「ヴー、あー、疲れた。ていうか働きすぎだと思うんですよ。蒼さん的に」
皆さんこんにちは。この頃かなり疲れている蒼です。
「なんだ蒼。そんなことで疲れているなど軟弱だぞ」
そんな俺をたしなめてくる春蘭。
いやホント、こと華琳のことに関しては火の中水の中ってかんじだよな春蘭は。
「まあ、姉者そういうな。蒼は部隊展開速度でなら我が軍一だからな。
この頃討伐任務ばかりで休暇もロクにないのだ」
ま、確かにその通りなんだがな。と苦笑して答えるが、正直あまり笑えない。
近頃、黄巾党の動きが大きく又、活発化してきている。
そのおかげで討伐の仕事がひっきりなしに入ってくる。おかげで、休暇も丸つぶれ。それにこのまま手をこまねいていると、民の負担も大きくなる。
つーわけで、なるべく早く鎮圧したいわけだが、いかんせん打開策が思いつかん訳で。
(それに前世の記憶とか結構穴が出来てるしな)
そう、前世で使えそうなシステムは覚えている限りを華琳に渡した本に書いたのだが、歴史の流れに関してはバックアップをとっていなかったので忘れてきている。
ま、赤壁なんかの重要な部分は覚えているので、最悪俺がフォローをすればどうにかなると信じている。……いや、そう思いたい。
「-おい、おい!」
と、自分の思考の渦にはいっていると、横から春蘭が俺を現実に引き戻す。
「さっきの話を聞いていたのか?蒼」
「ああ、スマン。ちょいと考え事をしていてな。
で、なんだって?」
「蒼、忙しいからとはいえ、しっかり人の話は聞くものだぞ。
姉者も、そういきり立つな」
「む、そういうがな秋蘭。蒼が聞いていないのが悪いであろう」
まあそれはそうだが。と俺を見ながら苦笑する秋蘭。
「すまねえな。ちょっと考え事をしていたもんでな」
「考え事か。一体何を考えていたのだ?」
「まあ、黄巾党の即時鎮圧するためにはどうすりゃ良いのかってな」
そう返すと二人と驚いたような顔をしている。
で、なんだよ、その意外そうな顔は?
「いや何、蒼のことだから、サボる口実やら、方法などを考えているのだと思ったのからな」
「失礼な。時には真剣に考えることだってあるわ」
まったく、何時もサボることばかり考えていると思うなよ。
「なら、あまりサボらないことだぞ蒼。昔よりもマシになったからといって、まだ他の者よりもサボっている状況ではないか」
「そうだぞ!私よりもサボっておるではないか」
む、激しく正論を言われているような気がするが、春蘭に言われるのは激しく同意しかねるのだがな。
「いや、春蘭、テメエは軍事の訓練はともかく、書類仕事はどうしてんだよ!!」
そうだ。いくら、春蘭でも書類仕事は秋蘭におんぶにだっこで足を引っ張ってるに違いない。
「なにを!私だってちゃんと仕事をして、華琳様に褒められているぞ!」
マジか?いや待て、
いや、落ち着け俺、こういう時の春蘭は大概見栄を張っている。
「へえ、だったら何をやってたんだ?」
「机の前でおとなしく座っていた!!」
なん、だと?あの春蘭がおとなしく座っていた。だと?
これは仕事をしていた。というより歴史的快挙のレベルだぞ。
「ふーん、どうだ蒼」
俺が何も言い返せない所を見た春蘭が勝ち誇った顔をしている。
世間一般から言えば、座っておとなしくするってのは仕事をしてない部類に入るんだが、春蘭だしな。というか、旗色悪くないか?
いや、そんなことはどうでもいいだろ。
「あー、俺の負けだ。負け。っていうかなんで仕事をしてる、してないの話になってんだよ」
そう、言いつつ、分からないふりをして話を変えようとする。って、なんでそこで笑うんだよ。秋蘭。
「それは、姉者が仕事をしていないと言った蒼が原因であろう」
……おい秋蘭、そこは空気読んで知らぬふりしようや。ほら、見ろ。春蘭なんか今やっと思い出したかのような顔してるじゃねえか。このままいったらホントにごまかせたかもしれんのに。
「うっ、とにかく!いち早く黄巾党を解決する方法を考えてたんだよ!お前らはなんかいい方法あるのか?」
もう、敗北宣言をせずに逃げを打ったような感じだが、もうどうでもいい。それより打開策だ。打開策。
「そんなこと決まっている!ただ、目の前に出てくる奴らを倒せばいい!」
おう、さすが春蘭。見敵必殺ですねわかります。俺もそうしたいのはやまやまなんだが、負担を考えると却下だな。
「それはダメだろ。俺らにも負担があるが、何より民の負担がでかすぎる。できれば、頭をどうにか潰せりゃ、後は空中分解するんじゃないかと思うんだが、秋蘭はどう思う?」
「ふむ、そうだな。確かに 上に立っているのはどういうわけか歌を歌う三姉妹の旅芸人らしいからな、蒼の言うとおり上をどうにかするのが一番だと思うが」
うん、秋蘭も賛成か。それに黄巾党の頭は三姉妹の旅芸人なのか。というか、それであれだけの規模の賊を纏めているのはすごいと感心するところか……ってちょっと待て。
「おい、秋蘭今のもう一度言ってくれ。」
「だから、上をどうにか--」
「いや、その前だ。なんで、黄巾党の頭が歌を歌う三姉妹の旅芸人って知ってるんだよ」
そうだよ、なんで世間では髭だるまのおっさんの妖怪みたいになってんのに、こいつらはそんなこと知ってんだ?
いや、華琳のことだから何かしらの情報を手に入れたんだろうが……
「なんだ、蒼は知らないのか?」
「知らん」
ていうか、笑うんじゃねえよ。春蘭。
「そうか、蒼はもう華琳様から聞かされていると思っていたのだがな……」
そう言いながら説明してくれる秋蘭。
……話の内容はこうだった。季衣が以前、歌を歌う旅芸人が張角と名乗っていたのを思い出し、華琳の報告。その情報が極めて信憑性が高く、自分達の他にその情報が回ってないのを確認、そして情報を操作し、他に漏らさないようにして、更に張角達を自分の領内から出さないようにしている……ということらしい
「ていうか、知ってたのは納得するんだが、一応仲間なんだから、教えてもいいんじゃねえかと思うわけだが。そこらへんどう思うよ秋蘭さん」
「うむ、それは謝るしかないのだが、蒼は何でも知っていそうに感じるからな。誰かが教えているものと考えてしまっていたんだろう。事実、私もそうだからな」
「別に、俺は何でも知っているわけないだろ」
「そうなのか?」
「しつこいぞ春蘭。何でも知ってたらそれこそ化物だろうが」
「む、ちがうのか?」
「今、お前がどういう目で俺を見てたか分かった気がする」
春蘭の認識を変えたいところだが、それよりも華琳に問い詰めたい。
「ちょうど、会議の直前だしな。フフフ……」
「そんなにがっつくな、もうすぐ会議なのだからな。」
「分かってる」
そう、今は華琳に呼び出されて会議に向かう途中だった。先日朝廷からの使者が来てたし多分黄巾党関連だろう。内容はおそらくだが正式な討伐命令ってところか。ようやく中央も重い腰を上げたか?いや、これは中央に行った月達の判断かな。
いや、今はそんなことは考えている場合じゃない。ここが華琳の名が上がるチャンスだ。滅私奉公とまではいかないが、アイツの為に気合を入れてやってみますかね。
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ここまでがにじふぁんで投稿していた分となります。(一部、新規で書いた部分もありますが)
これからも拙作をよろしくお願いします。