No.491333

恋姫†無双 関羽千里行 序章 第2話

Red-xさん

関羽千里行の第2話になります。
前回1話とつけるのを忘れてしまいました(汗
この作品は恋姫†無双の2次創作となります。
設定としては無印ルートクリア後となっています。
いよいよ三国志の世界に帰ってきました。今回はお馴染みのお三方がでてきます。どの外史でも噛ませ犬ホント毎回お疲れ様です。他にも出番があるといいね!

2012-10-02 18:31:19 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4416   閲覧ユーザー数:3591

序章 第2話 ―旅立ちそして出会い―

 

 お爺ちゃんに別れを告げた俺と愛紗は左慈に指定された場所へ向かうべく移動していた。

その一刀の背中には細長い布に包まれた荷物があった。

 

一刀「それにしても凄いものをもらってしまったなぁ。」

 

愛紗「そうですね...私は武具にそれほど明るいわけではありませんが、一目見てそれが業物だとわかるくらいですから相当なものだと思いますよ。」

 

 

 事情を説明して自分たちが旅立つことを告げると、お爺ちゃんは泣いて悲しんだ。実の孫としては気にかかるところはあるが特に愛紗は娘のように思っていたらしく、一緒に鍛錬したりお茶を飲んでいると死んだお婆ちゃんの若いころを思い出して若さがよみがえってきたとか娘なのかお婆ちゃんなのかもうわけがわからないことを言ってそれはもう愛紗と別れることを悲しんだ。

 

 それでも涙を飲んで別れを受け入れると俺と愛紗に1つずつ贈り物をくれた。俺が受け取ったのはいわゆる逆刃刀だった。曰く、お爺ちゃんの知り合いの刀匠がある漫画に影響を受けて丹精込めて鍛錬したものの現代に使い手などいるはずもなく、お爺ちゃんのところに流れてきたそうだ。どうせなら家宝だとか言って適当な時に俺に押し付けるつもりだったらしい。

 

 一方愛紗が受け取ったのはお婆ちゃんの形見の浴衣だった。一度夏に来てもらったことがあったがそれはそれはよく似合っていて見入ってしまったものだ。お爺ちゃんなど婆さんにそっくりだのうれし泣きしていたのを覚えている。愛紗はとても喜び、俺も向こうでまた浴衣を着た愛紗を見れるかと思うととても嬉しかった。

 

 

愛紗「私、なんとなくこうなるのではないかって思っていたのです。」

 

 浴衣の入った風呂敷を大事そうに抱える愛紗が不意にそういった。

 

愛紗「最近、私あの時の夢をよく見ていたのです。一刀が大きな渦にのまれていくのに手を伸ばすのですがなかなか届かないのです。愛する人を失いそうになる感覚...あのようなもの、2度と味わいたくはありません。」

 

一刀「俺も見たよ。大好きな人が俺のことを呼びながら手を伸ばしてくるのが見えるんだ。でも意識がはっきりしてないのか、なかなかその手に届かないんだ。」

 

 そこまで言って二人は押し黙った。このとき二人は声には出さずとも2度と互いを失わないと心に固く誓っていた。

 

 

 待ち合わせ場所に来ると既に左慈が待っていた。

 

左慈「来たか。...なんだか荷物が多そうだな。」

 

 左慈は俺と愛紗の荷物を見て顔をしかめた。

 

一刀「ははは。これでも荷物は減らしたつもりなんだけどね。」

 

 一刀の荷物は逆刃刀と来ている制服、あと外史の最初には必要であろうボールペンと充電を満タンにした携帯電話くらいだが愛紗の方は布で覆った青龍刀とボストンバックを1つ抱えていた。

 

愛紗「こんなの本当にわずかです。家にはまだ一刀との思い出の品々が...」

 

 当の愛紗は家に置いてきた様々なアイテムを思っているのか、とても悔しそうな表情を浮かべていた。

 

左慈「...まあ、本当に全部持ってきたところで俺が一緒に送ってやれるのはお前の持っているバックの量くらいだがな。」

 

左慈は苦笑すると愛紗と俺を順に指さしてこう言った。

 

左慈「最後に確認しておくぞ。お前だけならまだしもお前も送り込むとなると大陸の統一は必須条件だ。できなかった場合、おまえがどうなるかは保証できないぞ。」

 

一刀「わかっている。」

 

 俺は左慈を見て、そして愛紗と互いにアイコンタクトをとって意志の確認をした。

 

愛紗「安心してください。一刀は絶対お守りし、その手に天下を掴ませて見せます。」

 

一刀「ありがとう。俺も愛紗とずっといたいから精いっぱい頑張るよ。」

 

愛紗「一刀...」

 

左慈「惚気はそこまでにしてくれ。」

 

 ちょっと甘くなりつつあった空気を消し飛ばすように左慈は言い放つと、あの夜と同じ鏡を取り出した。その鏡からは並々ならぬ何かを感じ取ることができた。

 

左慈「1つ忠告しておくぞ。お前たちを送り込む外史はただ外史という意味ではお前たちの経験した外史と同じではあるが同じではない。あの外史はとても不安定になっているせいで正史とは外れたこともあるだろう。お前たちがどこに落ちるかもわからないし、これから行く先、天下を狙う過程で前の外史で仲間だったやつと闘うこともあるだろう。それでもお前たちは行くんだな。」

 

一刀・愛紗「ああ。」

 

 そう左慈に応えると再び俺は愛紗の方に向き直った。

 

一刀「愛紗、それと向こうに行く前に一つ確認しておきたいことがある。」

 

愛紗「なんでしょう?一刀。」

 

一刀「もう一度あの世界に戻るなら俺は前と同じく力なき民のために戦う。もちろん愛紗と一緒にいたいけど民を守るために危険なこともするかもしれない。その時は許してくれるかな。」

 

 愛紗は俺の瞳をじっと見つめると軽く微笑んでこう答えた。

 

愛紗「もちろん許しませんよ♪一刀が民を守るならその一刀は私が守ります。絶対に死なせたりなんかしません。それに民を守ることは私の願いでもありますから。一刀も民も、私が守ってみせます。」

 

左慈「いい加減にしてくれ。そろそろ始めるぞ。」

 

 そういって左慈が何かつぶやくと持っている鏡が輝きだした。俺と愛紗はもう2度と離れないようしっかりと手をつないだ。二人の左手の薬指にはめられた銀の指輪が、二人の絆の証だと主張するように鏡から放たれる光を受けて輝いている。そしてその直後何かに引き込まれるような感じを受け、徐々に意識が薄らいでいった。

 

左慈「...だぞ...ご...と。そし...ど...をころ...れ。」

 

 薄れゆく意識の中で何か左慈がつぶやくのが聞こえたがはっきりと聞くことはできなかった。しかしその表情はどこか憂いとはかない期待を帯びているように感じられた。

 

 

 

 

 夜の荒野を二人の馬に乗った旅人がとぼとぼと進んでいた。

 

??「うーん、あーつーいー!街はまだなんかー?」

 

??「しつこいぞ。さっきからそればかりではないか。」

 

??「せやかてこの暑さに朝から1回も休憩しとらんやろ?疲れてついでに腹も減ってきよったわ。」

 

??「もうすぐ着く。だからしばらくその口を閉じておけ。こっちまで疲れる。」

 

??「はあ、せめて天から酒の雨でも降ってこやんかなぁ。」

 

??「何を馬鹿なことを...ん?」

 

そういう旅人の視線の先には、空に輝く何か白い流星のようなものが確認できた。しかもどうやらだんだんとその光は大きくなっている。もう一人の旅人もその光には気づいたようだ。

 

??「あれは...なんや?空が白く輝いて...まるで昼間みたいや...」

 

??「なんだか知らんがこっちに近づいてくるぞ、伏せろ!」

 

??「馬の上で伏せろって言われても...わわ!」

 

??「くっ!」

 

轟音を立てて光は二人の上を通過していき、それは二人から少し離れたところに落ちたようだった。

 

??「なんやったんや、一体...」

 

??「あっちの方に落ちたようだな、行ってみるか。」

 

??「せやな、ほんとにお天道様がウチの願い聞き入れて酒おとしてくれたんかもしれんし。」

 

??「馬鹿なことを。落ちたところに誰かいたら怪我して倒れているかもしれん、行くぞ。」

 

??「せやな。でもなんやわからんけどすっごくワクワクしてきたわぁ。」

 

 二人は警戒半分興味半分といった気持ちで光が落ちた場所に向かって馬を走らせた。

 

 

一刀「いてて...どうやら無事についたみたいだな...愛紗大丈夫か?怪我とかないか?」

 

愛紗「いえ...こちらはなんとも...あれ?一刀?!」

 

一刀「どうしたんだ...って愛紗?!」

 

 二人が驚くのは無理もない。二人の姿は一刀が初めて外史に着た時と同じほどに若返っていたからだ。前の世界からずっと一緒にいて老いなど今まで気づかなかったが、こうして数年分をいきなり巻き戻されるとやはり違うものがあるようだ。しかしその違和感に不快なものは全く感じられなかった。

 

愛紗「なんだが不思議な感覚ですね...それと一刀と初めて出会った時を思い出しますね。」

 

 愛紗も自分の体を確かめるように手を握ったり開いたりしている。かく言う俺も腕に試しに力を入れてみたりしたが、筋力の衰えなどは感じられない。しかし、そんなことが気になったのもほんの短い間で、すぐに目の前の愛しい女性の姿に再び目を奪われてしまうのだった。

 

一刀「そうだね、初めて見た時もそう思ったけど愛紗はこの時からずっと美人だったんだよなぁ...」

 

愛紗「もう、一刀ったら。」

 

??「おうおう、なんだかでけぇ音がしたと思ったらみろよ、チビ、デク。獲物が転がってるじゃねぇか。」

 

 頬を赤くする彼女と温かい雰囲気に浸っていると突然後ろから別の声が聞こえた。

 

??「そこのお二人さん、悪いが身ぐるみ着ているものから全部置いていけや。」

 

声のする方を見ると黄色い頭巾をかぶったどデカイのと目つきの悪い奴とチビがこっちに剣をちらつかせながらニヤついていた。

 

??「兄ちゃんいい服着てやがるじゃねぇか。それにそっちの姉ちゃんも珍しい服着てんな。姉ちゃんの方は奴隷商人の所に連れていったら高く売れそうだぜ。」

 

 左慈は同じ外史であって同じではないというようなことを言っていたがどうやらここはそのままだったようだ。

 

一刀「おお...愛紗、こいつら覚えてるか?俺がこいつらに絡まれてる所を愛紗がかっこよく助けてくれたんだよな。」

 

愛紗「そうでしたね...ん?そういえばこいつら、前に私に対して何か失礼なことを言ったような...」

 

チビ「こいつ何言ってんだ?アニキ、こいつらの知り合いっすか?」

 

デク「お、オラは知らないんだな...」

 

アニキ「知らねぇな。それよりそんな戯言いってる暇があったらとっとと脱がねぇか!お前らだって殺されたくはないだろう?」

 

アニキと呼ばれた男はドスの効いた声でそう言うと持っていた剣の先端を俺の喉元に突き付けてきた。金属独特の冷たい感触が首筋から伝わってきたが俺が抱いたのは恐怖ではなく、剣を突き付けてきた男への心配だった。

 

一刀「あーあ。そんなことしない方が...」

 

アニキ「ああ?お前自分の立場わかってんのか?イキがるのも...」

 

愛紗「...貴様ら何をやっている?」

 

アニキ「ぐえっ!」

 

愛紗が一言つぶやいたのが聞こえたと思った瞬間、剣を突き付けていた男の体が宙を舞った。なんとか目で追える速さだったが、どうやら愛紗がアニキと呼ばれた男のみぞおちに蹴りを入れたらしい。しかもあの一瞬で蹴ったはずみで剣が当たらないよう角度を調整してくれていたようだ。

 

一刀「だから言ったのに...」

 

チビ「あ、アニキ!」

 

アニキ「いってぇ、クソ!てめぇは絶対に許さねぇ!デク!」

 

デク「わ、わがった。やる...」

 

そう言うとデクと呼ばれた男が巨体を揺らしながら突進し、剣を上段から思いっきり振りかぶってきた。しかし...

 

愛紗「遅い!」

 

愛紗は振りかぶってきた男の剣をもった方の腕を掴むと、そのまま男の勢いを利用して背負い投げをした。

 

愛紗「せぇぇぇぇぇぇぇやぁぁぁぁぁぁ!!」

 

デク「ぐえ...」

 

 爆弾が落ちたような地面が揺れるほどの音をたてて巨体が地面に倒れた。

 

一刀「柔道の腕もかなりあがったよなぁ。今の背負い投げ凄く綺麗だったし。」

愛紗「ありがとうございます。やはりあの国の武道というものは素晴らしいです。特にこの柔術というのは武器がなくても敵を倒すことができる。身につけておいてよかったです。」

 

 愛紗はそう言ってこっちににっこりほほ笑むと荷物の中から愛紗の長年連れ添ってきた相棒である青龍偃月刀を出してきて、今度は男たちの方に向き直り凛とした態度でこう言い放った。

 

愛紗「貴様らごとき下郎が、この方に手を出すことはまかりならん!匪賊風情がその身を弁えろ!...こんな感じでしたでしょうか?」

 

一刀「うん、凄くかっこよかったけど最後ので台無しだと思うよ...。」

 

アニキ「な、なんだとぉ~~~っ!舐めやがって!」

 

愛紗「えーと、ん、んん!このまま立ち去るのなら見逃してやろう。だが刃向かうというのなら!」

 

 正眼に己の得物を構えて言い放つ。俺に刃を向けたことに対しての憤りも感じられるが、その身のこなしからはかなりの余裕が見受けられた。どうやら愛紗は前に行ったやり取りと同じことをしたいらしい。

 

愛紗「我が青龍偃月刀が相手をしてやろう!」

 

アニキ「くっ...ふざけるのも大概にしろよ!おい、チビ!」

 

チビ「へい!おい、デクっ!起きろ!」

 

デク「...」

 

愛紗「そいつはしばらく立てないぞ。次は誰だ!貴様かっ!」

 

アニキ「くっ...おい、チビ!」

 

愛紗「貴様が相手かっ!?」

 

チビ「えっ、いや...俺はやらねぇ...」

 

アニキ「うぉい!てめぇ何逃げてんだ!」

 

チビ「だってアニキ!デクを一瞬で投げ飛ばすような怪力女にゃ勝てやしませんて!」

 

 それを聞いた愛紗の体が一瞬ピクッと震えた。そして何かを思い出したようなしぐさをすると愛紗の周りの空気が大きく震え始めた。

 

愛紗「怪力女...?そうか、思い出したぞ!貴様は絶対に許さん!」

 

チビ「へっ・あ、う、ウソウ...」

 

愛紗「問答無用!」

 

 確かもうちょっとセリフがあったような気がするが憤っている愛紗にとっては関係ないらしい。あのときと同じく目にもとまらぬ速さの槍の石突きでチビのみぞおちをついた。しかし、チビの苦悶に満ちた表情からするにその力の入れ具合はあのときよりも幾分強かったと感じられた。

 

チビ「ぐ、ぐえ...ごふっ。」

 

アニキ「チビっ?!」

 

愛紗「ふう、すっきりした...さて。残りは貴様だけだ。...どうする?また襲いかかってくるか、それとも仲間を連れて逃げだすか...好きにするが良い。」

 

アニキ「くっ、分かった。おまえらのこと、見逃してやるよ。おい、デク!チビ!起きろよ!ずらかるぞ!」

 

あのときのように憎々しげに愛紗を睨みつけていた男は、負け惜しみの言葉を吐き捨てると倒れていた2人の腹に蹴りを入れた。そして地面で大の字になってノビていた仲間を起こすと愛紗に一瞥してそそくさと逃げていった。

 

 

―あとがき―

 

 2話まで読んで下さった方は本当にありがとうございます。また1話の方にご指摘をいただいた方も感謝と同時に見づらくて申し訳ありません。TINAMIさんのシステムを良く理解できていないのですが支援?いただいた方も有難うございます!他にやらねばならないこともあるのですがこっちの方にやる気がでてきてしまいました(汗

 

 2話についてですが、一刀君と愛紗さんが若返るという不思議要素が入っていますが一応この物語において意味があります。もちろん前の外史+1年で二人がふけ...ぬーんなことも加味されていますがご了承くださいませ。あと前回コメントいただいた一刀君に対する愛紗さんの呼び方ですが、2話でお気づきになった方もいると思いますが二人はそういう関係になっています。もう少しここについては掘り下げたいところですが3話にも関わるので残念ながらこれ以上は割愛します。詳しいことは3話のあとがきに載せようかとも思っていますのでそちらをお待ち下さい。また何か気になることはありましたらコメントの方に書いていただければ内容に触れない程度でお答えできるかもしれません。

 

 それでは、まだしばらくお付き合い願える方はよろしくお願いします。

 


 
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