No.499622 そらのおとしものショートストーリー5th あの子と海152012-10-23 23:42:19 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1458 閲覧ユーザー数:1408 |
そらのおとしものショートストーリー5th あの子と海15
今までの俺は何故だかとてもとても遠回りをして来た気がする。
いや、俺は毎日を面白おかしく真剣に生きてきたのだから遠回りなんかしていない。
ただ何故かそう思ってしまう。
まるで前世、いや、他の世界の記憶が重なってきているかのような妙な感覚に襲われている。
でも、そんなものはどうでも良い。
何故なら今重要なのは俺が微かに抱いている違和感なんかじゃない。
目の前のパラダイスを如何にして満喫するか。
その問題の方が遥かに重要なのだから。・
「お兄ちゃ~~ん♪」
「……マスター♪」
「智樹~~♪」
「智ちゃ~ん♪」
「エテ公さま~♪」
「智樹様~♪」
「桜井く~ん♪」
俺に笑顔を振り撒いてくれるあの美少女たちの元へ早く辿り着かなくては。
誰か1人欠けている気もする。
まあ、1人ぐらい仕方ないか。
それよりも今は水着の美少女たちの元へ駆け寄らなくては。
「むっひょっひょっひょっひょ。今行くぞ。俺の可愛い子ちゃん達~~♪」
パーカーを脱いで海パン一丁になってスキップしながら彼女達の元へと近付いていく。
「……マスター、オイルを塗ってください」
「ずるいわよ、アルファ。智樹にオイルを塗ってもらうのはこの私なんだから! さ、智樹が好きな所ならどこでも塗って良いんだからね」
「空女王とコンブが争っている間に漁夫の利です。智樹様、私にオイルを塗っていただけませんか」
「エテ公様がどうしてもと仰るのならわたくしにオイルを塗らせて差し上げても良くてよ」
「じゃあ私は桜井くんにオイルを塗って差し上げますので横になってください」
「カオスもお兄ちゃんにオイル塗る塗る~♪」
「と、智ちゃんは……わ、わたしの胸でオイル塗ってもらうのが良いんだよね?」
俺を取り合って騒ぎ出す8人の美少女達。
約2名ほどやたらエロい子がいる気がするが。
まあそんなのは些細なこと。
「おいおいおい。俺は1人しかいないんだぜ。いっぺんにお願いを聞くのは無理ってもんだぜ、セニョリータ。フッ」
髪を掻き揚げながら決めてみせる。
俺の美しさは全ての美少女を虜にしてしまう。
「ではどうでしょう、みなさま? ここは智樹様に1人ずつ順番にお願いを叶えてもらうというのは」
オレガノが俺の可愛い子ちゃん達が喧嘩せずに済む方法を提示する。
「おいおいおい。それじゃあ僕は8人の美少女の言うことを順番に聞いていかないといけないのかい? それじゃあ僕の体力が尽きてしまうよ。でも、美少女の頼みを断るわけにはいかないから僕はやるけどね。キラリン☆」
爽やかに白い歯を光らせる。
「「「「「「「きゃぁああああああああぁ♪」」」」」」」
俺の返答に可愛い子ちゃん達は一斉に黄色い悲鳴を上げる。
まったく、美少女の歓声は俺の無限の慈悲の心を刺激して止まない。
美少女というのは罪な存在だ。俺に喜んで茨の道を歩ませてしまうのだから。
「じゃあイカロス。まずはお前からだ。俺に出来ることなら何でも叶えてやるぞ」
普段料理洗濯掃除と全ての家事をしてもらっている俺の生活を支える最大の功労者に願い事を聞いてみる。
それに対してイカロスは頬を染めながらか細い声で答えた。
「……私は、マスターがそこら辺の男達100人に総受けになってグチャグチャのドロドロになっている姿が見たいです。ポッ」
いきなり難易度が高いお願いだった。
だが美少女のお願いを断るなど俺には出来なかった。
「脱衣(トランザム)っ!!」
一瞬にして海パンが消し飛ぶ。
そして俺は出来るだけセクシーに尻を振りながら海に遊びに来ていた男達の間を歩き始めた。
……そして1時間後。
「……マスター。素敵過ぎます。惚れ直してしまいました。ポッ」
イカロスは更に俺にメロメロになっていた。
「へっ。俺に惚れると火傷するぜ」
大切なものを沢山失いながらもイカロスの期待に応えられたことを満足する俺だった。
もうお尻は使い物にならない気がするが。
「次はカオスだな。何をして欲しい?」
今はまだチビッ子だが将来は美人に育つに違いないカオスに望みを聞く。
カオスは満開の笑顔で明るい声で答えたのだった。
「あのね……お兄ちゃんとお空でいっぱいいっぱい遊びたいの♪」
また難易度が高いお願いだった。
「お兄ちゃんは空を飛べないんだがどうやって空で遊ぶんだ?」
空を見上げる。
だが俺の心配は杞憂だった。
「こうやるんだよ、お兄ちゃん♪」
カオスは俺の腕を掴むと大空に向かって思い切り放り投げた。
「なるほど。こりゃあすげぇやぁああああああぁっ!!」
俺はあっという間に高度1万メートルを超えて空の世界の人になったのだった。
それからカオスに投げ飛ばされながらずっと空の中を飛び回っていた。
……そして1時間後
「カオス……お兄ちゃんのこと大大大大大好き~~~♪」
カオスは更に俺にメロメロになっていた。
「へっ。俺に惚れると火傷するぜ」
大切なものを沢山失いながらもカオスの期待に応えられたことを満足する俺だった。
もう肺は使い物にならない気がするが。
「それじゃあ次はオレガノだな」
オレガノは慎ましい子だ。
イカロスやカオスのような無茶なお願いしないだろう。
「智樹様の愛の深さを試させて頂きたいと思います。新しいほうきを買う為に内臓を…売ってもらえませんか?」
またまた難易度が高いお願いだった。
「えっと……内臓ってもう生えて来ないよね? 売らなきゃ駄目?」
ちょっとだけ躊躇する。
けれどキラキラと瞳を輝かせるオレガノにノーとは言えなかった。
「内臓も適当に切り分けますから、幾つかは残る筈ですよ」
オレガノはノコギリを取り出して微笑んだ。
とても可憐な笑顔だった。
「新鮮な内に頼むぜ」
その笑顔を見て断れる男などいる筈がなかった。
……そして1時間後
「智樹様……私の目にはもう智樹様しか見えません。智樹様ラヴです。ポッ」
オレガノは更に俺にメロメロになっていた。
「へっ。俺に惚れると火傷するぜ」
大切なものを沢山失いながらもオレガノの期待に応えられたことを満足する俺だった。
もう内臓は使い物にならない気がするが。
「じゃあ次は月乃。君の番だ」
相手は鳳凰院家のお嬢様。満足してもらうのは並大抵の苦労ではないだろう。
だが、月乃はエンジェロイド達と比べればそれでもごく普通の女の子であると言える。
まさか無茶なお願いはないだろう。
「わたくし、エテ公さまをペットにしたいですの。ほんの少しで良いのでエテ公さまを猿として飼ってみたいのです」
またまたまた難易度が高いお願いだった。
「えっと……それは俺に人間の尊厳を全て捨て去れということですよね? それはちょっと……」
お尻と内臓を失ったその上に人間としての称号まで返上しろという。
さすがにそれはちょっと聞き入れられない話だった。
「わたくし、ペットとなったエテ公さまと一緒にお散歩するのが夢でしたの」
月乃の瞳はピカピカと輝いていた。表情はルンルンだ。
こんな輝いている笑顔を見せている子の願いを断るなんて俺には出来ない。
「ウッキィ~~。俺は猿で良いんだよな、月乃ご主人様」
俺はこの瞬間、猿と化した。
……そして1時間後
「やはり次代の鳳凰院家の頭首となるのは智樹様を置いて他ありません」
月乃は更に俺にメロメロになっていた。
「へっ。俺に惚れると火傷するぜ」
大切なものを沢山失いながらもカオスの期待に応えられたことを満足する俺だった。
もう人間という名は使い物にならない気がするが。
「じゃあ続いてニンフ、君に決めたぜ」
ニンフは頭脳担当のエンジェロイド。
俺の今の満身創痍の状況を見れば、過度な願い事は命に関わるときっと理解してくれるはず。
「私ね……智樹の赤ちゃんが欲しいの♪」
またまたまたまた難易度が高いお願いだった。
「おいおいおい。僕の子供が欲しいってそんなキラキラした瞳で言われても」
髪を掻き揚げながら苦笑してみせる。
「智ちゃんの赤ちゃん。わたしも欲しいかな」
ニンフの隣でそっと手を挙げたそはら。
恥ずかしそうに、でも俺によく見えるようにきちんと手を挙げている。
さすがはそらのおとしものが誇るやたらエロい2人。
さて、どうしたものか?
ハッ!
今の俺なら神をも越えた方法で子供を授けることができる。
何かそんな気で溢れている。
「智樹。さっさと赤ちゃん作って」
「智ちゃん。わたしも赤ちゃん」
飢えた野獣のような瞳で俺を包囲する2人の美少女。
だが俺は少しも慌てることなく彼女の望みを叶えてあげることにした。
「智樹スーパーウルトラワンダフルキッス♪」
ニンフとそはらに向けて俺の愛エナジーを全開にした投げキッスを贈る。
「「ポッ♪」」
2人の美少女の顔がにやけた。
だがニンフとそはらはすぐに表情を戻すと再び俺を包囲する。
「私はキスして欲しいんじゃなくて赤ちゃんが欲しいの。その為には赤ちゃんが出来る行為が必要でしょ」
「そうだよ、智ちゃん。保健体育の授業で習ったでしょ」
さすがはそらおとを代表するエロい2人。
行動にブレがない。
だが……。
「愛し合う男女がキスをするとコウノトリさんが赤ちゃんを運んできてくれる。それが僕の知る赤ちゃんの出来方の答えさ。キラリーン☆☆」
白い歯を光らせて微笑む。
「「えっ?」」
驚く2人の元に2羽のコウノトリが飛んで来た。コウノトリは嘴に大きなバスケットを咥えている。
そのバスケットの中には、そはらそっくりな顔をした赤ちゃんとニンフそっくりな顔をした赤ちゃんが眠っていた。
コウノトリは赤ちゃんをそはらとニンフに抱かせると再び大空へと飛んでいった。
「俺とニンフの子供は智ン。俺とそはらの子供は樹ら。大事に育ててくれよ。キラキラ☆☆」
14歳にして2児の父親になってしまうとは人生って分からないもんだぜ。
「赤ちゃんも大事だけど……赤ちゃんを作る過程がもっと大事だったのにぃ」
「智ちゃんと赤ちゃんの作り方を実践で一から学んでいきたかったのにぃ」
「「でも……赤ちゃん可愛いよぉ~♪」」
ニンフとそはらは俺と赤ちゃんにメロメロになっていた。
「へっ。俺に惚れると火傷するぜ」
大切なものを沢山失いながらもニンフとそはらの期待に応えられたことを満足する俺だった。
「じゃあ最後は日和だな」
俺を好きだと言ってくれた子猫ちゃん。
日和は一体どんな願いを述べてくれるのかな?
「私……桜井くんと結婚したいです♪」
やっと簡単なお願いが来た。
「そんなことならお安い御用だぜ、ベイベー♪」
婚姻届を召喚する。
俺に関する全ての欄を記入する。
書き終えると今度はその紙を日和に渡す。
日和は彼女に関する欄を全て記入した。
俺はカードを使ってこの婚姻が正式に受理されるように魔法を掛けながら空美町の役所へと転送した。
「これで俺達は正式な夫婦になったぜ」
俺は日和と結婚を果たしたのだった。
「はいっ。ふつつか者ですがよろしくお願いしますね……ア・ナ・タ♪」
妻となった桜井日和は俺にメロメロのメロメロだった。
「へっ。俺に惚れると火傷するぜ」
大切なものを沢山失いながらも日和の期待に応えられたことを満足する俺だった。
「……日和さんだけマスターのお嫁さんだなんてずるいです」
イカロスが俺と日和を見ながらいじけた声を出した。
「そうよそうよ。私なんて智樹との間にもう子供までいるんだから!」
「智ちゃん。育児放棄して他の女の人と一緒になるのは良くないよう」
ニンフとそはらも子供を俺に見せながら不満を述べる。
「カオスもお兄ちゃんのお嫁さんになる~♪」
「エテ公様には次期鳳凰院家の頭首になるべくきちんと私と婚姻して頂きませんと」
「智樹様には甲斐甲斐しい大和撫子な私がお似合いです」
カオス、月乃、オレガノまでもが俺に詰め寄ってきた。
「おいおいおい。俺の体は1つしかないんだぜ。結婚は1人としか出来ないっての」
可愛い子ちゃん達が俺を巡って争うのを見るのは忍びない。
「そうですよ。智樹くんの妻はこの私なのですから。申し訳ありませんが他の方は妻の座になるのを諦めて下さいね♪」
日和はとても優しく微笑んだ。
思わず見惚れてしまう美し過ぎる笑みだった。
「……こうなったらマスターを殺してその亡骸を独占するしか私の愛情を満たす方法はありません」
「この子に将来パパは立派な人だったと胸を張って言えるように智樹を殺して女性関係を清算しなくちゃ」
「わたしもお母さんとしてこの子に強く生きてもらえるように破廉恥な智ちゃんには死んでもらわないと」
「愛愛愛愛愛愛愛愛~~~~♪ 愛って痛いものなんだよ♪」
「鳳凰院家のスキャンダルを消す為に……多くの雇用者の人生を守る為にエテ公様にはここで死んで頂きますわ」
「最初から私を選んで下さればこんな悲劇は起きずに済んだものを。残念です。せめて私が楽にして差し上げます」
6人の美少女達は一斉に包丁を構えてみせた。
「うっ、嘘、だろ?」
よく研がれた刃を向けられて自然と後ずさっていく。
だが……。
「智樹くんは……貴方達には殺させませんよ♪」
俺の背中に寄り添って後退を阻んだのは日和だった。
「日和。飛んで逃げようっ!」
妻に脱出を提案する。
けれど日和は優しい表情を浮かべたまま首を横に振った。
「智樹くんは一生私だけのものですから♪ 愛してますよ……ア・ナ・タ♪」
アナタという言葉が聞こえると共に背中に激痛が走った。
「グほいrほいあほいrへいおtッ!?」
何が起きたのか確かめようとする。
だが確かめるまでもなかった。
腹から包丁が生えていたのだから。
日和が背中から刺した包丁が内臓のなくなった腹を貫通して表に出てきたのだ。
「ひ……よ……り?」
日和は背中から俺に抱きついて幸せそうな表情を浮かべている。
「これで智樹くんは……一生私だけのものです」
トロンとした彼女らしくない瞳だった。
何かがおかしい。
この時点になってようやく気が付いた。
「……マスターの独り占めはさせません」
「智樹は私のものなんだからぁ~っ!」
「智ちゃんとの間に子供までいるんだからね!」
「わ~い。いたいのが愛愛愛~~♪」
「エテ公様とこの世で結ばれぬのであればせめてあの世で」
「フッ。死んで私だけのものになってもらいますよ」
更に一斉に突き刺さる6本の包丁。
「乃意r他ほいてゃいおてぇろいしょいりおてぇいおr!?!?」
致命傷なのは間違いなかった。
意識が霞む。
視界が暗くなっていく。
「おかしいな……どうしてこうなったんだ?」
砂浜に両膝をつく。
「俺は悲願だったハーレムを達成した筈なのに……何でこうなったんだ?」
ていうか日和が出ているのに何故彼女のエンドじゃないんだ?
何故約束された勝利の出番が発動しない?
何が、どうなってる?
「ふぉっふぉっふぉっふぉ。ナイス桜井じゃ、智坊」
視界の隅でじっちゃんが笑っているのが見えた。
「やはり智坊には歴代最強の桜井の血が流れておったのぉ。覚醒させてみれば…予想以上のハーレム王じゃった」
じっちゃんは訳が分からないことを言っている。
「じゃが、その智坊の力をもってしても……あそこには届かんかったか」
じっちゃんは空を見上げて口惜しそうに言った。
「じゃが、桜井家の男には智坊が遺してくれた智ンと樹らがおる。あのやたらエロい娘達の子ならば桜井家の、そしてワシの悲願を叶えてくれるに違いない。10数年後が楽しみじゃの~♪」
じっちゃんが何を言っているのかは分からない。
けれどじっちゃんに嵌められたらしいということだけは分かった。
「しかしあの娘とメガネの小僧がおらんだけでこんなにも上手く事が運ぶとはのぉ。他の世界のワシもあの情報を上手く活用しておれば良いのじゃが」
じっちゃんはとても楽しそうだ。
でも俺はその言葉の内容が気になって仕方がなかった。
「…………あの娘、メガネの小僧って一体誰のことだよ?」
じっちゃんに問い質したかった。
けれど俺の命はもう燃え尽きてしまっておりそれは叶わなかった。
意識を失う直前、大空にアストレアと守形先輩が笑顔でキメているのが見えた。
「……そう言えばアストレアの奴……姿を見せなかったけど……一体どうしたんだ?」
最期に疑問が浮かび上がった。
けれどその疑問について考える暇もなく俺は永遠の眠りへとついたのだった。
そらのおとしもの ハーレムデッドエンド
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