No.498215

恋姫†無双  関羽千里行 第11-1話

Red-xさん

恋姫†無双の2次創作、関羽千里行の第11話、拠点の1つ目になります。
朝一でマクロスFB7見たった!Fire Bomberファンとしてはもう思い残すことはない!(え
私事ですいません。
それではよろしくお願いします。

2012-10-20 15:34:08 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:3877   閲覧ユーザー数:3212

第11話 ―拠点1-1―

 

 

○愛紗

 

 

愛紗「一刀様ー!そこの者、一刀様がどこにいるか知らないか。」

 

侍女「北郷様ならさっきお庭の方にいらしてましたよ。」

 

愛紗「そうか。ありがとう。」

 

 愛紗は庭へ出た。そこには...

 

霞「なぁなぁ、一刀。そいでな、そしたら華雄のやつ...」

 

一刀「ふむふむ。」

 

愛紗「...」

 

 

 

 

愛紗「あ、一刀様!ここにおられ...」

 

星「メンマ丼ですと!?あ、主。それについてぜひとも詳しいことをお聞かせ願いたい。」

 

一刀「お、おう。まずな...」

 

愛紗「...」

 

 

 

 

一刀「思春、なんだか顔が赤いぞ。熱でもあるんじゃないか?」

 

思春「!?熱などありません!だからそのように額に手を当てないで下さい!」

 

愛紗「...」

 

 

 

 

愛紗「はぁ。私は何をしているんだ。」

 

 時は夜。一日の疲れを癒すため多くの者が眠りにつく中、愛紗は自室の寝台であおむけになっていた。

 

愛紗「(わかっていたことじゃないか。再びこの世界に来れば一刀に皆が魅かれることくらい。それをいちいちヤキモチを妬くなどと...。)」

 

 日に日に皆が一刀に魅かれていき一刀と仲良くするようになると、愛紗は次第に胸にくすぶるモヤモヤとしたものを感じるようになっていった。それは一刀と前の世界を離れてから1年、殆ど感じることがなかったものだった。その前までは日々感じていたもので日々悶々とさせられたものだったが、前よりもはっきりこの感情をヤキモチだと自覚できる愛紗にとって、再び感じるようになったそれはさらなる自己嫌悪につながるものに他ならなかった。

 

愛紗「(だいたい、一刀...一刀様は誰にでも良い顔をしすぎです。いつも私を愛しているだなどと言って置きながら...)」

 

 後でまた自己嫌悪になるというのにそんなことを考えてしまう。そこへ、

 

一刀「愛紗、いるかい?」

 

 件の一刀が部屋を訪ねてきた。苦悩の種となっている人物の登場に少し驚きつつも答える。

 

愛紗「...どうぞ。」

 

 一刀は部屋に入ってくると寝台に坐りなおした愛紗の横に腰を下ろした。

 

一刀「愛紗元気がないじゃないか。」

 

愛紗「...何の御用ですか?」

 

一刀「そうだな...愛紗とイチャイチャしに来たって理由じゃ駄目かな。」

 

愛紗「!?貴方は誰にでもそんなことを...」

 

一刀「ごめんな。」

 

愛紗「えっ?」

 

 一刀の突然の告白に愛紗は疑問を抱く。しかしそれも一瞬で、

 

一刀「愛紗、最近俺がみんなと仲良くなってきたから、自惚れかも知れないけどヤキモチ妬いてるんじゃないかってさ。」

 

愛紗「...なぜおわかりになるのですか。」

 

一刀「俺と愛紗の仲じゃないか。」

 

愛紗「...そうですね。」

 

 愛紗はそこで一息ついた。

 

愛紗「私にも貴方のことがわかるのです。ならば一刀様に私の事がわからないはずありませんね。...あなたが気の多い方だと言うのは前からわかっていたつもりです。それにその気がなくとも貴方の優しさに触れれば誰もが貴方に魅かれてしまう。そんなこと、頭ではわかっていてもどうしても心が騒ぐのです。」

 

 己の抱える思いを口にする。そうすることで愛紗は自分の中でくすぶっていたものが少しだけ軽くなったように感じた。

 

一刀「そうなった時はいつでも一緒にいよう。俺は愛紗が一番大事なんだから。」

 

愛紗「一刀様...貴方に私だけを愛してほしいというのは無理だと承知しています。ですがせめて、私といる時だけは目の前にいる私の事だけ見て下さい。」

 

一刀「ああ。」

 

 その言葉に愛紗の胸の中はすっきりとしたものになった。自分を悩ませるのも、それを消し去ってくれるのもこの人しかいないのだ、という想いが愛紗の心の中に愛する人への情念を深くする。愛紗は自分の左手の薬指にはめられた銀の指輪をいとおしげに一撫ですると隣に座っている一刀の頬に不意打ちのように口付けした。二人の頬がさらに赤くなる。

 その夜二人はそのまま同じ寝台で眠りについた。

 

 

 

○星

 

 

一刀「今日も平和だな...」

 

 徳利の中身を杯へ流し込む。そして注がれた液体を少しだけ口に含む。今俺は城壁に立てられた鐘楼の上から街を見下ろしている。ここは涼しく街全体が見渡せるという俺の秘密スポットだ。昔ならばこんな高い所に上る星や鈴々を危なっかしいと思ったものだが、今ではそれもすっかり慣れたものになってしまった。最も、こんな高いところで酒など飲んでいるのが愛紗にばれたら丸一日は説教されるに決まっているのだが。そこへ...

 

星「おや、主ではありませんか。」

 

 俺だけの秘密スポットのはずなのに、さも当たり前のように慣れた様子で俺の隣に星が現われた。

 

一刀「星!?なんでこんなところに。」

 

星「ここは風が気持ちいいですからな。それに眺めも最高とあれば私が知らぬはずがありますまい。」

 

一刀「そ、そうか...」

 

 グッバイ、俺の秘密スポット。理由にはなっていない気もするが、猫のように気まぐれな星ならば、感覚で居心地の良い場所を見つけてしまうのだろうと納得した。

 

星「それより主。こんなところで酒を飲んでいると知れれば愛紗や思春あたりに何を言われるかわかりますまい。早急に私の口を閉ざす必要があるのでは?」

 

一刀「そ、そうだね。じゃあ1つしかなくて同じ杯で申し訳ないけど...」

 

 そして俺の懸念も見抜かれていた。諦めて徳利から新しく酒を注ぐとおとなしく星に差し出した。星はにこやかに杯を受け取ると俺の隣に腰を下ろした。

 

星「ふむ。折角主とこのように飲み交わす機会であるのならば、メンマを持ってこなかったのは誤算でしたな。」

 

一刀「ホントに星はメンマ好きだなぁ。この前作ってあげたメンマ丼を食べた時なんか涙を流してたじゃないか。」

 

 そういうと星は少し恥ずかしそうに頬を赤らめて、

 

星「あ、あれは仕方ありませぬ...良いですか主。あのメンマ丼は世に出せばたやすく天下を獲れるような代物です。そのようなものを食べれば感動して涙が出るのは人間として当然の反応というもの。しかし、あの美味しさを他の庶人と共有できないのは真に遺憾です。」

 

一刀「あれ?なんで共有できないんだ?」

 

星「あんなものを世に出せば、それこそ味を占めた皆がメンマを求め、市場は大混乱。暴動も起きるやもしれません。そして何より、私の分のメンマがなくなってしまうではありませんか。ですから主。絶対にあれは私以外には振舞ってはなりませんぞ。もしそうしたのであれば、私はここから永久のお暇をいただくことになると覚悟していただきたい。」

 

一刀「わ、わかった。星以外には作らないよ。」

 

星「くれぐれも。約束ですぞ?」

 

 俺の言葉に偽りがないか、星があまりに真剣に俺の目を覗き込んでくるので、その近くにある綺麗な顔立ちに思わずゾクッとしてしまう。

 

一刀「ああ、約束するよ。」

 

星「ならばよろしい。主が私のためだけにあのメンマ丼を作ってくださると言うのなら、天下などは我が武でたやすく貴方の手に掴ませてみせますので心配めさるな。焦れて約束を違えるような暴挙には決して打って出ませぬように。」

 

一刀「あ、ああ...」

 

 いくらなんでもそれは大袈裟だよ、星。でもそれだけ俺の料理を気にいってくれたのならなによりだ。しばし二人の間に沈黙が流れ、お互いに黙って街を見下ろしつつ杯を傾ける。まったりとした空気が流れ始めたところで...

 

星「ここは本当に良い街ですな...」

 

星がボソッと口にした。

 

星「今まで旅し、ここより大きな街はいくつか見てきましたが、これほど活気や笑顔にあふれた街は見たことありませぬ。」

 

一刀「そうか。それもこれも、愛紗たちや街を復興させようと頑張ってくれた人たちの努力の賜物だな。」

 

星「何をおっしゃる。その努力も主の存在あってこそだ。主がここにいるからこそ、愛紗たちはここで努力する。それにこの街を良くするために様々な案を提示してきたおのは主でありましょう?」

 

一刀「うーん、俺は大したことはしてないと思うんだけどなぁ...結局案を出してもみんながいなきゃ俺は何もできないわけだし。」

 

星「全く。主はもっと自分の所業に胸を張りなされ。ご謙遜も過ぎるとついてくる皆を不安にさせるだけですぞ。それとも私や愛紗たちに愛想を尽かされたいとおっしゃるか?」

 

一刀「それは困るな。星の事は好きだし、いなくなられると困る。もちろん愛紗たちもだけど。」

 

 そう言うと星はいかにも楽しそうに、

 

星「ほう。主は愛紗だけでなく私も欲しいとおっしゃるか。」

 

 そして艶っぽい視線を向ける。

 

一刀「俺は星のことが好きだからね。星も俺の事を好きになってくれたら嬉しいな。」

 

星「なるほど。しかし私が惚れるにはまだまだ男振りをあげていただかないといけませんな。」

 

一刀「そうか。ならもっと頑張らないとな。」

 

星「その意気です。その調子ならばそうなる日も遠くはないでしょう。」

 

 俺たちは互いにクスリと笑うとそのまましばらく静かに酒を飲んでいたのであった。

 

 

 

―あとがき―

 

れっど「というわけで拠点第1回目をお送りしました。」

 

星「全く、愛紗は武神というより生娘のようだな。」

 

愛紗「う、うるさい!それより貴様!題名にもあるように私がメインヒロインだろう!なんでこんなに話が短いんだ!」

 

れっど「えっ?愛紗さん現代編とかあるし、結果的には一番描写が長くなるはずなんですが...」

 

星「なに、気にすることはない。自分を置いてまた主と他の娘が仲良くなるのに嫉妬しているだけだろう。(次回は私の話ももっと増えるのだろう?)」

 

れっど「(それはもちろん。次回、よろしくお願いします。そしてこれは私からの“メンマ”でございます。)」

 

星「(うぷ主、お主も悪よのう。)」

 

れっど「(いえいえ、星さんほどでは。はっはっは。)」

 

星「ふっふっふ。」

 

愛紗「何だ、この不穏な雰囲気は...それに勘違いしている。私と一刀様はあくまで家臣と主君の関係で...」

 

れっど「...」

 

星「...」

 

愛紗「な、なんだ?何か文句でもあるのか。」

 

れっど「...別にないですよ?ねぇ星さん?(今まで散々イチャイチャしてたくせに。)」

 

星「そうだな。文句はないぞ。(本人はバレていないつもりなのだろう。)」

 

愛紗「全く。変に勘ぐるのは止めて欲しいものだ。」

 

れっど「とにかく、次回も拠点をお送りします。」

 

 キッ!

 

れっど「(気にしない気にしない。)」

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
25
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択