顔を染める。

 

 

神父  「この私に向かって何たる言いぐさだ!すぐに取り消せ!」

 

零冶  「取り消す?頭まで腐ってるのか、お前?」

 

ブタ神父「き、貴様!!あくまで私を愚弄するかっ!後悔しても知らんぞ!!」

 

 

     そういって神父はいきなり魔力弾を撃ってきた。まぁ、零冶にとっては何てことは無い。

 

     バシュッ!

 

 

ブタ神父「なっ!?」

 

 

     零冶はまるで埃でも払うかのように左手を振って魔力弾をかき消した。

 

 

ブタ神父「い、一体どうやtけひゃっ!?」

 

零冶  「うるさい、黙れ。お前に喋る権利は無い。」

 

 

     零冶は縮地を使って一瞬で神父に接近し、首を掴んでそのまま持ち上げた。

 

 

ブタ神父「ぐ・・・が・・・が・・・。」

 

零冶  「苦しいか?なら、今楽にしてやろう。」

 

 

     そう言って零冶は右手の力を強める。

 

 

ブタ神父「ぐ・・ぎゃ・・・ぉ・・・・。」

 

 

     ブタ神父が白目を向いた。そして力はどんどん強まり、ひと思いに首をへし折ろうとしたら――

 

 

??? 「それ以上はいけません!死んでしまいます!」

 

 

     突然、金髪の女性が止めに入った。

 

 

零冶  「・・・・・・・・ふんっ。」

 

 

     ドサッと零冶はブタ神父を放り投げた。神父は気絶しているだけで、命に別状は無かった。

 

 

??? 「シャッハ。彼をすぐに医務室へ連れて行きなさい。それと、彼が目覚めたらすぐに拘束してください。」

 

シャッハ「はい。」

 

 

     金髪の女性は側に居たシスターに神父を連れ出すように言った。

 

 

零冶  「・・・・・・。」

 

 

     零冶はそのまま何も言わずに立ち去ろうとしたが

 

 

??? 「待って下さい!零冶君!」

 

 

     女性が零冶の名前を呼んだ。

 

     女性が自分の名前を知っていたことに零冶は驚き、足を止めた。

 

 

零冶  「・・・・・誰だ?確か初対面のはずだが?」

 

??? 「ええ、初対面よ。私の名前はカリム・グラシア。零冶君の事ははやてからいつも聞かされていたわ。」

 

零冶  「カリム・・・グラシア?」

 

 

     零冶はその名前に聞き覚えがあった。以前、はやてと談笑していた時にその名前が出てきたのだ。

 

 

零冶  「ああ・・・貴方がグラシアさんでしたか。はやてから聞いてます。姉のような人で良く世話になったと。」

 

カリム 「もう・・・はやてったらそんな事を?・・・っと、それよりもごめんなさい。彼が貴方に失礼な態度を取った上に、

     魔法まで使ったのでしょう?本当にごめんなさい。」

 

 

     カリムは歳も階級も下の零冶に頭を下げた。

 

     そのことに零冶は驚いて反応が少し遅れてしまった。

 

 

零冶  「は?あ、いや・・・頭を上げて下さい。こちらもやり過ぎてしまいましたから。」

 

 

     零冶は口調をすぐに変えた。

 

     基本的に零冶は礼を尽くす相手には必ず礼で返すのだ。

 

     だが、例外はある事もある。

 

 

カリム 「ええ、本当にごめんなさい。彼、前から色々問題があって私も注意を払ってたんだけど、まさか魔法まで使うとは思わなかったわ。

     所で、教会に何か用件があって来たんじゃないかしら?」

 

零冶  「え?ああ、そう言えばそうでした。レアスキルの登録に来たんです。」

 

カリム 「そうでしたか。分かりました。私の執務室がありますので、そちらで登録しましょう。こちらへ着いてきて下さい。」

 

 

     カリムはそう言うと先に歩いて行った。

 

     零冶はちょっと疑問に思ったが、登録はしてくれるそうなので、素直に着いて行った。

 

 

カリム 「こちらが私の執務室です。どうぞ入ってください。」

 

零冶  「はい。」

 

 

     零冶が中に入る。

 

 

カリム 「それでは、レアスキルの登録でしたね?スキルの詳細を教え貰えますか?」

 

零冶  「その前に、スキルの名前って自分で決めて良いですか?」

 

カリム 「え?ええ、名前とスキル内容が一致している限り大丈夫ですよ。」

 

零冶  「そうですか。・・・スキル名は『竜住まう秘境の地(ドラゴン・ワールド)』でお願いします。」

 

カリム 「ど、ドラゴン・マーチ、ですか?竜召喚ではなくて?」

 

 

     カリムがスキルの名前に驚いた。

 

     零冶が竜を召喚出来るのは知っていたが、固有結界の事まではさすがにはやてから聞いていなかった。

 

     内心、ちょっと大袈裟と思ったのは内緒だ。

 

 

零冶  「ええ。まぁ、竜を召喚するのには変わりありませんから、大丈夫ですよね?」

 

カリム 「え、ええ・・・大丈夫です。でも、何で『竜住まう秘境の地(ドラゴン・ワールド)』という名前にしたんですか?」

 

零冶  「・・・・え?はやてから聞いてなかったのですか?」

 

カリム 「・・・・え?」

 

 

     初対面の相手に油断も良いところだが、はやてが信頼する人物なのだ。なら、彼女は信頼できる人物だと思った。

 

     そして、はやてが固有結界の事も言っていて、それをカリムに言っていると思ってた。

 

 

零冶  「・・・グラシアさん、俺達と闇の書の対決の話を知ってますか?」

 

カリム 「え?ええ・・・はやてから聞いたのだけれど、確か竜を召喚して使役して倒したのでしたよね?」

 

零冶  「・・・ああ、そういうことか。」

 

カリム 「え?」

 

 

     零冶はカリムの言葉を聞いて理解した。あの日の出来事は恐らくリンディ提督とクロノが一部を秘匿したのだろう、と。

 

 

零冶  「ルナ、あの時の戦い・・・データに取ってるか?」

 

ルナ  [はい、マスター。映像記録に残してあります。]

 

零冶  「そっか。さすがはルナだ。」

 

ルナ  「いえ・・・。」

 

 

     心なしか、ルナが少し照れているように感じた零冶だった。

 

 

零冶  「グラシアさん、これから見せる映像は一切口外しないで欲しいのですが、良いですね?」

 

カリム 「ええ・・・約束するわ。」

 

 

     カリムは誠実な人だと理解している零冶だが、念には念を入れることにした。

 

 

零冶  「まぁ無いとは思いますが、万が一口外した場合は例えはやての恩人だろうと・・・・・・・・消します。」

 

カリム 「っ!!?」

 

 

     零冶は目を細めてカリムを見つめた。

 

     その瞳には感情が一切無い。

 

     嘗て零冶が暗殺者であった頃の、冷たくて何も無い空っぽな瞳だった。

 

     カリムは今まで見たことも感じたこともない瞳と悪寒に体を震わせた。

 

 

零冶  「さて、それじゃあ見てもらいましょうか。」

 

カリム 「・・・ええ。」

 

 

     映像は病院でアリサ達と再会した時で始まった。

 

     なのは達と戦い、途中ではやてが屋上に出てくる。

 

     そして、はやての説得もあって和解しようとした瞬間、仮面の男が零冶を貫き零冶が倒れる。

 

     はやてのショックが闇の書を覚醒する切っ掛けを作ってしまい、リィンフォースが現れ、零冶を自分の中へと回収する。

 

     なのはやフェイトは応戦して止めようとしたが、突如リィンフォースが苦しみ出す。

 

     そして、リィンフォースが黒い霧に包まれ、ロキへと姿を変える。

 

     そしてロキがなのは達に牙をむく。

 

     見た目は子供であるが神であるロキは圧倒的な力でなのは達を蹴散らし、ついにはフェイトとなのはを殺そうとした。

 

     その瞬間、突然零冶とはやてが光と共に現れ、ロキの凶刃を漆黒の双剣で防いだ。

 

     さて、ここからが目的の記録になる。

 

     ロキは辺りを更地に変えると幾つもの魔法陣が現れ、魔法生物のコピーを作り上げる。

 

     その中には零冶の仲間のコピーも含まれていた。

 

     なのは達を殺そうとしたことに、仲間を侮辱したことに激怒した零冶は静かに詠唱を始めた。

 

     詠唱が完成した後、周囲一帯が光と共に包まれる。

 

     光が収まると、周りは草原に変わっていた。

 

     零冶の固有結界・・・竜住まう秘境の地(ドラゴン・ワールド)である。

 

     それは雪山、草原、砂漠、火山等々の地形を竜達に合わせて変える事が出来る。

 

     さらには詠唱を破棄しての竜召喚が可能でもある。

 

     零冶は無数の魔法陣を展開し、竜達を召喚する。

 

     その数は百近く。

 

     ロキが召喚した数は千を超える。

 

     だが、零冶の仲間達である竜はそんじょそこらの竜とは訳が違う。

 

     共に死地を潜り抜けてきた強者である。

 

     さらに零冶との魔力リンクで力の底上げもされている。

 

     そして零冶が戦闘に立ち、仲間達に告げる。

 

     そして零冶が合図を下すと、一斉に戦いが始まった。

 

     100vs1000・・・十倍以上の戦力差でも、零冶と仲間達は臆しない。

 

     さて、色々戦いがあったが零冶はロキを打ち倒し、闇の書を道連れにして虚数空間に落ちることで記録は終了した。

 

 

カリム 「・・・・・・・・・・・凄いの一言しか出ないわね。」

 

 

     今の映像を見てカリムは唖然としていた。

 

     それもそうだ。世界を塗りつぶす魔法や、竜の一斉召喚を所持していれば、それだけで脅威になる。

 

     世界すら相手に出来るのだから。

 

 

零冶  「これが公になれば、間違い無く裏表問わずに俺を拘束または引き込みが起きるでしょうね。ま、危険視されて始末されるのが

     オチでしょうがね。」

 

カリム 「・・・確かに口外できないわね。下手をすると、教会の人達が異端視する可能性も否定できないわ。・・・でも、あの風景が変わったのは

     一体何かしら?魔法・・・だとは思うのだけれど・・・。」

 

零冶  「ああ・・・あれは固有結界という結界だ。因みに、魔法じゃなくて魔術ですね。」

 

カリム 「け、結界!?あれが!?・・・というよりも、魔術って?」

 

 

     現在説明中・・・

 

 

カリム 「そう・・・なのね。地球にそんなまほっ・・・魔術があったなんてね。」

 

零冶  「まぁ、俺の使っている固有結界は魔術の中でも禁忌に指定されているからな。世界を塗りつぶすなんて魔術、是が非でも

     欲しがるでしょう?」

 

カリム 「そうね・・・。それで、あの名前にしたのね。・・・分かったわ、登録しましょう。勿論、固有結界の事は省いておくわ。」

 

零冶  「助かります。」

 

 

     そう言って零冶は部屋を出ようとするが、

 

 

カリム 「あ!待ってちょうだい、零冶君。」

 

零冶  「・・・何か用でもあるのですか?グラシアさん。」

 

 

     呼び止められた。

 

 

カリム 「私の事はカリムでいいわ。それより、折角来たのだからお茶の一つぐらい貰ってはどう?シャッハ!」

 

シャッハ「はい、お持ちしました。騎士カリム。」

 

零冶  「・・・・用意が早いです。」

 

 

     カリムが先ほどのシスターを呼ぶと即座にティーセットを持ってきた。

 

 

カリム 「紹介するわ。彼女は私の補佐をしてくれている人よ。」

 

シャッハ「シャッハ・ヌエラです。黒澤様、貴方の部隊の噂は聞き及んでおります。」

 

零冶  「・・・噂?」

 

 

     零冶が聞き返すと・・・

 

 

シャッハ「はい。最強のエリート部隊・・・Dragon Of Guardian隊、通称DOG隊」。その部隊の隊長は最早次元が違う実力の持ち主だとか。

     因みに、魔導師の間では『漆黒の虐殺者』『狂戦士』『管理局の最終兵器』等と呼んでいましたね。」

 

零冶  「・・・・・。」

 

 

     零冶はその厨二病な二つ名に恥ずかしさで一杯になった。

 

 

カリム 「まぁ、それは置いておいても、零冶君の活躍は私も耳にしていますよ?任務は必ず達成し、尚且つ街の警備にも貢献したりしているとか?」

 

 

     街の警備と言っても、零冶はただ非番の時に偶然遭遇した違法魔導師を捕まえた事があるだけの話である。

 

 

零冶  「いや・・・まぁ・・・どうも。」

 

 

     そう言って零冶は差し出された紅茶を飲む。

 

     紅茶を入れた後、シャッハはすぐに部屋を出て行った。

 

     そして零冶が紅茶を飲んでいるのをカリムはジッと見ていた。

 

 

零冶  「あの・・・何か?」

 

カリム 「うん、やっぱりいい男ね!」

 

零冶  「・・・は?」

 

カリム 「ねぇ零冶君?今、彼女とかいるの?」

 

 

     カリムは唐突に聞いてきた。

 

 

零冶  「は?いや・・・別にいませんが?」

 

カリム 「え?そうなの?はやてやフェイトさん、なのはさんは?」

 

零冶  「いや、フェイトとなのはは大切な友人ですし、はやては妹です。それに・・俺を好きになる奴なんて居る訳無いでしょう?」

 

カリム 「・・・・・・はぁぁ。(なるほどね・・・これじゃあ、はやてが苦労するのも無理ないわね。)」

 

 

     零冶の返答にカリムは大きく溜息を吐いた。

 

     そして零冶は紅茶を飲み干して――

 

 

零冶  「さて、ごちそうさまでした。それじゃ、失礼しますね。」

 

 

     今度こそ零冶は立ち去った。

 

 

カリム 「あ・・・・行っちゃった。ふぅ・・・まさかこれ程までに鈍感とは思わなかったわ。・・・大変ねぇ。」

 

 

     カリムはこれから掛かる自分の苦労とはやて達に同情した。

 

 

 

 


 
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