No.499700 IS x 龍騎〜鏡の戦士達 Vent 13: 貴公士と軍人の来日i-pod男さん 2012-10-24 04:12:03 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2173 閲覧ユーザー数:2056 |
対抗戦から暫く経ち、一組のクラスの前に、二人の生徒が立っていた。一人は背は低めで銀髪、そして眼帯を付けている。その雰囲気は常人とは一線を超えた物であり、絶対零度を体現していた。もう一人は表す言葉があるならば、『貴公士』に尽きた。優しそうな顔立ちは、どこか安心感を与えてくれるあたたかな感じだった。
「えー、今日は転校生が二人います。自己紹介をお願いします。」
「フランスから来ました、シャルル・デュノアです。日本の事は多少不慣れかもしれませんが、よろしくお願いします。」
「え?・・・・・お、男・・・・?!」
「はい、こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて転入を」
「「「「「キャアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーー!!!!」」」」」
文字通り、部屋が爆発した。恐らく窓に幾つか罅が入っただろう。
「男子!三人目!!!」
「今度は守ってあげたくなる系!」
「地球に生まれて良かったー!!!」
ドゥン!
空砲だが、マグナムの銃弾である為、音がでかい。
「朝っぱらからうるさいぞ。」
銃口の硝煙を吹き消し、ホルスターに納める。殆ど全員が耳を押さえたが、一人だけ直立不動の姿勢を保ち、何も言わなかった。
「織斑、一々教室で銃を発砲するな。ボーデヴィッヒ、挨拶をしろ。」
「はい、教官。」
絵に描いた様な敬礼をする。
(教官?ドイツ時代のあいつか・・・・?)
「私はもう教官ではない。ここでは織斑先生と呼べ。」
「了解しました。ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」
それっきり口を噤んだ。
「い、以上ですか?」
「以上だ。」
だが、目の前にいた一夏に目をつけて顔色が変わった。
「貴様が・・・!!」
手を振り上げたが、一夏の篭手の甲の部分から伸びたレーザーブレードが喉元で止まったのを見て手が止まる。その後ろからも司狼のショットガンが顔面に突き付けられていた。
「くっ・・・・」
「俺に喧嘩を売るなら、それなりの覚悟してるんだろうな?死んでも文句は言えないぞ?」
再び何かを言われる前に二人は直ぐに武器を納めた。
「今日は二組と合同で実技を行う。ISスーツを忘れない様に。忘れた者は学校指定の水着を着て来い。それも無い奴は、まあ下着でも構わんだろう。」
「それは流石にやめて欲しいです。」
「御鏡、織斑、デュノアの面倒を見てやれ。では、グラウンドで待っている。なお、遅れた者は私が直々にノルマをくれてやる。」
それを聞いて全員が動き出した。一夏もシャルルの手を掴んで走り出した。
「シャルル、こんな所で女子に掴まったらシャレにならない。ついて行ってやるから走れ。転ぶなよ?」
「う、うん・・・」
「それなら大丈夫だ。斉藤さんや森次、後はスコールが足止めをしてくれてる。」
更衣室に到着すると、司狼は先に一夏を行かせた。
「あの・・・・」
「ん?」
「着替え、ないの?」
「俺のISはその必要が無い。ところで・・・・お前、本当に男か?」
「え?な、何言ってるの?」
「冗談だ。早く着替えろよ?先生の恐い鉄槌が頭に降って来るからな。」
グラウンドでは全員がクラスごとに分かれて千冬の前に立っていた。
「鳳、オルコット、前に出ろ。専用機持ちは直ぐに始められる。」
「何で私が・・・・」
「やる気あんまり出ないのよね・・・」
(あいつに良い所を見せられるぞ?)
ぼそりとそう言った千冬に二人は途端にやる気を出した。
「で、相手は誰?私は別にアンタでも構わないけど。」
「慌てるな、小娘共。お前の相手は・・・・」
「うわああああああああ!!ど、どいて下さーーーーーい!!」
だが、一夏は右腕だけを展開し、彼女を受け止めた。
「気を付けて下さい、先生。ISが激突して死亡なんて面白くないですよ。」
「あうう・・・・・すいません・・・・」
「えと・・・・二対一ですか・・・?」
「流石にそれは・・・・」
「安心しろ、今のお前らならすぐ負ける。」
そして千冬の言葉通り、二人はグレネードで止めを刺されて撃墜された。
「うう・・・・あんたねえ・・・・何で面白い様に回避先読まれてるのよ?!」
「鈴さんこそ衝撃砲をバカスカと撃ち過ぎですわ!」
「どっちも悪い。セシリアはビットを使わない方が良い。一対多向きのISで誰かとチームを組んでるなら、出来るだけビットは使うな。最悪フレンドリーファイアがオチだ。鈴も確かに衝撃砲を使い過ぎてる。あくまで牽制用に使って、近接で勝負をつけろ。」
「織斑の言う通りだ。後、言い忘れていたが、山田先生はこれでも日本の代表候補まで登り詰めた。教師達に背後敬意を持って接する様に。」
「む、昔の話ですよ、代表候補止まりでしたし。」
「ではこれからISの基本動作を行う。グループリーダーは専用機持ちが勤める。」
殆どの生徒が一夏、司狼、デュノアの周りに集まろうとしたが、一夏が再びホルスターのマグナムに手を掛けようとしたので直ぐに収拾がついた。
「さてと、機動、装着、歩行までやってみようか。後、降りる時は必ずしゃがむ様に。次の人がコクピットに届く様にしなきゃ行けないから。」
基本的にスムーズに進んではいたが、ラウラの班は完全に通夜の様に静まっていた。
「おいおい、教官様の御前で仕事さぼっちゃって良いのかな?」
「ふん、分かっていないコイツらが悪い。」
「ま、良いか。じゃあ、俺が面倒見るから後ろにいる鬼神様の怒りを静めてみたら?」
後ろに立っている千冬を指差して、司狼はニヤリと口角を吊り上げる。
授業が終わって昼休み。一夏は屋上で司狼と話をしていた。
「まさか、彼・・・・いや彼女が・・・・?」
「ああ。それが原因で近い内にあの企業を潰す事になるだろう。まあ、俺達も必要になるから、彼女はあわよくば」
「「一夏!」」
「探したわよ、ここにいたの?デュノア連れて来た環よ、一人でほったらかしにして・・・・」
「掴まるなよって言ったのに・・・・」
「ごめんね・・・・」
「まあ、べつに良いけどさ。」
「どこをほっつき歩いていた?!探したぞ。」
「悪いな。司狼と仕事の話があった。新しい第三世代の開発があってな。テストパイロットも探さなきゃならない。」
「へー・・・じゃなくて!はい。」
「あ、酢豚だ。後これは・・・・餃子か。」
「今朝たまたま目が早めに覚めたから、ちょっと多目に作っちゃってさ。」
「そっか。じゃ、俺にも少しくれるか?出来れば司狼にも。」
「まあ、良いけど・・・」
「一夏、私も偶然朝早くに目が覚めてな。(せめて一夏の胃袋を掴めれば・・・!!)どうせ時折食生活が不摂生なのは分かっている。」
小さい包みを差し出された。
「おお。ありがとな。」
「ねえ、良いのかな、僕がここにいて。」
「構わない。これでようやく男子が三人目になったから肩身の狭さがいくらかマシになったから、寧ろ大歓迎だ。」
ベンチに座って弁当を摘みながら適当に話し、場が和んだ。昼休み終了のチャイムが鳴ると、別れを告げて教室に戻って行った。
(嫌な予感がするな・・・・・・一荒れ来そうだ。)
この司狼の考えは嫌と言う程的中する事となる。
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ラウラ、シャルの登場です。