~ 第36話 †旅行記 董卓(とうたく)編† ~
二人の少女を担いで獄炎(ごくえん)の所に戻り
二人が目を覚ましても悲鳴をあげられないように距離をおいた
石の上じゃ身体が痛いだろうとちゃんと下に厚手の毛皮をひいておいた
さっき殺した熊の毛皮じゃなくて旅に必要だろうと思って持ってきた毛布代わりだ
まさかいきなり役に立つなんてな・・・煙で燻したりしてるから滅菌してるよ!
んで、ちょっと離れた所で水面にうつった自分の姿を見て気絶された理由が分かる
全身走った時についた傷に加えて熊の血がついてて仮面もしてる
あー・・・殺人者にしか見えんなこりゃ
とりあえず綺麗に全身洗って、仮面も洗っておいた
多分大丈夫だろう・・・
さて、まだ目を覚ます気配がないときたもんだ
お腹空いたしさっきの熊を処理して鍋でもやるか
久しぶりに活きの良い肉が食えるな~・・・
毛皮も街で売れると思い綺麗に剥いで水で洗って乾燥中
肉も全部は食えないのでとりあえず食える分だけ鍋に投下
そこの気絶してるお嬢さん達も食べるかもしれないので多めに
それでも余った肉はその辺に住んでる動物が食べるだろうと遠くに捨ててきた
あんまり持ち運んでも腐ってしまうだろうしなー
「うし、良い感じに煮立ってきたそろそろかな」
さてと、椀によそってと・・・
「寝たふりしてるお嬢さん達、別に襲ったりしないから
食事でもしながらお話しようじゃないか」
そう言って二人に声をかけると
モソモソと起きてくる
「あんた・・・一体何時から気づいてたのよ」
緑髪の眼鏡の子がそういってくる
もう片方の子は眼鏡の子の後ろに隠れて様子を伺ってる
「そうだなぁ俺が熊を取りに戻って帰ってきた辺り?
そこの獄炎、お馬さんが教えてくれたよ」
「嘘!?この馬の言葉が分かるっていうの!」
「獄炎が教えてくれたってのは嘘だけど、言葉は大体分かるよ」
「くっ・・・僕を謀るなんて!」
「え、詠(えい)ちゃん」
「月(ゆえ)は僕の後ろに隠れてて、こいつ怪しすぎる!」
「分かった分かった、だましたのは悪かった
それと仮面をしてるのが怪しいってのなら顔がひどい事なってるから
そっちを見られたら悲鳴をあげられると思ったからで悪気は無い」
「そ、それなら仮面外してみなさいよ!
僕たちに顔を見られたくないだけでしょう!」
「んー・・・君たちがそういうなら仮面を外すよ?」
やれやれ・・・しょうがないなーとため息ついて彼女達に背を向けて
俺は仮面を外して、彼女達の方を振り返る
「これで納得してくれるかな?」
額から頬にかけて生々しい傷跡
それを見て彼女たちが短いながらも「ひっ」と声を小さくあげたのを聞き逃さない
やっぱりなぁ・・・分かってても凹むわぁ
「疑って悪かったわね・・・」
バツが悪そうに顔を背けて謝る眼鏡の子
後ろの子がそれを見て、俺に何故か近寄ってくる
「ゆ、月?」
眼鏡の子も唖然としてるじゃないか、俺もだけどさ
俺の目の前に立つと、俺の右手を両手で包み
「命をかけて助けてくれた方を疑い
まして、このように私達に気を使って頂いたのにごめんなさい」
涙を流して謝罪をするじゃないですか・・・
え?何なのこの子・・・女神か何かですか?
頭の中がパニクってしまうのを必死に堪えながら
涙を流してくれるこの子に俺は頭を撫でながら
「いいや、眼鏡のお嬢さんの言うとおり疑って当然なんだから
君達が気にする事はない
俺の傷の為に涙流してくれてありがとうお嬢さん」
「へ、へぅ・・・」
今度は赤くなって動かなくなりました
この子持ち帰りたいです・・・
などと後ろから刺されそうな事を思っていると
「月からはなれなさいいいいいいいいいいいい!」
世界を狙える右ストレートが俺の意識を刈り取っていきました
「改めて自己紹介させてもらうよ
俺の名前は姓は厳(げん)名は白虎(はくこ)だ」
気絶から目が覚めて、謝り倒す二人がいたが
気を取り直して熊鍋をつつきながら自己紹介中
「わ、私の名前は董卓(とうたく)
董卓(とうたく)字は仲穎(ちゅうえい)です
改めまして助けていただいてありがとうございます」
女神と勘違いした子の名前がまさかの董卓でした!
え?董卓といえばあの酒池肉林(しゅちにくりん)が~とか言ってるような奴だよな
こんないかにも薄幸の美少女!と言われそうな子が・・・
もうこの世界なんでもありだなおい
あまりのびっくりさに思わず凝視してると
「へ、へぅ・・・」
頬を両手で隠して照れてる・・・可愛いなほんとに
「そ、そんなに見たら月が穢れるわ!」
「お、おぅすまない・・・」
「ふ、ふん分かればいいのよ分・か・れ・ば!」
「それでお嬢さんの名前は?」
「僕の名前は賈駆(かく)
賈駆(かく)字は文和(ぶんわ)よ!
い、一応助けてくれた事には礼をするわ。あ、ありがとう」
そっぽ向きながらごにょごにょと小さい声でお礼を言う眼鏡の子
賈駆といったら稀代の謀略家だったよなぁ
しかし、誰かと似てる気がするんだよな
俺のとても知ってる人物に・・・誰だったっけか?
そう思いながらごく自然に頭に手を乗せて撫で撫でをしている俺
「ちょ!?い、いきなりなに!?や、やめな・・・うぅ・・・」
怒るかとおもいきやむしろ目を細めて堪能するその姿
うん、ツンデレってやつだよな・・・しかし親近感が・・・
そんな感じでお互い名乗って熊鍋を堪能しつつ
お互いの話をして、親睦を深めていった
「ふむ・・・なるほど俺が行きたい武威(ぶい)は森を抜けて
さらに北の方角か」
「そうなるわね」
俺の獄炎の手綱を握る賈駆
「そっちは森の外に行けば迎えがくるはずなんだっけ?」
「はい、華雄(かゆう)さんが迎えにきてるはずです」
その賈駆の後ろに座っているのが董卓
んで、獄炎を先導して歩いてるのが俺
森の外へ向けて移動中です
それにしても華雄か、この世界だとどうなんだろうね
「その華雄さんとやらはやっぱり女性なの?」
「はい!とっても強い人なんですよ!」
「猪武者だけどね」
「え、詠ちゃん~・・・」
「だって、事実じゃない」
「そんなこといったら駄目だよ~」
「ははは、よく分かったよ華雄さんとやらが」
「白虎さんまでー・・・」
「俺の事は二人とも白(はく)でいいよ」
「分かりました白さん」
「わ、分かったわよ・・・は、白」
その言葉に笑顔で返事を返し
前を見ると森が途切れ始めている
「さて、出口が見えてきたしそろそろかな」
そういって森を抜けた先は・・・!
やっぱり荒野でした
「迎えは・・・確かにきてるみたいだねあっちに砂煙が立ってるし
旗も華の字が見えるね」
「華雄さんに間違いないです」
「俺は不審者みたいなもんだし、とっとと移動するよ」
「そ、そんなお礼をちゃんとしたいのに・・・」
「俺が華雄って人なら少なくともいきなり斬りつける自信あるね」
「白は分かってるわね華雄の性格を」
「猪武者って聞いたからね、そういうわけだから
縁があればまた会おう二人とも」
「白さん・・・次は必ずお礼をしますからね!」
「ほ、ほらさっさといきなさいよ
あんたが斬られる姿なんてみたくないんだからねこっちは!」
二人に手をあげて、俺は獄炎に跨り
砂煙がする方とは逆の方へと駆け抜けた
「董卓様ああああああああああご無事ですかあああああああ!」
そんな聞いた事あるような懐かしい声を大音量で聞きながら
荒野のウェスタンを北へ走っていった
あとがきっぽいもの~
董卓と賈駆さん編はこれで終了です。
いやぁ・・・本家本物の僕っこ軍師に皆の月ちゃんは会話が難しい
そして華雄はただのモブキャラになるのか?!
それとも真名までつけてあげる立派なキャラになるのか?!
その辺は原作に追いついてからの話ですねー
次はいよいよ馬騰達の涼州編の予定です。メインの二人にオリキャラ登場なるか?!
こんな駄文ですが、次回もよろしくお願いしますm(_ _)m
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この物語はオリ主メインの外史です
チート・ご都合主義・独自展開で書いています
苦手な人はご遠慮下さい
大丈夫だという人は駄文にお付き合い下さいませ
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