第4話 前編 関姉弟と張三姉妹
愛紗Side
「出て来い!!居るのは分かっているぞ!!」
私がそう叫ぶと森の奥に隠れて居た者達が、姿を見せた。
そこから出て来たのは、男が二人と女が三人だった。
「お前達は、何者だ!!答えろ!!」
「・・・・・・」
答えないつもりか?
「無言の場合は、賊と判断して斬り捨てるぞ!!」
「ま、待って下さい私達は賊では有りません。ただの旅芸人です」
そう言ったのは眼鏡を掛けている女だった。
「賊では無い証拠が有るのか!!」
「はい、此方は貴方達に危害を加える様な事は絶対にしません」
如何するべきか、沙紗の方を見てみる。
「姉上のご決断にお任せします」
「沙紗は、いつもそうだな・・・」
「姉上のご決断を信じていますから」
これを言われると何も言い返せないではないか・・・
「分かった、じゃあ奴等を信じるぞ」
「はい、それで良いと思います」
これが、吉と出るか凶と出るか神のみぞ知る・・か・・・・
沙紗Side
姉上が此方を見て来たので返事をする。
「姉上のご決断にお任せします」
「沙紗は、いつもそうだな・・・」
呆れられた返事を返されてしまった、でもここでもう一推しすれば姉上が決めてくれる。
「姉上のご決断を信じていますから」
「分かった、じゃあ奴等を信じるぞ」
「はい、それで良いと思います」
私は、いつでも姉上のご決断を信じています。
「私達が、そちらに行くからお前達はそこを動くな!!」
「分かりました、動きません」
姉上がそう言うと向こうの方々が返事を返して来ました。
「沙紗、行くぞ」
「はい、姉上」
姉上は凄く疑っていますが、私はあの方々が悪い人には見えないのです。
でも、この事は姉上には秘密にしておきます。
???Side
私は姓が張梁、真名は人和と言います。
私達は歌で世の中を平和にする為、町や村に行っては歌を歌い民の皆に聞いてもらっている。
民の反応はいつも拍手喝采で凄く喜んでくれている為、二人の姉もその反応を見て嬉しそうに笑っていた。
「れんほーちゃん、まだ次の村に着かないの~?」
「もう少しで着くから頑張って、天和姉さん」
今、聞いて来たのが長女の姉で姓が張角、真名が天和と言います。
「人和~、ちぃも疲れて歩けないんだけど」
「ちぃ姉さんも頑張ってよもうすぐだから」
今、聞いて来たのが次女の姉で姓が張宝、真名が地和と言います。
二人の姉は、歌を歌っている時は凄く活き活きしています。
でも、それ以外の時は何をやるにしても全くと言う程やる気が起こらず全て私任せになります。
こんな姉達ですが何処か憎めずにいる私も、姉達の事が本当に好きだと思います。
「姉さん達、地図で確認したら村まであと少しだから頑張って、それに護衛の方も居るのにあまり我が儘言わないでよ」
「そんな事言っても疲れちゃうんだからしょうが無いでしょ」
「そうだ~そうだ~、お姉ちゃんもちーちゃんと一緒だぞ~」
はぁ~~、本当に困った姉達だ。
「張梁様、誰かが此方に近づいて来ています」
「「「えっ!!」」」
護衛の人がそう言うと、私達を守る様に前に立ってくれた。
「どうしますか張梁様?それ程近くでは
「人和~こう言ってるんだし速く逃げようよ」
「れんほ~ちゃ~ん」
二人の姉は不安そうな顔をしている。
「あの、人数とか分かりますか?後、貴方達で倒せないでしょうか?」
此処まで来て引き返す事なんて出来ないので、護衛の方に討伐出来ないか聞いてみた。
「人数は二人ですが我々では太刀打ち出来そうに有りません・・・・護衛の身としてすみません」
この人達でも勝てない相手が居るなんて一体どんな人達なのだろうか?
「近付いて来ている人が誰だか分かりますか?」
私が護衛の人にそう聞くと、護衛の人は目を凝らして向こうの方を見てくれました。
「少しお待ち下さい・・・・あ、あれは関姉弟です!!」
えっ!!
「関姉弟って幽州じゃ凄く有名になってる姉弟だよね?」
天和姉さんが、護衛の人にそう聞いた。
「はい、そうです」
関姉弟は今や幽州内では知らぬ者が居ない程の有名な姉弟達です。
いろんな村を回り賊討伐をしていると言う事を良く耳にする。
「どうするのよ、人和~」
ちぃ姉さんが、私に聞いてくるがその声が震えていて怖がっているのが判る。
「今はまだ、見付かってないと言っていたから今の内に逃げるよ姉さん達」
「うん!!」
「解かったわ!!」
「護衛の方も、お願いします」
「分かりました、関姉弟から離れる様に動きますので少し険しい道を通ります」
「足下にお気を付け下さい」
少し遠回りになるけど仕方がない、こんな所で見付かったら私達の夢が終わってしまう。
「出て来い!!居るのは分かっているぞ!!」
「「「!!!」」」
見付かってしまった、如何しよう・・・
「人和~、どうするの?」
ばれたのなら仕方が無いか、隠れるのをやめて正体を見せた方が殺されずに済むかも知れない・・・
「姉さん達、今から姿を見せるけど私が良いと言うまで絶対に喋らないでね」
「分かったよ、れんほーちゃん」
「何か策があるのね分かったわ、人和の言う通りにする」
「護衛の方々もすみません、せっかくここまで連れて来てもらえたけど私に任せてくれますか?」
「我々は雇われの身、口出しするつもり等有りません。張梁様に従います」
「ですが、関姉弟が攻撃してきたら我々の全力をもって相手をします」
「その間にお三方は逃げて下さい」
「分かりました、有り難うございます」
木陰から出て姿を見せる、関姉弟は此方を睨み付ける様に見ていた。
「お前達は、何者だ!!答えろ!!」
「・・・・・・」
こんなに離れているのに威圧が凄くて答える事が出来ない。
「無言の場合は、賊と判断して斬り捨てるぞ!!」
不味い何か答えないと殺されてしまう。
「ま、待って下さい私達は賊では有りません。ただの旅芸人です」
「賊では無い証拠が有るのか!!」
「はい、此方は貴方達に危害を加える様な事は絶対にしません」
そう言ったら関姉弟は、二人で何やら話し合いをしています・・・・どうなるのでしょうか?
「私達が、そちらに行くからお前達はそこを動くなよ!!」
良かった、信じてもらえた様です。
「分かりました、動きません」
関姉弟が此方に近づいて来ています、先ずは一段落といった所です。
でも、まだ油断をしない様に言葉には気を付けて接していきます。
私達の夢の為にもこんな所で死ぬ訳にはいかないから。
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関姉弟は、森で二人の男と三人の女に出会いました。
この五人の正体は誰なのか?
そして、どう関わって来るのか?