No.502307 いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生したたかBさん 2012-10-30 23:48:05 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:5997 閲覧ユーザー数:5603 |
第七十七話 俺の乳首を連打すんなぁああああああ!
アースラの一室で八神はやてとその騎士達。
ギル・グレアムとリーゼ姉妹。
そして、腰まで伸びたストレートの金髪に青い瞳を持った少女がいた。
「…以上で『夜天の書』の主。八神はやてとその騎士達。ヴォルケンリッターは私。カリム・グラシアの名のもと。聖王教会で保護します。…よろしいですか?はやてさん?」
「…あ、えと、その」
「…クス。そんなにかしこまることはないわよ。保護するから何かしろという事は無いわ」
私は目の前でおたおたしている小さな女の子を見て思わず微笑んでしまう。
私、カリム・グラシアは『闇の書』。今は『夜天の書』の主。八神はやてと対面していた。
「は、はいぃ。すいません。どうにもこういうことには慣れていなくて…」
これからの生活の保護。そして、彼女達の周りにいる者達の警護を行う代わりに彼女達とのパイプを繋いでおきたい。
特に旧世代の遺産でもある夜天の書とその騎士達は文字通り生きる遺産。
彼女達と知り合うだけでも、それ以上の価値があるというものだ。
「騎士カリム。私から一つ質問があるのですがよろしいでしょうか?」
だが、はやての騎士の彼女はそれに納得がいかない様子だった。
「どうぞ」
「本当に私を…。『悲しみの乙女』を所持する私まで保護するのですか?」
リインフォースは自分の胸に手を当てながらカリムに問いかける。
彼女のいた協会は今も復興が滞っている上に、スフィアを狙ったアサキムが襲い掛かってきた。
自分をかくまうという事はアサキムがまた来るかもしれないという事だ。
「はい」
「何故?」
「彼に対抗するにはあなた達以外にいないと思ったからです。彼と同じスフィアリアクターの貴女達なら彼に勝てると思ったからです」
その言葉を聞いて誰もが苦虫を噛んだかのような顔をしていた。
「…私だけでは勝てません」
「…そう、やね。正直に言ってあの人は化物や。私達が束になっても時間稼ぎしかできへん」
「…悔しいけど、私達だけじゃ歯が立たない」
リインフォース。はやて。ヴィータはカリムの言葉を否定する。
そして、残りの騎士達。そして、リーゼ姉妹も口々に言う。
「…私も主はやてと同じ意見です」
「…魔力の総量ははやてちゃんよりも上。砲撃の精度はなのはちゃんよりも上。スピードもフェイトちゃん。パワーも障壁もヴィータちゃんやザフィーラよりも上なんです。…私達だけでは」
「…転移や隠密活動も私等よりも上だ。本物の化物だよ、あいつは」
「それでも私達が今もこうしていられるのは…」
「…『獅子』ですね」
その言葉を聞いて誰もがカリムに注目する。
グレアムはまだ高志の事は伝えてはいないが、この世界に『悲しみの乙女』『傷だらけの獅子』『偽りの黒羊』が現れると予見したのは彼女自身。
知り得て当然といえば当然である。
「獅子の力を持つ者の力を借りればアサキムに…」
「待ってください!高志君の力は!」
「そうです!これ以上彼に迷惑をかけるわけには…」
カリムの言葉にはやてとリインフォースの言葉を遮ったのはグレアムだった。
「彼がそれを望むとは思えんな。むしろ、彼もそう思うだろう」
確かに高志自身もスフィアリアクターであるからそう思っているだろう。
そう考えた二人は次の言葉が出なくなってしまう。
そして、話の内容だと高志無しで戦うには厳しすぎる。
「…私達、聖王教会は聖王の遺産。そして、旧文明の遺産の管理を行っている管理局とは因縁めいた関係でもある。ロストロギアも含めてね。だからこそ、今回のスフィアの騒動に関しては協力。そして、これからも手をつないでいくため。それによって多くの世界の人達が救えると信じて」
「…でも」
それで自分達の恩人を引き渡すような真似をしているようにも感じたはやてをはじめ、騎士達も後ろめたさを感じていた。
「彼には私から伝えておきます。勿論、無理強いはさせません」
そんな彼女達の視線を受けながらもカリム自身もまた後ろめたさを感じていた。
(…アサキム・ドーウィン。あれだけの力を有した彼女達でも時間稼ぎ。それに対抗することが出来た。それに対抗することが出来た獅子。…何が何でもこちら側に)
彼女もまた、平和を望むもの。だが、同時に一人の人間である。
自分の身内ともいえる教会の者達を傷つけたものを許せない。だけど、それに対抗すべき手段が見当たらない。
襲撃後に知った夜天の書の存在。
初めはその書の力でアサキムが返り討ちに逢えばと思っていた。だが、彼の力はそれを上回る。
自分のスキルによって知ったスフィアの存在。それは自分達の範疇に納まるようなもではなかった。
だが、それでもアサキムという存在は世界を脅かす。その存在に対しての抵抗力。それが予見にあった『獅子』の存在だった
(ずるい人間ですね。私は…。いくら教会の為になるとはいえはやてのような小さな子どもにまで間接的に参戦を促している)
「…はあ」
カリムには若干不安は残っている。
『悲しみの乙女』のリインフォースは常識人で温厚派だった。だが、獅子はどのような人物なのだろうか。
はやて達からから聞いた話だと、達観していている子供らしからぬ人物。
我儘な心と大人の諦めを知っている少年らしい。
「出来ることなら、いい人であっていて欲しいのだけれど…」
『わふぅううう』
がくっ。と、『傷だらけの獅子』とその関係者がいるだろう部屋から気の抜けるような声が響いてきた。
「な、なな、何が…」
カリムは普通じゃない声に解けた警戒心を再び高めて扉を開けようとした。が、
『俺の乳首を連打すんなぁああああああ!』
次に聞こえてきた声によって、カリムの警戒心は瓦解した。
「お前にはもう肩もみは頼まねえ!」
シグナムさんとの模擬戦の後。俺とプレシアとアリシア。フェイトにアルフの五人でアースラの中に準備された部屋で魔法世界からやってくる重役の人を待っているところでそれは起こった。
アリシアが気をきかせて肩もみをしてくれると言ってきたので、アリシアに背中を向けて肩もみが来るのを待っているとアリシアは肩から腕を通して俺の乳首をつついてきた。しかも連打で!
「…にゃ~。ちょっとしたおちゃめなのに」
俺に叩かれた頭を押さえているアリシアから距離を取ったところで、セイオーキョーカイとやらのお偉いさんを待っていたら、そこに来たのは…。
「聖王教会代表のカリム・グラシアです」
「…なんだ、美少女か」
なのは達より少し年上くらいの女の子が入ってきた。
「あ、ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです」
「…はぁ」
(なんでため息?!)
「あ、何でもないです。はい。…はぁ」
(また?!)
カリムは自分の容姿を褒められるようなことはあっても、その直後にため息をつかれる事は無かった。それも続けて。その為にカリムは話の主導権を大いに握り損ねていた。
「…タカ。あまりため息をつかないの」
プレシアは俺のため息に呆れていた。
俺としては綺麗な人が来ると聞いて美人のお姉さんを待っていたのだが、実際来たのは中学生くらいの少女。射程圏外です。
そりゃ不細工な人とか脂ぎったおっさんよりはいいけど…。美少女はもうお腹いっぱいです。
そう思うと俺の周りにいる人達は美形がいっぱいだよな。それ比べて俺なんて…。
「…はぁ」
「タカ、いい加減にしなさい。ごめんなさいね。彼の変わりに私が聞くわ。貴女が持ってきた情報の中に『偽りの黒羊』の情報があると聞いたのだけれど?」
「え、ええ。『偽りの黒羊』というものかどうか定かではありませんけど、その内容をお伝えしに来た次第です。それで…」
カリムが話を続けようとしたところでプレシアが片手をあげて制した。
「その前に私達は自分達のことを最優先させてもらうわ。貴方達に協力するのは自分に理があると思った時だけ。聖王教会への勧誘は受け付けないわよ」
プレシア。まるで俺のマネージャーさんみたいですね。
「…え」
「悪いのだけれど私達は自分の事だけで精一杯なの。そこは分かって頂戴ね」
つまり、『聖王教会には与するつもりはありません!』と言いたいわけだよな。
まあ、俺もあまり宗教とか詳しくないし、そこまで盲信したいとは思わない。
聖王とかいう人は確かにいたらしいけど…。盲信される方も大変だな。死んだ後も頼られるんだから…。
「…は、はい。分かりました」
(…しまったっ。完全にあちらに話の主導権を取られた。これじゃあ…)
「それじゃあ、話してもらえるかしら」
プレシア。超いい笑顔ですね。
その背中に般若が笑っている幻が見えて…。
やだっ。こっち見んなっ。
それからカリムはとプレシアの話し合いは続いた。カリムは何とか『傷だらけの獅子』を協会に入れたがっていたがプレシアが言葉巧みにそのフラグ叩き潰していく。さすが実年齢●●歳、年の功!
だからこっち見るなって!俺が悪かったから!
スタンドのような幻は俺の考えていることでも分かるんだろうか?
最後に俺が『傷だらけの獅子』だという事に驚きながらも、カリムは自分が予見した事を伝えた。
闇の王と未来からの使者達の会合。
砕けえぬ闇を纏って黒羊は夜天の王の前に現れる。
水瓶の欠片を持つ王。覇を吼える王。死を撒き散らす者。
砕けえぬ闇の心を知った山羊は獅子の選択を望む。
金の閃光は泡沫の夢を。祝福の乙女の涙は闇で輝く。
闇の中に砕かれた星と雷光は王を待つ。
…うん。王様がいっぱいですね。
どうやら俺はまたアサキムに会うみたいです。
しかも『尽きぬ水瓶』をも連想させる予言まで…。
俺逃げたいけど逃げれなさそうだ。というか、スフィアがまた集まるのかよ?!
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