No.495125

超次元ゲイムネプテューヌXWorld Act.31 【邂逅】

クロ氏、お許しください!
前半のネロまでが本編。後半のフロムは蛇足。正直すまんかった。

2012-10-11 23:15:59 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1024   閲覧ユーザー数:907

~???? ???? Sideネロ~

私が視界を取り戻したとき、そこには妙な光景が広がっていた。

 

見かけ上は記憶にある。プラネタワー内部、ネプギアねーさん、ネプテューヌねーさんの私室だ。

薄紫主体の壁紙や変なぬいぐるみ、二段ベッドが特徴的だ。刀などが置いてないのが気になるが…。

妙な、といわれる要因はただひとつ。暗い。カーテンは開いている。だが、窓から外が見えない。日の光も月の光も入っていない。

つまり光源と呼べるものはこの部屋には存在しない。

…なのに、真っ暗というわけではなく多少の視界は確保されている。意味不明だ。

 

「起きましたか?」

 

目の前の二段ベッドの下段に一人の少女が座っていた。私より少し大きいぐらいか。

…いや、問題はそこじゃない。そこは【さっき見たとき誰もいなかった】。

前触れなくいきなり現れた。

…これだけでわたしにとっては怪しむ十分な理由だ。

 

「……誰だ、お前は。」

「私は…堕ちた女神。空より追放され、獄に堕とされた者です。」

「女神だと、言うのか」

「正確には【だったもの】です。」

 

目の前の少女はにやけた表情で話す。

妙な言い回しはわたしをおちょくっているのか、それとも素なのか。

…情報は少なすぎた。

 

「わたしに声をかけたのは、ここにつれてきたのはお前か」

「はい。私のために、貴女のために。その力を、更なる力を貸してほしかったのです。」

「…女神と言ったな。もう一度聞く。誰だ、お前は。」

 

少女は「仕方ありませんね」と呟き、光に包まれた。

逸れは、女神化というよりかはもっとおぞましく、禍々しい…そう、汚染変化に近い光だった。

 

光が収まった後。少女は女性へと姿を変えていた。

いやそれ以上に、身を包む服が女神の装甲に変わっていた。それだけで、女神だと判断するには十分だった。

…だが、その装甲はところどころ削れたかのように存在していない。

しかし肌が見えているというわけでもない。言うなら…【無がある】のだろうか。

 

「私は…テュームヘルハート。人での名をニーヴァと申します。」

「…また聞いたことのない名だ…。」

「では、話を戻しましょう。シュバルツシスター、ネロ。」

「…。」

 

わたしの名を知っている…というのには今更驚かなかった。

…こいつは何もかもを見透かしているように見える。

わたしの過去から、心中まで。

 

「貴女に助けを求めた理由、それはこの世界に起こっている危機よりこの世界を救いたいのです。」

「…マジェコンヌ事変のことか?」

「それは小事です。これから起こるであろう事はアノ程度では済まされません。」

 

…マジェコンヌ事変が、小事か。

わたしが習った範囲だと、世界そのものを最初期の状態に作り変えるということのはずだったが…あれが小事となると…

……恐ろしいな

 

「これよりこの世界に来る災厄。【夜天 空】と呼ばれる破壊神です。彼はこの世界そのものを破壊しようとしているのです。」

「…!?」

 

空…。神、と呼ばれるのは女神と犯罪神しか聞いたことはなかったが、そんな存在がいるとは初耳だ。

…そこまで信用に値する存在かどうかはわからないが、それが本当だとしたら…この世界は二つの危機に同時にさらされていることになる。

 

「マジェコンヌは四女神、女神候補生に任せればどうとでもなります。わたしはこの夜天空という危機からこのゲイムギョウ界を救うため、多量の別次元より強者を(いざな)いました。余裕がなかったので殆ど無差別ですが、ね…。」

「わたしもその一人、だというのか。」

「はい。」

 

別次元…。イストワールに過去に飛ばされたはずが、別の次元に飛ばされた、ということか…?

だとしたら、わたしの次元のねーさん達は……

…何かあるとしても、知る方法はないか……。

 

…だが、ひとつだけ気になることがあった。

 

「何故わたしなんだ。」

「と、いいますと?」

「未来から来たとはいえわたしは女神候補生だ。…強いというわけではない。それにあの場にはもう一人女神、フウがいたはずだ。……何故わたしをここに連れてきた」

 

わたしの言葉に、ニーヴァは困ったような表情を浮かべていた。

…まるで、理由を今考えているかのようだ。

十数秒悩んだそぶりを見せた後、突然表情を明るくしてニーヴァは言い始めた。

 

「あなたのほうが、より感情を使いこなせそうだからです。」

「……は?」

 

その内容は、かなり意味不明なものだった。

感情を使いこなせそう…正直自分は感情が乏しいものと思っている(ロムねーさんほどじゃないが)。

それよりかは一喜一憂が激しいフウのほうが適任だろう。

…どうにも怪しい。

 

「ああ、誤解なさらぬように。感情を使いこなすというのは使いどころを弁えられる、ということです。そういう意味では感情を垂れ流すことはよくありません。」

「……」

「私は貴女の過去を知っています。つらいことがありましたね。私はその怒り、悲しみ、絶望を分かち合うことはできませんがその感情の使い方を教えることができます。」

 

ニーヴァが立ち上がり、軽く右腕を振るった。

振るった空間に数個の炎が現れた。

それぞれ紅、藍、紫と一つを除きおおよそ炎の色とは思えないものだった。

…それに、至近距離にあるにもかかわらず少しも熱いと感じない。

寧ろ、薄ら寒いような感じがする。

 

「感情の中でも特に強い憤怒、悲哀、絶望の力です。私の適性が炎だったためこのように炎の姿を使い感情の力を現しています。」

「…炎なのに、妙に寒気がするのは……」

「貴女によく似た絶望の力じゃないでしょうか…?」

 

そういいニーヴァは紅と藍色の炎を消し、紫色の炎をわたしに近づけた。

炎の中には、鏡のようにわたしの顔が映っている。

問題があるとすれば…そのわたしの表情だろうか。

炎の中のわたしは…笑っている、のだろうか。そういうには余りにも狂気的だ。

自分の表情を知る術というものはそうないが、少なくとも今のわたしがそういう表情をしていない自信はある。

 

「炎を通して見えた先、それが貴女の本性ですよ。貴女の為すべき事を為す為に、私が為すべき事を為す為に。貴女の力を貸してくれませんか?」

 

ニーヴァの誘いに引かれ、無意識に紫色の炎に手を伸ばしていた。

気づいたときには既に遅く、わたしは炎をつかんだ。

 

「…ありがとうございます。」

 

ニーヴァの言葉と同時に炎が手から伝い、わたしの全身を包んだ。

熱いという感覚はなく、寧ろ、心地よくすら感じる。

もう少し正確に言うなら……目覚めた、か。そう、目覚めた。目が覚めた。

 

「無差別に召喚したため非協力的なかたがたがいるかもしれません。できるだけ協力者を集めましょう。非協力的、及び反抗的な場合は…排除しましょう。」

「…。」

「さぁ、頑張りましょう。この世界(・・・・)のために。」

 

思考がすっきりしている。女神化したようなほどにだ。

…もしかしたら、今のわたしは相当な表情をしているのかもしれない。

先ほど、炎越しにみたわたしの本性のように。

~ラステイション 都市中層 NoNo一番屋 Sideフロム~

「私ビーフカレー7辛で。」

「カツカレー10辛。」

「お前死にかけても私はしらねぇからな?」

「がすとは辛党ですの、問題ないですの。」

「……」

 

ラステイションの庶民の味方、カレーNoNo一番屋。

私もよく来ていた場所だがちゃんとあってよかった。

私をストーカーしていた奴を捕まえてまず私達が向かったのがここだ。ちょうど昼時だったしな。

…だが、問題のこの捕まえた奴はなんともいえない表情をしている。解せぬ。

 

「お前なんか食わないのか?」

「……」

「キミズカレー食わせんぞですの」

「ゲテモノ食わせるのはやめてやれって。」

 

がすとは若干イラついているのか店一番のゲテモノ、キミズカレーを頼もうとしている。

…まぁ、捕まえてから今まで何一つ喋らないし無理もないとは思うが。

……紫髪の少女、ねぇ。武器のビットからして女神関連だろう。できるだけ情報を聞き出したいんだがな…。

 

「はー…。」

 

ついため息が出る。

私が知らない女神、というのはかなり重要な意味を持つ。

今現在の女神、ネプテューヌ、ノワール、ベール、ブラン。そして女神候補生ネプギア、ユニ、ロム、ラム。

その一つの前が私が知る限りキャストリーム、グリス、エクシス、キュー。

…つまり、私の予想通りであればそれ以上前か未来の女神。そしてそんな存在が出てくるのか、という問題になる。

仮によみがえらせたとすれば誰が、何の目的で?別の要因ならば一体なんだ?

……情報が一切ない。聞きだせるならば…望みは薄いな。

 

「で、私らをストーキングしていた理由は何だ?私らを殺すつもりできていたのか?」

「なお、これは尋問ですの。沈黙には覚悟するように。」

 

少女の隣に座っているがすとが少女の喉にナイフを突きつけている。

いつものニヤケ顔であるだけあって対面に座ってる私から見ればかなり怖い。

 

「ぁ…ぅ………」

 

少女は怯えているように小さく声を出している。

…さっき私らを殺す気だった癖に直面するとこれか。結構なお嬢様に見えるが…どうなんだろうな。

 

「で、どうするですの?私としては情報を落とさない物に利用価値はない。…死んでもらおうか、ですの?」

「…っ!がすと!何か来るぞ!!!」

 

私の叫び声とほぼ同時だった。

 

――――――キィィィィン、ドゴォォォォン!

 

爆音と共に、店の壁が吹き飛んだ。

私はその辺りにいた人間を、がすとは少女を盾にして爆風を防ぐ。

…襲撃だ。何でこんな腹ごしらえ中に来るかなぁ。空気読もうぜ、本気で。

 

「ニーヴァ!無事か!?」

 

壁をけり倒し、一人の男が店に乗り込んできた。その両手には妙な銃が二挺装備されている。

…大きさ、口径からして今の爆発を起こせるようなものには見えない。

いやな予感がするな。

 

「…!」

「あ、知り合いですの?」

「随分常識ねぇ知り合いだな。店は出入り口から入りましょう(教訓)。」

 

「無事、みたいだな…。俺の連れが世話になったみたいだな。」

「殺気を撒き散らしながら言わないでくれないかね。こちとらストーカー犯を捕まえただけなのに。」

「え?何?犯罪者捕まえると捕まえたほうが責められる社会?ないわーですの。被害者より犯罪者の人権優先とかマジないわーですの。」

 

私とがすとに向けて銃を向ける男に向けて早速がすとが煽り始めた。それでキレて攻撃してきたら被害食うのは私だってのにこいつは。

…しかし、目の前の男。こいつはおそらく人間じゃあない。雰囲気が物語っている。

女神みたいな人型の人外っつうのは必ずそういった違和感を撒き散らしている。詳しく説明するのは難しいが…まぁ、そういうものなのだ。

目の前の男はそういう雰囲気をかもし出している。隠す気もなさそうだ。

 

「その子は俺の相棒(仮)なんだ。何かしてしまったのならば謝る。」

「その謝罪はどういう価値を持つのかね?」

「…どういう意味だ?」

 

男は意味がわからないと言いたげな顔をしている。

…隙がないな。少しでもあったら試しに撃ってみようかと思ったがちっとも私らから狙いを外していない。

試す隙もないってか。いやだねぇほんと。

 

「お前の謝罪には殺人未遂を見逃せるほどの価値はあるのか、と言ったですの。」

「殺人未遂…?ニーヴァ、お前何を…!」

「ち、違…「「違くない!!」」っ!?」

 

綺麗にハモった私とがすとの声にニーヴァと呼ばれた少女が驚くそぶりを見せる。

…何だ?猫被ってるのか?今はどうでもいいか。

幸い流れはこっちにきている。絞れるだけ絞ろうかね。

 

「悪いがこっちはあのビットのおかげで死に掛けてたんだ。がすとがもう少し遅かったら私は焼き殺されていたかもしれないな。」

「何体かその辺の人間が巻き添えで蒸発してたですの。あれがNPCじゃなかったら…どうなってたかなぁ、ですの。」

「う、ぅぅぅ…」

 

少女は泣き出しそうな顔で唸っている。

さて、私は正直考えなんてものはないんだが…がすとが何をたくらんでいるのやらな。

 

「さて、一つ取引をしないですの?がすとの取引材料はこいつですの。」

「……要求だけでも聞かせてくれ」

「この世界について知っていること全て。」

 

男はしまった、という顔をしている。

…どうやらこの世界に関してはあまり知られたくないことを知っているらしい。

…顔、撮影しておく必要があるな

 

「さて、どうするですの?」

「……すまないが、要求には答えられない。」

「交渉決裂ですの?なら仕方ないで「だが、ニーヴァは返してもらうぞ。」なっ…!?」

 

がすとがナイフを引こうとした瞬間。少女の姿が消え、男に抱きかかえられていた。

瞬間移動…いや、自分ならともかく対象のみを移動させる…?むぐ、目の前の事実を解析しきれない。

とりあえず今更ながらもグレネードライフルを出し、男に向ける。

あの瞬間移動があるなら私の武器は役に立たない可能性が高いな…

 

「悪いが、俺はあまり荒事を起こさないと決めているんだ。」

「随分と自分勝手だな、荒事を起こした奴を庇っておきながら荒事を起こさない?ふざけんなこの野郎」

「私たち以上の悪人ですの。今までの話を全て茶番としてきていた。」

 

がすとも別の紫の粘液がついたナイフを抜いた。いわゆる毒だ。

…やる気はあるみたいだな。

 

「ニーヴァが迷惑をかけた。…が、俺達はやることがあるんだ。すまない。」

 

男が後ろに跳び店の外に出て行った。

砂煙で見えにくい…が、そこにいると確信して着地地点にグレネードを放つ。

 

――――――ドガァァァン

 

爆発と共に砂塵が吹き荒れる。

こりゃあ床が抜けるかもな…。

 

「がすと!」

「既に反応が消えているですの。逃げられたですの。」

「チッ…何がやることだ、気に食わねぇ…!」

 

がすと曰く、生物の気配が消えたらしい(NPC共は生物に入らない)。

…まんまといっぱい食わされたな。むかつく話だ。

 

「どうするですの?」

「…一度拠点に戻るぞ。目標は…あの男とネロの周りにいた女神だ。」

「はぁ、腹ごしらえできなかったですの。」

「錬金術でなんとかしろ。」

「めんどくせぇですの。」

 

仕方なく私達は店を後にすることにした。あーあ、店木っ端微塵じゃねぇか…。

とりあえず私達はスラム、拠点に戻ることになった。できる限り弾薬やアイテムをため、有事に備える必要がある。

…防衛は得意ではあるが、どうなるかな。

まぁ、考えることは一つだ。生き残ろう、頑張ってな。


 
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