ある日のことであった。
「くそ! また逃げられた!」
シナプスではいつものように守形がシナプス調査のために潜入してはハーピー達に見つかるも、ダイブゲーム終了時間ギリギリだったので逃げられる。
そんなことが日常となりつつあるのにイライラを隠せないハーピー達。
「このイライラをどうにかする方法はないか?」
ハーピー2がハーピー1に相談する。
「何かいい手か……、そうだ、奴を襲うのはどうだ?」
「奴とは? まさか空の女王(ウラヌス・クイーン)…」
「そんな訳ないだろ。あの時空の女王と一緒に戦って邪魔してたあの男だ」
「ああ、黒い髪から白い髪になったあいつか」
その男とは秋山総司郎。
この世界とは全く別の世界からやって来た男であり、「邪悪なる闇の魂」と呼ばれる特殊な魂と力を持った青年である。
「聞いたところ、あいつカオス相手に全然手が出せなかったらしいぞ」
「カオスと私達じゃ力が違うだろ」
「何言ってるんだ。私達の力はあの時とは違う。あの時よりもずっと強くなってる…」
守形と追いかけっこをしている間になんやかんやで色々力が付いていたハーピー達。
「そうだな……、それじゃあ……」
「ああ、行って、あの男を殺してやる」
こうしてハーピー達は秋山を殺しに地上へと降りていくのだった。
同じころ地上では……。
「ふぁ~あ」
あくびをかいて道を歩く白い長髪の青年。
この青年が秋山総司郎だった。
「………」
秋山は突然空を眺める。
「今日は珍しい奴が来るもんだな」
秋山には魂や闇で何が自分の周りにあるのかや、自分に近づいてくるのか察知する力がある。
普段はその察知能力を使っていないが、自分に攻撃や敵意が来た場合や自分の持つ闇とは別の闇が生まれた場合は自動的に察知されるのだ。
そして秋山の上から突然攻撃が飛んでき、秋山はそれをかわす。
そこからハーピー達が降りてきた。
「久しぶりだな、なんか用か?」
「なにか用かって?」
「手前を殺しに来たんだよ。あの時はよくも邪魔してくれたな」
「あの時って……イカロスとニンフを傷つけたあの時か。
あれは手前らが悪い。他人(ひと)の友達(だち)を傷つけたんだからな」
「黙れ!」
「今日はお前を殺してやる!」
ハーピー二人は自身の装備である超高熱体圧縮発射砲「Prometheus(プロメテウス)」を構える。
(………どうやろうかな~)
秋山はどうやってハーピー達を懲らしめようか考えた。
秋山が本気を出せばハーピーレベルは瞬殺できる。
しかし秋山の力でハーピーを殺せば世界が崩壊するので出来ない。
そのため秋山は手加減する必要があったのだが、どうやって倒そうか悩んでしまう。
「ま、ちっとばかし力入れてやるか」
「何をごちゃごちゃ……」
次の瞬間、ハーピー達の視界から秋山が消えた。
「なっ!?」
「きえ……」
「…てない」
ハーピー達が気付いた時には秋山は既に二人の間に入っており、二人の肩を掴んでいた。
「ほっ」
そしてハーピー達の肩を土台にして腕だけで逆立ち状態になる。
「ほらぁ!」
次に秋山は土台にしていたハーピー達の肩から手を離してわずかに宙を浮き、落ちる瞬間に後ろ蹴りでハーピー達の背中を蹴り飛ばした。
「「ぐあ!」」
ハーピー達は飛ばされた方向へと飛んで行く。
「くぅ…」
ハーピー達が起き上がろうとした時、既に秋山はハーピー達の目の前に屈んでいた。
「どうだ?」
「何故だ、何故反応できない!」
「あのな、お前達が強くなってるように、俺もほぼ毎日強くなってるんだ。
元からお前達より強い奴が毎日強くなっちゃ、勝てるわきゃないだろ」
秋山は若干冷酷だが、いつも通りの表情でハーピー達に教えた。
「それとな……」
秋山が倒れてるハーピーの一人のPrometheusを掴む。
「何をする気だ?」
「こうする気だ」
秋山はPrometheusを自分の心臓のある場所につきつけた。
「まさか……」
「ズドン」
Prometheusはハーピー達の意思でない限り撃たれることはないのだが、秋山はニンフとは別のハッキングの力を持っているのでPrometheusを無理矢理撃たせることが出来る。
秋山はPrometheusで自分の心臓を撃ちぬかせたのだ。
「貴様、正気か!?」
「正気じゃなきゃなんだ?」
秋山の口から血が流れ、心臓のあった部分から大量の血が流れているも平然としていた。
「貴様、なんで平気でいられるんだ?」
「なんでかは自分達で考えろ」
秋山はそのまま立ち上がる。
「この通り、心臓撃ち抜かれても俺は死なない。
例えこの体が原子レベルにまで分解されてもだ。
だからどうあがいてもお前達が俺に勝つことは不可能……ってことだったんだ」
秋山が手でさするように心臓部分に手を平らにして空を切る。
すると秋山の体は完全に元通りになり、心臓部分も治った。
「さてと、お前達を簡単に帰すわけにはいかんな」
秋山は指でハーピー達の体を突く。
「何をした?」
「ちょいと乱暴が出来ないようにしただけだ。
ちっと思ったことがあってな…」
「何を……」
「お前ら、個別の名前ないのか?」
そらのおとしもの 私の名前を呼んで?!
「……というわけだ」
秋山はハーピー達を連れて、智樹の家に来て智樹達いつもの面々に経緯を説明した。
「ハーピー達の名前か」
「そう言えばハーピーってだけで私達みたいな名前ありませんでしたね」
「別に興味ないわ」
守形とアストレアとは反対にニンフの反応は薄い。
「まあそう言ってやるな。勝手にハピ子とかハピ美みたいな名前つけたらこいつらも困るだろ」
「「絶対に嫌だわ!!」」
ハーピーの二人は大声で反対する。
「日和はともかくカオスでさえきちんとした名前があるんだ。
そんでこいつらのマスターはどうせ興味ないとかで考えてないだろ。
せっかく地上に降りてきたんだから俺達が考えてやろうぜ」
「はい」
「仕方ねえな……」
「でもどんな名前にしようかしらね~」
「色々ありますよね」
いつものイカロスと微妙な智樹に乗り気の美香子とそはら。
「それじゃあ早速考えてみるか!」
秋山がホワイトボードを召喚する。
それと同時に座布団もだし、ハーピー達を座らせる。
「何か思いついたら言ってみろ。
とりあえずこいつらは1と2で呼称しておくから」
「「くっ……」」
秋山の1、2発言に微妙に反論できないハーピー達。
「はい!」
「それじゃあカオス」
「1の方ハーピース、2の方はハーピーミがいい」
「「それじゃあ最初のハピ子とハピ美と変わらないだろ!」」
ハーピー達がツッコミを入れる。
「まあまあ、まだ意見があると思うから……」
「あ、思いつきました」
「そはら」
「ハピアとハピネ」
「アはともかくネは風音と被らないか?」
「あ、言われてみれば……」
「次」
そんなこんなでハーピー達の名前を決めようとしたが、なかなか決まらない。
「全然いいのがないな」
ホワイトボードに書かれた名前。
ハピネス、ハピシャ、ハピエ、ハピナ、ハピス、ハピノ、ハピランなど他にもあるが、どれもパッとしなかった。
「なあもうハピ子とハピ美でいいんじゃね?」
「だから……」
「それはよくないと言ってるだろ!」
怒るハーピー達。
「……ま、いいや。
とりあえずお前達のことハーピーで通すことにするか。
どちらのことを言ってるかは自分達で判断するということで……」
秋山がハーピー達の方を向く。
「それでハーピー達をどうするんだ?」
「送り返す」
「どうやって?」
「このまま帰したらお前達のマスターに怒られるのは明白だ」
「うっ…」
「確かに……もしかしたら廃棄処分に……」
「だからお前達を体ごと過去に戻す。
そうすれば過去の自分と融合して、今回の出来事も記憶出来てるから俺の襲撃とかも起こらない。そう言うわけだ」
「でもそんなことして大丈夫ですか?」
「普通ならダメだろうな。けど今回は別に世界に影響がないみたいだから出来る。だから送り返す」
秋山が手を叩く。
「帰ってらっしゃ~~~い!」
叩いた手を地面につけるとハーピー達の体が光りはじめ、その場から消えた。
「消えちゃった」
「あれ? でも過去に戻ってやり直したら今回のことは起こらないんじゃ……」
「タイムパラドックスだな」
「ああ、それなら大丈夫だ。
そのタイムパラドックスの修正は俺が長期間その世界から去る時みたいに俺と深く関係した存在以外の記憶が消える程度だ。
それにお前達、俺が来る前からこの家に居たからあんまり行動が変化するわけじゃないってか全然変わった感じしないだろ」
「言われてみれば……」
「それであいつらは来ないんですかね?」
「さすがに俺に痛い目に遭ったからしばらくは来ないだろ、守形がちょっかいかけるなら分からんけどな」
それからも守形はシナプス調査に行ってはハーピー達と追いかけっこを続けたのは言うまでもない。
終わり
おまけ
作者「そらおとだ」
智樹「これどのくらい前から書いてたネタだよ?」
作者「忘れたが、数か月前だな。俺はそらおとは少年Aでは見てないから、単行本待ちだが、ネタバレとか欲しい人間だから、掲示板とかで書き込み見たりして得た情報から書いたりする」
智樹「少年A。買って読めよ」
作者「そらおとくらいしかないのに買って読むか!
しかし、まだ俺は聞いた話程度しか知らないが、少年A最新話ではかなりのことが起こってるらしいな」
智樹「…………」
作者「まあ、言いたくはないだろう。俺も文章でしか見てないが、あれが事実だとしたら、絶対言いたくはない。
それと文章だけでも俺は『ばかやろーーーーーー!!』って叫びたくなったな。
来月の展開がそのままで、秋山がいた場合は秋山はしばらくは狭間の世界か、闇の魂が元いた世界に一時戻って暴れまくるだろうな。それこそ破壊の限り、自分の気が晴れるまでな……。
少し暗い話になってしまったな。
話を切り替えよう。俺は最近恋愛ものの小説を書いている」
智樹「恋愛もの? 二次創作でか?」
作者「いや、影響がまったくないとは言わないが、色んなアニメのラブコメものを見た結果、自分でこんなのを書いてみたいと思って書いたものだから、俺が以前に書いた特撮ヒーローものと違って完全なオリジナルだな。だから二次創作とは言い難くなる。
読み切りくらいの長さにしようと思ったが、話の構成上、前、中、後という感じになりそうだ。前となる部分は書き終えて、中かもしくは後の部分に取り掛かっている」
智樹「早いな。その調子でそらおとも書けよ」
作者「ネタが思いつかないんだよ。似たようなネタばかりとかでさ…。
まあそらおともラブコメ要素あるけどな」
智樹「コメは分かるけど、ラブってどこにあるんだ?」
作者「このにぶちんがーーーー!
まあ、そんなわけで最近はラブコメてか少女漫画的な恋愛ものを書いていたりする。
ちなみにコンセプトとしては『トラウマとか後ろめたい設定とか一切なしのストレートな恋愛』になっている。
それでは!」
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今回は前から書いていたものの投稿となります。(内容としては最新単行本で出てきた要素ネタです)
また作者の分身となるオリキャラ(秋山総司郎)も出てくることをご了承ください。