試合後、事情聴取などを受けてから一夏とシャルルが食堂で夕食を食べている時、食堂にいる女の子たちはショックを受けていた
トーナメントは事故で中止、データを取るために第1回戦だけをやることになってしまった
つまり優勝の機会は完全に消えた
これは一夏と付き合うことができるチャンスが無くなってしまうという意味だ
もちろん一夏とシャルルは理由が分からないため首を傾げている
「それにしても残念だったな。どこまでいけるか試してみたかったんだけど」
「まあしょうがないと思うよ。それにいつかまたやることになると思うからその時に頑張ればいいと思うよ」
食事をしながら話す二人の近くに箒がやってきた
何やらもじもじした感じでいつものような感じではない
「そ、その……一夏、この前の件だが……」
「この前? トーナメントで優勝したらとか言ってたやつか?」
一応覚えていてくれたことには喜ぶ箒だが何を言っていいのかわからない
その間にシャルルは一夏に何のことなのか質問をしてみる
「ん? 何か箒と約束してたの?」
「ああ、シャルルが来る前に箒が俺に今回のトーナメントで……」
「それはもういい! 一夏、忘れてくれ!! シャルルもいいな!?」
一夏が話す前に箒が大きな声で遮る
その気迫に二人はとりあえず頷いておいた。ちょうど食事が終わったため二人は部屋に戻ることにした
いつものように一夏は特訓へ行こうとした所、シャルルが一夏を呼び止めた
少し真剣な表情で
「一夏、ちょっといいかな? 大事な話があるんだ」
彼女の言葉を聞いて一夏は立ち止った。ジュディスも空気を読んだのかそのまま異世界に向かう
お互いにベッドに座ってシャルルが話し始める
「僕のこれからの事だけど、この学園にいることにする。その間に僕自身のこと、僕の居場所の事を決めたい」
「そんな風に考えることができたのは一夏のおかげ。ありがとう」
優しい笑顔のシャルルに一夏は少し恥ずかしそうにしていた
「それでこれからは……シャルロットって呼んでほしいな」
「それが、本当の名前……?」
彼女は頷く
「そうだよ、僕の大好きなお母さんがくれた名前」
「……じゃあ、これからあらためてよろしくな。シャルロット」
「うん、よろしくね。一夏」
二人は固い握手を交わした
その後、シャルロットは真耶に会いに行った。これから女の子としてIS学園に通うことにしたようだ
それも終わり戻ってきたので、お互いに寝ようと思った。その時
シャルロットは急に苦しみだし、膝をついた
「う、うう……痛い……何? この熱さ? 左肘?」
どうしたのかと思い、一夏が彼女の近くに行くとシャルロットの左肘に果実の模様ができた
(どうやら……彼女も選ばれたようね)
ジュディスの言葉に一夏は納得していた。そして二人の前に現れた
星の模様の入った紫色の洋服を着た色白の少年が
「初めまして。僕の名前はジェイ、あなたが世界樹大戦に選ばれたものですね……ってこれは運が悪い」
ジェイと名乗った少年は一夏とその後ろにいるジュディスを見て呟いた。シャルロットには何が何だかわからない状態だ
「ジェイと言ったか? 俺の名前は織斑一夏、彼女はパートナーのジュディス。今俺達に戦う気はないから君のパートナーと話をしたらどうだ? 今すぐにでも俺達は異世界に行くから」
そう言って一夏とジュディスは異世界に行った
「……どうやら助かったみたいですね、申し訳ないのですが名前を教えてもらえませんか? 説明するのにやりづらいので」
ジェイに言われてシャルロットは自分の名前を名乗った
「シャルロットさんですね。あなたは世界樹大戦の参加者になりました。世界樹大戦はご存知ですよね?」
「えっと確かおとぎ話だよね?」
「ええ、合っていますよ。ただ、これは本当にある話なんですけどね」
そのままジェイは説明を続けた。戦いについて、異世界について、参加者について、そして願い事について
全ての説明を聞いたシャルロットは尋ねられた。何を願うのかを
「……僕は、もう一度お母さんに会いたい。色々と話をしたいから」
今度はシャルロットが自分のことを話していた。初対面の相手なのに不思議と話すことができたらしい
それを聞き終えたジェイは笑顔で
「いい願い事だと思いますよ。お互いに頑張りましょう。今日はもう遅いので明日、もう少し詳しくお話ししますね」
「ねえ、一夏……さっきこの部屋にいた彼のことを知っていたみたいだけど?」
シャルロットの質問にジェイは納得したように返事をする
「ああ、彼は世界樹大戦の参加者ですよ……どうやら彼だけじゃないようですね。この学園に参加者は結構いますね」
その事実にシャルロットは驚いていた。自分の知らない所でこんなことになっているなんて
しかし何かを考えようと思っていたが、疲れてしまったのか何も考える気にならなくなっている。そのままベッドに直行して眠ってしまった
「やはり眠ってしまいましたか、まあ僕を呼んだのですから疲れていて当然ですね。ああ、出てきていいですよって伝えておかないと」
ジェイはこっそりと異世界に行って一夏達を探した。数分後、一夏も戻ってきて、彼もまた眠ることにした
次の日、シャルロットは、女の子として改めてIS学園に来たという形になった
しかしそれはそれで教室中パニックになった。一夏と一緒の部屋にいることができたのはずるいというものがほとんどだ
そして騒がしくする原因がもう一つ、ラウラが一夏に宣言をした
「お、お前を私のよき理解者……確か妻だったかな? とにかく妻にする!」
いきなりのことで彼も理解するのに時間がかかった。そんな風に騒がしくしてしまったのでクラス全員千冬に怒られた
その日の夜、とある場所
研究室だか何だかよくわからない人参型の建物に一人の女性がいた
その女性は何かを制作していたようだが、すぐに完成させてしまった。周りには同じものがいくつもある
誰が見ても制作したものはとびっきり難しい機械のパーツだ
「……飽きた」
そう言って今作っていたものを解体してバラバラにしてしまった
まるでいらなくなって捨てるゴミのように
次は何をしようか、そう考えていた時携帯の着信音が鳴った。どこかの暴走族のような音だったが
その音を聞いた瞬間、女性は急激にテンションを上げて電話に出た
「もすもす? 終日?」
いきなりぶちっと切れてしまった。しばらく待つともう一度かかってきた
「ひどいよ、ちーちゃん。いきなり切るなんて、皆のアイドル、篠ノ之束だよ!?」
「うるさいぞ、束。後ちーちゃんはやめろ」
どうやら電話の千冬のようだ。それよりも今この変な場所にいる彼女こそISの開発者の天才、篠ノ之束だ
「聞きたいことがある。VTシステムについてだが……」
「……ちーちゃん、忘れちゃった? 私が作るものは完璧じゃないといけないの。あんなゴミ屑を私が作ると思う?」
「後ね、2時間くらい前にはもうその研究所を潰したよ。まあ、死人はいないけどね」
その報告をすると千冬は礼を言って電話を切った
千冬と話せたことが嬉しかったのか束は余韻に浸っていた。
そんな彼女の近くに青い鎧を着た男性がやってきた
「束、食事の準備ができた。それよりも電話はもういいのか?」
「ま~しょうがないね、ちーちゃんにはやることがあるみたいだし。それよりもクンツァイトもご苦労様。ちーちゃんとの電話を邪魔しなかったうえに食事も用意してくれるとはさすが私のパートナー」
そうケラケラと笑っていた
持ってきてもらった食事を食べようとした時、今度は携帯から極道のテーマが流れた
誰かわかっている為、すぐに電話に出る。クンツァイトと呼ばれた男性はいつの間にか消えていた
「ヤッホー、プリティー束さんだよ。待ってたよ~」
「……姉さん」
「うんうん、何も言わずとも用件は分かるよ。欲しいんだよね? 箒ちゃんだけの専用機が。究極の力を持った白と対をなすもの。その名も…………紅椿」
はしゃぎながら話す彼女の首の後ろには果実の模様があった
スキット
束の生活
電話も終わり、用意してくれた食事を食べ始める束
「うん、いつもおいしいね。それにしても君を作った連中はなかなかやるね」
「肯定、あの技術はすごいものだ。しかし自分は束も十分凄いと思うが?」
「そうだね、確かに今までは自分が一番だと思ってたよ。でも、クンツァイトに会ってちょっと変わったよ。異世界って面白いね。今度行ってみるための機械を作ってみたいよ」
「……それは恐らく不可能だろう。そんなのはもはや魔法の領域だな」
クンツァイトの言葉に束は残念そうにしている。束本人もそれが分かっているからだろう
「う~ん、残念。まあどうでもいいか」
こんな感じの会話がほとんど毎日続いているらしい
(まあ、私は世界樹大戦のご褒美でその夢をかなえようかな? でももっと面白いことを叶えてもいいかも。とりあえず今は興味の出てきた機械人のクンツァイトがいるし、そのおかげで今楽しいからいいか)
笑顔でそんなことを考えていた
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視点はなしで
今回の話で原作2巻は終了です