No.495425

邪神這奇譚デモンニャル子さん 第一話「這いよる混沌と変態」

トマト畑さん

ごく普通の学生生活を送る大十字悠斗。だがある日を境に彼の日常は崩れ去った。「いつもニコニコあなたの隣に這いよる混沌ニャルラトホテプです。」そう、これはニャルラトホテプ星人のニャル子と宇宙の中心でロリコンを叫んだ男の息子のハートフルデウスマキナラブコメディ。

2012-10-12 21:35:54 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2365   閲覧ユーザー数:2323

父は言っていた今度の誕生日にヨグソトースに会わせてやると。あ、ごめんなさい今のなし。

 

 

 

僕の名前は大十字悠斗。

 

平凡な家庭に産まれた平凡な人間である。

 

家族構成は父親と母親の二人に妹。

 

それに飼い犬と僕を合わせての五人家族。

 

だけど今現在父親と母親は仕事で海外に妹はそれについていって今家にいるのは僕と飼い犬だけである。

 

寂しいと言えば少々ではあるが寂しい。

 

だけど僕には飼い犬のエセルドレーダがいる。

 

それに学校の友達もいる。

 

それに一人暮らしは小さい頃から幾度となく経験済みで今ではもう慣れっこである。

 

平凡な日常ではあるけれど僕はそんな日常をこよなく愛していた。

 

でもそんな日常は脆くも崩壊した。

 

彼女の来訪と共に。

 

 

 

「いつもニコニコ貴方の隣に這いよる混沌ニャルラトホテプです!」

 

 

僕は邪神を名乗る少女と出会った。

 

 

 

 

 

それは今から数時間前に戻る。

 

日課である午後10時に行う愛犬エセルドレーダの散歩を僕がしている時であった。

 

 

「エセルドレーダ顔色悪いけどどうかした?」

 

 

「だ、大丈夫ですマスターは気にしないでください。」

 

 

顔を赤くし息を荒げて四つん這いでゆっくりと歩を進める愛犬エセルドレーダ。

 

だが突然ブルブルと身体を震わせて膝を着き歩みを止めてしまう。

 

明らかに様子が可笑しい。

 

エセルドレーダ自身は大丈夫だと言うがその白い肌はいつも以上に白さを増し、脂汗をかいていた。

 

 

「ど、どうしよう!?こんな時間じゃ動物病院だって開いてないよ。」

 

息を切らせて何かを堪える様に下半身を前足で押さえるエセルドレーダ。

 

最早状況は一刻を争っていた。

 

だけど僕は慌てる事しか出来ないでいた。

 

そんな僕を見かねてかエセルドレーダが苦しみながらも必死に口を開く。

 

 

「お、落ち……ついてくださいマスター。これは病気ではありません。そのにょ、尿意が来ただけですので。」

 

「……トイレなの?」

 

「イエス、マイマスター。」

 

僕の問いに顔を赤くしながらも頷くエセルドレーダ。

 

それにしてもトイレなら気にしないでしてくれればいいのに。

 

「我慢なんてしなくて良いよ。我慢してると膀胱炎とかで身体に悪いよ。」

 

「え、まさかここでしろと言うのですか?マ、マスター。」

 

赤らんでいた顔を真っ白にして何かあり得ない物を見つめる様にしてエセルドレーダは僕を見ていた。

 

「だって犬なら道の端とかでよくしてるよね?」

 

「そ、それはそうですが。」

 

「出来ないの?」

 

「あ、ぐっ!?わかり……ました。」

 

僕の問い顔を歪めるがそれはあくまで一瞬でありどこか覚悟を決めたかの様にエセルドレーダは前足で自らのショーツを下ろすとそれを脱ぎ捨ててゆっくりと後ろ足をあげる。

 

 

「あ、うあ。」

 

だがそこから何も起きない。

 

もしかして尿意はあるけど出ないとか何かの病気であろうか?

 

やっぱり動物病院に連れていかなくてはならないとぼーっと考えていると二本足でエセルドレーダが立ち上がる。

 

「やはり私には難易度が高すぎます。申し訳ありませんマスター。命令に背く私をお許しください。」

 

脱ぎ捨てたショーツを拾いあげるとエセルドレーダは近くにあった公園の公衆トイレに凄まじい勢いで駆け込んでいった。

 

その光景に僕は……。

 

「二本足で歩いた。寧ろ走った!凄い家の愛犬。」

 

そうエセルドレーダの行動に感動していた。

 

二本足で立ったり歩いたりする犬はよく見かけるが走る犬は中々いないであろう。

 

もしかしたら世界記録か何かに認定されてしまうのでないだろうか?

 

そんな事を考えていたせいで僕は気がつく事が出来なかったのかもしれない。

 

「……悠斗。はぁはぁはぁあ!!」

 

空の色が変わり自らに全身赤タイツで紙袋を被った変態が迫って来ている事に。

 

そして……。

 

 

エセルドレーダside

 

私はエセルドレーダ。最古の魔導書ナコト写本の精霊。

 

ですが今はわけあってドーベルマンとなり敬愛してやまないマスターの大十字悠斗様に仕えています。

 

 

「なんたる不覚!マスターのご命令に背いしまうなど!何がナコト写本だ!何が魔導書の精霊だ!思い出せ!今の私は犬だ。マスターの忠実なる飼い犬。穢らわしき駄犬。マスターの足を舐め回し快楽を覚える駄犬。ハァ、ハァ。マスタァァァァァァァァァ!!」

 

 

夜の静寂の支配する公園のトイレには私の雄叫びのみが響いていました。

 

 

 

side out

 

 

僕は知らなかった、気付く事が出来なかった。

 

エセルドレーダが新たなる決意の元に自らがあるべき姿を取り戻していた事に。

 

だけどそんな事に気付く余裕などあるはずがなかった。

 

何故なら今僕の頭の中にあるのは生き延びる事だけであった。

 

僕を執拗なまでに追い続けている全身赤タイツで紙袋を被った変態から。

 

「な、何が一体どうなって!?」

 

エセルドレーダが公衆トイレから出てくるのを待っていたのだが突如として謎の変態が襲いかかってきた。

 

それから僕はひたすら逃げているというわけである。

 

「……はぁ、はぁ、はぁ。」

 

「熱っ!?」

 

変態が触れた臀部に信じられない程の高い温度。それはまるで火傷でもしたかの様な痛みだった。

 

何故か服こそは焼いてはいないがそれによって僕を襲う痛みが尚更これを現実なのだど教える。

 

「ど、どうして僕がこんな目に!?」

 

もう頭の中を占めるのはそれだけであった。

 

だから走った。

 

走りに走り抜いた。

 

……そして僕は追い詰められた。

 

「そ、そんな行き止まり!?」

 

気がつくとそこには無慈悲にもコンクリートの壁があり道は途絶えていた。

 

つまりは僕は詰んだのである。

 

 

「変態だぁ!誰か助けてぇぇぇぇ!」

 

 

「悠斗……赤ちゃん作ろう。じゅるり。」

 

眼前に迫った変態がわきわきと指をくねらせて近づいてくる。

 

きっと僕を殺す為にであろう。

 

あ、いやちょっと違うかもしれないけれど。

 

そして右手で変態は自らの紙袋を剥ごうとする。

 

その光景がどう言うわけか随分とゆっくりと見える。

 

「だ、誰か助けて!!」

 

無駄だとわかりながらも僕は叫ぶ。

 

死にたくないから叫ぶ。

 

けれどもその叫びに答えてくれる者は誰もいない……筈だった。

 

 

「はーい。っていうかクー子あんたなんばしよっとですか!?」

 

 

「きゃうぅん!!」

 

 

その何処か呑気返事と理不尽な怒りを爆発させた叫びともに変態が消えた。

 

否、正確には変態の後ろにいつの間にか立っていた少女の拳によって上空打ち上げられ星となった。

 

「誰?」

 

突然の状況変化に僕は追い付けずに目の前で得意気に笑う銀髪の少女そんな事を問いかける。

 

 

「いつもニコニコ貴方の隣に這いよる混沌ニャルラトホテプです!」

 

 

邪神を名乗る少女はどこかの特撮ヒーローの決めポーズをとる。

 

「……ニャルラトホテプ?」

 

そう、これが僕の平凡な生活を変える事になるニャルラトホテプとの出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

キャラ紹介

 

 

 

大十字(だいじゅうじ) 悠斗(ゆうと)

 

性別 男

 

身長 165cm

 

体重 45kg

 

大十字家長男にして普通の学生であったが這い寄る混沌ニャルラトホテプとの出会いによりその生活は一変する。

特に長所もなければ短所もない普通の学生。

顔付きが女性よりの中性的な為に時折女性に間違えられる事も。

基本的に優しい性格で困っている人を見過ごせずに色々な騒動に巻き込まれている。

何やら隠された秘密があるとかないとか?

 

 

 

ニャル子(ニャルラトホテプ)

 

本作メインヒロインの一人にして惑星保護機関のエージェントな這い寄る混沌。

 

 

エセルドレーダ

 

悠斗が飼っているドーベルマン。

何故か服を着てたり二足歩行で歩いたりする普通の犬。

 

 

 

変態(全身赤タイツで頭から紙袋を被った変態)

 

 

悠斗を襲撃しニャル子によって撃退された変態。

身体付きから10代後半の少女の様だがその正体は不明。

決してフォマルハウトの神様とかではない(汗)。

 


 
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