No.500625

スペースネット「synchro⇔spirit」

風麦梟さん

第一話 陸海、空出会う

知っている方は知っている、知らない方は恐らく知らない。
ゲームボーイカラー専用ソフト、「スペースネット」の二次小説。
楽しんでみてください。

2012-10-26 21:42:02 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:453   閲覧ユーザー数:453

遥かに広がる宇宙。その一部に、地球人はある星系を見つけた。

 

 

 

 

その星々の色から、付けられた名は―――レインボー星系。

 

 

 

 

そんなレインボー星系に、危機は突然訪れた。

 

 

 

 

突如別の宇宙から現れた宇宙人達による、レインボー星系征服作戦。

 

 

 

 

宇宙人は各星々の核であるコアを奪い。洗脳光線により先住民を洗脳、戦闘員として星々を襲わせた。

 

 

 

 

その危機に、地球人はレインボー星系救出を決定。

 

救出チーム、通称ISNA(イスナ)を設立した。

 

 

 

 

ISNAではレインボー星系の宇宙人達にも通用する攻撃力を持つアイテムを開発。

 

更に洗脳を解くアイテムを開発し、洗脳された宇宙人達を救出していった。

 

 

 

 

当初はエージェントと呼ばれる、地球人達によるレインボー星系救出作戦が続いていたが、次第に星々の宇宙人が共に戦うと決意。

 

ISNAのメンバーは増強され、奪われたコアの回収も順調に進んでいた。

 

 

 

 

そんなISNAエージェントの働きにより。ついに、リーダーの討伐に成功。

 

レインボー星系の危機は去ったのだった……

 

 

 

 

だが、予想を遥かに超える洗脳された宇宙人の数に、

 

エージェント達は、今だ救出を続ける日々を送っている――――――

 

 

 

そして……

 

 

 

レインボー星系。その星の一つ―――パープル星は、ポーライの街。

ここに現在、ISNAの本拠地が存在していた。

星系征服を企む集団による大事件が解決し、戦闘員とされていた星の住民達の洗脳も少しずつ進んでいる。

今、基地の入り口を1人の人が通った。

長く真っ直ぐな濃い青色の髪を左側一ヶ所だけ結び、橙色の縁のメガネをかけている。十代くらいの少女だ。

「ここも久しぶりね、最近は各自行動が多かったし。でもいきなりの呼び出し……何か問題が…」

その時、

「ちこくちこくー!」

入り口の扉を力いっぱい開けて人が飛び込んできた。

背はメガネの少女より少し低いくらい、首下で切り揃えられたような、ボサボサの赤い髪に、藍色の髪留めをしている。同じく十代くらいの少女だ。

「……陸葉?」

「へ? あ、海菜!」

少女2人はお互いに知り合いらしく、青髪の少女を海菜(うみな)、赤髪の少女を陸葉(りくは)と、互いに名前を呼び捨てで呼んだ。

「ひょっとして、海菜も呼び出し?」

「そういう陸葉こそ」

「うん、でも時間に遅刻しそうでステーションから走って来たんだよ」

「ここからステーションって結構あるけど……その時間って何時?」

「えっとね、15時ちょうど」

「あたしと一緒じゃない」

「えぇ? じゃあもしかして海菜とミッションやるのかな」

「陸葉とか……」

「む、なにかなー、その若干嫌そうな顔はー?」

「別に、それよりも時間だから行きましょう」

陸葉の不満の声をさらりとスルーし、海菜は階段へと向かう。

「あ、待ってよー」

陸葉も後を追って階段を上がり、二階、三階へと到着。

会議室のような場所、そこに2人を呼び出した人物は座っていた。

「よく来てくれた。ISNAエージェント リクハ、並びにウミナ」

彼はここ、ISNA本部の上官で、多くのエージェントの旅立ちを見送り、派遣をしている古株だ。

「君たちを呼び出したのは他でもない、2人で、あるミッションに挑んでもらいたいからだ」

やっぱりか、2人は同時に思った。

「その、内容とは」

海菜が訊ねると、上官はファイルに収まった紙の束を取り出した。

「大事件が終結し、脅威は無くなったが、まだ多くの人の洗脳がとけず、エージェントが奔走しているのは知っていると思う。そこでISNAは、洗脳をとく事に特化した新たなアイテムの開発を行っていた。君たちには、そのアイテム開発の手伝いをしてもらいたい」

ISNAのエージェントには、四つのアイテムが存在する。

一つが攻撃力強化の、パワーグローブ。

一つが移動力強化の、ジェットブーツ。

一つが防御力強化の、ビームシールド。

そして宇宙人の洗脳を解く、通信バッジ。

前二つの内一つとビームシールドがエージェントに渡され、洗脳された宇宙人と戦い、通信バッチを用いて洗脳をといていた。

「詳しい話は、研究室に向かって聞いてほしい。頼めるかな」

『はい』

陸葉と海菜は揃って返事をすると、上官からファイルをもらって階段を降りていった。

「新しいアイテムってどんなのだろうね」

「さぁ、でも洗脳をとく事に特化してるとなると、効率が上がるのは確かよね」

会話をしつつ、一階に到着。

「ちょっとそれ見せてー」

陸葉はファイルを受け取り、研究室に向かいながら中の紙を見る。

「前見て歩かないと危ないわよ」

「だいじょーぶだよー」

しかし、

 

 

「わわ!? そこの人危なーい!」

「へ?」

 

 

ドシーン!!

 

 

「わぁ!?」

「ひゃああ!?」

陸葉は人とぶつかった。

「だから言わんこっちゃない……」

やれやれとため息を付きつつ、海菜はぶつかった際に散らばった紙を集める。

「いたた……だ、大丈夫ですか?」

「は、はぃぃ……何とか、大丈夫ですぅ……」

陸葉とぶつかったのは、2人より少し背の高い少女だった。

緑色の髪を緩いみつあみにして、後ろに流している。少女はぶつかった衝撃でしりもちをついて目を回していた。

『大丈夫に見えない……』

2人の感想は知らずに被っていた。

「すみません、この子がよそ見しながら歩いてるから」

「えー、わたしのせいなのー?」

「いいから謝りなさい」

「い、いいんですよ。私もよそ見して急いでいたものですから」

少女は立ち上がると、ぺこりと頭を下げた。

「実は約束の時間を10分も過ぎてまして、それを時計で確認して走っていたので気づかなかったんです。では、急いでいるので失礼します」

頭を上げると、走って行ってしまった。

「今の人もエージェントなのかな? 初めて見た気がするけど」

「ふむ……ねぇ陸葉」

「ん? どったの海菜」

「今の人、約束の時間に10分遅れてるって言ってたわよね?」

「うん、言ってた」

「今から10分前って言えば、あたし達が呼ばれた時間、15時ちょうどなんだけど」

「けど?」

「だから……あぁ、いいわ。当たってるとは限らないし、忘れて」

「えー、そこまで言っておいてそれはなくなーい」

「いいから行く。向こうは待ってるのよ」

「あ、待ってよー」

 

 

 

2人は研究室へとたどり着いた。

研究員にファイルを見せると、一つの部屋へ行くように言われ、そこへと向かう。

「失礼します」

海菜が一言かけ、陸葉が扉を開けて中へと入った。

研究室の中は、まさにその名の通りの光景をしていた。

左右の壁には棚、中には紙の資料やファイルが収まっている。

正面は大きなスクリーンと、レインボー星系の地図が埋め、それ等を見るように椅子を向けていた人を2人は発見した。

陸葉はファイル内の資料の表紙に書かれていた名前を見て、

「えっと…………ん?」

「ちょっ、どうしたのよ陸葉」

「えーっと……ねぇねぇ海菜、これなんて読むの?」

「読めないならさっさと渡しなさい」

陸葉からファイルを奪い海菜が名前を呼ぶ。

「碧風、美空さんですか?」

すると、

「へーい、その通りですよー」

椅子が回り、2人を正面に見た。

前髪は左目が完全に隠れるほど長いが、首元で揃えたショートカットの深緑色の髪に、縁の無い丸レンズの眼鏡をかけている。十代後半に見える女性だ。

「ご紹介あった通り、アタシが碧風(へきかぜ)美空(みそら)だ。この研究室で一応研究員をまとめる研究所長の第二位とかいう説明のメンドイ役割にいる。第二位とか言わずに副所長って言えば良いと思うんだけど、どう思う?」

「え……あの、えっと……」

「確かにその方が言いやすいですねー」

「だろう? というか副ではあるが第一位はほぼグリーン星にいるから実質アタシが一番なんだぜ」

「そ、そうなんですか……」

さすがは研究者、独特な空気を持っている……海菜は心の中でだけ思った。

「話を戻そう。君たちの事はすでに聞いている。エージェント リクハ、本名、赤宇(あかう)陸葉。エージェント ウミナ、本名、青宙(あおそら)海菜。年齢は共に14歳、二年前一緒にエージェントとなり数ヶ月程は共に行動、以降はバラバラでミッションをこなし、大事件終幕後は洗脳をとく仕事を行っていた」

「そういえばそんな時もあったねー」

「陸葉が一緒に行こうって言ったのよ」

「そだったっけ?」

「まぁなんだ、今回選ばれたのはそれが理由だったりする」

美空博士は手を伸ばし、海菜がその手にファイルを置くと美空は中の一枚を取り出した。

「ミッションの内容は見たか?」

「はい。レインボー星系を回り、新たなアイテムのテストですね」

「そのアイテムってなんなんですか? ファイルには何も書かれてませんけど」

紙を近くの机に置き、キーボードを操作してスクリーンに絵を表示した。それは設計図のようなもので、おそらくこれが造られると新たなアイテムになるのだろう。

「名前だけ先に言うと、名称『スピリットガン』今までに無かった遠距離型のアイテムだ」

「何だかカッコいいー!」

「カッコいいのは名前だけじゃない。なんとこのアイテムを持つことで、4つのモードチェンジが可能になるのさ」

「4つの、モードチェンジ……」

「まぁ所有者の実力次第ではあるけども、理論上では行える筈だ。更に、対洗脳用の技が搭載されている」

「その、技とは?」

「それは追々分かる筈だから、今言うのはやめておこう」

美空博士は壁にかけられた時計に目をやった。時刻は15時22分。

「それで、そのアイテムのテストをあたし達が行えばいいんですね」

「ん? いや、それは違うぞ」

その言葉に、陸葉と海菜は顔を見合わせた。

「わたし達が使うんじゃないんですか?」

「そうだよ、アイテムは君たちと一緒に行く人が使うんだ」

「では、なぜあたし達は選ばれたのでしょう」

「さっきも言ったけど、君たちは一緒に行動していたこともあったし、共に14歳の女の子。なるべく年が近くて同性で、コンビネーションの出来るエージェントを探していたんだよ」

「やっぱり……その、もう一人というのは」

「今しがた、エージェントの証明をもらいに行ったよ。もうそろそろ戻ってきても良いと思うんだけど…」

その時、

 

 

ドンガラガッシャーン!!

 

 

『ひゃああああ!?』

「「「……」」」

扉の向こう側から、派手に何かが崩れた音と、派手な悲鳴が聞こえ、3人は無言でそちらを見た。

『ご、ごめんなさい! 急いでいたものですから!』

「あれ? この声って」

「予想通りだったわね」

「何だ、もう会っていたのか」

扉が開いて、先ほどの声の主が研究室の中へ入ってきた。

「お、お待たせしました! 本日よりエージェントになりましたクーヤと言います! よろしくお願いいたします!!」

ぴしっ、と左手で敬礼をしたのは、先ほど陸葉とぶつかった、みつあみの少女だった。

 

「ちなみに、左手の敬礼は間違いだぞ」

「えぇ!?」


 
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