「・・・というわけだ。自分がどれほど無茶をしたか分かっているのか?・・・・・・お腹に大穴開けて・・・本当に、死んだかと思ったんだから。」
「・・・あー、何というか・・・ゴメン。」
ちょっと泣きそうになっている凛音を見て、物凄い罪悪感が湧き出てくる。・・・でも同時に、少しだけ嬉しくなって口元がにやけてしまう。
「あっ、何よ龍騎。何が可笑しい!?」
それを見た凛音が、自分が笑われたのかと勘違いして起こっているから、その勘違いを正しておく。
「違うよ凛音。・・・俺は、自分が逃げ出さなかった事を喜んでいるだけだ。」
「・・・え?」
「・・・そうかぁ・・・・・・俺は、ちゃんと戦えたのか。今までで一番ピンチだったあの場面で、お前に任せっきりにしないで戦えたのか。今までみたいに足で纏いじゃなくて、ちゃんと守れたんだな。・・・・・・良かった。」
「・・・龍騎。」
その時の記憶が無いから不安だったんだ。・・・また俺はコイツに救われたんじゃないかって。アレは、間違いなく今まで経験してきた中で最大のピンチだった。数秒後には間違いなく死ぬ事が確定していて、それ以外の選択肢なんか無いように思ってた。・・・でも、俺はコイツらを救えたらしい。それが・・・とっても嬉しかった。やっとコイツに追いつけたような気がして。
「・・・お前が私を置いて逃げた事なんて、今まで一度も無いよ。・・・それに、足で纏いだと思ったことも・・・無い。」
「え・・・?」
「・・・な、何でもない///」
俺、ちゃんと認められていたのか。・・・何か、凄い嬉しい。まさか、死にかけることでこんなに嬉しい言葉が聞けるとは・・・異世界召喚されて良かったかもしれん。
「姫様、よく見ておくんですよ。コレが本物の信頼関係で結ばれた、相棒と呼ばれる人たちです。・・・姫様も、結婚するならこういう男性にしなさい。」
「うん・・・。」
何か変な空気になってきたので、無理やり話を変える。流石に恥ずかしい。
「・・・で、結局俺の魔法って何?」
「それが、よく分からないんですよね。過去の文献を漁って見ても、貴方の魔法に類似する物は見つかりませんでした。・・・まぁ、勇者の持つ魔法って、僕達『
その勇者流石にチートすぎるだろう?凛音レベルのチートじゃねぇか・・・。
「で、お前たちの魔法が特殊ってどういうことだ?」
そこで凛音が割り込んできた。どうやら、
「私たちの使う『
「どういうことだ?」
言っている意味がよくわからない。
「うーん、説明が難しいな。・・・例えば、隣の国セベスの人間は、『錬鉄魔法』という魔法を使う事が出来る。その魔法は、魔力を使用して鉄を生み出し、加工することが出来る魔法なんだ。主に、他国に武器や生活雑貨を売ることで生計を立てている。」
ここまではいいかい?と聞かれ、俺たちは頷く。
「で、当然、『鉄を生み出して加工する』というだけの魔法だから、弟子にも教えやすいよね?魔法にも上手く使う為のコツがあって、それを技術として教えることが出来る。」
「そうだな。腕の善し悪しはあれ、それをするだけの魔法ならば弟子に伝えることも容易い。」
凛音が頷く。例えば日本の伝統芸能だって、過去から現在まで、師匠から弟子に脈々と受け継がれてきたから残っているんだ。それを上手く扱うためのコツなんかが無いと、後世にまで受け継ぐことはほぼ不可能だからな。
「でも、『芸術魔法』はそういうことが出来ないんだ。」
「ん?どういうことだ?」
「僕たちの魔法はね、その個人個人が芸術だと思うものしか発現出来ないからだよ。」
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口癖は「飽きた。」熱しやすく飽きやすい幼馴染と俺が、異世界に勇者として召喚された。・・・俺はオマケだったらしいが。・・・だけどさぁ、この『残念美人』を制御出来ると思ってる訳?最悪の場合、コイツに色々されて世界滅ぶんじゃないの?しょうがない、俺が手綱を握ってやるかね。