No.502758

単一の幸福を求めて… 第13話 後編

虎知刃さん

真・恋姫無双の二次創作です。

主人公はオリキャラです、苦手な方は御遠慮下さい。

今回はちょっと長くなったので前編·後編わけました。

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2012-10-31 22:19:15 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1268   閲覧ユーザー数:1262

…………。

 

……………………。

 

 

"キイィィィン"と金属がぶつかり合う高い音が響く。

 

孫策

「なんのつもり……単副」

 

俺は残党が置いた剣を拾い、降り下ろされた剣を防ぎ、孫策と鍔競り合いの状態になっていた。

 

白斗

「いくらなんでもやり過ぎじゃないか?……こいつらに、もう戦う意志は無い」

 

孫策

「意志は無くてもこいつらは既に罪を侵して獣に墜ちている」

 

白斗

「確かに、な。だが罪人といえども軽々しく斬るべきではない。人を活かすも殺すも、心一つで決まるものさ!!」

 

俺はそういうと軽身功を発動させて、腕に氣を込め、少しだが孫策を弾くことに成功した。

 

孫策

「くっ……!?」

 

孫策が後退した隙に、俺は背後にいた黄巾党の残党三人を殴り飛ばす。

 

白斗

「そこの警備兵!その残党を捕縛して、城の牢に放りこんでおけ!!」

 

警備兵

「は、はっ!!」

 

殴り飛ばされて気を失っている残党に警備兵が近づいき縄を掛けていく。

 

孫策

「ちょっと!!何勝手なことしてるのよ!!!」

 

白斗

「何か文句があるか?俺が孫策殿に従う必要はないだろう、俺と孫策殿の立場は対等の筈だが?」

 

孫策

「くっ………!!勝手にしろ!!」

 

そういうと孫策は警備兵たちの間を抜けて去っていった。

 

白斗

「……ふぅ、やれやれ」

 

孫策の後ろ姿を見つめながら俺は嘆息する。

 

北郷

「……大丈夫か?」

 

孫策と入れ違いに北郷と黄蓋殿がこちらにやってきていた。

 

白斗

「……北郷、か。 大丈夫そうに見えるか?」

 

北郷

「………割りとそうみえるかな」

 

白斗

「…………だったらそうなのだろうよ」

 

俺には北郷の方が大丈夫じゃないように見えるがな……。

 

黄蓋

「策殿と渡り合うとはおぬしもなかなかやるもんじゃの」

 

白斗

「そうでもないさ、押し返したのも一瞬だったしな」

 

黄蓋

「謙遜せずともよいじゃろう、黄巾の残党共を倒した手際も見事じゃったしの」

 

白斗

「褒められるのは嬉しいが、な。 しかし、相変わらず孫策殿は苛烈だな、いつか恨みをかわなければいいが……」

 

北郷

「え?」

 

白斗

「いや、なんでもないさ。それより、さすがは天の御遣いだな」

 

北郷

「なんのことだよ?」

 

白斗

「見事な交渉術だった、てことさ」

 

北郷

「……俺はただ人質を無血で解放出来そうだって、思ってただけだよ」

 

白斗

「それならば、十ニ分に果たせただろうさ、人質は無事に助けられただろう?」

 

北郷

「それはそうだが……、あそこまで……する必要があったのかな」

黄蓋

「人質を助けるためだ」

 

一刀

「けど、……無抵抗だったのに」

 

黄蓋

「策殿だって、斬りたくて人を斬るわけではない……。ただ、罪は誰かが罰さねば、このようなことがいつまでも続いてしまうことになる」

 

…………罪、ねぇ。

 

黄蓋

「悪事を働けば、こうなる。そうわからせることが大事じゃろ?」

一刀

「う……ん……」

 

黄蓋

「それに今回は黄巾の残党が相手なんだ。もし生かしたまま仲間のところに帰してしまえば、どうなるか……憂いは断っておかねばの」

 

一刀

「…………」

 

黄蓋殿の話を聞いて北郷は黙って頷く、確かに黄蓋殿の話は正しい。

 

…………だが。

 

白斗

「俺はそうは思わないな」

 

北郷と黄蓋殿、二人の視線が俺に集中する。

白斗

「確かに孫策の行動の理由も、黄蓋殿の言ってることも、俺には良く解る。だが俺は罪人といえども軽々しく斬るべきではない、そう思うんだよ」

 

黄蓋

「……甘いな」

 

白斗

「ああ、確かに甘い理想論だろうな。だけど甘くて何が悪い?俺たちは人間だ、情もあれば慈悲の心だってある。それを無くしちまったら…………それこそ獣と変わらない」

 

黄蓋

「……つまり、策殿は獣だと?」

 

黄蓋殿が殺気を帯びた視線を向けてくる。

 

白斗

「……いや、孫策殿は王として民を守る為にやったことだろうさ。だが、あれではいつか身を滅ぼすことになるかもしれん」

 

一刀

「…………雪蓮が?」

白斗

「ああ、だけど心配するな。孫策殿には天の御遣いがついているからな」

 

一刀

「俺が…、か」

 

白斗

「武の心得も無いのに、人質の為に己を危険に晒すような、甘いやつが、すぐ側にいるんだ。孫策殿も大丈夫だろうさ」

 

一刀

「でも、俺には何の力も……」

 

白斗

「一刀、お前はさっき何人の命を救ったと思う?」

 

一刀

「………え?」

 

白斗

「人質だった老夫婦、そして俺が殴り飛ばした黄巾の残党三人」

 

一刀

「人質はともかく、黄巾の残党は……」

 

白斗

「実はな、俺も最初は助ける気なんかなかったんだよ。だが、お前が交渉して無血で納めようとした姿を見てな……。しかし、その意志を孫策は否定した、俺にはどうしてもそれが許せなかっんだよ。だから、止めた。つまりお前があの三人を救ったんだ」

 

一刀

「………俺が」

 

白斗

「ああ、そうだ。お前は無力なんかじゃないさ。これからもその甘さで孫策を助けてやれ」

 

それだけいうと、俺はこの場を立ち去る。

 

警備兵が連れていった黄巾党の残党から情報でも引き出してみるか……。あれだけ凄惨な光景を見せられたんだ、尋問も案外楽かもな。

 

白斗

「ああ、そうだ」

 

俺はふと、あることを思いだして立ち止まる。

 

白斗

「一刀、俺の真名は白斗だ。これからはそう呼んでくれ、お前のことは一刀と呼ばせてもらうよ」

 

それだけ言うと、俺は再び歩きだした。

 

一刀

「白斗……。ありがとな」

 

白斗

「(天の御遣い、北郷一刀、か……。一刀が君主ならば一刀の下でこの智を使うのも、悪くないかもしれんな)」

 

――そんなことを思いながら、俺は城へと向うのだった。

 

 

あとがき

 

 

次回は黄巾討伐編!

 

ではでは皆様また次回~!


 
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