夏休み。それは高校生活の中でもっとも盛んな時期。そんな時期のある日のこと、少女達は忘れようにも忘れられない日を過ごした。
「あっつ~い。」
「そうだね~。」
夏休みのある日、五人は学生寮廊下で夏の暑さに苦戦しつつも一夏の部屋に向かっていた。だが鈴は暑さのあまり思ったことを声に出していた。
「本当に熱いですわね。」
「今年は例年に比べて暑いと言ってたからな。」
「だが教官ならこう言うだろう。『心頭滅却すれば火もまた涼し』と。」
「あ~、あの人ならそう言いそうね。」
「そうですわね。」
そんなことしているうちに一夏の部屋の前に来た五人。全員が扉をノックする。
「おい、何を考えているんだ!」
「それはこちらの台詞ですわ!」
「こんな大勢で叩いたらうるさいでしょ!」
「まあまあ、落ち着いて。ここは代表して僕が!」
「シャルロット、抜け駆けはさせんぞ!」
だが、一夏の部屋からは反応がない。
「これだけ騒いでいて反応がないとは・・・・」
「寝ているかもしくは・・・」
「なにやってんだ、お前ら?」
「「「「「!!」」」」」
声のするほうを振り向くとそこには私服姿で左手に缶が入ったビニール袋を持っている一夏の姿があった。
「い、一夏。」
「ど、どこに行ってらしたの?」
「?ちょっと町まで買い物に行ってたんだが。」
「そ、そう。」
「どうしたんだ?なんか変じゃないか?」
「そ、そうかな。」
「き、気のせいだろ。」
「?」
唐変木オブ唐変木の一夏はわからなかった。
「まあ、立ち話も何だし部屋に入ってジュースでも飲もうぜ。」
「さ、賛成だ。」
一夏は部屋の鍵を開けて五人を部屋に入れる。鈴がふと一夏の手元のビニールに目がいった。
「!あんた、それどうしたのよ。」
「ああ、これか。これは商店街の福引で当てたんだよ。」
「「福引?」」
セシリアとシャルロットは首を傾げる。それに答えるようにラウラが言う。
「確か宝くじと似ているようなものだと聞いた。」
「ラウラ、それ誰に聞いた。」
「同じ隊のものにだ。」
「いろいろ間違っているからな、それ!」
「福引というのはガラガラというものを取っ手で回して出てきた玉の色で景品をもらうものだ。」
「そうですの。」
「日本独特の文化だね。」
「そっちにはないのか?」
「私はそういう経験がありませんですので。」
「あたしの方でもなかったわね。でもくじ引きはあったわね。」
「僕も。」
「私は軍にいたからそういう経験はないな。」
「そっか。どこにでもあるもんだと思ってたな。」
「そうよね。大体の人ってその地域にあるものが当たり前だと思っちゃうわよね。」
「でも一夏も人のこと言えないよ。」
シャルロットの言葉に頭に?を浮かべる箒、セシリア、鈴、ラウラ。
「僕が男装してた頃に一夏の洗濯物のたたみ方がね・・・」
「「「「たたみ方が?」」」」
「女物の下着のたたみ方だったんだよ。」
思わず笑う四人。
「ほ、本当かそれは・・・くくく。」
「じょ、女性もののたたみなんて・・・ふくく。」
「あ・・・あんた・・・どんだけよ・・・ひゅひゅひゅ。」
「わ、我が嫁でもさすがに・・・・・ぷくく。」
「そんなに笑うなよ、お前ら。」
一夏の事を聞いて笑う四人に一夏は顔を紅くする。
「だ、だが仕方ないだろう。」
「どうしてそんなたたみ方をしていましたの?」
「いや、千冬姉がそうしてたからそうだと思って。」
「「「「「あ~。」」」」」
五人は納得した。
「まあいいわ。それよりそれよこしなさいよ。」
「おお、そうだな。皆はなんにする?」
「あたしはこれ。」
「私はこれで。」
「私はこれだ。」
「じゃあ僕はこれ。」
「では私はこれにしよう。」
「じゃあ俺は余ったこれだ。」
箒は梅ソーダ、セシリアはブルーハワイ、鈴はレモンソーダ、シャルロットはオレンジジュース、ラウラはコーラを手に取り、栓を空ける。一夏はというとなにやら怪しいラベルの缶である。
「!なんだこれ?」
「どうした一夏?」
「このジュースなんか辛い味がするんだよ。」
「最近のやつってそういうのが流行ってんじゃないの。」
「そうかもな。」
一夏はその缶を一気に飲み干す。
「あんた一気に飲んだわね。」
「のどが湧いて・・・・・」
「?一夏、大丈夫?」
「だ、大丈・・・夫にゃ。」
「「「「「!!!(にゃ!)」」」」」
突然一夏の口から発せられた言葉に一同驚く。シャルロットが一夏に駆け寄る。
「い、一夏。ど、どうしたの!」
「うにゅ~~~~~。」
一夏の目はトロンとしていた。それを見たシャルロットは思わず思う。
「(か、かわいい~!!!!!!!!!)」
そう思った刹那、一夏はシャルロットに顔を近づけ、そして
ムチュッ
突如起こったことに一同フリーズする。シャルロットは状況を整理する。
「(え・・・えっと一夏が僕に近づいて顔を近づけて唇と唇が触れて・・・・・て、こ、こここここここっ、これってキ、キス!)」
「ん~~~~~~~~~~~~~!」
シャルロットは驚くが一夏はそのまま濃厚なキスをし続ける。
「ん!んんんんんん、ん、んむ、んむ、んむ・・・・」
キュポンと音を立て、一夏はシャルロットの唇から離れる。
「あ・・・い・・・・いち・・・・一夏・・・・・」
「にゃあ?」
ズキューーーーン!
「はう///」
シャルロット、射殺!?シャルロットは気を失い床に倒れる。
「いーーーーちーーーーかーーーー。いくら嫁でも許さん!」
怒ったラウラは一夏に右パンチを喰らわそうとするが一夏は回避する。
「!かわされただと!」
ラウラは反転し再度攻撃しようと振り向くが振り向く先には一夏の顔があった。一夏は飛びつく。
「にゃ~。」
「うわ!」
ラウラは体を反らす体制になる。
「い、一夏。ち、近い!」
ムチュッ
一夏はラウラにもキスをする。
「ん~~~~~~~~!んんん、ん~~~~~!」
ラウラは叫ぶが口をふさがれて声が大きく響かない。一夏はお構いなしにキスを続ける。
「ん!んんん、ん・・・んむ、む、む・・・ん~~~~~~~~!」
ニュポン
「あ・・・あ・・・い・・・・・いちいちいちいちいちいち、一夏・・・・」
「にゃあ!」
ドーン
「ク・・・・・クラリッサ・・・・・こ・・・これが・・・・・萌え・・・・か・・・」
ラウラ、爆撃!?
ラウラは気を失い、シャルロット同様床に倒れる。
「い、一夏!一体どういうつもりだ!」
「そ、そうですわ!なんでこんな羨ま・・・・・じゃなくて変なことをしますの!」
「!これって!」
鈴は一夏の飲んでいた缶のラベルをよく見る。そこにはアルコール25%と書かれていた。
「どうしましたの鈴さん。」
「一夏お酒飲んでる。」
「どうしてそんなものが・・・・はっ!セシリア、危ない!」
「え!」
セシリアは何のことだかわからなかった。だがすぐに理解できた。一夏がセシリアに飛びつきセシリアをベットへ押し倒す。
「きゃっ!」
「にゃ~。」
「い、いいいいいい一夏さん。さ、ささささささすがに、こ、こここここ、心のじゅんむ!」
お構いなしに一夏はキスをする。
「ん、ん~~~~~~~~~!!!!!」
「んにゅ~。」
「んん!んんんんんんんん、む~~~~!む!むう・・・・うっうっうっ!」
シュポン
「い、いひかひゃん。」
「にゃあ?」
ズキューーーーーーン
セシリア、狙撃!?セシリアまでも落とされた。セシリアはベットで気を失う。
「セシリアまでもやられたとは・・・・」
「箒!」
「何だ鈴!」
「あたしが囮になるからあんたはその間に扉に鍵をかけてきなさい!」
「!何故だ!」
「あんたのほうが扉から近いのがひとつと、このまま一夏が外にでたら!」
「わかった!」
箒は鈴の言われるままに扉へと向かうが一夏が前に現れる。そこへ鈴が箒の後ろからジャンプし一夏に蹴りを喰らわそうとするが一夏は避け、りんの足を掴む。そして一夏はそのままベットにソフトタッチで下ろす。
「鈴!」
「いいから早く!」
「・・・・わかった。」
箒は扉に向かう。その間に一夏は鈴に顔を近づける。
「い、一夏!ち、ちちちちち、ちむっ!」
一夏は鈴にもキスをする。
「ん~~~~~~~~!!!!!んむむむむ。む!む、むむん、んんん、ん・・・・ぬむぐぐぐ!」
ヂュポン
「あ・・・・・ああ・・・・・あ・・・・い・・・・い・・・」
「にゃう?」
ドコーン
鈴、爆散!?鈴は気を失う。一夏は箒の方を見る。その目は獲物を狙う目であった。
「く、仕方がない。こうなれば!」
箒はどこからか木刀を出し、構える。
「はあ!」
箒は一夏に向かい木刀を振る。一夏はそれを白羽取りで止める。
「くっ!おわ!」
箒は飛ばされ、誰も寝ていないもうひとつのベットに飛ばされる。その際に木刀を離す。
「ぐっ、!」
箒は体勢を立て直そうとした途端、一夏が飛びついてくる。箒は両手を押さえられる。
「ま、ままままま、待て一夏!さささささ、さすがにこの体制はひゃ!」
一夏は箒の耳を噛じる。そして吸う。
「あ・・・・・・い・・・・・・一・・・・・・夏・・・・そ・・・・それは・・・だ・・・・・ダメ・・・ん!」
一夏は舌を出し箒の頬を舐める。
「ふ、ふああああああ!」
箒は身体に力が入らなくなっていく。一夏は顔を箒から少し離す。
「(ほっ、これでおわ・・・・・え!)」
一夏は顔をゆっくりと近づけていく。
「ま、ままままま、待て一夏。そ、そんなことさうむ!」
一夏は箒にキスをする。柔らかく、ほのかに暖かい感触が唇に触れる。
「ん~~~~~~~~~!ん!?」
箒は感じた。口の中に何かが入ってくる感触を。それは一夏の舌だった。一夏の舌は箒の歯の裏全体を舐め回す。
「ん!んむむむむ、む~!(ま、待て待て待て待て一夏。こ、こここ、こんなことはま、まずい!)」
次に箒は舌を吸う感触を感じる。魂を吸うかのように吸う。
「んっんっんっんっんっ!(も、もうだ、だめ・・・だ・・・)」
ポン
「あ・・・・・ああ・・・・・い・・・・・いち・・・・か・・・・」
「にゃん!」
ザクッ!?箒は切られるも堪えた。
「(な、なんという破壊力だ!キスの後にこんなことされたら・・・・!)」
一夏は再度キスをしようと顔を近づける。
「(ま、待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て一夏!こ、これ以上やられたら!!)」
絶体絶命の箒。その時
ドコッ パタッ
なにやら変な音がした。その後に一夏は箒に抱きつく形で倒れる。
「(こ、こっこっここここここここここっこれはまずい!)」
「はあ、はあ、はあ、あんた・・・・・・動きなさいよ・・・・・」
「!鈴!」
声の主は木刀を持った鈴だった。
しばらくして全員息を吹き返し、一夏をベットに寝かせた。が、その後しばらくの沈黙が続いた。
「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」
なにやら重い空気。そんな状況を打破するべくシャルロットが皆に尋ねた。
「・・・・あ、あのさあ・・・・」
「なによ。」
「ぼ、僕たち一夏に何されたんかな・・・」
「!そ、それは・・・・・その・・・」
「さ、酒を飲んだ一夏に・・・」
「ご、強引に・・・」
「キ、キキキ、キスをされたな。」
全員耳まで紅くなる。
「ど、どんな感じだった。」
「や、柔らかくてだな・・・・・」
「ほ、ほのかに暖かかったです。」
「それで、あ、アンタ達はキスの後何されたの?」
「ぼ、僕は歯の裏を舐め回された。」
「私もだ。」
「私も。」
「あたしも。」
「同じく。」
「そ、それで吸われた。」
全員同じ回答をする。箒は耳を噛じられ、頬を舐められたことを言う。
「!そんなことをされましたの!」
「う、羨ましい!!」
「ずるいよ箒だけ!」
「同感だ!」
「し、仕方ないだろう。第一こうなった原因は酒なのだから。」
「それとこれとは別よ!」
その時、ノックオンがし、誰かが入ってきた。入ってきたのは千冬だった。
「織斑、少しはな・・・・・・・・何をしているお前ら?」
「お、織斑先生。」
「こ、こんにちは。」
「ど、どうしたんですか?」
「いや、お前達にも話しておくことなんだが、織斑は?」
「にゃう~~~ん。」
「「「「「「!!!」」」」」」
寝ている一夏は寝言を言う。
「・・・・・・なるほど。」
「「「「「え!?」」」」」
「お前達、一夏にキスされたな。」
「「「「「!!!」」」」」
「ふっ、図星か。」
「ど、どうしてわかったんですか?」
「織村が寝言で猫語を言うときはたいてい酔ったときだ。私も経験がある。」
「「「「「お、織斑先生も!」」」」」
「ああ。だがこいつの場合は矛盾するんだ。」
「「「「「?矛盾?」」」」」
千冬の言葉が引っかかる五人。
「こいつはアルコールが高ければ高いほど酒に強く、弱ければ弱いほど酒に弱い。」
「・・・・・・・・・・普通、逆では?」
「まあな。だがこいつは普通じゃない。お前達もわかっているだろう。」
「まあ、確かに。」
「そういうことだ。今回のことはなかったことにする。で、一つ気になったんだがどうしてこいつは酒なんか飲んでいるんだ?」
「それは商店街の福引で・・・」
「・・・そうか。わかった。」
「あ!織斑先生!」
「?どうした?」
「僕たちに話すことって何ですか?」
「ああ、それか。今度一夏に一体多数の戦いをさせてもらおうと思ってな。それだけだ。」
「そうですか。」
「じゃあな。あ!このことは口外するなよ。馬鹿どもが真似しないようにな。」
「「「「「は、はい!」」」」」
そう言って千冬は部屋から出て行った。
「ところで皆に聞いていい?」
シャルロットが唐突に質問をする。
「なによ。」
「僕たちこれカウントするべきかなって」
「「「「!!!!!!!」」」」
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