No.499191 邪神這奇譚デモンニャル子さん 第二話「嵐の前の静けさ」トマト畑さん 2012-10-22 20:57:08 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1445 閲覧ユーザー数:1419 |
変態に襲われそれを邪神を名乗る少女に救われてから一晩たった。
拠点を放火されたとかで少女は僕の家に押し入り勝手にソファーで寝付いてしまった。
きっと疲れていたのであろうと考えて僕はタオルケットをそっと少女に掛けて二階の自室へと戻りベッドに入り休んだ。
それから肌寒さに目を覚ますと何故か邪神を名乗っていた少女が息を荒げ僕の寝間着を脱がそうとしていた。
「あの、一体何を?」
僕が起きた事に気づいていなかったのか問いかけの声にてそれに気付くと慌てて飛び退き見事な土下座を決める少女。
「す、すいません!魔が差したんす!貴方の寝顔があまりにも可愛らしかったものでぇ!つ、つい子供作りを。」
何度も何度も額を床に擦りつける少女に逆に何故かこちらが悪い様な気がして少女を止める。
「別に怒ってないから気にしないで。」
「な、何という心の広さ!ご、後光が見える!後光がぁぁぁぁぁぁぁ!!そんな穢れのない目で私を見ないでくださいぃぃぃぃぃ!!」
「お、落ち着いて。僕に出来る事があったら何でもするから。気を確かに持って。」
「で、では子作りをお願いします。出来ればサッカーチームが出来る位は欲しいですねぇ。じゅるり。」
涎を袖口で拭き取る少女の言葉の意味がよくわからず僕は首を捻る。
そしてそのとき偶然ではあるが僕の瞳にこの部屋にある一つの電波時計が映る。
その瞬間半分寝ぼけていた頭が完全に覚醒する
「も、もう7時25分!?ヤバいもうすぐ黒鋼のストライバーが放送される時間だよ!」
「な、なんですと―!!そうですよ日曜の朝と言えばスーパーヒーロータァイム!!」
僕の言葉に時計を見て文字どおり飛び上がる。
まさか邪神が特撮を知っているとはこちらも驚きである。
「「テレビの前に急がなくては!」」
言葉を交わすまでもなく僕達二人はテレビが設置してある一階へと歩みを進めた。
「いやぁ、流石地球ですねぇ。朝から充実ぷりがぱねぇですよ!!あ、お味噌汁御代わりお願いします。」
「やっぱり日曜の朝は最高だよね?はい御代わりどうぞ。」
7時30分から放送される特撮アニメ黒鋼のストライバーを見終わった後邪神さんが「あ、血糖値が下がっちゃいました。これはあげないと大変な事になっちゃいますよ。主に私が」と露骨な食事の要求をしてきたので軽食を作ってご馳走しているというわけである。
「何ですかこのだし巻き玉子!?やっべぇフワフワですよ!」
出した料理を凄まじい勢いでお腹の中におさめていく邪神さん。軽食と言えどもかなりの量があったんだけど一体どこに入ったのだろうか?やっぱり見た目が少女でも邪神という事なのだろうか?
「いやぁ、食った食った食いました。あ、すいません食後のお茶貰えませんか?」
「あ、はい。どうぞ。」
お茶を淹れて邪神さんの湯飲みについで邪神さんの向かいの席に腰をおろす。
「いやぁ、やっぱりお茶を玉露に限りますねぇ。」
「煎茶も良いけどね。それで出来ればそろそろ昨日の事を聞かせてもらえないかな?」
宿に食事まで提供したのだからそろそろ教えてもらってもばちは当たらない筈である。
そう考えて僕は邪神さんの瞳を真っ直ぐに見つめる。
「そ、そんなに見つめられたら照れちゃうじゃないですか。」
「ごめん、そろそろ真面目にやってくれるかな?」
「あ、すんません。調子に乗りました。」
邪神さんの招待はニャルラトホテプ星人という宇宙人だそうである。
何でも惑星保護機構とかいう機関の職員で地球を保護しに来たそうだ。
「話しは分かったんだけどでも何で僕が襲われたの?」
「実はですね私が追っていた犯罪組織がこの地球で大きな取引をするという情報を得まして。ギャラクシー密輸とかエターナルコロニー落としとか、人身売買とか。」
『人身売買』
その言葉が意味する通り人をお金で取引する事。
麻薬とかコロニーとかに僕が関係している事はまずないであろう。
だとすると。
「……もしかして僕って。」
「ええ、お察しの通り理由こそ定かではありませんが大十字悠斗さん貴方は狙われています。」
どうやら僕の個人情報は調べつくされている様で最早宇宙では個人情報は無いにも等しい様である。
「……あんなのがこれからもまた来るのか。」
昨晩自分を襲った赤い変態。
あれがまた自分を狙って襲いかかる。
それを想像しただけでも恐ろしい。身体がガタガタ震えてしまう。あ、ちなみに僕は童貞です。
「そんなに泣きそうな顔しないでくだいよ。食べたくなっちゃうじゃないですか(性的に)。大丈夫!貴方を守る為に私が来たんですから!」
「ニャルラトホテプさんが僕を?」
「ええ、それはもう!四六時中ずっと一緒ですよ!公私のけじめもちゃんとつけますしプライバシーも遵守しますから!」
「今朝ニャルラトホテプさんは寝ている僕に何をしようとしていたんだっけ?」
「ぴゅーふゅー。」
口笛のつもりかもしれないのだろうけどまったく吹けていないよニャルラトホテプさん。
「と、とにかくここに留まるのは危険です!さぁ早く行きましょう!」
そう言うとニャルラトホテプさんは勢いよく立ち上がり僕の腕を引っ張って立たせると強引にどこかへと連れ出そうとする。
「え?ちょっと何処に行くの!?」
抵抗しようとしても完全に力負けしており成すがままであった。
「それは着いてからのひ・み・つです!」
果たして彼女に任せて大丈夫なのだろうか?
「……それにしても何か忘れている様な?」
ニャルラトホテプさんに外に連れ出され凄まじい勢いで何処かに連れていかれている時にたまたま目に入った野良犬を見てふと、そんな感覚を覚えた。
「すばらしぃぃぃぃぃぃぃ!!」
ニャルラトホテプさんは目的地に着くなり周りの目を気にする事なく叫ぶ、寧ろ雄叫びをあげる。
「あ、あのニャルラトホテプさんここってアニメショップだよね?」
辺りを見回してみれば漫画にゲーム、グッズにDVD。アニメ関連のグッズが豊富な品揃え。
果たしてここで敵からの襲撃やら何やらを防げるのか?
「うぉぉぉぉぉぉぉ!こっれは!黒鋼のストレイバーフィギュア付き限定生産版Bru-rayBox!!」
ニャルラトホテプさんに文句でも言ってやろうかと思って近づいくけど黒鋼のストレイバーの名を聞いた瞬間同じく陳列されていた品それを手に取りパッケージを見つめる。
「え、うそ!?あ、本当だ。凄いこういうところって特撮系も取り扱ってるんだ。」
恥ずかしながら僕は良い年ながら特撮系が大好きで今でも日曜の朝にある特撮シリーズは欠かさず見ていたりする。
「悠斗さん買いましょう!」
「うん!」
ニャルラトホテプさんの提案を断る事もなく僕は近くに設置されていた買い物カゴを二つ拝借すると一つをニャルラトホテプさんに渡して黒鋼のストレイバーのブルーレイをカゴなかに入れる。
「悠斗さんあっちを見てください!凄すぎですよ!!」
「まさかこんな物まで取り扱っているだなんて。」
「地球本当に恐ろしい子。」
「地球に産まれて良かった。」
その後僕はしばらく初めて訪れたアニメショップで年甲斐もなく買い物を楽しみました。
その頃…………。
「マスターは一体何処に行ってしまったのでしょうか?」
大十字家の愛犬エセルドレーダは昨日の公園に取り残されていた。
簡単に言うと完璧に忘れさられていた。
「ここに放置されてから早くも一晩が経過。流石に放置プレイと考えて楽しむのも限界ですね。」
忘れさられてこそいたがその表情はどことなく嬉しそうでもあった。
「仕方ありません探しに行きますか。」
そういうと愛犬エセルドレーダは忽然とそこから消え去った。まるで瞬間移動でもしたかの様に。
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邪神ことニャルラトホテプ星人のニャル子に助けられた悠斗は彼女から話を聞くことになるのだが……。
相変わらず駄文ですがご容赦ください。それと題名変えました。後作者は病み上がりな為変態です。