No.502522

恋姫無双 槍兵の力を持ちし者が行く 25話

ACEDOさん

これが、新作です。
ようやく、ここまで来れた……

2012-10-31 15:16:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3627   閲覧ユーザー数:3551

 「なあ、華琳ちょっと聞きたいことがあるんだが」

 

 「あら、何かしら?もうすぐ軍議が始まるから手早く終わらせてほしいのだけれど」

 

 とそのことについて答えようとする秋蘭を視線で抑える。

 

 「いやなに、さっき秋蘭から聞いたんだが、黄巾党の頭が三姉妹だって。

 いやあ、初めて聞いたな。僕」

 

 「まさか、知らなかったの?」

 

 「ああ、さっき初めて聞いた」

 

 で、何か言い分は?と続ける。華琳を見ると、少し冷や汗を掻いているように見える。

 

 「忘れていたのか?」

 

 「そんなわけないじゃない」

 

 そんなこと言ってるが、目を逸らしてたらバレバレだろうが。

 俺はそんな隙を見逃すはずもない。

 

 「目を逸らすなよ。本当のことを言えよ」

 

 「うっ、別に伝えたくなかったというわけじゃないわよ。ただ蒼のことだから誰かから教えてもらっているだろうなと思ってただけで……」

 

 「つまりは、勝手な思い込みだけで連絡を怠ったと」

 

 「も、もう軍議がはじまるわ。だからこの話は終わった後で」

 

 「だが断る。なんで軍議如きでこの話(攻め時)を終わらせなきゃならん」

 

 そう言いながら1歩、1歩と華琳に近づく。

 

 「ちょっと、蒼落ち着きなさい。というか目が据わってるわよ」

 

 「何を馬鹿なことを、今でも俺は至って冷静で沈着な人間じゃないか?」

 

 「なんで疑問になってるのよ。なんていうか少しおかしくないかしら?なにかおかしくなってるとしたら……蒼、あなたどのくらい寝てないの?」

 

 「なーに、たったの5日寝てないだけだ。いやあ、あの書類の山はきつかったな。そう思うだろ華琳」

 

 また更に近づくが、華琳の方はそれに合わせるように下がる。

 全く、取って食おうと思ってるわけじゃないのに。ただ、いままで色々やられた恨みとか、このごろサボることも休むこともできずに思考がまとまらないイライラをぶつけたいとかそんなこと考えてるわけがない。

 

 「5日って、アナタも人のこと言えないじゃないの」

 

 「さあ、華琳。今回はお前の不手際だぞ。今までの理不尽な借りを耳をそろえて返してやる」

 

 「全然此方の話を聞いていないわね。全く、この件については私にも非があるし、償おうと思っているけど、これじゃあ軍議が始まらないわ。……春蘭、少し落ち着かせて頂戴」

 

 「分かりました!!華琳様」

 

 この言葉と共に、大剣を手にして突貫してくる春蘭を背中に感じるが、そんなことはどうでもいい。今は華琳には珍しい失態と、それにより、今までの借り(タイマンでの賭けの負けの負債とか、その他諸々、いや、あまり思い出したくない……)をどう返そうか考えなければならない。

 ん?なんだよ真桜、後ろがなんだって?今はそれどころじゃないんだ。それよりも優先すべきことがあるn……

 そんなことを思っていると、後ろから頭部に強い衝撃を受けて意識を手放してしまった。

 

 

 

 SIDE 華琳

 

 「では、軍議を始めます。よろしいですね?」

 

 「質問というか、疑問というか……頭がひどく痛いんだけど。誰か知らないか?」

 

 「ないようだから、初めて頂戴」

 

 まさかの無視か!?とか言う声が聞こえるけど無視して、進めるように桂花に合図する。

 蒼の凶行(?)で少し始めるまでに時間がかかってしまったわね。春蘭の対応のおかげで鎮静した、おかげでさっきの会話の内容とかが抜けてしまったようだけどそんなことは些末なことね。

 

 「ていうか、これまだ脳震盪が残ってるな。なあ、凪、一体俺に何があった?」 

 

 「いえ、私の口からは……」

 

 「蒼、軍議の時間が押しているからその話は後にして頂戴」 

 

 そう言うと渋々といった態度で話を聞く態度を彼はとる。

 

 「それでは、軍議を始めます。

 先日、知っての通り朝廷から使者が訪れました。内容は黄巾党の討伐に関しての勅命でした。

 我々は華琳様の名をあげるこの機会を逃す手はありません」

 

 そういうと各々の空気が一変する。

 

 「我々は他の諸侯たちと違い、黄巾党の首魁である張三姉妹の情報を持ち、なおかつその者たちをこの陳留に抑え込んでいるので、うまくいけば我々が黄巾党討伐において最も名を世に売り出せることも可能な状況です。

 しかしながら、黄巾党の本拠地は未だに移動しているのか特定出来ていません。しかしながら黄巾党の食料庫になっていると思われる砦の廃墟は分かっているため、今回はそこを抑えることによっての黄巾党の行動の制限が主な目的です」

 

 「……思われる、か。その情報は確かなのか?」

 

 「今までの黄巾党による行動範囲をまとめ、各地に偵察を送って手に入れた情報を華琳様と私、あと森羅が話し合って出した結論です」

 

 ならいいや。と返す蒼はそのまま聞く態勢に戻る。不確かな情報は何も情報がない時と同じ、もしくはそれ以上の危険があるというのがアイツの考えだ。そしてその『不確か』を『確か』に近づけるためにここにいる人物一、貪欲に情報を集めるのが蒼という人物の性格だ。あまり自覚はないようだけど……

 

 「では、続けます。今回の討伐では過去の黄巾党の数を上回る数が相手になると予想されます。

 よって、現在、調練を行っている者たちを行軍に加えたいところですが、それに関してはどうなのでしょうか?」

 

 「……まだ納得いってないんだが、戦えるかと聞かれたら戦えるな。

 こっちとしてはせめて全力の紅蓮団に何とかでもいいからついてくるぐらいの出来にしたかったんだが……」

 

 「ちょっと待ちなさい」

 

 まさか……

 

 「まさか、あまり新兵の出が悪いと思ってたら、それが原因だったのね……」

 

 このごろ、というか蒼が調練に手を付けてから、新兵としての質は高まったのだが、その分数が少なくなっていっていた。時間がたてばより効率的に調練が出来るかと思っていたのだけれど……違ったようね。

 

 「蒼、命令よ。今後、今回新兵にするぐらいまでの力量を持った訓練兵はすぐさま現場に出して頂戴」

 

 「え、いや……」

 

 「しなさい。でないと……」

 

 「え、あ、うん分かった。分かったからそれ以上言うな」

 

 おお、こええ。と続ける。というか怯える(このことは後でゆっくり聞くことにして)蒼を見る。了承と見ていいわね。

 

「ならいいわね。前軍は春蘭あなたが務めなさい。秋蘭、あなたも一軍に、しっかり春蘭を支えて頂戴」

 

 「「御意」」

 

 「中軍は私と蒼。勿論、蒼の下についている、凪達も来てもらうわよ」

 

 「りょーかい」

 

 「「「は!」」」

 

 「後軍は、桂花、季衣あなたたちに任せるわ」

 

 「「はい」」

 

 私の指示に気持ちのいい返事(約一名を除く)に私も頷く。

 

 「これより我等はこの乱れた世の中心に飛び込み。乱れを正し、天下を統べる!皆、私に着いてきなさい!!」

 

 ここからはこの戦乱の世が終わるまで、厳しいことの連続になる。更に、その中心に飛び込むのだ一歩間違えれば命を失う可能性もある。だが、挑む。この世を私の、私たちの才で治めて見せる。

 今のこの状況を蒼ならこう言うのしょうね……「出来る限りいい手札が揃った。勝負だ」って。その通り、相手はこの世の中、相手に不足はない。勝負よ。 

 


 
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