「朱里と雛里かもしれない二人を見つけたぞ」
その報せが来たのは、同好会で次の舞台についての話し合いが終わり、家に帰り着いたときだった。
次に私たちがコスプレをするのはコミックマーケット、通称コミケ。
日本全国からオタクが集まって薄い本やグッズを売ったりコスプレが行われる祭典。
私たちもコスプレイヤーとして参加することになっていて、
ついに来てしまったと言うべきか…題材は恋姫。
私が担当するキャラクターは…曹操孟徳。
本人が自分のコスプレなんてするだけ無駄、
なんて思ってもいたのだけど、いざやるとなると、
本人だからこそいろいろと拘ってしまうものね。
おかげで、そのときの熱意に真の意味で同好会への仲間だと認められてしまったわ。
あまり嬉しくないけど…
それはとにかく、カズトが見つけた二人。
諸葛亮孔明と龐統士元こと朱里と雛里。
蜀建国以前より劉備や一刀らと行動を共にしていた、蜀の二大軍師。
二人同時に見つけたと言うことは、この世界でも二人は仲がよく、
行動を共にしているのでしょうね。
そして、この二人の頭脳や知識を持ってすれば、
学会などで何らかの発表や資料があるかもしれないわね。
そんなことを考えながら、二人かもしれない人物を見つけたいきさつを聞いてみたのだけど、
どこか学問の面から見つけたのだと期待していたからか、
いきさつを聞いて思わず力が抜けてしまったわ…
『伏龍鳳雛』。その名前があったのはコミケ同人部門の参加サークルリストの中。
どうやら、カズトの友人も同人誌を書いており、売る側で同人誌を出すとのこと。ちなみに、題材は恋姫ではない。
今回のコミケでは、カズトが好きなアーティストが新作CDと一緒にグッズを販売するという告知があり、
カズト自身はただの一般客として参加するらしい。
が、一般客として普通に入場するとなると、人の津波の中に入らなければならない。
そこで、サークル関係者として一緒に入場させてもらう代わりに、
買出し要因としていくつかの販売ブースを回って欲しいと頼まれた。
参加サークルには事前にパンフレットが配布されるので、
友人は回って欲しいサークルをカズトに指示していたのだけど、
その、同人誌部門の中に『伏龍鳳雛』の名前を見つけたらしかった。
しかも壁サークルとして…
壁に選ばれると言うことは、それなりに有名なサークルで、
ということはHPもあるだろうと探して、予想通りHPを発見。
プロフィールやサークル立ち上げのきっかけ、活動内容を見たところ、
朱里と雛里である可能性が高かったから、私にも確認して欲しいとのことだった。
確認はもちろんすると返したのだけど、その前に恋姫をどこまでやったかを聞かれた。
前世のこと、当時のことを知ることは大切だったけど、やることはゲーム。
私はゲームにそこまで時間を掛けるつもりにはなれなかったから、
一日に長くて1時間程しかしていないし、この時はまだ全部をやり終えておらず、
その上前世がそうだったからと、蜀√は後回しにしていた。
その事を言うと、カズトから二人について、
私が知らないかもしれないことを知る覚悟や心の準備があるか聞かれた。
電話越しでもカズトが言いづらそうにしているのを感じられた。
そんな風に聞くと言うことは、何かしら碌でもないことだと予想できる。
その予想は、正しかった…
サークル『伏龍鳳雛』がメインとして活動している内容。
ごく普通の文学小説もあったけど、メインとしてやっていたのは…
BL、または801と呼ばれるジャンルの同人誌だったわ。
前世の影響なのか、GLまたは百合なジャンルのものに抵抗はなかった。
むしろ好んで読んでるわ。まぁ、前世ほどがっついているわけではないけど。
だけれども、男同士の掛算に関しては触れる気にもならなかった。
あの二人(かもしれない)が書いているものと言うことで最初は気になったけど、
内容を見たり読んだりするまでもなく、
活動報告に載せられている、男同士が絡み合っているシーンの表紙を見ただけで、私は『戻る』を押した。
でも、入ったときは一瞬で入り、画面一杯に6枚ほどの表紙が表示されたと言うのに、
何故か戻るときは時間が掛かった所為か、あの生々しい光景が中々頭の中から抜けてくれない…
だ、ダメよ、か一刀!そ、そんな…そんなものをどこに入れると…
だ、だれよ、その筋肉の化け物は…え、ま、まさか、あんなのが、は、入るわけ…
あ…ぁぁあ…ぁぁァあ゛ぁぁあア亜ああ゛あ゛――――――!!??
ハァ…ハァ…あ、危なかったわ(汗)
最近同好会の友人に紹介されたお○ボクの画像がなかったら…引き込まれていたかもしれないわ。
良かったわ~…(お○ボクの存在を知り現物を持っていたこと、801の道に引き込まれなかったと言う意味で)。
見た目は百合、でも実際は純愛、時々本物の百合があるという、正に私得なゲーム。
絵も私好みで可愛らしいし、同好会でもこれなら何も言わないわ。
…って、かなり脱線したわね。
話を戻すとするわ。
信じられないことだけど、恋姫の中でも、この二人には艶本の、
それも801モノに関する描写がいくつか蜀√であったとか。
私が知りえなかったところでこんなことがあったなんてね…
実際、ネットで検索するときにも、
キーワードで『サークル 伏龍鳳雛』と『BL or 801』で一発で出てきたらしいわ。
まだ確定したわけではないけれど…
私がそのジャンルに触れていなくて、蜀√をしてなかったから仕方ないかもしれないけれど、
こんなに簡単に見つかってしまうなんて…本当に脱力モノだわ。
さて、問題はこれからね。
ネット上にあるHPだから本名はわからないし、顔写真も載ってなかったから、
この二人が朱里と雛里の本人であるかもわからないし、
仮に本人が転生した存在であったとしても、
私と同様容姿もそのままというわけでもない。
と、言うより、そのままと言うのはあり得るのかしら?
私と言う前例があるとしても、
コミケにあのジャンルで販売側で参加できる年齢であの容姿…
ちょっと考えられないわね。
まぁ、容姿はともかく、サークルで参加すると言うことなら、
そのブースに行けば本人たちに会うことはできると言うこと。
壁サークルに選ばれるほどに人気があることから、
日中は客への対応に追われるとしても、
24時間ずっとというわけでもないから、
その日のコミケが終わってから会って話すことも出来る。
話し合いの結果、
まずはカズトがブースまで行って、コミケが終わってから会う約束をして、
その後私と合流して会いに行くことに決まった。
本当なら私が行きたかったけど、
私自身レイヤーとして参加することになっているから、
コミケを回る時間なんて、それもどこかのブースに並んでいる時間はない。
仮に出来たとしても、時間を考えるとコスプレを着替える時間なんてないでしょうから、
恋姫の曹操の格好のまま歩き回る羽目になる。
流石に、そんなのごめんだわ。
さて、コミケまで後数日。
果たして、『伏龍鳳雛』のサークルメンバーの二人は、本当に私の知る二人なのか…
会える日を楽しみにしているわ。朱里に雛里。
後編に続く…
~おまけ~
「それにしても、あの二人にこんな趣味があったなんてね…」
{思わず801シーンが頭に浮かんでくる}
「っは!?だ、ダメよ!あんなおぞましい光景、思い浮かべるなんてダメよ!!
ここはお○ボクのワンシーンを思い出すしか…
でも百合も一般的には引かれるものよね。
ここは純愛な光景を…」
{「…本当にいいんだな。華琳」
「えぇ、元カノのことだとか、あの娘たちのことなんか関係ない。
これが私の、あなたに対する純粋な想いよ」
「わかった…ありがとう。それじゃ…いくぞ?」
「ええ。でも、今の私は初めてだから…
優しくしてね………カズト///」}
「っっっっッッッッ!?///
なっ、何故ここでカズトが出てくるのよ!?
と言うより、何を妄想しているのよ、私!?」
『伏龍鳳雛』の活動内容や、これを見たショックの解消のために見たお○ボクのナニしてるシーン、
それに加えて何故か出てきてしまった自分とカズトのナニしてる妄想…
無意味に身体を動かし暴れまわりながらも、打ち消しては沸いて出てくる妄想。
脳内で混沌(カオス)が大乱交を起こし、
華琳は限界を向かえて、意識を手放した…
その後、娘の部屋から漏れた奇声と暴れる音を聞いて心配した母親が部屋をのぞくと、
そこには、身体中から汗を流し、着ている服が激しく乱れ、
顔はこれでもかと言うほどに赤くなり、よく見れば涙の跡もあり、
何故か光悦としているようにも見える表情で寝ている華琳を目撃した。
それを見た母親は、そっと音を立てないように扉を閉じてからこう言った。
「華琳ちゃんてば…一人でやるにしても、とても激しいのね///」
それ以降、母親が娘を見る視線に、どこか生暖かいものが混じる日が続いた。
この誤解は解けるのだろうか?それは華琳しだいである…
~あとがき~
恋姫同窓会シリーズ 朱里+雛里編 前編 いかがでしたでしょうか?
と、いうわけで…朱里と雛里は、なんと現代ではBL又は801と呼ばれるジャンルの同人誌を書くことで活躍?をしていました!(笑
コミケの設定については大分適当です。
MiTi自身コミケには一回だけ友達に付き添って、買出し要因として参加しただけなので。
まさか横10人列なのに夢の大橋でしたっけ?の真ん中辺りまで並ぶことになるとは…
途中に捻じ込んだお○ボクに関してはおまけ的なものとして流していただいても結構です。
なんとなく、華琳が現代に転生して、アニメやゲームの知識を得たとしたら惹かれそうだなぁと思いまして(笑
おまけでは、今の華琳がカズトにどれくらい好意を抱いてるかを描いてみました。
まだ本格的にLoveまで行かないつもりではあるんですけど、
ナニしてる相手に出てくるって相当かも…
この先くっつくかは完全に未定です。
いつか華琳や他の恋姫たちとのラブコメな話や、
カズト自身が恋姫の誰が好みかといった話も書くとは思いますが、それも未定です。
次回、後編ではカズト+華琳と朱里+雛里の出会いを書きます。
どんな話になるかは…次に期待してください。
それでは、この辺で…
終わる前に、ちょいとアンケートをば…
朱里と雛里の容姿について。一応、小学生体型から中学生(でも小柄)体型程度に成長させようとは思ってるんですが…
幼女体型のままで!と言う方は1を、華琳と同じくらいで。と言う方は2を、
ここは一目で女子高生くらいはあると判断できるくらいに。と言う方は3を、
いっそのこと紫苑や桔梗、はたまた祭クラスのグラマラスにしてしまえい(笑!という方は4を、
感想の後ろにでもお願いします。
アンケートをとっておいてなんですけど、余程面白い案が出てこなかったら、
先ほど書いたとおり小柄な中学生(アンケートで言うと2)な見た目で行きます。
一応確認として…華琳の容姿は原作と変わらず、朱里と雛里はサークル参加できる年齢(18才以上)です。
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と言うわけで、朱里と雛里の話です。
作者としてはロリの話を考えるのは苦手なんですが、
今回の場合は真っ先に思い浮かびました。
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