No.493700 IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−ファントムさん 2012-10-08 14:14:55 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1167 閲覧ユーザー数:1121 |
episode75 奮闘
「っ!?これは・・!」
そして隼人が外に出ると、他のアリーナでは激しい戦闘が繰り広げられていた。
少し前・・・・・・・・
「ぐはっ!?」
一夏は襲撃者に弾き飛ばされてピットの壁に叩きつけられた。
「一夏!」
しかしその直後に箒に襲撃者が迫ると、手にしているブレードを振るってきた。
「くっ!」
箒はとっさに空裂を振るうが、パワー負けして吹き飛ばされた。
「がはっ!?」
そしてピットの壁に強く叩きつけられて箒は一瞬息が詰まる。
「ぐ・・ぅ・・」
叩きつけられたことで軽く脳震盪を起こしたのか、箒の目は虚ろになっており、視点が合ってない。
そんな箒に襲撃者はブレードを振り上げるが・・・・・
「箒に何しやがる!!」
その直後に一夏が飛び出して雪片重牙を振り下ろすが、襲撃者は後ろを振り向くと同時にブレードを振るって刃を交えるとそのまま吹き飛ばした。
「く、くそっ!」
一夏はとっさに不知火をマグナムモードにしてビームを放つが、襲撃者は上に飛んでかわすと手にしているブレードを両サイドアーマーにマウントして両腕のコンテナよりコンバットナイフを抜き放つと一夏に向けて投擲する。
一夏は雪片重牙を振るってナイフを弾いたが、その直後に襲撃者が一夏の懐に入ると先ほどマウントしたブレードを抜き放つと同時に白式・雪光を切りつけた。
「ぐっ!?」
そして勢いよく吹き飛ばされた一夏はピットのハッチに叩きつけられて、そのままハッチを破壊してアリーナの外に飛ばされる・・・・
そして鈴の目の前で襲撃者のガンランチャーが放たれる瞬間・・・・
「そうはさせませんわ!!」
そしてストライクフリーダムを展開したセシリアが両手に持つビームライフルを放つが、襲撃者はとっさにかわすとガンランチャーが放たれて散弾が鈴の真横を通り過ぎた。
そして襲撃者はセシリアに向けて両肩のミサイルを放ってきたが、セシリアは両サイドのレールガンとビームライフル、腹部のビームキャノンを構えると一斉発射した。
それによってミサイルのほとんどを破壊すると、フルバーストがアリーナのピットに直撃して大爆発した。
「ぐぅ!」
爆風でセシリアは少しバランスを崩しかけるが、その直後に襲撃者がセシリアに体当たりをしてピットの壁に叩き付けた。
「っ!」
その直後に襲撃者はビームランチャーとガンランチャーをセシリアに向けるが・・・・
「このぉっ!!」
そして鈴が勢いよく襲撃者にタックルを仕掛けると、至近距離で衝撃砲をフルパワーで放つと、襲撃者はその勢いのまま先ほど破壊したハッチに飛ばされてアリーナ内に入る。
「セシリア!!」
「えぇ!!」
そして二人はその後を追ってアリーナの中に入る。
「・・・どうだ・・・」
そして一斉射撃を行ったシャルロットは煙が上がる方を見る。
「これなら・・・もう・・・」
しかしその瞬間・・・・
「っ!?」
突然背後よりランサーが飛んできてヘビーアームズ改に直撃してシャルロットはそのまま前に倒れる。
「な、なに・・・?」
シャルロットはすぐに後ろ側をモニターに出すと、そこには破壊したはずの襲撃者が居た。
「そ、そんな・・・」
ほぼ無傷でいる襲撃者を見て、シャルロットに絶望感が出る。
「・・・だとしても・・!」
シャルロットはすぐに立ち上がると、左腕の二連装ガトリングを放つが、襲撃者はまた景色に溶け込むように姿を消した。
「また・・!」
シャルロットは辺りを見回すが、その直後に背後にまた襲撃者が現れて左腕のグレイプニールを射出して直撃させた。
「ぐっ!?」
それによって前に放り投げだされるが、シャルロットは何とか踏ん張って胸部のハッチを開いてガトリングを放つが、また襲撃者は姿を消すと、その瞬間左側から突然現れてトリケロスのランサーを放って直撃させた。
「一瞬で!?」
その直後に襲撃者は姿を消すと、その瞬間反対側から襲撃者が現れて背中のマグノクイチよりアンカーを放ってヘビーアームズ改に直撃させた。
「ぐっ!?」
そしてシャルロットは左の方に飛ばされて倒れる。
(瞬間移動・・・そんな事が・・)
シャルロットは襲撃者の行う瞬間移動のテクノロジーが分からずにいた。
そしてシャルロットの後ろに襲撃者が現れると、右腕のトリケロスの銃口よりビーム刃を出してゆっくりと振り上げた。
「っ!」
「ツインバスターキャノン・・・・ファイアー!!」
すると襲撃者の背後より太いビームが飛来して襲撃者の上半身を飲み込むとそのままピットのハッチを破壊した。
「っ!?」
シャルロットはとっさにビームが飛んできたほうを見ると、そこには気を失ったはずのラウラがセラヴィーを展開して纏っていた。
「ラウラ!?」
そしてラウラは両手に持つGNバズーカⅡを背中のGNキャノンに接続しているのを外してシャルロットの元に寄る。
「すまんなシャルロット。情けなく気を失ったりして」
「よ、良かった・・・。でもなんで動けるの?シュヴァレツェア・レーゲンのエネルギーはもう・・」
「その心配は無用だ。こんなこともあろうかと師匠が予備エネルギーパックを作って私に渡しておいたのだ」
「予備エネルギーパック?」
「あぁ。一つでISのエネルギーを満タンに出来る代物だ。まぁ補給は一回きりだがな」
「でもなんでそんな物を・・?」
「非常事態のときには使えと師匠が言ったのでな。今回ちょうどその時だ。まぁ公の場では使うなといわれているがな」
「そ、そうなんだ・・・」
「・・しかし」
そしてラウラは後ろを向く。
「もう少し早く気付いておくべきだった」
「え?」
「やつらの瞬間移動のトリックだ」
「ラウラ・・分かるの?」
「あぁ。瞬間移動しているように見えるが・・・実際は姿を消してもう一体が姿を現しているだけだ」
「もう一体・・って!?」
「そうだ。少なくともさっき撃破したのを除けばここに同型機が三体ぐらい潜んでいる。ヴォーダン・オージェで分かった」
「そっか・・・でも、どうするの?」
「このまま狭い空間で戦うとこちらが不利だ。やつらを何とか誘き出して外で戦うぞ」
「うん!」
そしてシャルロットは辺りにガトリングを放つと、ラウラと共にアリーナの中に侵入する・・・・・
「こいつっ!」
エリーナはGNスナイパーライフルを放っていくが、襲撃者は高い機動力でかわしていくと右手に持つビームライフルを放ってくるがエリーナは横に飛んでかわす。
(くそぉっ!ライフルビットの調整が終わっておったら有利になれるって言うのに!なんでいつもタイミングが悪いんや!)
サバーニャの最大の武器であるライフルビットであるが、調整がうまくいかないことが多いために今は使うことが出来ない。それに加えてライフルビットを収納するシールドビットも使用不可能である。
すると襲撃者は背中のキャノンを前に向けて機体を飛行形態に変形してエリーナに向かって飛んで来る。
「なに!?」
するとアリーナのピットの方からビームが飛んできて襲撃者は機体を傾けてかわした。
「っ!」
そしてピットの方から飛行形態になったハルートが飛んできた。
「シャーリー!気失っていたんちゃうん!?」
「あの位で気絶する分けないだろ。伊達に戦闘機パイロットをやっているわけじゃない」
そしてGNマシンガンを襲撃者に向けて放つと、襲撃者は機体を回転させて弾をかわす。
「でも、中々面白いようになってきたじゃない!一度やってみたいと思っていたのよね・・・飛行形態を持つISによるドックファイトを!」
そしてシャーリーは一気に飛び出して襲撃者に攻撃を掛けると、襲撃者は攻撃をかわしながら大きく旋回するとビームライフルを放ってくるが、シャーリーは機体を変形させてかわすと再度飛行形態に変形して飛ぶ。
そしてシャーリーと襲撃者は飛行形態のままアリーナの遮断シールドの破壊された箇所から飛び出ると、上空を一気に上昇していき、飛行形態同士によるバトルが開始された。
「うわぁ・・・ありゃ凄いわぁ・・」
取り残されたエリーナはその後を追う。
「これうちイランちゃうんか?」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
楯無は肩で息をしながらランスを床に突き立てて杖のように支えて立っていた。
隣でも簪が息を整えていたが、息を荒くしていた。
(このままじゃ消耗戦になるだけ・・・・。それは相手も同じことだろうけど・・・・)
襲撃者は先ほどから攻撃をしていたが、バックユニットのバズーカが弾切れになったのか、先ほどパージして自爆させた。
(人間には体力があるけど、機械にそれはない・・・。持久戦になれば相手に分がある・・・)
警戒しながらミステリアス・レイディーの状態を見る。
(蒼激流旋のガトリングの残弾なし・・・。カートリッジもさっきので最後・・・。ラスティーネイルも一本破壊され、蒼激流旋もあと何回攻撃に耐えられるか・・・・。そうなれば・・・一気に決めるには・・・)
そして楯無の脳裏にある手段が思い浮かぶ。
しかしそれはミステリアス・レイディ最後の手段であり、パイロットもただでは済まない諸刃の剣である。しかし襲撃者を撃破するにはもはやこの手しかない。
「・・簪ちゃん」
「なに、お姉ちゃん?」
「・・今から少し私は集中するから動けなくなるわ。だからその間援護を」
「・・一体何を・・?」
「・・ミステリアス・レイディの最大火力・・・『ミストルテインの槍』」
すると右手に螺旋状に水が集まってくると、ミステリアス・レイディの大半を覆う水のカーテンが徐々に失っていく。
「・・ま、まさか!?」
簪も楯無の意図に気付いた。
「大丈夫よ。へまはしないわ」
「で、でも!」
しかしその直後に襲撃者が楯無に向けて右手のビームライフルを放ってくるが、簪がとっさに前に出てシールドで防いだ。
「・・まぁ、そうなれば私はただでは済まないでしょうね」
「・・・・・」
「でも、これでたった一人の大切な妹を守れるのであれば、安い物よ」
「お姉ちゃん・・」
「それにね、あなたに傷ついてもらったら、ある人が悲しむだろうからね」
「え・・・?」
「・・・・」
「・・・・・」
すると襲撃者が左手に持つビームサーベルを振り上げて簪に切りかかってきた。
「っ!」
しかしその直前に楯無は右手に持つ蒼激流旋を勢いよく投擲して襲撃者の腹部に突き刺さった。
「っ!?」
そして簪は楯無に首根っこを捕まれて後ろに飛ばされて、楯無は背中にある増設ブースターを切り離して襲撃者に飛ばしてそのまま襲撃者にぶつかってピットのハッチに叩きつけられる。
「・・・・・・」
《ミストルテインの槍・・・発動》
「っ!」
千冬はハッとしてフィン型が自分を狙っていることに気付いたが、既に発射体勢に入っていた。
「くっ・・!」
そしてビームが放たれようとした・・・・
しかしその直前にビームが左から飛んできて襲撃者はとっさに気付いて回避した。
「あれは!」
そして千冬はビームが飛んできたほうを見ると・・・
『お待たせしました!織斑先生!』
と、山田先生率いる教員部隊が到着した。
しかし山田先生が纏っているISがラファール・リヴァイブではなく、別のISであった。
形状こそ千冬のレッドフレームと全く同じなのだが、色が赤ではなく緑色であった。右手にはバレルが長いビームライフルが握られており、左腕にはシールドを装備していた。
「山田先生か・・・いいタイミングだ」
そして教員部隊が千冬と合流する。
「織斑戦術教官!大丈夫ですか!」
『あぁ。俺は平気だが・・・もう空が飛べねぇ・・・。射撃武器もさっき破壊されたからな・・・。援護も出来ない』
と、輝春は残ったAGE-1Fの右腕を振るって無事であることを知らせる。
「分かりました。教員部隊は織斑戦術教官の護衛を行いながら援護を頼みます。私は織斑先生と共に攻撃します」
「「「了解!!」」」
そして訓練機であるラファール・リヴァイブや打鉄を纏った教員部隊は大破寸前のAGE-1Fの周囲に配置した。
「山田先生・・・いけるな?」
「はい!織斑先生から貰い受けた『グリーンフレーム』も慣れましたから」
「そうか。なら、問題はないな」
そして千冬はガーベラストレートを構えて、山田先生はビームライフルの持ち方を変えるとトリガーの近くのユニットよりビームサーベルが二本出てきた。
「行くぞ!」
「はい!」
そして二人は襲撃者に向かっていく・・・・・
そして今に至る・・・・
(襲撃者の機体構造から・・・やはりこれらを送り込んできたのは・・・)
隼人の脳裏にはとある人物が思い浮かぶ。
「・・・」
ドォォォォォォォォォン!!!!
「っ!?」
すると突然第三アリーナのほうから爆発音がした。
「・・あそこは・・・まさか!?」
そして隼人は大きな爆発があったピットのほうに向かっていく・・・・
「・・・・・・」
軽く脳震盪を起こしていた箒はようやく回復したが、少しふらついていた。
(・・情けない・・・。力があって・・なぜうまく使えないのだ・・)
箒は無意識に右手を握り締める。
(私は何のために・・・ここまで来たと言うのだ・・・)
外では一夏が襲撃者と戦っていたが、装甲が徐々に削られていっていた。
(・・一夏だけが傷つくなんて・・・嫌だ・・・あの時の二の舞は・・・ごめんだ!)
箒は何とか立ち上がった。
「一夏!・・・今度は私が・・お前を・・!!」
すると紅椿より光が放たれると、そのまま周りを囲いだした。
「っ!?これは・・・!」
箒は目を見開いて驚く。
(絢爛舞踏ではない・・?これは一体!?)
そして光は箒を含め紅椿を覆い、光がその形を変えていくと、一気に光が弾けた。
「・・・!?」
そして箒はその姿を見て驚いた。
その姿はさっきまでとは全く異なっていた。
先ほどとは異なって全身装甲に包まれており、色も紅い色が少し薄くなってピンクに近いカラーリングになっていた。頭にはV型アンテナを持って上に伸びるセンサー付きの鶏冠を持っていた。両肩には白い逆三角形のパーツを搭載して右手には紅椿には無いビームライフルが握られており、左腕にはシールドが装備されていた。そして何より特徴的なのが背中にある大型ユニットであり、逆V字の翼を持っており、先端には二門のキャノンを持ちスラスターを持っていた。
「これは・・・」
箒は戸惑っていたが・・・
「・・・時が来た・・?」
その直後に箒の頭の中に、その言葉が過ぎる。
(そういえば・・・シャルロットとラウラのときもこうして・・・)
箒は同じ現象を体験しているシャルロットとラウラの時を思い出す。
「・・・・・」
「・・ならば、行くぞ!『インフィニットジャスティス』!!」
そしてジャスティスの緑のツインアイが発光して、背中のリフターを展開してピットから飛び出した・・・
「くそっ!!」
鈴は衝撃砲を放つが、襲撃者は衝撃をすべてかわすとガトリングを放つ。
鈴が弾丸をかわすと、セシリアがビームライフルを連結したロングライフルを襲撃者に向けて放つが、襲撃者は横に飛んでかわした。
(外に出たはいいですが・・・近接戦闘に持ち込まないと攻撃が当たらない・・・くっ!)
セシリアは歯を食いしばるとロングライフルを放って牽制する。
(なんでよ!・・なんでいつもあたしは・・・何も出来ないのよ・・・!)
鈴は内心で戸惑っていた。
(・・・こんなんじゃ・・・こんなんじゃ・・!)
そして無意識に拳を握り締める。
(いつまで経っても・・・・昔のままじゃないのよ!何のために代表候補生になったのよ!隼人を守るためだって言うのに!)
甲龍のエネルギーはまだあったが、双天牙月は襲撃者には通じず、衝撃砲は吹き飛ばせるがダメージはそれほど大きくない。
(あたしは・・・あたしは・・・!!)
そして鈴は涙を流して、その場から一気に飛び出した。
「鈴さん!?」
「こん畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
鈴は瞬間加速を掛けて襲撃者に向かっていくと、右腕を勢いよく突き出した。
すると突然右腕が光り輝いてそこに龍の頭を模した緑色の腕が現れた。
そして鈴は襲撃者の胴体にその腕を勢いよくぶつけると、襲撃者はそのまま勢いよく吹き飛ばされた。
「っ!?」
そして鈴はハッとして右腕を見ると、そこには甲龍のものではないアームがあった。
「な、なによこれ!?」
すると右腕より光が放たれると、その光が全身を包み込んでいく。
「まさか・・・この光は!?」
そして鈴を包み込んで光は次の瞬間弾けた。
「っ!?」
鈴はさっきとは違う姿に驚いた。
全身に装甲が施されて、白をメインに緑や黄色が施されていた。胸部には中国の鎧を模しており、両腕にはドラゴンの頭を模した武器が装備されていた。
「な、なんじゃこれ!?」
「鈴さんもアンノウンと接触していたんですか!?」
そしてセシリアが驚いた様子で近寄る。
「あ、あたしはそんなやつと・・・あ、そんなこともあったような・・」
鈴は以前それと思われる時を思い出す。
すると吹き飛ばされた襲撃者が立ち上がって鈴たちを見る。
「・・驚いている暇はなさそうね」
「そうですわね。それより、鈴さん」
「・・・何よ?」
「・・この力を得た時、何か言葉がありませんでしたか」
「・・・えぇ・・・。『戦う時だ』って」
「そうですか・・」
「・・・そんじゃぁ、行きますか」
そして鈴は右手に『ビームトライデント』を展開して身構えた。
「えぇ!」
そして二人は襲撃者に向かって行った・・・・
「・・・う、うぅ・・・」
そして爆発が過ぎた後、簪は起き上がる。
「・・っ!・・お姉ちゃん!?」
簪は自分を覆い被さっている楯無を見つける。
しかしISの装甲はほとんど失われており、シールドエネルギーと絶対防御も発動できない状態だったのか、楯無は爆発に巻き込まれたのか火傷や瓦礫などで切れた傷、瓦礫がぶつかった傷など体中に受けていた。背中は爆発から簪を守ったのか焼け爛れており、そこから血が流れ出ており楯無の血が垂れ落ちて打鉄弐式の装甲に滴り落ちていた。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」
簪が必死に呼びかけるが、楯無はぴくりとも動かなかった。
「いや・・・いや・・・」
次第に簪の目から涙が流れる。
ガシャンッ!
「っ!?」
すると前方から金属音がして簪はとっさに前を見る。
そこには撃破したはずの襲撃者がボロボロになりながらも立っていた。
ギリギリのタイミングで避けたのか、右半身はほとんど損壊しており、右腕は根元から無くなり、足もフレームが露出して右目のセンサーも下のカメラが露出していた。左半身も損壊は免れなかったが、それでも左腕は残っており、ビームサーベルが未だに光を放っていた。
「っ!」
簪はとっさに動こうとするが・・・・
(っ!?システムエラー!?なんでこんな時に!?)
打鉄弐式はエラーを起こして動くことが出来なかった。
(まさか・・・さっきの爆発で・・・)
そう思っている間にも襲撃者は右足を引きずりながらもゆっくりとまるでゾンビの如く簪に近づいてくる。
「ひっ!?」
今の簪にはまるで実体化した死が近づいてきているようにも思えた。
「い、いや・・・」
無意識にも口からその言葉が漏れるが、簪は何とか楯無と一緒に下がろうと必死になるが、その場から少しも動けなかった。
「・・来ないで・・・」
そして襲撃者は左腕を振り上げた瞬間・・・・
「っ!?」
すると突然左腕が吹き飛ぶと、その直後に襲撃者の胸部が背後から何かに貫かれた。
「・・・・・」
そして襲撃者はその場に膝を着くと、そのまま前のめりに倒れて機能を停止した。
「あ・・あ・・」
そして襲撃者の後ろには、ストライクバスターを構えたバンシィ・アサルトを纏った隼人が居た。
「は、隼人・・・」
「すまんな、簪。遅くなった」
隼人は簪に近づくとその場に片膝を付いて簪を見る。
「・・・信じてた、よ」
そして簪は涙を流すが、隼人はその涙を優しく拭う。
「そうか・・・」
そして隼人は楯無を見る。
「・・・ISの生命維持装置がなんとか作動しているようだな。少なくとも最低限ラインは越している・・。安心とは言えないが」
「・・・・・」
「簪。弐式のシステムエラーが直ったら楯無さんを頼むぞ」
「・・う、うん」
「俺は少しやることがある」
「・・・・」
「・・じゃぁ、行って来る」
そして隼人は立ち上がると、PICで宙に浮き後ろを向いてピットを飛び出た。
「・・・隼人・・」
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!